物語館   作:むつさん

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どうも松K.です。

祝50話目。

なんだかんだで先月で1年

そして今回の話で50話目

長く続いているものだと自分でも感心しています


それではごゆっくり


幻想郷を護る者、二人の人間

「ねぇ。」

 

「はい。」

 

「お茶、おかわり」

 

「はい。」

 

その言葉のとおり。俺は湯呑みにお茶を注いだ。

 

「煎餅、まだあったかしら。」

 

「ちょっと見てくる。まってて。」

 

棚を漁っていると、声が聞こえた。

 

「別にないならいいのよー。」

 

その声と同時に醤油の芳ばしい味の煎餅を見つけた。

 

袋のまま持っていき。少女に渡す、

 

「これ。」

 

「ありがとう。ほら、座って。」

 

「表の掃除しないと。」

 

「落ち葉の掃除ぐらい私がやるからいいわ」

 

「そう。」

 

炬燵を挟んで向かいに座る。

 

足を伸ばすと。向かいの少女と足が当たった。

 

「ちょっと、伸ばすなら当たらないように伸ばしなさいよ。」

 

「あぁ、すまん。」

 

少し足を引っ込める。

 

「それにしても。もうこんな時期ね、」

 

「あぁ、もう半年か。」

 

彼女との出会いは。半年前。

異変解決時のことだった。

 

…………………………………………

 

 

「一見落着かしら?」

 

「相変わらず霊夢は仕事が早い。」

 

「魔理沙は早すぎるときがあるけど。」

 

「それはそれ。これはこれだぜ。」

 

「にしても。異変は終わっても解決仕切れない問題があるのよね。」

 

「あぁ、あいつか。」

 

 

霊夢達が妖怪の山での異変を解決したとき。

俺は当時、山で活動していた。

 

里で植物調査を頼まれていた俺が巻き込まれるのはわかりきっていたことだが。

 

霊夢達は直々に俺の救助もお願いされていたのだ。

 

だが…

 

「ここまでひどいと…」

 

「あぁ…里には戻れないぜ…」

 

俺は山の妖怪に襲われ…怪我をした。

里にその姿をみせれば…霊夢達は合わせる顔がない。

 

事実、霊夢達が俺を見つける前からひどく怪我はしていたが。

 

里に戻らないというのは俺の意思でもあった。

 

「頼む…里には戻りたくない…」

 

「なんていえばいいのかしら…」

 

「死んだとでも…行方はわからないとでも言ってくれ…」

 

「でもそれじゃ、お前はどうなるんだ?」

 

「……さっきの言葉の通りだ…それしかない。」

 

「でも、それじゃあんたはほんとに。」

 

「いいんだ。こうなるのは避けれなかっただろう。」

 

「私の店で預かることもできるんだぜ?」

 

「あんたの店じゃ変な薬ばかりで心配だわ…」

 

「いいんだよ…これで。」

 

「あんた。うちの神社に来なさい。」

 

「なぜ?」

 

「身を隠すなら、悲しいけどうちの神社なら参拝者も少ないし。バレることなんてないわ。どうせ来ても私の知り合いたちばかり。話は合わせれるから、」

 

「いいのか?」

 

「ええ、仕方ないでしょ、無関係のあなたを死なせるわけにはいかないの、」

 

「まぁ、そのほうが…いいか。」

 

「魔理沙。竹林まで行って永琳を呼んできて頂戴。」

 

「わかったぜ」

 

魔理沙は高く飛び上がり。飛んでいった、

 

「さて…と。ちょっと待ってなさいね。」

 

「待つと言っても。俺の体力がなくなる前に帰ってきてくれよ。」

 

「ええ、もちろんよ」

 

そういうと、霊夢も飛び去って行った。

 

数分間。沈黙に包まれていた、

 

異変解決後の山は静かで風の音すら聞こえていた。

 

暫くして視界が悪くなってきた。

鼓動すら大きな音に聞こえ。

体が痺れてきて、意識が朦朧とする。

 

「限界…か…」

 

木の根元に座りこんでいたが横に倒れ…

体が床に叩きつけられる音すらもう聞こえなかった。

 

 

 

 

