ラブライブ!サンシャイン!!アンソロジー『夏――通り過ぎて』   作:鍵のすけ

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初めましての方は初めまして、ゆいろうです。
三回目の参加となります。何気に皆勤賞!

それではどうぞ!


黒澤姉妹とのラッキースケベ事情 【ゆいろう】

 

「起きなさい」

 

 

 身体を揺すられる。ぼんやりとした意識を覚醒させて、声をかけた人物を視界に入れた。

 

 艶のある長い黒髪。若干つり上がったエメラルドグリーンの瞳は、見つめていると吸い込まれそうなほど綺麗だ。

 

 

「おはよう、ダイヤ」

 

 

 黒澤ダイヤ。俺と彼女は婚約者という関係である。

 

 

「おはようございます。朝食が出来ていますので、早く下りてきてください」

 

「ああ、着替えたらすぐに行く。ありがとう」

 

 

 わざわざ起こしに来てくれた礼を言うと、ダイヤは「ふんっ」と鼻を鳴らして足早に部屋から立ち去っていった。

 

 婚約者という関係ではあるが、ダイヤの俺に対する対応は今のように冷たい。

 

 

 そこそこ家柄のいい家庭で俺は生まれ育った。そんな俺はつい三日前、両親から唐突に同い年の婚約者ができたと告げられた。

 

 顔も名前も全く知らない相手との婚約なんて当然嫌だったが、既に相手両親とも話がついているとのことで俺に反論の余地はなかった。

 

 そんな俺に更に追い討ちをかけるように、両親は俺にこれから婚約者の家で生活するよう命じた。これには俺も猛反対したが、やはり相手方との話は既についているとのことで、俺は仕方なく両親の指示に従うことにした。

 

 こうしてやって来たのが黒澤家。そこで出会ったのが婚約者の黒澤ダイヤ。

 

 一目惚れだった。

 

 端正な顔立ち。艶のある長い黒髪。エメラルドグリーンの双眸。抜群のスタイル。

 

 他にも挙げればキリがないほど、俺は一瞬で黒澤ダイヤという女の子に恋をした。

 

 黒澤家に来る前の沈んでいた気分が一転、彼女が婚約者であることに俺の気分は最高潮に達した。両親マジでナイス。

 

 

 そんなこんなで婚約者である黒澤ダイヤの家――黒澤家での生活がスタート。その生活も既に二日目を迎えていた。

 

 

 一階の食卓に下りると、既に俺以外の黒澤家族は勢揃いだった。しかも朝食に手をつけずに俺を待っている様子だった。

 

 

「すいません、お待たせしました」

 

「遅いですわ!」

 

 

 遅れたことを謝罪するとすぐさまダイヤが俺に噛み付いてきた。しかし、ダイヤの母親が間髪入れずに彼女を嗜める。

 

 

「こらダイヤ。彼は婚約者なのだから、もっと優しくしないと駄目でしょう?」

 

「お母様……」

 

「さあ、いただきましょう」

 

 

 朝食の時間、ダイヤの両親から色んなことを聞かれて俺がそれに答えるというやり取りが続いた。

 

 しかしダイヤを見ると、彼女は話に入ってこないで黙々と朝食をとっていた。時折妹のルビィと会話をしていたが、俺と両親の会話に入ってくることは一度もなかった。

 

 ダイヤの両親には気に入られているようだけど、肝心のダイヤ自身にはどうも嫌われている様子だ。

 

 きっと彼女も俺のように両親に勝手に婚約者を決められたのだろう。

 

 実際にあって俺は彼女に恋をして、彼女は俺に何の感情も抱かなかった。おそらく俺たちの違いはその部分だけ。

 

 

 

 

 朝食が終わるとダイヤの両親は外出し、家には俺とダイヤとルビィの三人だけになった。ダイヤは両親に食器の片付けを命じられ、台所でせっせと食器を洗っている。

 

 

「手伝おうか?」

 

