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それではごゆっくり
人里にあるお店がある。
里では売られないような珍味や珍しい野菜、とにかく厳選された食べ物を売るお店だ、
もちろんお馴染みの野菜や果物も、売っている。
従業員はたった一人。
妖精、大妖精だ。
お客さんも少なくはない。そして、よく売れる。
何一つ問題はない。
お店のある休みの日のことだ。
大妖精は休みに温泉へ行っていた。
地底から湧く温泉は疲れが良く取れ、リラックスには十分なのだ。
「久しぶりの温泉かなあ。」
木々に囲まれたその場所、
入り口であることに気づく。
「あっ…!あの人は…」
急いでタオルを巻き。体を隠す、
普段は妖怪や幻想郷の異変に関わるような人間しかいない場所に普通の人間がいたのだ
とは言っても大妖精の知り合いであり、
親しい人間でもある。
そして、大切な仕入れ先でもある
「珍しいですね、ここに来るなんて」
「大妖精か、すまない邪魔をしたかな。」
「い、いえ、大丈夫ですよ。」
「そうか。それじゃ、まぁゆっくりするかな、」
「いつもありがとうございますね」
「うちの野菜や果物は売れてますか?」
「はい、とても美味しいと好評です、また売上お渡ししますね。」
「ありがたい、それを聞いて安心するよ」
「今後もお願いしますね。」
「こちらこそお願いするよ。」
「ただ…ちょっと困ってて…」
「何かあったのかい?」
「ただの噂でしかないんですけど…」
「噂?どんな噂なんだ?」
里にはもう一つ八百屋がある。
大妖精の店よりも売上も品揃えがいい、
ただ、大妖精の店にある珍味等はない。
それ故に人里の住人が合併したらすごく便利なお店になるんじゃないかと言い出したらしく。
白狐屋というその八百屋が大妖精のお店を買い取るという、不確定極まりない噂が流れているのだ。
もちろん噂なので、白狐屋も耳にはしているが、そのつもりはないようだ、
「身勝手な噂が本当になる可能性もゼロではないからな。注意はしておきたいが…」
「人里の人たちがそれを望むんでしたら…」
「待って、そしたら俺はどうなる。」
「そうでした…ごめんなさい、勝手なことを…」
「いや、まぁ、白狐屋と大妖精のお店に両方って話になるんだろうけど、」
「あのお店も悪くはないんです、むしろとても仲がいいので、それも悪くはないんですが…」
「何かあるのか?」
「私はこのままがいいんです」
「なんでそう思うんだ?」
「管理も準備も自分でやって、それでずっと続けてきたんです、それを変えたくなくて。」
「なるほどね、わかった。」
「なので、白狐屋と合併はしたくないんです。」
「それならそれでいいじゃないか、」
「明後日向こうも私もお店が休みで、話をすることになったんです、」
「合併するか否か、だね。」
「もちろん断るつもりなんですけど、向こうの提案によっては…」
「その時にならないとわからないからね、俺も同席させてもらおうかな。」
「いいんでしょうか…?」
「仕入先なんだから立派な関係者だし、問題はないと思うけど。」
「そうですね…おねがいします。」
「今はゆっくり休んでそれから話せばいいさ、」
「そうですね。久々の温泉ですし。」
その後も二人は話を続けていた、
どんな果物が人気か、白狐屋の主人はどんな人かなんて他愛もない話をしている。
そして話が終わる頃に二人は温泉を後にした
そしてその白狐屋と大妖精の対話の日がやってきた。
もちろん人間も同席している。
「どうも、大妖精さん。」
「白狐さんもお元気そうですね。」
「ええ、おたくの美味しい野菜のおかげさ、珍しい野菜ほど効能がいいからね。」
「白狐屋のお野菜も美味しいですよ、毎日お世話になっています、」
「お互い良き隣人で良きお客様だからね。」
「これからもおねがいしますね」
