やはり俺の界境防衛機関での物語は間違っている   作:つむじ

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彼は過去を語る。

あたりに人の気配はなく、あるのは街灯とベンチとテーブルだけ。

そのベンチに一人の男と二人の女。

俺と操と小町の3人は先程の話し合いを途中離脱した。

 

「さて、どこから話したもんか・・・。」

 

小町になぜボーダー隊員だということを黙っていたのか。

理由を話すのは簡単だ。

だがそれだけじゃ小町は納得しない。

どうしましょうかね〜。

 

「私たちがなんでボーダーに入ったか、からでいいんじゃない?」

 

「・・・そうだな、そうしよう。じゃ、説明すんぞ。あれは今から十年くらい前・・・

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「はちまーん、どこ行くの?」

 

「・・・あっち。あっちになんか見えた。」

 

「見えたって何が?私なにも見えないよ。」

 

「俺、目いいから。」

 

「ふーん。じゃ、行ってみよう!」

 

「おー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「八幡、結構歩いたけどどの辺?」

 

「多分この辺。」

 

「ふーん・・・って!な、何よこれ!?建物壊れてる!」

 

「なんか、大きなサソリが見えた、気がする。」

 

「サソリ?サソリは砂が沢山ある所にいるって小学校の先生言ってたよ?」

 

「うーん・・・」

 

ドォン!

 

「な、なに!?・・・キャー!な、なんか飛んできたー!?」

 

「あ、さっき見たサソリだ。」

 

「あ、あんたバカ!?こんなサソリいないわよ!図鑑にも載ってなかったし。」

 

「あ、まだ生きてる。目、動いた。」

 

「え!?に、逃げないと!」

 

「・・・もう遅いみたい。」

 

俺と操の前には既に動くのも精一杯なモールモッドが鎌を振り上げた。

操はその場に座り込み、俺はモールモッドの鎌を見上げる。

今思うとこの時の俺は感情を表に出していなかったな。

いや、周りになんの興味を持っていなかったのかもしれない。

まぁ、何はともあれこの時には死を覚悟してたんだよなー。

 

「きゃー!」

 

「・・・。」

 

ドサッ

何かが落ちる音がした。

目を開けるとモールモッドの鎌はなかった。

それどころかモールモッドの体は真っ二つに別れていた。

その上に立つ一人の男、片手に刀を持ちタバコを吸う。

 

「っ!?な、なんでお前らがいんだよ!?」

 

その男は口からタバコを落としモールモッドから飛び降りた。

近くに来てようやくわかった。

その男は・・・

 

「あ、親父。」

 

「お、おじさん?」

 

今は亡き親父だった。

親父は自分の耳に手を当てたと思うと何かを話し出す。

話終わるとすぐに親父は俺たちの元に近寄り肩にかついぎ歩き出した。

 

「親父、どこに向かってるの?」

 

「あー、父ちゃんの仕事場だ。」

 

「ふーん。」

 

「ふーんって・・・気にならないのか?父ちゃんの仕事場。お前くらいだったら剣振ったりするのに興味あるだろ?」

 

「・・・ない。」

 

「父ちゃん傷つくぞ・・・そういえばなんでお前らここにいるんだ?いつもの公園よりかなり遠いぞ?」

 

「あ、それは八幡がなんかサソリみたいのが見えたって言い出して・・・。」

 

「・・・え?あの公園から?」

 

「そーみたい。」

 

「その時の八幡なんか変じゃなかったか?」

 

「そーいえば・・・目が赤っぽくなってた、気がした。」

 

「やっぱそうか。・・・ったく血は争えねーな。やっぱ俺らの息子だ。」

 

「・・・俺は親父とおふくろの子供だぞ?」

 

「ははは、そうだな。」

 

「さて、少しとばすから気持ち悪くなったら言えよー。」

 

「出発おしんこー。」

 

「ナスのぬか漬け〜。」

 

「ははは、なんだそれ。」

 

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「・・・とまぁ、これが俺たちが初めてトリオン兵を目撃した瞬間でボーダーに入るきっかけだ。この時はまだ記憶消去なんてなかったし俺のトリオン量が多かったっていう理由で入ったわけだ。」

 

「なら、小町も二人の子供なんだからその・・・トリオン量っていうの多いんでしょ?」

 

まぁ今の話聞いただけじゃそう思うのも無理ないか。

 

「いいか、小町。トリオン量は全員が全員親の影響を受けるわけじゃないんだ。おふくろはともかく親父のトリオン量は大して多くなかった。寧ろ少なかったって言ってもいいな。・・・けど小町のトリオン量はその親父より少なかったんだ。小町は覚えてないかもしれないけど1度小町はトリオン量を測るためにまぁ旧ボーダー本部?に来たことがあるんだ。」

 

「八幡、あの時小町寝てたはずよ。」

 

「・・・そうだっけ?」

 

あー、確かに言われてみればそうだったような気がすんな。

さて、次は何を話すかな?

 

「じゃ、次は私が話すわ。そうね・・・なんで小町がボーダーに入れることを許さないか教えてあげる。」

 

 

 


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