ラブライブ!サンシャイン!!アンソロジー『夏――通り過ぎて』   作:鍵のすけ

16 / 21
初めましての方は初めまして、お久しぶりの方はお久しぶりです。紅葉久と申します。

今回、私の本来書く趣向とはかなり違った内容となります。
周りの方々に置いて行かれないようにと思いながら綴ってみましたが……正直、不安で一杯です。

不出来な作品かもしれませんが、読了して頂ければ幸いと思いますのでよろしくお願いします。


それでは、どうぞ


どんな時でも、ちゃんと確認を 【紅葉久】

 ふと、携帯が鳴った。

 ソファに横になりながら雑誌を読んでいたのだが、すごく眠くなったらしい……かなり眠たかった。

 俺が擦り目でテーブルの上にある携帯を手に取り、メールを開くと――宛先には渡辺曜と書かれていた。

 

 渡辺曜とは昔からの幼馴染だ。

 癖っ毛気味なセミロングがよく似合う。大きな瞳と小さな小顔が非常に似合う可愛いと密かに思っている。

 家の家業からか海が大好きで、よく船から飛び降りたりなど危ない遊びに過去何度も付き合わされたことが嫌な思い出だった。

 それに加え曜は泳ぐことが好きなので、彼女はよく時間が空いていると競泳用水着でプールに入り浸っていることがある。

 その姿に少しだけドキドキする自分がいるが……それは彼女には内緒にして欲しい。

 

 バレたらあいつに何て言われるか分かったものじゃない。

 

 そんな寝ぼけた意識で、俺は曜から来たメールを開いた。

 曜からのメールの件名には『変えました!』と書いてあった。

 

 

 

『ヨーソローッ!(・ω・)ゞ 携帯変えたよ! 流行りのすまーとふぉんなのです!』

 

 

 

 

 そう言えば、曜は確か今日に携帯の機種変更をすると言っていた。

 折りたたみ式の古いタイプの携帯ではなく、最先端のスマートフォンに変えるとテンションが上がっていたな。

 しかしメールを見る限り、まだ新しい携帯は使い慣れていないらしい。

 俺はそう思うと、サッサと返事を送り返した。

 

 

 

『よかったな。こんどかんそうきかしてくれ』

 

 

 

 手早く打ち返し、そして一括変換してメールの文章を見ずに送信ボタンを押した。

 

 

 

『良かったな。今度乾燥機貸してくれ』

 

 

 

 そして俺は携帯を放り投げると、またソファに横になった。

 そして数秒して、また携帯が鳴っていた。

 俺がまた携帯を手に取り、メールを開いた。

 

 

 

『私のガタガタ言うけど、大丈夫?』

「……んんん?」

 

 

 

 え、何で? 変えたばかりの携帯に文句しかいう気ねぇじゃん……この子。

 なんかこのまま聞くのもアレだと思った俺は、とりあえず話を逸らすことにした。

 きっと携帯を変えたばかりなのだから、メールをしていたいに違いない。

 正直、眠くて仕方がないが付き合ってやるとしよう。

 そしてメールを返そうとしたところで、また俺の携帯が鳴り出した。

 宛先を見たら、また渡辺曜と書かれていた。

 

 

 

『そう言えば今日は休みだけど、君は何かしてた?』

 

 

 

 今日? 確かに休日だが……俺、何かしたか?

 あぁ……そうだ。今日は午前中に母さんの謎のテンションで家のオーブンでパン作りを手伝わされたんだ。

 パンって意外と作るの疲れるんだよな……だから今眠いんだった。

 

 

 

『きょうはぱんつくってた。だからいまおれ、むちゃくちゃねむい』

 

 

 

 またサッサと一括変換して、俺はメールを曜へ送り返した。

 

 

 

『今日はパンツ食ってた。だから今俺、無茶苦茶エロい』

 

 

 

 パンって手作りすると、意外と上手いんだよなぁ……

 あ、そう言えばまだパン残ってた筈だ。

 曜も食べたりするかもしれない。

 ウトウトしながら俺はそう思うと、早速曜へ再度メールを送った。

 

 

 

『こんどおまえもみにきてみろよ。よかったらおれのものもくってもいいぞ?』

 

 

 

 俺がまた早打ちでメールを書き、そして曜へと送信した。

 

 

 

『今度お前もミニ着てみろよ。良かったら俺のモノも食っても良いぞ?』

 

 

 

 あいつ、たまにパン食べるの好きって言ってたからな。

 上手いパンなら喜んで食べるだろう。

 ちょっとだけ、曜が美味しそうにパン食べてる姿を想像するとホッコリする俺だった。

 

