ラブライブ!サンシャイン!!アンソロジー『夏――通り過ぎて』 作:鍵のすけ
この度ラストと聞きまして、初めて書くラッキースケベも頑張っちゃいました。
楽しんで頂ければと思ってます。
あ、前回の後書きは失礼しました。流石にどうかと思ったのでもうしません。
シャイニー!↑
やあ、俺だよ俺!
誰だかわからなくてもいいぜ、俺はこれから俺に起こるであろう栄光の物語を語るだけさ!
何故栄光の物語だとわかるのだって?
今月の占い?
ノンノン。
今朝トイレで大の方の出が良かった?
まあ良かったが関係ないのでノーンノン。
焼肉食った?
何それ食いてえな、ノンノンノーン。
さてさて、正解は!
――ヒ・ミ・ツ♪。
なーんて言うと殺されかねないから教えてやるかな!
アカシックレコードとも呼べる俺の記憶を辿れば、時は遡ること昨日の夕方。
昨日、あるお婆さんが駅前でド派手なブレイクダンスしていたら腰を抜かした様で、地面で痙攣していたのだ。
迫る歳の波には敵わないという奴だろう、恐らく全盛期はババアブレイクダンシング世界チャンピオンだった筈とも予想できるくらい見事な動きだった。
紳士な俺は、解き放たれそうな封印を抑えて震える右手を差し出してこう言った。
「ああ、あ、あの、ぶ、ブレイクダンス、うま、上手かったですね…!」
下界の者と久しぶりに話したせいか、俺としたことが、少し、ほんの少し噛んでしまった様だ。
ついでに、ウィンクしといた。
俺を見るなり目を見開いたババ……ゲフン、お婆さんは、俺と同じくらい震えていた手で俺の右手を取った。
やたら眼力が凄くて、俺の右手がミシミシと変な音を立てるほどの握力だった。
彼女は何度か咳込むと、もう片方の手でポケットから何かを取り出した。
「今のウィンクは死ぬほどムカついたが、ありがとう……久しぶりにダンスを褒められたよ、持っていきな小僧」
彼女が取り出したのは、古びたお守りだった。
中心には何故か、「助平」の二文字が刻まれていた。
「こ、これは……!?」
「これは「
「おおおお、おおおお!?スケベな男の夢って、おいおいおい、おいおいおいおい!」
「やかましゃあ!とっととこれ持って帰りな!なあに、ほんの感謝の気持ちさ」
不敵な笑みを浮かべたお婆さんから、俺は快くお守りを受け取り、帰るために振り返った。
しかし、踏み出した一歩が、ツルリと擬音が聞こえる気がするほど華麗に滑った。
バナナの皮が空へ吹っ飛んでゆく光景が目に映ると同時に、身体が宙に浮かぶ感覚を覚えた。
いつの間にか俺の視界は仰向けに倒れたお婆さんを映しており、吸い込まれる様に俺の頭部はお婆さんの胸元へ――
――そこから先は、記憶が無い。
目覚めた時には俺はお守りを握り締め、仰向けに倒れていた。
起き上がって辺りを見回しても、お婆さんはどこにもいなかった。
場所が変わった訳ではないが、時間は確かに、丁度日が沈む黄昏時に変わっていた。
そういう訳で、その日はそのまま寝てしまった。
途切れる直前まで残っていた記憶を思い出していては頭痛と吐き気がして、最初はまともに寝つけなかった。
お婆さんとラッキースケベは、ラッキーなんかじゃねえよ馬鹿野郎……!
だが新たな希望を持った俺は、そこから快眠することができ、翌日の朝である今に至る。
彼女どころか妹以外の女子に殆ど触れることができずにいて十数年。
俺はこのお守りの力で、可愛い女子高生にラッキースケベを発動させてみせる……!
