ラブライブ!サンシャイン!!アンソロジー『夏――通り過ぎて』   作:鍵のすけ

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トップバッターは真姫神rambleさんです!
それではどうぞ!by主催者


堕ちる翼ー塗り替えたい関係ー 【真姫神ramble】

「え?お前には目に見えるようなモノなんてないだろ?何言ってんだ」

 

「はぁ!?失礼ね!私にだってちゃんとあるわよ!ちょっと制服が邪魔してるだけなんだから!」

 

「またまた見栄張っちゃってー。あぁあぁ悲しいねぇ、どうせニセモノだろ?"女の意地"とはよく言うが――虚しくないか?」

 

「...ニセモノですってぇ?よくもそんなことを淑女の前で宣えたものね!何が悲しいよ何が虚しいよ!見てもないくせに...いいえ、"実物"を見る勇気もないくせに知ってるかのように吠えんな!!」

 

 

ほう...?それは暗に「お前はチキン野郎だ」と言ってるんだな?コイツぁ喧嘩を売られてるとみなしていいよなぁ!?

 

 

「上等だコラァ!男子高校生の性欲なめんな!そんな事言うならこの場でひん剥いてでも確認してやるわ!!」

 

「え、ここでは流石に...恥ずかしい」

 

「...急に冷めるんじゃねえよ。こっちが恥ずかしくなるだろ」

 

 

今までの剣幕はどこに行ったのやら、俺たちはクールダウンというか素に戻っていた。こうやって落ち着いてしまうと、さっきまでのやり取りを思い出してしまう。

 

 

「はぁ、なんでこんな話題になったんだっけか。確か善子が発端だった気がするんだが」

 

「その"善子"ってやめなさいよ。今どきこんな名前可愛くないじゃない。私は堕天使のヨハネよ。発端だっけ?私がライブの衣装について話したことじゃなかった?」

 

「おぉそれだそれ。ぶっちゃけお前の身体なぞ興味なかったからな、つい逸らしちまった。俺の見解としては『顔は整ってるってか可愛いと思うがスタイルを見ると並』って感じだしな」

 

「...ホント失礼よね。私じゃなかったらぶっ飛ばされても文句言えないわよ?まぁでも、身体に興味がないっていうのはお互いさまかもね。正直いって貴方に魅力は感じないもの」

 

「それな、お互いさまだ」

 

 

俺とコイツの付き合いはかれこれ15年余り...まぁ腐れ縁といったところか。結構長い間つるんでるせいかどうも異性として見ることが出来ない。こんな話はそこらじゅうにあるし、俺はこの距離感を気に入ってるからいいんだけどな。

 

変に意識してギクシャクするよりも、性別が違おうが年頃だろうがバカやったり喧嘩できるほうがいいに決まってる。俺も善子も自室に入る入れさせるは気にしない。ときどき秘宝(隠語)を隠し忘れてて焦ったりすることはあるが。

 

 

「どうよ、テスト近いし俺ん家で勉強でもするか?どうせ国語ヤバいんだろ?」

 

「そそそんなことないし!ちょーっと危ないかなってレベルなだけなんだから!あと現国はできるわ!」

 

「あーはいはい"厨二病"のおかげだろ?演技か素かはしらんが変に現国いいから笑えない。そのかわり古典はボロッボロじゃんか。だから勉強会するかって聞いたんだよ」

 

「なんという私の現国に対する偏見...でも古典教えてくれるのは助かるわ。教えてもらわないといつ赤くなるか分からないのよね」

 

「俺がいてよかったな、善子」

 

「いちいち言うな。それとヨハネよ」

 

 

こんな風に気兼ねなく話せるヤツがいるってのはいい。そんなこんなで決まった勉強会――だったんだが、これがきっかけで俺とコイツの関係が少し変わるなんてこの時は思ってもなかった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「飲み物用意するから先に俺の部屋行っててくれ。荒らすなよ?」

 

「ん、分かった。家探ししようかしら」

 

「やめんか」

 

 

