ちょっと?いや
悲しいお話です。
たまにはこんな感じなのも
では、ごゆっくり。
幻想郷には蛍を操る妖怪がいる
それは蛍の妖怪であり。
人の姿を持つ妖怪だった。
………………
迷いの竹林に、迷いこんだ一人の人間がいた。
ひたすら竹と竹の間をくぐり、出口を探そうとする。
…時分も遅くなり
日も沈み、暗くなる頃。
幾つもの蛍が人間の目の前に現れる。
人間はその蛍に導かれるように歩いた。
そして、人間は竹林の外に出る。
人間は散り散りに別れた蛍を眺め、そして帰路を進んだ。
、、、
ある日の出来事。
男が筍を採るために竹林にやって来た。
目的が目的だ。迷うはずがない。
それを知ったのか蛍はこの男のもとには現れはしない。
男も筍を背負い帰路へと足を運ばせた。
その帰路の途中。
一匹の蛍が目の前にふらふらと力なく現れた。
「あ。あなたは…」
人の身なりと同じ姿をした蛍、の声を聞き。そして…
「今度は私が助ける。」
男はそう言って、蛍を抱え、
帰路へ。
男は蛍を助けた。
そう、蛍が男を助けたように。
人の姿をした蛍は、人の温もりを覚えていた
その温もりに微睡みしばらく眠った。
夢が巡り…
人が現れる…
網に捕らえられる蛍たち。
人の手によってその蛍は籠に閉じこめられ。
早くに命を断った
そう。自然と籠の中とでは生きていられる時間は変わってくる。
蛍でいた頃の仲間の悲鳴で
「うぅ…」
体が小刻みに震える…
人に怯え人を恨み
そして人の姿を得た。
人に復讐を為すために。
しかし。
この蛍にはそれができなかった。
人の温もりを知り。
それを覚え。
それを必要としていたからだ。
人を助け。
人を恨んでいるからそこ
人を想っている。
夢が暗くなり…
目が覚め、目を開くと眩しい光が視界に差込んできた。
「な、眩しい…」
声をこぼすと。
隣には先程の男の姿があった。
「目が覚めたな。」
筍が煮える音、煮汁のような深い匂い。
食欲を唆るが、この蛍は目が覚めた後、男から離れ、身構える
男は不思議そうにそれを眺めそして声をかける、。
「元気そうで何よりだ。」
男は笑顔を零した
男が何もしないことを確認し、
蛍はその笑顔を信じ警戒を解いた。
この男を助けたように
この男は私を助けたのだから。
向かいに座り、非礼を詫びて、そして助けてもらった礼を伝える。
それを見届け。
男は蛍にこう告げた。
「ありがとう」
と。
礼を礼で返されてことに不思議に思った
だが、それも人の暖かさなのだと知り。それをよしとしようと思った。
そしてその日は
筍を煮た汁物を頂き、一晩泊まった。
人の優しさを知った
蛍が人を襲うことはなかった。
………
そして、この蛍の妖怪は
その男の家に時々現れるようになった。
男もはじめは驚いていた
だが、蛍は男に優しくしてもらったことを。
その優しさを形で返したいと思っていた。
蛍はこの男に尽くし。
出来る限り時間を共にした。
竹林の迷い人を案内することはやめはしなかったが、
時間さえ見つければ。というほど頻繁だった。
人間と妖怪ではどうしても差が出来てしまうが。
それもお互い気にかけないよう。
支えあって過ごしていた。
いつか愛し合うようになり、出逢った瞬間や共に過ごした時間を懐かしんだ、
蛍も男も、それが運命だと。
そう信じそれを良しとした。
しかし。運命はいつも良しとは過ぎていかない。
ある日、蛍が男の家に向かうと、扉に一枚の紙が貼ってあった。
迷いの竹林で君を待っている。
そう、書かれていた。
疑問に思う蛍の妖怪は。
蛍を繰り男を探した。
竹林の深くで再会すると。
男は…力なく座り込んでいた。
何も理解できないまま。
蛍は男に近づいていく。
男は蛍にこう告げた
「僕は君を愛している。だがそれ故にもう生きていくことはできなくなってしまった。」
その言葉を理解できず。
ただ意味もわからず悲しくなった。
何故?
何かいけなかったのだろうか…
そう思うしかなかった。
そして、男は…
「僕は昔…蛍を殺めていた…無邪気な心に身を任せて…」
その言葉を聞き終わる頃、蛍の妖怪の目からは涙が溢れていた。
愛していた人が、仲間を殺めていた
その事実が、恐ろしく悲しく恨めしく。
どうしようもなく、怖かった。
男は…蛍にお願いをした。
「どうか…君の手で僕を…」
蛍は涙を流しながら抗った。
仲間を殺めたのは許せない…
だが愛する存在を殺めはできない。
その一心だった。
葛藤と戦い、ひたすらに男を抱きしめ、男を想った。
「私にはできないよ…」
男も蛍も互いに別れを否とした。
だが…運命は…
二人を引き裂いた。
人間の周りに蛍が溢れていた
それは妖怪が繰ってはいない蛍。
妖怪は気づいた。
個々の蛍が男から生気を奪い取っていることを。
妖怪は涙を流しながら、蛍を繰ろうとする
しかし、蛍からは怒りと憎しみが溢れ出しており、繰ることは出来なくなっていた。
「嫌だ…別れたくないよ…」
「もう…僕は…」
蛍が繰れるようになった頃には、もう生気が僅かにしか残っていなかった。
蛍は決心した。
男の願い通り…最後は自分で。
「私は…本当はこんなことしなくはないよ…」
「でも…これでいいんだよ…」
蛍は男と口付け交わし。
蛍は男から最期の生気を奪った。
男は力なく倒れ込み。
亡くなった。
蛍はその体を抱きしめ。
ただひたすら、涙を流した。
…………………………
迷いの竹林に迷い人を案内する蛍の妖怪がいる。
その妖怪は人を恨み人を想い、
そして人を愛した。
その妖怪が人を襲うことはなく
人の優しさを蛍の光として振る舞っていた
はい、恋愛離別物語でした。
もう後書きなんていらないよね
ではまた会えたら会いましょう