「結構ですわ。貴方はどうぞゆっくりしててください」

 

「そ、そうか……」

 

 

 手伝おうと言っても一蹴された。この家での俺の扱いはどうやら客人のそれと同じで、家事や雑用を手伝おうとしても一向に断られてしまう。

 

 俺としてはダイヤの手伝いをして彼女の好感度を上げたいのだけれど、断られたものを無理に手伝うのは好感度的にあまり良くないだろう。

 

 

「さて、どうしたものか……」

 

 

 何もやることがない。ぶっちゃけ言うと暇なのだ。仕方なくリビングでテレビを見てくつろぐことにする。

 

 

「おっ、このアイドルなかなか良いな」

 

 

 チャンネルを回していくと可愛いアイドルが出てる番組があったので、それを見ることにする。

 

 ちなみに今は夏休み。俺もダイヤたちも学校は休みなので、こうして昼間でありながら家にいることができている。

 

 

 しばらくテレビを見ていると、ルビィがリビングにやって来た。黒澤家に来てからルビィとはまだ一度も話したことがない。どうにも避けられているように感じるのだ。

 

 

「どうだルビィ、一緒に見るか?」

 

 

 アイドルが映っているテレビを指差してルビィを誘う。するとルビィはキョロキョロと視線を泳がせながらも、やがて小さく頷いた。

 

 テレビを見やすい位置にルビィが座ろうとして――バランスを崩した。

 

 

「きゃあっ」

 

「おっと、危ない」

 

 

 危うく転倒しかけたルビィを手で支える。しかし、咄嗟に伸ばしたその手の位置が悪かった。

 

 柔らかい感触。指を動かしてみても、やはり柔らかい。恐る恐る見てみると、俺の手はルビィの胸を支えていた。

 

 

「……ぃ」

 

「い?」

 

「いやああああああああああああ!!」

 

 

 刹那、ルビィは泣き叫んでリビングから逃げ去っていった。やばい、完全にやらかしてしまった。

 

 ルビィを助けるためとはいえ、それで泣かせてしまっては元も子もない。

 

 婚約者の妹を泣かせてしまった事の大きさに頭を抱えていると、背後から殺気を感じた。恐る恐る振り返ってみると、そこには鬼の形相で怒りを露わにしたダイヤが立っていた。

 

 

「貴方、ルビィを泣かせましたわね……ルビィに何をしたのか正直に言いなさい」

 

「ええっと……ルビィが転びそうになったので手を伸ばして支えたら、その手がルビィの胸を触ってました」

 

「む、胸っ!? (わたくし)の婚約者でありながらルビィの胸を……!」

 

「聞いてくれダイヤ! これは偶然起こった事故なんだ! 決してわざとルビィの胸を触ったわけじゃない!」

 

「問答無用ですわ!」

 

 

 ダイヤの鉄拳制裁、ビンタが右の頬に鮮やかな紅葉を作った。

 

 

「ルビィは男性恐怖症ですの! 今後どのような事があろうと、ルビィに触れることは許しませんわ!」

 

「は、はい……」

 

 

 右頬に尋常じゃない痛みがある中、俺の目からは一筋の涙が流れ出ていた。痛みによる涙じゃない、これでダイヤに完全に嫌われてしまったという、悲しみの涙だった。

 

 

 

***

 

 

 

 その翌日も昼食をとったあとにダイヤの両親が外出し、家には俺とダイヤとルビィの三人だけとなった。

 

 今日は昼食の後片付けをルビィが担当。ダイヤは部屋で勉強すると言って自室に篭り、俺は相変わらずリビングで暇を持て余していた。

 

 テレビを点けながら、俺は台所で食器を洗うルビィを観察していた。どうにも動作がぎこちなくて、食器を洗うのに手間取っている様子だった。

 

 昨日ルビィに偶然とはいえ悪いことをしてしまったのもあって、俺はルビィを手伝おうと立ち上がり台所へと向かった。

 