そのために、俺は先程のトイレで今日の計画を立てていたのだ。
「——と、いう話なんだよ」
「我が兄よ、頭は大丈夫?これってヨハネの魔法でも治せるものなのかしら」
堕天使ヨハネの仮の姿でもある俺の妹、津島善子は、割とかなり心配そうな表情を俺に向けていた。
堕天使に心配されるとは、世も末だな。
軽蔑の情を視線に込めるとは、正体を自覚させた恩を忘れおって。
「待て待てェ、俺はどこもおかしくはないぞ、ヨハネ的に言えば新しい黒魔術の本を見つけて、試したくて仕方が無いんだ」
「そんな下らない内容の黒魔術なんて無いわよ」
「まあこれは黒魔術の本じゃなくてお守りだからな。そんなこともあるだろう。ってことで、早速試してくるぜ!」
「あ、ちょっと――」
こんなことを語れるのは妹くらいだが、そろそろ出かけないと俺の計画のスケジュールに間に合わないので、名残り惜しくも俺はその場を走り去った。
まずは、登校と同時に第一プランだ。
妹も俺も遅刻間際な訳だが、世界にはむしろ遅刻だから発生するイベントというものがある。
「いってきまァーーす!」
俺は朝ごはんのトーストを咥え、玄関の扉を後ろで閉めると同時に登校ルートを走り出した。
このお守りが本物なのは、非常に不本意ながらお婆さんのおかげで実証できた。
後は、発動タイミングを『自分で作る』ことさえできれば、完璧だ。
3分もしない内に、第一プランの重要ポイント、つまり、曲がり角が見えると同時に俺はこう叫んだ。
「いっけなーい!!遅刻遅刻!!」
そして思惑通り、俺が踏み出した足の先には、黄色く輝くあの果実の皮があった。
踏み抜くつもりで、バナナの皮を踏み締める。
ずるりと音を鳴らし、俺は勢いよく足を滑らせ、バナナは後方へと吹っ飛んでいた。
今度は後ろ向きに滑るのではなく、前向きに、つまり、向こう側の見えない曲がり角の方へ――
俺よ、今こそ飛べ!
「ウ、ウワーーーーバナナノカワガーーー!!」
俺の、俳優顔負けの演技を込めた、驚きの台詞も寸分狂わず完璧なタイミングで叫んだ。
完璧だ。完璧な計画と、完璧な実行としか言い様が無い。
さあ、来い!俺の、ラッキースケベ!
「キャーーー!?」
――勝った。
これは間違い無い、この裏声だとわかるのに確かに野太い声は、曲がり角の向こう側から――
……あれ?
野太い、声?
そして認識と、衝突。
俺の顔面は、もっこりとした何かに当たっていた。
このお守りのことで、俺は大きな勘違いをしてしまっていたことに、この瞬間で俺は気付く。
ラッキースケベが発動するのは、
「うわあああああああああああああああああ!!!!!!」
何か大切な純潔を失くした様な感覚に陥った俺は、溢れる悲しみを糧に、ひたすら叫んだ。
「お兄ちゃん、何やってるの……」
地面に手をついて後ろ向きに倒れかかってる男の股間に頬が触れている四つん這いの俺。
後から走ってきて、そんな光景に出くわした我が妹は、思わず口調が素に戻っていた。
当然、俺達二人は学校に遅刻した。
***
男子校に通う俺にとって、このお守りは学校にいる間は脅威でしか無い。
それに気づいた俺は、ロッカーにお守りを仕舞ってなんとか放課後まで男にラッキースケベをすることなく穏便に帰路に着けた。
だが、放課後なら第二プランに移行できる。
『妹を迎えに行く名目で、そこに在学している女子校の校門で待つ』ッッ!!
――完璧だ。完璧すぎる。
勿論それがわからなければ通報されるので、俺はあらかじめ用意した名札を胸に取り付けた。
『津島兄』と書かれた名札を、下校する女子高生達に見せる様にして校門から少し離れたところで立っていた。
さあ、ラッキースケベよ、いつでも来い!
「あの、津島ってもしかして、津島善子ちゃんのお兄さん、ですか?」
意気込んでいた俺に話しかけてきたのは、ヨハネと同じくらいの歳の茶髪の女の子だった。
右腕に抱えていたのは、数冊の本。読書女子って奴だろうか。
少し、大人しそうな雰囲気のJKだ。
――JK、だ。
え、この子と会話するのにお金払わなくていいの?と、思わずおっさん臭い疑問すら浮かんでしまった。
「あ!あああ、はい、そうです、よよ善子の兄です」
妹以外の若い女子と喋るという、今までの俺のアカシックレコードで1度でもあったか無いかくらいの一大イベントが起こっていた。
ヨハネが堕天使とバレては色々と面倒なので、俺も精一杯一般人の演技をしてみせた。
声を震わすつもりは全く無かったのだが仕方が無い、下界の若者と話すのは久しぶりなのだ。
「やっぱり!顔つきが似てたからもしかして、と思ったんだけど、名札見て確信を持ったずら!」
「……ずら?」
「あっ、いやあの、忘れてください…!」
訛りを隠しているのだろう、銀河が誇るスーパー紳士な俺は、触れずに聞かなかったことにした。
JKとの会話も新鮮で良いのだが、そろそろお守り効果発揮してくれないかな……!
スケベなイベント、早く来い!
この子可愛すぎてラッキースケベせずに逃すとかお守り破壊レベルの無能さだろう?
「あの……どうかしました?」
不意に、顔を覗き込まれた。
「ハッハイ、大丈夫です!妹の帰りを待ってるだけなんで!ええ!」
流石に顔を覗き込まれるのはかなりの威力だ。
なんとか受け答えできたけど、これ以上はまずい!
「あれ?善子ちゃんなら今日は部活じゃないかなあ」
「え、部活?」
……え、アイツ部活なんてしてたの?