 いや……待てよ? あいつのことだからそんなこと言われたら何か余計な気を使わせるかもしれない。

 

 幼馴染なんだから気にしなくても良いのに、曜は変なところで気を使うところがあるからな……

 俺はその考えが過ると、すぐにメールを打って送った。

 

 

 

『てぶらでこいよ。よけいなきづかいはいいからな』

 

 

 

 うん。これで良い。あいつならこれで大体察してくれるだろう。

 

 

 

『手ブラで来いよ。余計な気遣いは良いからな』

 

 

 

 そして待つこと数分後、俺の携帯が鳴った。

 

 

 

『う、うん……考えておくね( ゚д゚)』

 

 

 

 アレ? 意外と反応が悪い。

 なんか俺、悪いこと言ったっけ?

 考えてみるが特に思いつくことを言った覚えはなかった。

 ……何か予定でもあるのか?

 

 

 

『なにかよていでもあるのか? あまりおそいとおまえのぱん、おれがたべるぞ?』

 

 

 

 とりあえず俺はそう返事を入力し一括変換すると、すぐに送り返した。

 

 

 

『何か予定でもあるのか? あまり遅いとお前のパンツ、俺が食べるぞ?』

 

 

 

 何かあったのか?

 あぁ、そう言えば最近練習が大変って言ってたな。

 確か近いうちに水泳の大会に助っ人で出るって言ってた気がする。

 あっちゃ……悪いこと言ったな。とりあえず謝っておこう。

 俺はそう思うと、すぐに曜へメールを送った。

 

 

 

『すまん。かってなこといってわるかったな。そういえばおまえ、すいえいのたいかいがちかかったよな。よかったおれもみにいってもいいか?』

 

 

 

 スマートフォンって楽だよな。一括変換とか出来るって便利としか思えない。

 

 

 

『すまん。勝手なこと言って悪かったな。そういえばお前、水泳の大会が近かったよな。良かったら俺揉みに行っても良いか?』

 

 

 

 俺がメールを送ると、すぐに返事が来た。

 メールを見ると、俺は少しだけ目を大きくした。

 

 

 

『ダメに決まってるでしょ! エッチ!( *`ω´)」』

「えっ⁉︎ 大会見に行くだけで⁉︎」

 

 

 

 折角の曜の活躍を見たかったのに……なんか嫌われたりしたか?

 ……とりあえず謝ろ。

 

 

 

『ごめん。すいません。だからゆるしてくれ』

 

 

 

 こんな感じで良いだろ。俺はホッと安心しながらメールを送信した。

 

 

 

『ごめん。吸いません。だから許してくれ』

 

 

 

 そして俺がホッと安心して携帯を机に置く。

 多分、これでなんとかなるだろう。

 そう思いながら、俺は眠い眼をゆっくりと閉じることにした。

 

 

 しかし俺がウトウトと浅い眠りを繰り返していると……俺の家に何度もインターホンが鳴っていた。

 

 

 うるさいなぁ……誰か居ないのかよ?

 そうだ。確か今日は母さん作ったパンでご近所さん達とお茶会するって言ってたんだ……

 どうせ新聞の勧誘だろ。なら別に出なくても良いか。

 俺はそう思うと、ソファで二度寝と洒落込もうとした。

 

 

――バンッ!と大きな音が響いた。

 

 

 しかし玄関が勢い良く開けられる音が鳴った。

 そして激しい足音が鳴り響くと、俺のいるリビングの扉が勢い良く開かれた。

 

 

 

 

 

「ちょっとぉぉぉ! さっきからなんなのっ⁉︎」

 

 

 

 

 出てきたのは顔を真っ赤にしながら目を鬼のように鋭くさせる曜が立っていた。

 Tシャツに短パンと家着スタイル。そんな格好で家から出てくるとは随分と珍しかった。

 なにか……この女はよっぽど慌てているらしい。

 そんな曜に、俺は呆気に取られた。

 

 

 

「…………なにが?」

 

 

 

 いきなり現れた曜に、俺は先程までの眠たさが何処かへ吹き飛んでいた。

 なんでお前、そんなに顔真っ赤なんだよ。

 と言うか滅茶苦茶に怒ってるけど、どうしたんだ?

 俺が答えると、曜は顔をプルプルと震わせながら俺の前に近づくと手に持っていたスマートフォンを俺の顔に突きつけた。

 

 

 

「コレ! 一体なに⁉︎ そんなに私の下着食べたいの⁉︎ そんなに私の身体吸いたいの? 変態! 私のことずっとそんな目で見てたの⁉︎」

 

 

 

 なになになになに?