気がつくと目の前には天井が広がっていた。

 

薬の匂い。腕や足にしみる痛み

 

なるほど…大体状況が読めた。

 

「目が覚めたようね。」

 

「あんたは八意さんか。」

 

「ええ。霊夢の頼みじゃ断るわけには行かないわ。」

 

「なるほどな…」

 

「すぐに良くなるわ。安心なさい。」

 

まだ、意識がはっきりとしない。

 

でも永琳と霊夢の話ははっきりと聞こえていた。

 

「彼どうするの」

 

「ここに居させるわ」

 

「大丈夫なのかしら…?」

 

「私が良いっていったんだから、良いの」

 

「そう、また何かあれば呼びなさい。」

 

「ええ、また頼むわ」

 

声が聞こえなくなると。

どうやら永琳は帰ったようだ。

 

暫くして。お茶をすする音が聞こえてくる、

 

「はぁ、まぁ、仕方ないわね」

 

霊夢が座布団から立ち上がり俺の隣に座る。

 

「気分はどうかしら」

 

「あぁ。さっきよりはマシだ」

 

「そう。」

 

「すまないな、暫く迷惑かける。」

 

「いいのよ。助けられなかった私にも責任があるわ、」

 

「俺だって自殺行為だとわかっててやったことだ。」

 

「なぜそう思ったの?」

 

「山の雰囲気がおかしいのは以前から知っていた。それでも、それが感じ取れるのは山の調査を任された俺にしかわからないことだ。もし、あれで異変前に帰れたら里には伝達するつもりだったが、案の定だった。」

 

「知ってて、なら、なんで断らないの?」

 

「…どうせ。俺が断れば…あいつが行くことになるからだ。」

 

「あいつ…?」

 

「あぁ…俺の古い知り合い…幼馴染。」

 

「何か問題でもあるのかしら。」

 

「あんたによく似てる…正義感と実力。それと見えない権力すらな。」

 

「あなたの代わりが務まるならいいじゃない。」

 

「彼女は…俺の…」

 

「付き合いね…」

 

「それでいて、里の大切な柱でもあるんだ。だから、あいつにあの状態の山なんて行かせれるわけないんだ。」

 

「それで、あなたは犠牲のつもりなのね。」

 

「死ぬことなんて覚悟の上。生きて帰って里の皆に教えれるのなら。と思ったのだがな。」

 

「遅かったわけね…」

 

「里には行ったのか…?」

 

「……ええ、見当たらないと伝えてあるわ。」

 

「行方不明者…か」

 

「本当に良かったのね…?」

 

「…今更もう帰らない。」

 

「そう…わかったわ。」

 

そう言うと霊夢は表の落ち葉掃除を始めた。

 

俺は傷が痛むのを感じながら。

これからを考えていた。

だが、どうも横になっていると眠気が来る。

 

どうも絶えれなくて寝てしまった。

 

声が聞こえて目が覚める、

 

「起きなさい。」

 

「あ、あぁ…どうした。」

 

「あなた。もう傷は大丈夫だと思うわ。」

 

確かにもう痛みがない。

 

「ん…傷跡があるな…」

 

「そればかりはどうしようもないわ。」

 

「それもそうだな…」

 

「一つ提案があるの。」

 

「なんだ…?」

 

「今のところ、あなたの安否は私と魔理沙しか知らない。もしあなたが望むのなら魔理沙の店でも良いのだけど、どうするかしら?」

 

あの森の怪しい店か。

まだここのほうがマシというか、

静かで綺麗で…ここのほうがいい

 

「いや、ここでいい。」

 

「そう、わかったわ」

 

 

 

それから。俺は神社で過ごした。

 

霊夢が面倒と思わないよう。できる限りの行動はする。

 

たまに参拝客が里から来るが…その時は神社の裏に隠れる。そんなところだ。

 

烏天狗が新聞に上げようと聞き込みに来た時は、色々とあって止めた。

 

烏天狗に事情が知られたのは仕方ないが…なんとか広まるのを抑えることはできた。守谷の巫女や紅魔館のメイドなども来るが、毎回霊夢が口あわせをする。

 

