暇が多くて捗るぅぅ!
ではごゆっくり
俺は国立西江大学に通っている。
単なる大学生2年。笹浜幸助(ささはまこうすけ)だ。
と自己紹介なんてのはこれだけで十分だよな。
うちの大学に一人転校生が来た。
セミロングの髪に花の髪飾り。
背は低め。
清楚で綺麗で真面目な女性と言ったところだろう。
名前は…
「稗田阿求といいます。よろしくお願いします。」
というらしい。
大学生にしては少し幼い見た目のように感じるが…そんなのいくらでもいるから気にしない気にしない。
にしてもタイミングが悪い。
一週間後には定期試験で
国英数の筆記と聞取りがある。
それで忙しいのか。
皆挨拶を交わして稗田さんのことなど興味なしの様だ
大学生なんてサボってなんぼとか言うからだ。
もちろん俺は問題なく勉強して毎回合格点をとっている。抜かりはない。
何も知らされていないのか稗田さんは本を読んでいるものだから。少し声をかけてみる、
「稗田さん、と言うんですよね」
「はい。何か?」
「次の月曜日から定期試験があるんですが…それは知っていたりしますか?」
「えっと…初耳です」
おい教師…おまいらも仕事サボるなよ…
「それじゃ何も勉強してない…ですよね?」
「えっーと…そうです、ね」
「放課だと時間ないから夕方図書室で範囲とか教えれるけど…」
「はい。おねがいします。」
授業に入ると、真面目にノートをとっているようで。
居眠りも呆けている様子もない。
他とは違う。流石だな。
「おまえらー、来週から試験だからな。サボってないで勉強しろよー!それじゃ、解散」
声掛けするの遅いんだよなぁ…
「あの、試験のことで。」
「範囲教えるんだったね、図書室行こう。」
「はい、」
転校生と仲が良くなるなんて思ってはいないが。
でもいずれ困るであろう人を手助けするのは、誰かがやらないといけないからな。
案の定もうカップルなのかとか。
そういった声が聞こえるのは耳を閉じて放っておこう
「向こうの机が空いてるな、」
「本…たくさんありますね、」
「そりゃ、国立大学だからな。いろんな文献とかも集まるし。」
「今度読んでみます、今は試験範囲を、」
「あぁ、そうだったね。」
国英数の試験範囲。
そう広くはないが。広くないからこそ。詳しく深く出される。
下手したら、今回の試験で落第者は数人出るだろう。
範囲をひと仕切り教えて。
試験範囲の対策方法も教えて。
問題の解き方も教えた。
なかなか飲み込みが早いのか。案外すんなりと終わったが。
外は暗くなっている。
夕日ももう見えない。
「もう、こんなに暗く。早苗さん、心配してるかな…」
「送って行こうか。夜道は危ないし。」
「ありがとうございます。」
校内も所々にしか電気がついておらずそれなりに暗くなっている。
「夜の学校、か、」
「なんだか、ちょっと不気味ですね。」
「教師もいるし。幽霊とかが出るわけじゃないから。大丈夫、」
「妖怪とか。出てきたり?」
「ないない。」
そう言っているが。この大学。ある教室では鬼火が見れるという噂も流れている。
怖くはない。むしろ真暗な場所に色のついた炎なんて綺麗じゃないか。
そうこうしているうちに外に出た。
住宅街にぽつんと建てられたこの大学、
周囲は家ばかりで迷路状になっていて、下手したら迷子になる。
「目印がないとここは迷子になるから。」
「目印ですね…看板などの場所を覚えておけばいいでしょうか。」
「そうだね。それがいいかも。」
数分歩いた後。
やっとのことで稗田さんの家まで着いた。
「阿求さん!おかえりなさい!」
緑髪の女性が玄関先に立っている。母親にしては若いな…ホームステイとかいうやつか?
「すみません、少し勉強してて、それと迷子になってしまって。」
「特に何も起きてないですか?」
「はい。彼のおかげで、無事につくことができました。」
「有難う御座いました。あの、名前は…」
「笹浜幸助です。」
「笹浜さんですね。お時間も遅いですからあなたも気をつけてくださいね。」
「はい、わざわざ有り難うございます。」
二人が家に入っていくのを見届けて俺も家に帰った。
夜は好きだ。
暗いし涼しいし静かだし。
星も月も綺麗だからな
少し気が高揚しながらも家で予習をして寝た。
2日経ったその日の帰りに少し事件があった。
4年の先輩らしき人達だ。
何かを囲んでいるのを見かけたのだが、
その何かは稗田さんだった。
帰宅中に呼びとめ囲み遊びに無理やり誘うつもりなのだろう、
親譲りの正義感強い性格のせいか、それとも稗田さんとは顔馴染みだからか。
どちらでもいいが止めに入った。
「おい、なにしてんだ。」
あーん?だとか、
二年坊は引っ込めだとか言われてるが気にはしてない。
「無理矢理連れてくのは誘拐だぞ。嫌がってるんだ解放しろ。」
「年上になにさまのつもりだ!」
「正す人間は年齢なんか関係無い。」
そのセリフのあと掴みかかられた
顔に傷足や腕は打撲と、さんざん暴力を受けたが…
稗田さんは無事だ。
「あの、怪我を治すために家に、」
なにひとつ問題はない。
はずだったが。少々無理は出たかもしれない。
「大丈夫…だ、、よ」
倒れ込んでしまったか?