 待って、状況が理解できないんですけど。

 

 

 

「私がどんな気持ちだったのかも知らないでそんなこと言うなんて! 良いよ! 分かったよ! そんなに言うなら見せてあげるわよ!」

 

 

 

 目をキョトンとされる俺が状況を理解出来ずにいると、一方的に曜がそう叫んだ。

 そして曜はあろうことか自分のTシャツに手を掛けると、彼女は自分のTシャツを勢い良く脱ぎ出した。

 

 

 

 

「ファァァッ⁉︎」

 

 

 

 

 水色のブラジャーが姿を見せ、そして曜の普通以上に大きい胸が出てきた瞬間――俺は慌てて起き上がると、Tシャツを脱ごうとしている曜の手を掴んで中断させた。

 

 

 

「お前ッ! なに人の家のリビングで脱ごうとしてるんだよ⁉︎」

「あなたが望んだことでしょ! 私の下着食べたいんでしょ! 私の身体吸いたいんでしょ!」

「そんなこと言うわけねぇだろうが‼︎」

 

 

 

 どうにかブラジャーが見えない位置までTシャツを下げる俺と、俺を拒んでなんとかTシャツを脱ごうとする曜。

 

 

 

「言ったでしょ! メールで!」

「そんな訳がわからないメール送るか⁉︎」

 

 

 

 気が動転してる曜だった。

 いや、俺も動転してるに違いない。

 なぜ脱ごうとしてる曜を俺が必死に止めているのか?

 もう自分でも訳がわからなかった。

 

 

 

「ウソつき! 私が今までどんな気持ちであなたのこと見てたの思ってるのよ⁉︎ この変態ッ⁉︎」

「この状況ならお前の方が変態だ‼︎」

 

 

 

 互いに全力だった。

 必死にTシャツを脱がせようとしない俺。

 必死にTシャツを脱ごうとする曜。

 これ、時と場合によっては逆じゃない?

 いや嫌がる曜を脱がせるとか絶対にしないけどさ!

 

 どうせならちゃんと順を追って……って違う違う!

 

 

 

「ずーっと好きだったのに! 私のことそんな目で見てたなんて……ひどいっ!」

 

 

 

 え……この子。イマナンテイッタ?

 必死に脱ごうとする曜を抑えながら、俺は口をあんぐりと開けた。

 そして曜は目に涙を溜めながら、俺をキッと睨んでいた。

 

 

 

「あんなメール送ってくるなんて……ずっとそんな目で見てたんだ。私が好きだと思ってたあなたは、ずっとエッチな目で私のこと見てたんでしょ!」

 

 

 

 曜の理解出来ない行動と発言に気が動転するなか、俺は頭をフル回転させて考える。

 時折、曜のTシャツから見える水色のブラジャーと胸に気を持って行かれようになるが――なんとか我慢する。

 今はどう考えても優先する順番がある。

 そして曜と組み合うなか、俺はようやく思いついた。

 

 

 

「……曜。ちょっと落ち着こう」

「なによ⁉︎ 落ち着いて私の下着食べるつもり⁉︎」

 

 

 

 お前、今相当面白いこと言ってるぞ?

 状況が状況なだけに少しも笑えないが……

 

 

 

「……俺が間違ってメール送ってる」

 

 

 

 俺がそう言うと、曜は「……はぁ?」とキョトンと惚けた。

 互いに全力で脱ぐ、脱ぐのを阻止をしていた力が弱まる。

 そして曜にTシャツを着せることに成功した俺は、その場で正座した。

 

 

 

「曜さん、座ってください」

 

 

 

 俺が自分の前に曜に座れと促す。

 そんな俺に、曜は訝しみながら俺の言う通りにその場に座った。

 曜が座るのを見て、俺はその場で近くにあった携帯を手に取る。

 そして先程まで曜に送っていたメールを確認すると――俺は顔を青くさせた。

 曜に今まで送っていたメールの中身を見た瞬間、俺は今までの曜の行動のすべてを理解した。

 

 

 

「……曜さん、大変申し訳ありませんでした」

 

 

 

 曜へのメールの内容を見て、俺はその場で彼女に深々と土下座していた。

 そうして俺は今まで送っていたメールを確認しながら、どんなメールを送ろうとしていたか。そしてどんな状況でメールを打っていたかをこと細かく伝えた。

 最初、曜は信じていない顔をしていたが、俺の話を聞いているうちに俺が間違って送っていたと信じ始めていた。

 悪い意味で顔を真っ赤にし、そして顔を青くしながら曜は俺はしばらく睨むと……自分の手で顔を覆っていた。

 