なんだかんだと。

色々と世話になっているものの。

何も返せないのがどうも申し訳なく感じてきている。

 

やはり。正直に里に帰るのがいいかもしれない。

 

ある朝のことだ

 

 

「霊夢さん、一つ話しがあるんです」

 

「なにかしら。」

 

「やっぱり。里に戻りますよ」

 

「あれだけ拒んでいたのに今更?。」

 

「ええ…このままここにいても俺自身何も起きない上に、迷惑かけてばかりですし。」

 

「私は特に気にしてないけど?」

 

「そう言われても俺が気にするんです。」

 

「いいけど。私はなんて言えばいい。」

 

「非は俺にある。俺から里には、事情があって口合わせを頼んだのだと、言っておく」

 

「理由は?、そこまで聞かれたらどうするのよ。」

 

「異変後の山の調査。とでも言うか」

 

「そう。そうね。」

 

 

 

 

それから、霊夢に同行を頼んで里に顔を出しに行った。

 

そうすると…里の者達は、一斉に集まりに来た。

 

第一声はあいつ…姉だった。

 

「無事だったんだな!」

 

「あぁ、この数日間山を見て廻っていた。」

 

「博麗さん達にあんたを探すよう頼んだはずだが…会わなかったか…?」

 

「あぁ、すぐ見つかったさ。俺から頼んだんだ、異変後の山がどうなるのか継続的に知るために。神社で匿ってもらってたんだよ。」

 

「なんでそんなこと。別に戻ってきてもいいだろう」

 

「長は必ず止めるだろう、」

 

「しかし…私なら顔合わせぐらい…」

 

「いくら、長のお気に入りとはいえそこまでは危険だろう。何せ異変が起きた山だ何があるかわからないしな。」

 

「とにかく無事でよかった。」

 

「あぁ、そうだな。」

 

「博麗さん、うちの弟子がお世話になったよ。」

 

「いいのよ。」

 

「また何かあれば頼るかもしれない、またお願いする。」

 

「ええ、」

 

その場では解散して。俺も自宅に帰った。

 

懐かしい。

草木を保存していた箱や研究用のノート。

それらがしっかり詰まった戸棚

どれも俺がここまで生きて周りに知らしめてきたもの。

 

どれもしっかりと残っていた。

 

夕方になり。

部屋に日差しがかかり

日の光に反応する植物か萎えてくる頃。

 

開けていた窓から一人の少女が飛び込んできた。

 

よく見慣れた姿、今朝まで一緒にいた

 

そう、博麗霊夢だ。

 

なぜ唐突にここに来たのか、検討もつかないが…

 

部屋に入るなりこの一言

 

「葉っぱ臭いわね…」

 

「まぁそうだろうよ」

 

「あんた、こんな環境で過ごしてるの?」

 

「あぁ、まぁな。」

 

「山の調査で持ち帰るとはいえ。ちょっと、ちゃんと処分しなさいよ」

「仕方ないだろう数日間空けてたんだ。こうもなるさ」

 

「まぁ、そうね…」

 

「あれ…これは?」

 

「地底の酒、悟り妖怪から貰ったんだ」

 

「そう…あんた地底にも行ってるのね…」

 

「竹林の兎や不死達とも付き合いがあるしな」

 

「やっぱりそうよね…」

 

「いきなりどうした?何か用でもあるのか」

 

「あんた。戻って来る気はないの?」

 

「は?」

 

「だから、神社に戻って来る気はあるか、と聞いてるの」

 

「それ、ここに戻ってきた意味なくなるだろ。」

 

「それが何よ、」

ちょっと待て…意味がわからん…

 

「えっ、待て、お前は俺が戻ったとして、どうする」

 

「前みたいに暮らすだけよ」

 

「一つ聞きたい。」

 

「いいわ、話して」

 

「戻ってきてほしいのか…?」

 

「ええ、そうよ。」

 

「あぁ…そう…」

 

始めからそう言えよ…

 

「だから、あんたに戻ってくる気はあるか聞いたのよ。」

 

「さいですか…」

 

「で、戻ってきてくれるかしら」

 

難しいお願いだなぁ…

 

「うーん…今更過ぎるんだよなぁ…」

 