体が重く地面に叩きつけられた
意識が朦朧として目の前が暗くなる。
たかが暴力を受けただけなんだがな…
それからしばらくは記憶がない。
目が覚めた時には自室にいた。
よく覚えていないから普段通り過ごして寝た。
次の日だ。
俺の席にやたらと紙がはられている。
なんだ、弱者だの偽善者だのとガキの遊びのようなものだ、捨ててしまえ。
学校ついてから教師から呼び出しがあった、
どうやら稗田さんもらしく。
そこで思い出した。
昨日の暴力事件だろうか。
校長室まで向かっている途中、稗田さんと合流した。
校長に疑っている様子はなかった
「君たち、昨日4年生の一部と問題が起きたと聞くが。その傷は?その時のものかな?」
「待ってください、彼は何一つ悪くありません、暴力もしていません!」
「待て待て、君たちが被害者なのはわかっているから安心したまえ。」
「あいつらは?」
「暴力を振るうのは校則を破ること以上に厳しい処罰だ。一月自宅謹慎だよ。」
一月も謹慎処分か。
えげつないことするな。
「傷は大丈夫かね。無理はしない方がいい。試験も近いが、今日は休んでも構わないぞ。」
「大丈夫です。たかが傷や打撲ですから。」
「あの…」
「どうしたかな?」
「昨日のことで少し…」
「何か問題でも?」
「あの四年生たちは。いや、彼らは三年生だったんです。」
「どういうことかな。」
「校章バッチが色分けされているのはわかっていたんですが。何年を意味しているのかはよくわかっていなくて。」
つまり校章を盗んだもしくは借りた。か?
「四年生と校章を、取り替えていたと、言いたいのか?」
「はい、恐らく」
「そうなると。四年生側にも注意喚起が必要だね、」
あいつらには、もちろん校章を偽った罪も重なるわけだな。
「まぁ、とりあえず確認がしたかったから、良しとしよう。君たちはもう戻りなさい」
「「はい」」
教室に戻ると二人を囲むように集まられた。心配してくれているようだ。こう集まって心配されると何か恥ずかしいのだが…
「怪我は問題ない、大丈夫だ。」
そういうと。皆安心したのか自分の席に戻っていく。
その日の帰り。阿求さんと帰った。
怪我のことや昨日のことを心配してくれた。
これくらいどうということはない。
単なる傷だからな。
家につくと、阿求さんに家まで上がるように勧められた、
遠慮はしたが、どうしてもというので、仕方なく上がらせてもらった。
「笹浜さん、いらっしゃい。」
緑髪の女性が出迎えてくれた。
どうやら二人でこの家に住んでいるらしい。広くもない一軒家だが、二人で住むなら十分な広さだ。
わざわざケーキとお茶まで用意するなんて。律儀なものだと少し感動した。
結局試験勉強を少しして帰ることになった、
いろいろなことがあって、稗田さんとは縁があるようだ。
試験の日も一緒に帰っていた。
稗田さんと暮らす日は楽しく嬉しく思う日もあったと思う。
友人が増えて嬉しく思う以上に、稗田さん自体になにか感じていた。
試験から三日後の日のことだ。
教室に戻ると。稗田さんの席がなかった。
それだけでない。俺以外の皆が、稗田さんの事を忘れているのだ。
今までのことはすべて。幻だったのだろうか?
いや、そんなはずはない、鮮明に覚えている。
図書室で試験範囲を教えた。
帰り道を送って行った。
上級生に絡まれたのを助けた。
家に上がらせてもらったのも。
試験勉強をしたのも。
稗田さんと過ごした時間が楽しいと感じたことも…
一体どこに行ってしまったのか
ひたすらに校内を探し回った。
結局その日は稗田さんには会えなかった。
帰宅中。ふと思いだした、
きっと家にならいるはず!
そう思い走り出す。
その道のりを忘れてはいなかった。
しかし、家があった場所には小さな公園のような広場があった。
「なんでだ…?」
声が漏れた。
おかしい…俺だけが覚えていて。
でも、何一つ残っていない。
何が起きている?
俺は一体何をしているのだ…
ないものを探しているような気になった。
おとぎ話に出てくる間抜けなことをしている…
そうして、諦め家まで帰ることにした。
来た道を戻りはじめた、その瞬間、後ろから気配を感じ取り聞き覚えがある声が、聞こえた
「きっと、いえ、必ず奇跡は起きますよ」
緑髪の女性の声だ。
しかし。振り向いても公園のような広場には誰もおらず。その家もなかった。
「奇跡…か」
突然消えたものを考えながらも家で試験の復習をしていた。
だが、うまく集中ができない、、
稗田さんはどこに行ったのか。
それだけが気がかりでなにも手につかない。
もう一度でいいから消えていくなら、さよならが言いたかった。
そんな我儘を胸にしまい込んで、その日は終わった。
何日が経っても稗田さんを忘れることはなかった。
むしろ。稗田さんを忘れている人を不思議に思った。
そんなある日また異変が…異変?