 

「ルビィ」

 

「ひぃっ!」

 

「その、昨日は悪かった。謝罪ってことであとの片付けは俺がやるよ」

 

 

 食器洗いをしたところで昨日の出来事が無くなるわけではないが、せめてもの償いということで俺はルビィにそう提案した。

 

 

「わ、わかり、まし……た」

 

 

 ルビィは声を震わせながら俺の提案を受け入れてくれた。濡れた手をタオルで拭いて、その場から立ち去ろうと俺の横を通ろうとして――転んだ。

 

 

「きゃあっ!」

 

「うぉっ!」

 

 

 ルビィが俺に向かって倒れてくる。それを全く予想してなかった俺は、ルビィと一緒になってその場に倒れこんだ。

 

 

「いててて……おいルビィ、大丈夫……か……?」

 

 

 目を開けるとそこには白が広がっていた。今は夏休みのはずなのに、まるでゲレンデにいるかのような開放感。

 

 ふと視線を横にずらすと、そこには健康的な肌色が広がっていた。俺はそれを見て気がついた。これは――。

 

 

 

 

「い、いやああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 ――ルビィのパンツだった。

 

 

 

 

「ちょっ、待ってルビィ!」

 

 

 

 止めるように伸ばした手も虚しく、ルビィはその場から一目散に逃げ去っていった。

 

 完全に昨日の繰り返し。俺はまたやってしまったと頭を抱えた。

 

 刹那、頭上から降りかかる殺気。

 

 

 

「貴方、またルビィを泣かせましたわね?」

 

 

 

「ご、誤解だ! ルビィが俺の横を通った時に俺の方に倒れてきて、俺も一緒になって倒れたら気がつけば目の前にルビィのパンツが――」

 

「お黙りなさい!」

 

「ゴフッ!?」

 

「まったく、私という婚約者がありながらルビィに粗相を働くなんて……!」

 

 

 ダイヤ……腹にグーパンはやめてくれ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからも、俺は幾度となく偶然ルビィに触れては彼女を泣かせてしまった。

 

 ある日は、俺がルビィのすぐあとに階段を上っているとルビィが階段で足を滑らせて。

 

 

「きゃあっ!」

 

「うぉっ!」

 

 

 二人一緒に階段の一番下まで転げ落ちると、気がつけばルビィのお尻が俺の顔の上にあって。

 

 

「いやああああああああああああ!!」

 

「ちょ、ルビィ!」

 

「またですのおおおおおおおおお!!」

 

「ゴフッ!?」

 

「貴方は私の婚約者ですのよ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 またある日は、俺が縁側に座って日光浴をしていると、たまたま近くを通ったルビィがたまたま飛んできた蜂にビビって。

 

 

「いやあああああああああああああ!! 虫さん! 虫さんいやああああああああああ!!」

 

「またですのおおおおおおおおおお!! ……きゃあああああああああ!! 蜂ですわ! 蜂がいますわああああああああああ!!」

 

「ちょっお前ら片腕ずつ掴むな俺が身動きとれないだろ! 二人とも胸当たってるから! あとルビィは俺の腕掴んで平気なのかよ!?」

 

「ふぇっ? ……ぃ、ぃい……」

 

「えっ」

 

「いやあああああああああああああ!! 男の人いやあああああああああああああ!!」

 

「またですのおおおおおおおおおおおお!! 貴方は私の婚約者でありながらまたしてもルビィに狼籍を……! 許しませんわ!」

 

「いやどう考えても俺悪くないだろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 またまたある日は、俺が風呂に入っていたら、それに気付かず風呂に入ろうとしたルビィが裸のまま扉を開けて。

 

 

「いやああああああああああああ!!」

 

「またこのパターンかよ!」

 

 

 湯船に浸かっていたから俺の裸体をルビィに見せることはなかったが、ルビィの裸はバッチリ見てしまっていて。

 

 