「嫌なら嫌と言いなさいよ」

 

「あのな…なんでさっき解散したときに言わないんだよ…」

 

「あんな大勢の前で戻ってこいなんて言えるわけ無いでしょ!」

 

「あぁ…そう…まぁな、それはそうだが」

 

「あんたはどうなの。あのときはどんな感じがしたのよ」

 

「んー…ひたすら隠居だったからな。少しやりづらい気はした」

 

「そう…それだけ…?」

 

「あと、散々匿ってもらったのに何もお返し出来ないのが申し訳なかったな」

 

「あぁ…そう」

 

「なんだ、その反応は」

 

「いいでしょなんでも。」

 

なんでもいいなら聞くな…

 

「それで、帰ってくるの?」

 

「戻るよ戻る。それでいいんだろ」

 

「いいのね。」

 

「あぁ、こんな生活にも飽きていた頃だ。」

 

それから、部屋を片付けた、草葉などは山の土に埋め、その他は一頻り売るか捨てるかした

 

その後に義姉に話をする予定だが…

 

「ちょっと。どういうつもりだ」

 

向こうから来たようだ

 

「何か用か?」

 

「あんた博麗さんのとこに行くそうじゃないか」

 

「あぁ、そうだが。何か問題でも?」

 

「約束、破る気?」

 

「約束なんて、した覚えないぞ」

 

「そうか、あれは嘘だったんだな!」

 

「嘘も何も、俺は了承してない」

 

「そんな!じゃあ私は…どうなる…」

 

「俺以外にも男なんてどこにでもいる。」

 

「お前は一人しかいないんだ!」

 

「知るか…散々振り回していて、今更そんなこと言うのか」

 

「何がいけない!私が何が悪かったんだ!」

 

「それぐらい教えなくても、いずれ気づく」

 

これ以上は無駄か。

 

「じゃあ、俺は行くからな」

 

「待ってくれ!まだ…まだ!」

 

「もういい、無意味だ!」

 

「そんな…」

 

「……じゃあな」

 

里を出てしばらく歩いた

それから、かなり長い階段を登る。

登りきった先には紅白の巫女が…博麗霊夢が表で掃除をしていた。

 

「遅くなった。」

 

「何してたの?」

 

「義姉と話」

 

「そう…別れたの…?」

 

「どうも好ましくない。それに散々悪態つかれてたからな。潮時だ。」

 

「簡単に言うけど、彼女の気持ちは考えたの?」

 

「誰でも別れるのは辛いだろうけど、それでもこればかりは我慢の限界だ、」

 

「そう…」

 

「皮肉だが…自業自得なんだよ…」

 

「私はどうなるのかしらね」

 

「さぁな、」

 

「中でゆっくりとお茶にでもしましょうか」

 

……………………………………………

 

 

 

「ちょっとこっち来て」

 

「なんだ?」

 

「いいから。」

 

霊夢が襖を開けて外を指さした。

 

するとちらちらと雪が振り始めてきていた。

 

「雪か。」

 

「ええ、雪ね」

 

「今年も積もるだろうな。」

 

「そうなったら、雪掻き手伝ってくれるわね」

 

「まぁ、もちろんさ。」

 

ちらつく雪を眺めながら考えていた。

もう半年になる。

しかし、あいつとはたった一月だ。

 

そうか、これがあいつと霊夢の差なのか。

そう考えてしまう自分がいた

 

「ぼぅっとして、何を考えているのかしら」

 

「ん…?あぁ、これからの事だな」

 

「これから…?」

 

「あぁ、春が来たらまた忙しくなるんだろう。」

 

「ええ、そうね。里にいったり紅魔館、地底、竹林、色々周らないといけないものね。」

 

「俺は全くの他人だから。周っている間は待ってるよ」

 

「別についてきていいのよ?」

 

「邪魔になるといけないからな」

 

「邪魔になんかならないわ。」

 

「そうだといいが、でもまぁ、待ってるさ」

 

「そう、わかったわ」

 

 

そんな会話を続けていると、だんだん日が落ちて来ていた。

 

「そろそろ締めましょうか。」

 

「あぁ、今日から冷え込むな」

 