 

 

「……もうお嫁さんにいけない」

 

 

 

 そりゃ幼馴染の家で突然脱ぎ出そうとしてたからな。

 いや、俺が悪いんだけどさ。

 

 パン作ったをパンツ食ったなんて送る訳がない。

 スマートフォンの予想変換、こわっ。

 今度はちゃんとメールは送る前に見よう。

 俺は心からそう決意した。

 

 

 

「私……なんてこと……⁉︎」

 

 

 

 羞恥心で震えてる曜に、俺は深々と「申し訳ありませんでした」と謝った。

 しかし曜は許す気はないらしい。キリッと目を鋭くさせると、彼女は指を勢い良く向けた。

 

 

 

「元はと言えば君が悪いんでしょ! うぅ……! こんな形で告白するなんてぇ〜!」

 

 

 

 その場で頭を抱える曜に、俺は言葉がなかった。

 

 

 

「お前もなんでメールで俺が変だって返さなかったんだよ……」

「あんな気持ち悪いメールを直視できるわけないでしょ!」

 

 

 

 急に乾燥機貸してくれとか休日にパンツ食ってるヤツがいるわけないだろうが……文字だけ見たら相当ヤバい奴じゃねえか。

 それ……完全に俺なんだよな……辛すぎて死にたくなってきた。

 

 

 

「どうしてくれるの! 女の子の大事な告白をこんな形にして!」

「俺だってこんな形で聞きたくなかったわ!」

 

 

 

 なんで幼馴染の女の子の告白をこんなくだらないことで聞かないといけなかったんだよ!

 泣きたいのは俺の方だって……

 

 

 

「俺だってお前に告白したかったわ!」

 

 

 

 そして俺が思わず口走ったことに、自分で「あ……」と固まってしまった。

 

 

 

「…………え? 君、今なんて言ったの?」

 

 

 

 曜が目を大きくして聞き返した。

 あ……これヤバイやつだ。

 

 

 

「何も言ってません――あ、いえ、言いました。はい」

 

 

 

 すぐに否定する俺だったが、曜の不満な表情にすぐに撤回していた。

 

 

 

「……もう一度、ちゃんと言ってくれたら許してあげる」

 

 

 

 そして曜が頬を赤く染めると、目を伏せがちにして俺にたどたどしく言った。

 え……これ、俺告白しなきゃいけない流れなの?

 

 

 

「……マジ?」

「うん……それなら許してあげる。だってそもそも君が変なメール送ったのが悪いんだもん」

 

 

 

 確かに悪いのは俺だけどさ……

 もう現時点でお互いに好きなの分かってしまったから、ただ曜に辱められてるだけじゃん。

 いや……多分、女の子だから“そういうこと”はちゃんとしたいのだろう。

 あやふやな感じで“そういう関係”になるのは……確かに俺も嫌だ。

 

 

 

「……分かった。言うよ、言います」

「はい……じゃあ待ってます」

 

 

 

 曜が俺を顔を真っ赤にしてまっすぐ見つめてくる。

 ヤバイ、俺も顔が熱くなってきた。

 しかしもうこうなったら言うしかないのだろう。

 俺は何度か深呼吸すると、目の前にいる曜をまっすぐ見つめ――そして言った。

 

 

 

「渡辺曜さん。昔から、君のことがずっと好きでした……もし、君が俺のことを好きになってくれるなら――俺と付き合ってください」

「……はい。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 

 

 俺の言葉を聞いて、曜が嬉しそうに微笑んだ。

 俺はそんな曜の笑顔を見て、顔が熱くなっていくのを感じた。

 

 

「でも……彼氏でも私のパンツは絶対に食べないでね」

「……もう勘弁してくれ」

 

 

 

 どうやらしばらくはこのネタでイジられるのだろう。

 俺はそう思いながら、ただ深くため息を吐いた。

 目の前にいる不本意な過程の結果として、俺の彼女となった渡辺曜。

 だから、俺はひたすらに思うことにした。

 

 

――メールを送る時は、ちゃんと確認しよう、と。




はい、そんな感じの内容でした。
なかなか難しく、そして突拍子のないネタを引用して書かせていただきました。
非常に難しかったです。それでも面白いと思っていただければ幸いだと思っています。

さて、次も名のある方々が登場します。
私を始め、さまざまの作品を読者の方々がこの企画を楽しんで頂ければ良いと心から思っていますので

次回以降も読んで頂ければと思います。
それではまた何処かでお会いしましょう、それでは!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。