勝手知ったる、というように善子は迷うことなく俺の部屋に行く。そりゃ何十何百と来てたら覚えて当然だろう。飲み物は...お茶でいいか。

 

 

「持ってきたぞーってなに人のベッドで寛いでやがんだ。あとパンツ見えてるぞ、少しは恥じらいを持てよ」

 

「ベッドがあったら寝るもんでしょ。それと見せてるのよ。幼馴染に見られたところで恥ずかしくもなんともないわ」

 

「いや女としてそれはどうなんだ...まぁいい、早く教材を出せ。この家を出るまでには助動詞の活用表を埋められるようにしてやる」

 

「そんな短時間じゃ無理よ!私を殺す気!?」

 

「活用表を頭に叩き込んだところで死にはせん。帰宅までの間に殺る気でやるからな、死ぬ気でついてこいよ」

 

 

やっぱりしぬんじゃないのー!なんて悲鳴は聞こえないふりをしつつ、善子に古き良き日本の言葉を詰め込ませた。

 

 

 

 

 

「もうダメ...死んじゃう...」

 

「大げさなヤツだなオイ。でも活用表は覚えられただろ?頑張ったじゃねーか。褒美としてアイスをやろう。なにがいいよ」

 

「ホントに!?ハーゲ○ダッツある!?」

 

「ないわボケ。あったとしてもそんな高級品はやらん!普通にスーパ○カップな」

 

「じゃあ聞かないでよ...」

 

 

疲れてくたびれた声を背中に受けながら冷蔵庫へ向かう。冷凍庫になっている下から2つ目の扉を開けて中身を物色する。バニラに抹茶にミント、チョコレートがあったがバニラと抹茶をチョイスする。

 

冷凍庫の扉をしっかり閉めていざ戻ろうとしたその時、にわかに尿意を感じた。暑いからお茶を飲みすぎたのが原因か...せっかく出したアイスだったが、一旦しまってトイレに行くことにする。

 

 

「あんなにがぶ飲みするんじゃなかった...って――」

 

「――え?」

 

 

トイレのドアを開けたらビックリ!善子さんがいらっしゃるではないですか!

 

なんて言ってる場合か!え、ちょっ、はぁ!?

 

ま、待て...ここはひとつ冷静に行こう。

 

 

「えと、その...ごちそうさまです?」

 

「きゃあああああああ!?なに見てるのよ早く出ていきなさい!!」

 

「す、すまん!」

 

 

かんっぜんに冷静になる方向間違えた!やべぇやべぇどうしよう!このままじゃ死んじまう...他ならぬ善子の手で殺られてしまう!!まだ死にたくねー!

 

 

 

 

 

「何か申し開きは?」

 

「ありません善子様!なにとぞご勘弁を...!」

 

「ギルティに決まってるでしょ」

 

「ですよねー...いやマジですまんかった。まさか入ってるとは思わなくてだな」

 

 

ヤバいヤバい何がヤバいって出てる音聞いちゃったとかちょっとだけコイツの――が見えちゃったとか過去最大級に恥ずかしいぞ!?

 

 

「...まぁ鍵かけてなかった私も悪いし、今回は許してあげるわ。ただし次はないわよ?」

 

「本当か!?ありが――やべ足痺れて...!」

 

「ホントに今回だけ――ってなんでこっちにきゃあ!?」

 

 

善子の判決を正座して聞いていたからか、不問を言い渡されて思わず立ち上がってしまった。結構長いこと正座していたことにより足が痺れていたのにも関わらず、だ。そんなことをすれば踏ん張れるはずがない。案の定俺は倒れた...善子を巻き込んで。

 

気づけば視界は真っ暗。顔全体に何か柔らかいものが押し付けられているような...それにあったかい上にいい香りもする。

 

意識を顔以外に向けてみる。すると手が何かを掴んでいるようだった。これも柔らかい。それがなにか調べるように手を動かす。盛り上がりはそんなにないが、ふにふにと柔らかくて気持ちいい。出来るならずっと触っていたくなるくらい。