「またですのおおおおおおおおお!! ……き、きゃあああああああああああ!! ふ、服ぐらい着たらどうですの!?」

 

「ここ風呂場だぞ無茶言うな!」

 

「ちょっ! 今貴方が立ち上がると……!」

 

「……あっ」

 

「きゃああああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 等々、ルビィを泣かせてはダイヤに叱られるという出来事が立て続けに起こった。

 

 ダイヤのことが好きで、婚約者であるダイヤとできるなら結ばれたいと思っているが、故意ではないとはいえこれだけルビィを泣かせていては、ダイヤの俺に対する印象は最悪だろう。

 

 もう完全に嫌われてたと言っていい。

 

 

 

 そして、俺が黒澤家にやって来てから一ヶ月が経とうとしていたある日。

 

 俺たちの関係を大きく変えようとする出来事が起こった。

 

 

 

***

 

 

 

 今日で夏休みも終わろうという日の夜。夕食を食べ終えて部屋でくつろいでいると、コンコンと扉を叩く音がした。扉を開けるとそこには誰の姿もなかった。

 

 代わりに、丁寧に折られた一枚の紙が部屋の前に置かれていた。広げて読んでみると、そこにはこう書かれていた。

 

 

『大事な話があります。他の家族が寝静まる時間、そうですわね……夜中の2時に私の部屋に来て下さい。黒澤ダイヤ』

 

 

 とうとうダイヤに呼び出された。場所は彼女の部屋。今まで俺がしてきた数々の失態を考えると、正直ダイヤの部屋に行くのが怖い。

 

 今まで故意ではないといえ、男性恐怖症のルビィに怖い思いをさせてしまったのだ。妹想いのダイヤからすればもう我慢の限界に達したというところだろう。ただの説教ならいくらでも構わないが、最悪の場合婚約解消もあり得る。

 

 それだけは何としてでも避けたい。俺はダイヤのことが好きだ。両親が勝手に決めたお見合いで一目惚れしたダイヤだけど、この一ヶ月一緒に暮らして彼女のことがますます好きになった。

 

 プライドが高くて自分を曲げないところ。

 妹想いで優しいところ。

 実はアイドルが大好きなところ。

 笑った顔が素敵なところ。

 

 もう彼女がいない人生なんて考えられない。ずっとダイヤと一緒にいたいと思っている。

 

 この一ヶ月は何とかダイヤに好かれようと努力をしてきた。家事も手伝ったし、雑用だって何でもこなした。だけど、それらを全て不意にする失態を俺は犯してきた。

 

 考えれば考えるほど、ダイヤとの婚約を解消されるような気がしてきた。ルビィを怖がらせてしまったことは、妹想いのダイヤにとって大きな要因となるはずだ。

 

 それならそれで全て受け止めよう。ダイヤが決めたことならそれを受け入れよう。

 

 ダイヤには幸せになってほしいから。

 

 

 

 

 

 そしてダイヤのご両親とルビィが寝静まったと思われる夜中の2時。静かな黒澤家の廊下を忍び足で移動してダイヤの部屋の前にやって来た。扉を小さくノックして、ダイヤの返事を待つ。

 

 

「どうぞ」

 

「失礼します」

 

 

 扉の向こうからダイヤの声がして、俺はダイヤの部屋の中へと入った。

 

 部屋の中は薄暗くて電気が点いていない。その中でダイヤはベッドの上にクッションを抱えながら座っていた。

 

 とりあえず説教させるだろうと思い、俺はダイヤの目の前に正座した。

 

 数秒間の沈黙。ダイヤは言葉を探しているような様子だった。ダイヤは表情を二転三転させて、ようやくその口を開いた。

 

 

「貴方は、私の婚約者です」

 

「……はい」

 

 

 重々しい雰囲気を作り出すダイヤの声。その後に何を言われても動揺しないよう、俺は背筋を伸ばし身構えた。

 

 