一日中家に籠っていた様なアイツが?
「知らないず、じゃなくて、知らないんですか?」
「通りで最近帰りが遅いと……」
「帰りが遅いくらいの認識だったずら!?」
ツッコミの勢いで口調まで戻ってるけど、紳士なこの俺は触れないでおく。
しかし、彼女が校門に来ないとなると、妹を通して女子に近づくプラン2は無理か……
今日は帰って大人しく明日を待つとしよう、かな。
そこまで思考を巡らせたところで、俺は再び帰路に着こうと振り返った。
「そういうことなら僕は帰りま―――」
その時、俺の目は確かに捉えた。
踏み出した足のすぐ下の、バナナの皮を。
逃さず、しっかり踏み締めた後に、ずるりと滑ってゆく光景を。
「ウ、ウワーーーーバナナノカワガーーー!!」
「ずらぁーーーー!?」
(決まったァアアア!!!行けええええ!!!!)
脳内で雄叫びを上げながら、俺は後頭部がゆっくりと背後にいるJKに向かっていることを実感した。
そして、俺の後頭部は『とても堅いもの』に当たった。
「あれ……じ、めん……?」
薄れゆく意識の中、俺は一つ思い出したことがあった。
――お守り、ロッカーの中に置いたままだ。
「ちょ、この人後方にひっくり返ったずらーーーー!?だ、誰か、助けを――」
***
後頭部にとてつもない痛みと、何やら柔らかい感触を覚えて俺は目を覚ました。
「目が覚めた?」
目の前には、見慣れた妹の顔があった。
これは、俺を見下ろしてる?
「今何時だ……いててて」
「あ、動かないで、頭を割と強く打ったんだから」
痛む後頭部が乗っている柔らかいものは、妹の太ももだった。
俺は、ヨハネに膝枕されていた。
すごく、心地が良い。
「全く何を考えていたのよ、女子校の校門で私を待つとか、堕天使を舐めてるのかしら?」
腕を組んでフフンと笑うヨハネを見て、意識を失う前のことをふいに思い出した。
「部活、やってるんだってな」
「えっ、あ、そ、そうよ、この世界でもリトルデーモンを増やすために、人間共を私の虜にするスクールアイドル活動をしているのよ!」
「あ、アイドルゥ……?お前がぁ?」
「何よ、馬鹿にしてるの!?」
割と心の底から驚いて、失礼なことを言ってしまった。
いけないいけない、これでは俺の紳士が廃れてしまう。
と、思うだろ?
だが神紳士とも呼ばれる俺に、そんな平凡な心配はいらない。
その分だけ、気遣うだけだ。
秘技・スナオニホメール!
「可愛い外見は確かに見合うが、人見知りのお前がアイドルとは、成長したもんだなって思って」
「かわっ……!?あ、あり、がとう……」
自分でリトルデーモンとか、虜にするとか言ってる癖に相変わらず素直に褒められることは慣れてないな。
マイシスターはチョロイ。
「それじゃあ、もう頭も大分楽になってきたから部屋に戻るよ」
「あ、待ってまだ――」
俺が立ち上がると同時にヨハネも立とうとする。
それが原因で、お互いの足が、お互いの動きを阻害し―――
絡まった。
「うわあああ!?」
「きゃあああ!?」
足が絡み合ってバランスを崩したヨハネを、怪我させまいと俺の方に引き寄せて俺は後方に倒れていた。
目を開くと、大丈夫かとかけようとした声は、喉から出なくなった。
そんな体勢になるのはおかしいとか、物理的にどうしてそうなるとかいう疑問は、目の前の光景により吹っ飛んだ。
「……むらさき?」
「お兄ちゃんの馬鹿ーーーーー!!!」
仰向けに倒れている俺の顔の左右両サイドで膝を着いているヨハネ。
――結果として、
鮮やかな紫色が記憶に焼き付いているのだが、その後もまた、記憶は途切れていた。
シャイニー↑↑
前回はとてもとてもExcuse me!
Really sorryねー!!そーりーそーりー総理大臣!!
誠心誠意謝罪の気持ちを込めてドゲーザするね!
さて、もふがみ式Luckyスケベは如何だったでしょうか?
あ、すけたろうさん見てるー??上手くすけたろうさんみたいな主人公書けたかなー???
HAHAHA、なーんてジョークですよ、ジョーク、あのすけたろう大先生をモデルにするなんておこがましいこと、するわけないじゃない、
か☆(ウィンク)
あ、前書きのアレ?
次回以降はもうしませんよ!
何たって今回でラストですからね!
次回はやらないけど今回はやりますけどね!HAHAHAHAHAHAHA!!
ってな訳で皆さん、シーユーアゲン!!
来たれ次回、トゥラタニ死す。