物語館   作:むつさん

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どうも悠樹@夢子&松K.です

題名…かなり適当に付けました
なんかぱっと出てきたのがこれです。
話とあまり関係ない様なある様な…

今度はしっかり考えないと…

ではごゆっくり


貧乏神に幸あれ

人里を歩いていると。

視界の先に何かに群れる子供たちを見つけた。

 

何だろうか。囲むようにしているせいで、それが見えない。

 

「ちょっと寄ってみるか」

 

最初はその程度の好奇心だった。

 

「なぁ君たち。何を見てるんだ?」

 

そう言いながら覗いてみた。

そしたらそこには…

 

「あっ、あの。」

 

みすぼらしい身なりの女性が地べたに座り込んでいた。

 

「何か食べ物ないかしら。お腹空いたの」

 

生憎だがキャラメルしかない。

それでもいいなら

 

「ほら、空腹を紛らわす程度だけど。」

 

「あ!ありがとう!」

 

女性は小さなキャラメルを口に入れると、さもご馳走を食べたような反応をする。

 

「これ、もう一個やるから、またお腹空いたら食えな。」

 

「え…いいの…?」

 

「まぁ、まだあるからな。」

 

気がついたら子供たちは居なくなって、俺と女性の二人だけだった

 

今居る場所は大通りからかなり外れた場所で、普段人なんか寄り付かない。

 

何で俺がここにいるかというと、

ただの仕事帰りの近道だからだ。

 

「それか、腹減ってるんだったらうち来るか。」

 

「いく!いくわ!」

 

女性は、すっと立ち上がった

 

「はは、なかなか元気だな」

 

俺が歩き始めて少ししたときだ

 

「あっ、でも…」

「どうした?」

 

ずっとうつむいていて、何か言いたげな様子だが。

 

「私…貧乏神だから…」

 

貧乏…神…貧乏神?

あぁ、そういうことか。

 

「お前、依神紫苑か?」

 

「そ、そうよ…」

 

「ああー、なるほどな」

 

貧乏神を助けるなんてかなりの大馬鹿者だと思う、だけど、別にそんなの気にしない。

目の前でよわってる誰かをみて、

それを見ぬふりするのは性に合わない

 

「いいよ。ほらうまい飯作ってやるから。」

 

「ほんとにいいの?」

 

「うまい飯はいやか?」

 

「イヤじゃない…むしろ食べたい」

 

「じゃあ、ついてこい」

 

スタスタと早歩きでついてくる。

 

家についたはいいが

片付けをしていなかったな

 

「まぁ、適当に座っててくれ。」

 

「質素な家なのね。」

 

「ん?、まぁな。普通って言うのが一番いいだろ」

 

「そう?なのね。」

 

「何かしら飾るのは好きじゃないしな。」

 

「そう。」

 

時間もそんなにないから手早く夕飯を作る。

 

「こんなんでいいか。」

 

炒飯にサラダそれと汁物。

時間がなかったりそれ程気力のないときはこれで済ませる、

 

「あの…ほんとにこんなのいいの?」

 

「俺がいいっていうんだからいいんだよ。」

 

「わかった、いただきます。」

 

口いっぱい頬張る。

とても女性らしい振る舞いではないが。

でも貧乏神となればまぁ、さほど気にはしない。

 

「うまいか。」

 

「ええ。とっても。」

 

「そりゃよかった。」

 

食べ終わった彼女は、とても満足げだった。

 

一息ついたところでなんだかんだと済ませようと思ったのだが。

 

「紫苑。だったか。」

 

「あっ、えっと、もう出てったほうがいいわよね…」

 

うつむきながらそういうことを言うものだから少し困った

 

「宛は?あるのか?」

 

「ない、」

 

だろうとは思ったけど。

 

「妹さんはどうなんだ?」

 

「女苑は…」

 

それから何も言わずうつむいている

何か後ろめたいことでもあるか。

まぁいいか。

 

「まぁ、出るのは構わないけど、宛がなければまたここに来るといい。」

 

「わかったわ…」

 

一言だけで了承して、出ていってしまった、

 

俺は仕事の後始末を終えるとそのまま寝た。

その晩は紫苑が戻ってくることはなかった

 

 