「ええ。炬燵出していて正解だったかもね」

 

「掛布団出さないとな」

 

「衣替えの準備が必要ね」

 

そういうと夏から秋にかけて使用していたものなどを仕舞い込み、冬用の布団や暖房器具などを用意していた。

 

隙間風が入りこむのどうしても冷たく感じる。それに反応したのか霊夢が身震いしていた

 

「どうした、寒いか?」

 

「ん…大丈夫よ。」

 

「冷えるといけないからな、」

 

箪笥から俺が冬によく着ていたコートを出して渡した

 

「別にいいわ、大丈夫よ、」

 

「着て暖かくする分にはタダだ、着ておけ」

 

「そうね…ありがとう」

 

炬燵で暖まりながら読書をしていると。向かいの霊夢がうつ伏せていた。

 

どうやら寝てしまったようだ。

 

座ったままうつ伏せて寝るのはあまり良くないから。座布団を枕代わりにして、横になるよう姿勢を変えておいた。

 

「こう見ると普通の女の子だな。」

 

普段は鋭く、心まで見抜くような彼女だが、寝姿は至って普通の女の子で、その姿はあいつとは違いすぎていた。

 

特になんの力もないが、男として守ってやりたいという、謎の使命感まで湧く。

 

霊夢から目を離し。そっと襖を開け外に出る。

 

「冬か…」

 

風が冷え、雪が頬に当たって冷たい

 

「もうこんな時期だもんな…」

 

鳥居からの風景にも慣れてでもそれがとても愛おしく感じるようになっていた。

 

霊夢はこの風景を守るため。幻想郷を守るためにこの神社のこの場所にいるのだろう。

 

「割に合わないな、ほんと」

 

そんなことを呟きながら。表の落ち葉を掃いていた。

 

 

……

 

 

掃き掃除を終えた頃に鳥居の方から何かが飛んできていた。

 

人の姿をしている。

恐らく妖怪だろう

 

箒を鳥居に立て掛け。出迎える。

 

やって来たのは

 

冬の妖怪、レティ・ホワイトロック。

 

「ごきげんよう。」

 

「珍しいなこんなところに来るなんて。」

 

「せっかく冬になったのだから、霊夢に挨拶でもしようと思ってね。今は炬燵で寝てるんでしょう?」

 

「あぁ、そうだ、よくわかったな」

 

「この時期は毎回そうなのよ。せっかくだからチョットお姉さんと世間話でもしないかしら」

 

「あぁ、今掃除を終えたところだし。」

 

 

 

「あなた、里の女と別れたらしいわね。」

 

「あぁ、あいつか、」

 

「彼女貴方と別れてから山の調査を始めたらしいの。」

 

「へぇ、俺がいなくなってあいつがやることになったのか。」

 

「そう、それで、ここからが本題」

 

「それで?」

 

「彼女、妖怪に襲われて亡くなったわ。」

 

「そうか…」

 

「山を知らない人間なんてすぐ妖怪に襲われるものよ。」

 

「まぁ、当時の山は異変後で何が起こるかわからなかったからな。」

 

「それに、貴方は山の連中と顔見知りでもあるから、警戒されることはなかったけど。彼女は全くの他人、侵入者として見られてもおかしくないわ。」

 

「まぁ…起きたことはもう変えれないからな」

 

「残酷な運命を貴方が彼女に押し付けたのよ。」

 

「それを俺に言ってどうする」

 

「あら、案外、いや、以外な反応ね、」

 

「なんだ、どうしたいんだよ。」

 

「なにも、罪悪感でも植え付けてみようと思っただけよ。」

 

「そうか、」

 

「案外つまらないわね。」

 

「人が妖怪に襲われるのは仕方のない事だ。」

 

「ふーん…まぁそれだけよ。」

 

「ほら、霊夢に用事があるんだろ。早く行けよ。」

 

「冷たいわね」

 

「多分もう起きてるぞ。」

 

「そう、わかったわ」

 

レティが霊夢のところに行き境内はまた静かになる。

 

薄らと雪がつもり始めてきて。

石畳に足跡が残る。

 

「俺も戻るか。」

 