「にもかかわらず、貴方は男性恐怖症であるルビィに何度も何度も触りました。貴方は故意ではないと言い張りますが、私には故意であるとしか思えません」

 

「……」

 

 

 覚悟した。ダイヤとの婚約が解消されると。本当に故意ではないのだが、ルビィを怖がらせたのは紛れもない事実だ。

 

 

「もう一度言います。貴方は私の婚約者です」

 

 

 重々しいダイヤの口調。やはり、もうこれ以上彼女と過ごすことはできないのか。

 

 

 

 そう思っていた。

 

 

 

 

 

「私の婚約者であるなら、ルビィではなく私の身体を触るのが筋ではなくて!?」

 

 

 

「…………は?」

 

 

 

 開いた口が塞がらないとはまさにこの事だった。自分の身体を触るべきだとダイヤは言う。予想の斜め上すぎる発言に俺は何を言えばいいのか分からなかった。

 

 

「ですから! ルビィより私の身体を触るべきだと言っていますの! もしかして貴方、私よりルビィが好きなんじゃないでしょうね!?」

 

「いやいやいや! 俺はダイヤのことが好きだって!」

 

 

 ルビィが好きなんじゃないかと言われて思わず出てしまった言葉は、ダイヤに対する初めての告白だった。まさか告白をこんな形でしてしまうなんて、何とも情けない。

 

 しかしダイヤは俺の告白に納得していなかった。

 

 

「嘘ですわ! 貴方はいつもいつもルビィの身体ばかり触って……! 私には興味ないんですわ!」

 

「だからあれは事故なんだって! 決してわざとじゃない! 俺はダイヤのことが好きだし、ダイヤの身体だって触りたいと思ってる!」

 

 

 もはや自分でも何を言っているのか分からなかった。どれだけ俺がダイヤのことを好きなのか、それを伝えるのに必死だった。

 

 

「嘘ですわ!」

 

「嘘じゃない! 俺はダイヤのことが好きだ!」

 

「なら、嘘ではないと証明してみなさい!」

 

「証明……?」

 

 

 途端にダイヤは証明してみせろと言う。今さっき散々好きだと言ったのに、まだ彼女は納得していないらしい。

 

 

「本当に私のことが好きなら、私の身体を触ってみなさい!」

 

「…………は?」

 

「やっぱり出来ないのですね! 貴方は私の婚約者でありながら、ルビィのことが好きなのですね!」

 

「いやだから俺はダイヤが好きなんだって!」

 

「嘘ですわ! ルビィのことが好きなんでしょう!」

 

「だから……あーもう! 頼むからこれで分かってくれ!」

 

 

 何度好きだと言ってもダイヤは分かってくれない。無理矢理にでも理解させるしかないと思った俺は、立ち上がってダイヤに近づいた。

 

 彼女の頬に両手を添えて――。

 

 

 

「んんっ!?」

 

 

 

 ――キスをした。

 

 

 

 

 数秒間の短いキス。唇を離してダイヤを見ると、その瞳をトロンと潤ませていた。

 

 

「俺はダイヤが好きだ。これで分かってくれたか?」

 

「……まだ分かりませんわ、もう一度……」

 

 

 今度はダイヤが俺の頬に両手を添えてキスをしてきた。ダイヤの柔らかい唇がグイグイと押し付けられる。

 

 先ほどよりも長いキス。やがて唇を離したダイヤは、はぁはぁと呼吸を乱していた。

 

 

「ダイヤ、好きだ」

 

「まだ分かりませんの……」

 

「好きだ、ダイヤ。愛してる」

 

 

 

 またキスをする。

 

 唇を離して、愛を説く。

 

 

 

 

「愛してる」

 

「……嘘ですわ」

 

 

 

 

 ダイヤが分かるまでキスをする。

 

 

 

 

 

「好きだ、愛してる」

 

「まだ……」

 

 

 

 

 

 何度も何度もキスをする。

 

 

 

 

 