次の日の朝、起きて気がつくと雨音が聞こえた。洗濯物を外に干したままなのを気付き急いで取り込むが…間に合わずほとんどがまた濡れている。

 

「うーん…」

 

悩んだ末、知り合いの洗濯屋に頼むことにした。

 

カバンに服を詰めて外に出ると。

 

「あの…おはようございます…」

 

「あれ?紫苑か?」

 

ずぶ濡れの状態で軒先で待っていたみたいだ。

 

「そんなところにいるより、ほら中に入れ、」

 

「う、うん…」

 

タオルを渡して紫苑が身体を拭いている間に、温かいお茶を用意する。

 

「寒かったろ。ほら。」

 

「ありがとう…」

 

お茶を飲んで一息ついたようだ。

 

「服、濡れてるな。」

 

「いいのよ…これしかないから。」

 

「ちょっと待ってろ、」

 

箪笥にいくつか服がある。

 

「まさか貴方、女性用の服持ってるの?」

 

「ああ、少し前に服屋の手伝いしててな、その時の残りがいくつかあるはずなんだ。」

 

と、言ってるうちに見つかった。

 

「今着ているものに近いな。これでいいか? 」

 

「え。ええ…いいけど…」

 

着替えたあと。服はすぐ洗濯桶で洗って

その日取り込んだものと一緒に屋内で干した

 

「雨。降ってるからな。」

 

「あの…何から何までありがとう…」

 

「いいんだよ。」

 

「でも、私に関わると貴方も不幸になるのよ?」

 

「誰かそうやって決めた?」

 

「それは…誰も…」

 

「俺の幸不幸は俺が決める。だから紫苑のせいで不幸になったかどうかはその時俺がどう思うかだ。」

 

「……」

 

「別に何か起きても気にしないよ。その時を乗り切ればいいだけ。」

 

「そう…」

 

そこで一度話が途切れた。

けど、また紫苑から話しかけてきた。

 

「貴方はなんでそんなに…」

 

「ん?」

 

「どうしてそんなに気楽でいられるの?」

 

「…それは俺もわからない」

 

「わからないって…」

 

「多分辛いこととか悲しいこととか、沢山味わって来たからと思う」

 

「どういうこと?」

 

「俺は、小さい頃イジメられてた。金持ちの家に生まれて、何一つ不自由なく育った」

「でも親は俺に目もくれず商売ばかり、それ捨て子もどきだって親に見合わないって」

 

「お金持ちだったのね」

 

「でも、親が俺に目もくれない理由は他にあったんだ。普通なら起こらないはずなんだ」

 

「何があったの?」

 

「俺は…半霊なんだよ。」

 

「は…半霊?どうして…」

 

「元々母親に取り憑いていた悪霊の類が腹の中の俺に移って、産まれるときに俺の半身となって出てきた」

 

「それじゃ、貴方悪霊に取り憑かれてるわけ?それって…」

 

「いや、もう悪霊はではないな。」

 

「えっ?どういうこと…消えたの?」

 

「ふよふよと無意識に浮かんでるよ。」

 

「そうなのね…」

 

「そう、それでそのうち本当に親に捨てられて、でもどういうわけかまた別の金持ちの家に養子として、拾われた」

「養子として拾われてからは可愛がられたさ、弟分もいたし楽しかった、でも弟分が事故でなくなってから両方共とも実の息子を亡くしたショックで自殺しちまった。」

 

「…なんていうか…その。」

 

「うん、わかってる。結局二人の遺産は俺が相続することになって、それからずっと独り身だよ。金はあるけどやることは仕事ぐらいさ。」

 

「ごめんなさい…私、こんなところに居たらだめな気がしてきたわ…」

 

「別にいいんだけどな。」

 

「だって、それだけ不幸が続いたあとなのに。私が、」

 

「だからこそ、俺の不幸は俺が決めるさ。」

 

貧乏神か…紫苑の思う不幸って何だろうか

 

「貴方はそれでいいの?」

 

「良くなかったら、とっくに俺もここにいないさ。」

 

「そう…」

 

「そうだ、風呂沸かしてくるよ、少し待っててな。」

 

雨でずぶ濡れだったからな。

体温めた方がいい。

 

「ありがとう。」

 

紫苑が風呂に行っている間に昼の用意をしておく。

昨日みたいな粗食だと、あまり良くないだろうか

 

「これでよし。」

 