 

鼻先を動かすたびに顔を覆う何かが震える。手を動かし呼吸するごとに何故か湿り気のようなものが生まれてくる。何が何やらさっぱり分からない――

 

 

「いい加減...んっ...離れてよ」

 

「っ!?」

 

「早くしないと...気持ちよくなっちゃ...やんっ」

 

 

...ひっじょーに嫌な予感がするんだが。しかしこのままでは現状確認できないから顔を上げるしかない。俺は覚悟を決めて顔を上げた。

 

 

「Oh...その、なんと言いましょうか。すんませんっしたー!!!」

 

 

現実を受け止めて即後悔する。手で弄んでいたのはコイツの胸、顔を突っ込んでたのは...スカートの中。嗚呼これは死んだ。

 

 

「...なによ」

 

「あれ?怒らないの?てっきり死ぬよりも辛い目に遭わされるものとてっきり」

 

「...」

 

「あのー、善子さん?」

 

「...うだった」

 

「はい?」

 

 

怒っている様子ではないが...声が小さく聞き取れない。だがまぁ処刑されることはないようだ。そこは安心できるけども...。

 

 

「どうだったって聞いてるの!」

 

「...何のでしょうか?」

 

「わ、私のむむ胸よ!さっき言ってたじゃない!『どうせニセモノだろ』って!どうだったの!?」

 

「それは、そのー...柔らかかったです」

 

「それだけ!?」

 

「ニセモノではない膨らみと柔らかさでした、はい!」

 

 

そこまで言うとどこか満足したような表情を浮かべ、途端に顔を真っ赤に染めた。それはもうトマトもかくやという真っ赤っか具合...すげぇ。

 

 

「うぅ...」

 

「そんな反応されるとこっちも困るっていうかなんと言うか...」

 

「ニセモノじゃないもん...本物だもん」

 

「それは分かったから何か反応してくれ。それにしてもあの湿り気は...まさかなぁ」

 

「っ!忘れなさいバカぁ!そんな事実はなかった!いいわね!」

 

 

そんな必死にならんでもって、なして君はこちらににじりよってくるんですかね?

 

いやホントに近い近いいい匂い!

 

 

「近いから少しはなれむぐぅ!?」

 

「んぅ...ぷは。こうなったらさらに大きなショックで上書きしてやる!!」

 

「待て待て待て!めっちゃ目がグルグルしてるんだけど!?落ち着けー!」

 

 

キスをされたと思ったらすごいこと言われた!?やめ、ちょ、ぬああああああ!?

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

「なぁ」

 

「...なによ」

 

「なんで急に襲って来たんだ?」

 

「それは...あれよ、混乱してたのと既成事実作ってやれって思いとが膨れ上がって」

 

「既成事実って...まるで俺に気があるみたいな言い方だな」

 

「?何言ってるのよ、気づいてなかったの?」

 

 

はい?それマジで言ってる?気づいてなかった俺がバカなの?

 

 

「...いつから?」

 

「割と前から。そして襲って今に至る、と。純潔は散らしちゃったけど後悔はしてないわよ。だって好きな人に捧げられたんだもの」

 

「この...はぁ。初めてをもらえて光栄ですよっと」

 

「そうそう、光栄に思っときなさい。今は返事はいらないわ、まだ告白もしてないし」

 

「ん、了解。正直整理できてないから助かるが...いいのか?」

 

「いいの。それまではこのままでいたいの」

 

 

なんとまぁゆるいこと。でも...こんな感じが俺達にはあってるのかねぇ。先延ばししてる感が否めないが、今はこのまま――

 

 

「なんとも照れくさい話だが...これからもよろしく」

 

「なによ改まって...こちらこそ」




どうも、皆勤賞となります真姫神です。

いやー何故かトップバッターを任されて、とてつもないプレッシャーの中なんとか書き上げました。ちょっと最後ごたごたしたかな~とは思いますが、まとめられたので良かったです(笑)

私の後も名だたる人気作家の方々が参加されているのでお楽しみに!
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