 

「ダイヤ、愛してる」

 

「私も、貴方を愛していますわ」

 

 

 

 

 

 

 分かり合ってもキスをする。

 

 

 

 

 

 

 

「ずっと一緒にいよう、ダイヤ」

 

「ええ。ずっと一緒にいましょう、アナタ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 

 

 

「行ってきまーす!」

 

 

 翌日、夏休みが明け今日から学校が再開される。俺はダイヤとルビィと一緒に黒澤家の玄関から出て学校へと向かう。ダイヤとは学校は違うが途中まで道が同じなのだ。

 

 相変わらずルビィには警戒されているようで、俺をチラチラと見ながらダイヤ右手を掴みながら歩いている。

 

 一方のダイヤは空いた左手で俺の右手を握ってきた。突然手を繋がれたことに俺はダイヤを見るとダイヤと目が合い、彼女は頬を赤く染めながら目を逸らした。

 

 昨日の夜、俺とダイヤは互いの想いを確かめ合った。想いが伝わるまで何度も何度もキスをして、気が付けば俺は夜明け前までダイヤの部屋にいた。おかげで少し寝不足だ。

 

 あくびをすると、隣を歩くダイヤから柔らかな声で注意をされた。

 

 

「アナタ、そんなに大きく口を開けて……はしたないですわ」

 

「そう言うダイヤだって眠たそうじゃないか」

 

「だ、誰のせいだと思ってますの!」

 

「してほしいって言ったのはダイヤだろ」

 

「わ、私のせいにしないでくださいます!?」

 

 

 怒ったダイヤは衝動的に俺の手を掴んでいない方の手でビンタをしようとした。しかし、そっちの手はルビィが掴んでいて。

 

 

「きゃっ!」

 

 

 ビンタをしようとした勢いそのままルビィが俺に向かって投げ飛ばされる。ダイヤによるルビィの体当たりをまともに受けながら、俺とルビィは地面に倒れた。

 

 

「いててて……おいルビィ大丈夫、か……?」

 

 

 目の前には白が広がっていた。どこかで見たことあるような、そんな既視感を覚える綺麗な白だった。

 

 

「いやあああああああああああああ!!」

 

 

 そう。それはルビィのパンツだった。ルビィは立ち上がって明後日の方向へと駆け出していった。ルビィが無事に学校に着くことを心から願う。

 

 

「またですのおおおおおおおおおおおお!! 昨日私にキ……接吻をしておきながらルビィの下着を……!」

 

「いやダイヤがルビィを投げ飛ばしたんだろ! 俺は悪くない!」

 

「アナタはいつもいつもルビィばかりですわ! 私の婚約者なのですから見るなら私の下着を見るべきですわ!」

 

「いやダイヤの下着は見たいけど……ってスカートを上げて下着を見せようとするな! ほら他の人も見てるから!」

 

 

 人前でスカートをたくし上げて俺にパンツを見せようとするダイヤを慌てて止める。ちなみに少しだけ見えた。ルビィと同じ白だった。

 

 

「やっぱり私の下着なんて見たくないのですね! やっぱりアナタはルビィのことが好きなのですね!」

 

「ああもう! ダイヤのパンツは家に帰ってから見てやるから! 今はとりあえず学校に向かうぞ、遅刻する!」

 

「あら本当、もうこんな時間ですわ! 約束ですわよ! 家に帰ったら私の下着を見るのですよ!」

 

「わかったわかった! さあ早く行くぞ!」

 

 

 家に帰ったらダイヤの下着を見ることを約束して、俺とダイヤは手を繋いで学校へ向かって走り出した。




鍵のすけ氏主催のサンシャイン企画、全三回皆勤賞で参加させていただきました!

この企画が無ければ私自身サンシャインにここまで興味を持つこともなかったと思いますし、ここまでどっぷりハマることもなかったと思います。

三回とも違うキャラを書いたので楽しかったです。ありがとうございました!
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