雪を払ってから、神社の中に戻る頃レティが帰って行った。

 

 

 

……

 

部屋に戻ると霊夢がみかんを食べながら話しかけて来た

 

「ねぇ、」

 

「ん?」

 

「あんたってどう思ってるの」

 

「主語がない。」

 

「あんたって私のことどう思ってるの」

 

そう思えば考えたことはあるがそれを形にしたことがなかったな。

 

「どう思うか、そうだな、」

 

「私もあんたにはここにいてほしい理由を話してないし、話した覚えもない。」

 

「あぁ、聞いたことないな」

 

「でもね、私はなんであんたを選んだかはしっかりとした理由があるの」

 

「理由か、」

 

「あんたはここ(幻想郷)を知りすぎてるの、地底にも竹林にも山にも足を踏み入れてる。」

 

「それがどうした?」

 

「だから、顔が広すぎるのと、知りすぎていること、それすら私にとっては脅威なの。」

 

「なんでだ?それが何を意味する?」

 

「あなたの今の立場ならどんな異変でも起こすことが容易なの。」

 

「力のない者がどうやって異変を起こすんだ。」

 

「異変を起こすのに力なんていらないわ、力を持つものを利用すれば異変なんて簡単に起こせるんだから。」

 

「虎の威を借る狐…」

 

「そういうこと。」

 

「力無くして異変を起こす方法…」

 

「だから、彼女は死んだのよ。」

 

「彼女?」

 

「あなたが別れた里の女。」

 

「あいつが何か?」

 

「妖怪に身を売って妖怪を利用しようとした。それでそれが山の妖怪にバレた。」

 

「そういうことなのか…」

 

「レティにからかわれたようだけど、あなたにはなんの非はないわ」

 

「もとより気になんかしてない」

 

「そう、」

 

「それで、俺は監視されているわけか。」

 

「あくまで形としてはね」

 

「逃げも隠れもしないさ。そういう事なら妖怪の賢者だって目を張ってるんだろ。」

 

「なかなか鋭いわね。その通りよ。」

 

「誰かを利用しようなんて、俺にはそんな芸当は無理だ、何せ利用することの恐ろしさを知りすぎてるからな」

 

「そう、ならいいのだけれど。」

 

「俺はな、霊夢とこの半年暮らして思うことがある。」

 

「何かしら?」

 

「俺では釣り合うわけがないんだよ」

 

「どうしてそう思うのかしら?」

 

「ただの人間、力も能力もない、そんな存在が幻想郷を護る偉大な巫女に何ができる?」

 

「さっき行ったでしょう、貴方は見えない大きな力を持っているのよ?もう忘れたの?」

 

「見えない力…?」

 

「訂正、力なき力」

 

「あぁ…虎の威を借る狐か、」

 

「いい?既に貴方は私に利用されていて、そして私を利用しているの。」

 

「博麗霊夢という存在と、幻想郷を知り過ぎた人間か、」

 

「私にとっては脅威な存在は裏を返せばその脅威すら利用できる。」

 

「なるほどな。」

 

「だから、釣り合わないわけがないの。」

 

「確かにそうだな。」

 

「それで、あなたの答えは?」

 

「好きとは思ったことはない。でもそれを超えたような感情は最近感じる。」

 

「そう、わかったわ」

 

「私もね、散々こんな話をしてるけど、貴方が居ることに安心感を感じてる、頼りになりすぎてるの、」

 

「そうだったのか…」

 

「だから、戻ってきて欲しかったし、ここにいて欲しいの。」

 

「…わかったよ。」

 

「これからも…よろしく…」

 

みかんを頬張りながら恥ずかしく言う一言に心が揺らぐ。

 

「あぁ、こちらこそな」

 

どうやら、俺はあの景色と霊夢を護らないといけないようだ…

 

でもそれは、俺にとっても彼女にとっても代わりがいない。

 

だからこそ必要とし合うのだろう。

 

 

 

 

気がつくと霊夢はまた眠ってしまっていた。

 

横にして寝かし。

その隣で寄り添うように

俺も眠ることにした。




これからも変わらないスタイルで書いていこうと思います。


それではまた会えたら会いましょう
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