「あっ、もしかして私の分も?」

 

「あぁ、もちろんさ。」

 

話をしながら昼を済ませた。

お気に入りの場所や最近の出来事

人里の話など。いろいろ話した

話をしてると思うのだが

やはり貧乏神とは言っても、普通の女性と変わりがない気もする。

 

実際になにか起きない限りは貧乏神っていうのは感じないかもしれない、

 

「ご飯、ありがとう。」

 

「いつでもごちそうするさ。」

 

夕方にかけて雨は止んでいった。

雨が止んだなら買い物に行かないと。

 

明日の分の食材を買い足しておかないといけない。

 

「少し買い物に行ってくるよ。」

 

「別にそれは構わないけど。貴方、見ず知らずの女性を自分の家に一人で残すなんて正気?」

 

一つ立ち止まって考えてみれば

確かにそうか。貴重品や金庫の中身も盗られかねない。

 

「んー。確かにいろいろと問題があるかもしれないな。」

 

だが、紫苑がそういうやつだとは思えない。

 

「なら、出ていくか?」

 

「えっ…」

 

そんなことは冗談だが。

仮に盗られたとしたら、

それはそれでその時次第だな

 

「冗談だよ。でも、買い物についてくるのはお前が好ましくないんだろ?」

 

「…いいわ、待ってるから。」

 

結局一人で買い物に来た

 

買い物に市場まできたはいいが

紫苑が物を取るような風には見えない

 

一通り終えてから家に戻る。

 

「あっ、えっと…」

 

家に入ろうとその瞬間、紫苑が袋を持って家を出てきた。

 

「その袋の中身は?」

 

「えっと…あの…」

 

「まぁ…いいや、持っていくなら好きにすればいい」

 

「ほんとに言ってるの?」

 

「それが正しいと思うならそうすればいい。」

 

「何よその言い方。」

 

「そのままだけど。」

 

「…いいわよ…わかったわよ!」

 

急に怒り始めた…

 

「キレられても困る。持っていくんだろ?どこに行くかは知らないけど。」

 

「返すわ、いらない。」

 

そう言って袋を押し付けて俺の家に戻って行った。返すのはいいのとして。わざわざ俺の家に戻っていくのか

 

俺も家の中に入ると機嫌悪そうに椅子に座っている。

 

「あのな、」

 

「何よ」

 

相当不機嫌な様子みたいだ。

 

とりあえず買ってきた物を納めるか。

 

「ねぇ、」

 

「どうした?」

 

「なんで、貴方には何も悪いことが起こらないの?」

 

「そんなこと言われてもな。」

 

正直その問いには困る。

 

「私は負の象徴なのよ?貧乏神なのよ?」

 

「そ、そうだな。」

 

「なのになんで何も起こらないのよ」

 

「まあ、いつか何かあるだろ。」

 

「いつかって…」

 

「そんなこと気にしていたらキリがない」

 

「……」

 

それから紫苑は黙ってしまった。

 

気がつくと紫苑は椅子に座ったまま寝てしまい。仕方なく布団に寝かせる。

 

落ち着いた寝姿はおとなしくて普通の女性なのだが。本当に貧乏神とは思えないくらい可愛らしさを感じる。

 

「俺も寝るか」

 

 

次の朝。

起きたときには紫苑の姿はなかった。

まぁ、当然といえば当然か。

 

そう思って起き上がった瞬間、

外から衝突音と悲鳴が聞こえた。

 

驚いて飛び出すと、

人力車と籠車が横たわっていて、

その周辺に何人もの怪我人が見えた。

 

「あんたら大丈夫か!」

 

周囲に呼びかけてすぐに救護を呼ぶ。

 

なんとか怪我人は皆医者のもとに行けたようだ。

 

にしても珍しい、籠車と人力車がぶつかるなんて。

 

どちらも人の手があるはず。

それが正面衝突なんて万に一もありえないはずなのだが

よほど双方がよそ見をしていたか…

 

「朝から事故か…」

 

目が覚めてすぐだから。

目覚めが悪いというわけでもないが。

何か腑に落ちない感じがする。

 

「まぁ、気にしていても無駄か。」

 

そういえば紫苑はどこに行ったのだろう

また路頭で座り込んでいるのだろうか

そう思うと服もそのままだし

前の服も家にまだ干してある。

 

「まぁ、そのうちまた来るか。」

 

それからしばらく

紫苑に会うことはなかった。

元々は無縁で他人同士だったとはいえ

流石に心配になってきた。

 

仕事帰りに遠回りしても

休みの買い出しの時も、

道端でしゃがみこんでいるのかと探して見ても見つかることはなかった。

 

「きっと妹と一緒にいるんだな。」

 

そう思い、探すのをやめた。

 

家につくと。

見慣れない人影が家の前に立っていた。

 

「どちら様ですか?」

 

「あ、」

 

派手な服装だ。人里にこんな人いただろうか?