変な表現が混じっている。
また転校生が来た。
でもそれは見覚えがあり、
顔見知りであり。
友人の姿だった。
名前は…
「稗田阿求といいます。よろしくお願いします」
というらしい。
不思議には思わなかった。
でも、稗田さんは俺に近寄った、、
そしてこう言う
「あなただけがわたしを覚えていた。そして。奇跡は起きるのです。目を覚ましてくださいね。」
稗田さんがそう話したその瞬間
目の前の景色が全てひねり曲がり。吸い込まれていくように消えて。
意識を失った。
目が覚めると、
また、見覚えがある
広くはない場所で目を開けた。
「起きましたか?」
聞き覚えのある声。
寝ていた?頭の下には膝があった。
膝枕。一体誰に…
顔を見上げると、そこには
稗田さんの綺麗な姿が目に写った。
「おはようございます。お疲れだったんですね。」
「夢か…」
そう言葉をこぼすと…
「夢じゃありませんよ。全て現実です。」
「どういうことなんだ?」
「申し訳ないですが、私はあなたを試してみました」
試されたのか…。
「でもあなたはずっと私を覚えていた、あなただけなんです。そのおかげで私はここにいることができるんです。」
「俺だけが覚えて…」
それなら。俺が忘れていたら、そのまま…
「誰にも覚えてもらえなかったらここには帰ってこなかったとおもいますから。ありがとう。」
「そうか、俺こそ、ありがとう。」
それから、俺は稗田さんと仲良くしている。
だが、大学の奴らはやはり稗田さんのことは覚えていなかった。
卒業までの間、俺は稗田さんと付き合ってもいた。友人として、恋人として。
でも、卒業を迎えると…
「悲しいですけど、私はそろそろ元の場所に帰らないといけないんです。」
「元の場所。俺が君を探していた時のようにまた消えるのか?」
「いえ、あなたが覚えている限りは消えはしません、ですが、会えなくなるという意味では、間違いではないですね」
「また会えるか?」
「はい、必ず会いに来ます。」
「わかった。」
まだ、側にいてもらいたいのは、抱きしめていたいほどだ、
だが、稗田さんには用事があるのだろう。
引き止めるわけには行かない。
きっと。本当にいつか会えると
信じている。
お互いにさようならを告げて
稗田さんが乗った電車をただ見えなくなるまで見つめた。
……………………
「阿求、おかえりなさい。」
「閻魔様、ただ今戻りました。」
「どうでした?一週間と三年間は。」
「とても素敵で素晴らしくて、恋しいです。」
「恋愛…ですか、」
「まさか、私を覚えてくれる人がいるなんて。」
「あなたの力が少し移ったのかもしれませんね」
「それなら。彼は私を忘れることなんてない、ですね。」
「いつでも会いに行くことは許しますよ。ただ、向こうに永く住むことだけは許可は出せません。」
「ありがとう。ございます。」
「ただ、頻度は控えてくださいね。」
……………………
何日が経っただろうか。
おそらく卒業後から一月だろう。
不覚にも会社には面接、筆記試験等で落ちてバイトとパート暮らしだ、レベルが高すぎたか…
そんなことを考えて。
ある人の再開をいつも待っていた
そして。夜帰宅中のことだ。
自転車で走っていると
一人歩いている女性を通り越した。
「あの姿は…」
服装に見覚えはないが。すぐに誰かわかった。
あの服装が似合う女性は一人しかいない。
足を止め降りて後ろを振り向く。
やはり彼女だった。
「幸助さん。お久しぶりですね。逢いに来ちゃいました。」
「お帰り。待ってたよ。稗田阿求、見たものを忘れない能力を持つ、転生を繰り返す少女。」
「やはり、私の能力が少し移っていたんですね。」
「君を探していた時、既にそうだったんだろうと思う。常人であれば忘れていた。」
「ふふ、そうかもしれませんね。」
「またこっちで暮らしていくのか?」
「2日か、3日ほどあなたの所でお世話になろうかと思っていたところですよ。」
「そうか、構わないよ。」
「ありがとう。」
……………………………………
俺は人ならざる者から力を貰った、
覚えたものを強く記憶する程度の能力を
そして。力をくれたのは
見たものを忘れない程度の能力を持つ
転生を繰り返す。稗田阿求だ。
彼女とは長く深い付き合いだ。
今回は長めでしたね。
書き終えて疲れた感が半端ないですよ。
だって前回のは、執筆時間30分でしたから。
4倍はありますよ?
では、また会えたら会いましょう