「こちらこそさ、とまぁ、前置きはこんなとこか、一つ聞きたいんだが、その隣の男はなんだい?」
「えっと、仕入先のお方です、どうしても同席したいと、」
「よろしく頼みます。」
「別に構わないが余計な口は挟まないでおくれよ、まぁ悪くは言わないから余り気に触ることはないと思うが」
「すみません、押し切られたものでして…」
「いいんだよ。あんたにはお似合いさ、」
「お、お似合いだなんて…そんな…」
「あれ?彼氏じゃないのかい?ずっとそう思ってたんだけどねぇ。」
「ま、まだそんなんじゃないです!」
「まだってことはその気はあるんだね?どうだいあんたは?」
「ええ、大妖精さんをお嫁に頂けるなら光栄ですよ、しっかりしてて真面目で何より優しいですから、そんな彼女を守っていけるなんて幸せ者です」
「あ、あなたまで…もぅ…」
「はっはっ!顔を赤くしちまってまぁ、いいことじゃないか、私みたいな老いた女にはそんな出会いもうないからね。」
「うぅ、なんといえばいいか…」
「さてまぁ、顔を赤くするのも終わりなよ、本題といこうじゃないか」
「は、はい。そうですね。」
「例の噂。あんたもよく聞いてるだろ。合併の件」
「はい、ご存知です。」
「あたしゃどっちでもいいんだ、でもまぁ合併ってなったらお互い難しいことも増えるだろうよ」
「そうですね、商品が増えますからその分管理も大変ですし」
「ぶっちゃけて言えばね、あたしゃ、もうあの店を大きくするつもりはない、あんた次第だ、むしろ大ちゃん、あんたがうちを買ってくれてもいいんだよ。」
「そ、そんな!恐れ多いですよ…」
「まぁそうなるだろうとおもぅたよ、まぁお互いいろいろあるからね。まだ別々でがんばろうや」
「は、はい。」
「今日は悪かったね、幸せそうなあんたの顔見れてホッとしたわ、あんたはあたしの孫みたいなもんだから、頑張っておくれよ。」
「孫?ですか。」
「そうだよ。あたしの息子夫婦は孫を産む前に火事で亡くなってね…孫の顔も見る前から…」
「無理に言わなくても…」
「だから、あんたを見るとほんとに孫のように思えてそれで可愛くて仕方ないんだ、」
「そうなんですね…なんと言うかありがとうございます」
「身勝手なことかもしれないが、あんたにはこれからも頑張ってもらいたいよ」
「はい、もちろんそのつもりです。」
「だからね、隣のお兄さん、この子を頼んだよ、あんたなら立派は旦那になる、大ちゃんも立派なお嫁になれるからね」
「ありがとう、白狐屋のばぁさん。」
「それじゃ、これ頂いてくよ、ほらいつまでも顔赤くしないで、お金払っていくんだからお客さんだよほら、しっかりしな、」
「はい!ありがとうございます!」
「良い笑顔だ。立派だよアンタは…」
そういって虹色のバナナを買い白狐屋の主人は帰っていった。
「なぁ大妖精、」
「なんですか?」
「オレを婿として向かい入れてくれるか?」
「な、何を唐突に言うんですか!」
「あぁ、すまん、自分でもいまおかしいと気づいた、何いってるんだろうな…」
「も、もちろん…いいですよ…」
「えっ?」
「私はあなたが好きですから…だから、いや、むしろというべきですね、私をお嫁に貰ってください。」
「そうか。それじゃ、これからは」
「夫婦としてこのお店を繋げていきましょう。」
「俺は作って」
「私は売ります。」
「よろしく頼みますよ」
「はい、こちらこそ。」
珍味屋大ちゃん、にまた一人従業員が増えた
それは元々店の仕入先のだったが、ある縁により結ばれ夫婦となった。
白狐屋の主人は、その後の二人の挙式を見届けたひと月後に亡くなってしまった。
そのこともあって大妖精はついに白狐屋も経営することにした。
全く関わりのない自分を家族同様に大切にしてくれた恩を返す為お店を受け継ぐことにした。
そうして、新しく八百屋ができた
白狐屋【大ちゃん】
という名のお店だ。
後
書
き
も
な
い
で
す
よ
それではまた会えたら会いましょう