今回はですね。
読めばわかりますよ、題名でわかりますよ
ある程度はね。
私の小説にしては珍しく「セリフ」が無いです
そしてものすごく短いです。
ではごゆっくり
妖怪の山。
濃い霧の掛かったある日
少年が山の森に迷い込んだ。
少年は何かを追いかけていた。
突然聞こえてくる水の音。
何もいないのに動く木々。
ひたすら目の前にいる見えない何かを追いかけていた。
走って開けた場所に出ると…
そこは崖だった。
立ち止まり崖下を見下げると…
青い服、緑の髪。蒼い瞳の少女の姿をした妖怪が、崖下の湖に飛び込んでいった。
湖に入った瞬間妖怪は見えなくなった。
もう一度一目見るため少年は崖を後にしようとした。
だが、その瞬間崖が崩れ。
湖に真っ逆さまに落ちた。
息ができず、ひたすら上に上にと藻掻く。
すると、突然手を引っ張られる。
さっきの妖怪が少年を湖の畔まで、引き上げた。
少年はその妖怪に、自分を助けたその妖怪に、
一目惚れをした。
少年は少しの間意識をなくし。妖怪は少年をおいて姿を消した、、
少年のかすかな意識には水の音が響いていた…
何日かたったある日。
また少年は山の森に現れた。
妖怪は、人を助けた。そのことを少し考え、今まで人間にされた行為を思い出し震えていた。数々の暴力を。暴言を。迫害を。
しかし。少年はそんな妖怪を見れど。何も言わず手を差し伸べた。
無邪気な笑顔を浮かべ、走り出す少年。
それにつられ妖怪も走り出す。
走った勢いで妖怪が頭に被っていた帽子が飛んでいくと綺麗な緑の髪が揺れた、
人にあまりみせない髪を。気兼ねなく揺らした。
人間にされた幾つもの愚行をいつの間にか忘れかけていた頃。
人間の大人たちが集まる場所に来てしまっていた。
大人たちは妖怪を目にした途端。罵詈雑言を繰り返し。石を投げ妖怪を追い払おうとする。
妖怪は怯え引き下がり、震える。
しかし、少年はかばった。
妖怪の目の前に立ち。全てを妖怪の代わりに受け止めた。逃げずにただ妖怪のために。
大人たちが消え去り。声も聞こえなくなる、その頃。少年は座りこんだ。
そして。妖怪はその少年に抱きついた。
そう、妖怪はこの少年に惚れた。
この少年に恋をしたのだ。
山の森に、幾度とくる少年は山で妖怪と過ごした。
無邪気に遊ぶ少年はいつしか妖怪を愛すようになった。
妖怪もこの少年の愛を受け止めた。
山の麓に、小屋がありその小屋で二人は一緒の時間を過ごした、
二年が経ち
五年が経ち
十年が経ち
ともに山を歩き
夜を共にし
二十年が経ち
散歩を楽しみ、
ともに暮らす喜びを分かち合い
三十年が経ち
四十年が経ち
人間は年を取り
妖怪はそれを不思議に思う。
六十年が経ち
人間は介護が必要となる、
八十年がたったある日
老人はついに、寝たきりとなった。
妖怪はいつまでもこの人間と共にいた。
変わらない愛を持ち続けた。
それなのに。もう人間はその愛に応えることもできなくなる。
妖怪は老人の隣に座り込み。
動けなくなったその姿を眺め。
悲しみがあふれだした。
そしてついに涙を流し始めた。
もう一度この人間と一緒に…そう強く願えど、過去に戻ることはできない。
そう願えば願うほど。一刻と時間は過ぎていき、離れていくことに気づいていく。
運命の時は…妖怪が創った古びた時計の針が三つ重なり合った時であった。
12時を迎え針が重なり合う瞬間。
妖怪が掴んでいた老人の手は力なく地に落ちた。
妖怪は恋われた日との別れを迎えた…
そしてそれは、恋した人間との別れを告げた。
妖怪はただひたすら、泣くことしかできなかった。
………………………………
古びた時計の音が鳴り響く白い部屋
その部屋には影が蠢くと言われている
そう、それは。
霧の中を探す夜 にとり 残された
人間を愛して恋われた妖怪
の影だろう。
約1400字でした
ものすごく短いです。
でも読んで感動して頂けたら感謝です。
あくまで、私の解釈で書きましたので。
それだけはご理解を。
ではまた会えたら会いましょう