 

「あんたが姉さんの言っていた、えっと、」

 

「半霊、か?」

 

「それ、間違いないんだね。」

 

紫苑の妹か、にしてはすごく風格というか見た目が違い過ぎる。

 

「まぁ、とりあえず入って。」

 

「えっ、あっ、うん。」

 

とりあえずお茶を出すか

 

「質素な家なんだね。」

 

「まぁ、一人で住んでるからな」

 

「お金持ちなんでしょ?」

 

「まぁな、それは、紫苑から聞いたのか?」

 

「そうだよ。美味しいご飯をごちそうしたんだってね?」

 

「まぁ、客人をもてなすのが家主の務めだからな」

「あんたはそれが目当てで来たのか?」

 

「半分外れで半分当たり」

 

半々?、どういうことだ?

 

「姉さんが世話になったって聞いたから少しお礼を伝えに来たっていうのと、ついでにご飯をごちそうさせてもらおうかなって思ってる」

 

「なるほどな、昼飯なら構わないよ。紫苑にはまた来るといいって伝えておいてくれ。」

 

「それが、最後に貴方の話をしてから、それ以降、姉さん見かけないの」

 

「やっぱりそうなのか、人里でも少し探してみたが見つからなかったからな」

 

「霊夢のとこにいるのかな。」

 

「それなら心配ないんだがな、」

 

昼を用意してなんだかんだと話をして済ませた。心当たりはないが、何かないかと二人で考えていた。

 

「そういえば、この前天狗達とすれ違ったときなんだけど。」

 

「うん?」

 

「なんか、妖怪の山に見慣れない人影が居るって話を聞いたんだよね。」

 

見慣れない人影か、

 

「普通なら人間は立ち入らないし、そうじゃなくても天狗達の目に入れば何かしらあるはずじゃない?」

 

「まぁ。確かに。山は立ち入りは厳しいからな。」

 

「不法侵入ならわからなくないけどそれなら尚更天狗達に捕まるだろうし。」

 

「天狗達ですら関わろうとしないとすれば」

 

「その可能性はあるかもしれないんだけど、私は既に天狗達に厄介払いされてるから入れないんだよね。」

 

なるほど、まぁわからなくはない

これは俺が確かめてみるしかないか

 

「俺が行ってみるよ。」

 

「いやいや、流石に半霊でも、山は厳しいよ。」

 

「武器はある。武術剣術なら人並み以上の自信はある。同じ半霊に稽古をつけてもらったこともある。」

 

「よっぽどの自信なんだね…まぁ行ってみる価値はあるんじゃないかな。」

 

「もしそうだとしたら、一つ心当たりもあるしな」

 

「これは期待しておこうかな、」

 

「まぁ、あくまでその人影が紫苑であるならばの話だ。」

 

「私はそうであってほしいんだけど。」

 

「姉だからか?」

 

「もちろん、知らない間にいなくなってそのまま消息不明だなんて嫌だから。頼んだよ」

 

「まぁ、今回ばかりは頼まれるよ。俺も紫苑に無関心ってわけでもないし。」

 

「姉さんには落ち着いてもらえるとありがたいんだけどね。いっそあんたのとこに居候させてもらえたらいいかな」

 

「この家も狭くなるよ。」

 

そう言って立ち上がって軽く身支度と。

育ての親の形見である日本刀。黒楼と碧霧を持っていく。

 

「いいものをお持ちなんだね」

 

「外の世界の物らしいんだ、育ての親が大切にしていたんだ。」

 

「それ持って稽古つけてもらってたのかな?」

 

「この前初めて鞘を抜いたときは刃こぼれとサビとが、ひどかったからな。いくつか宛を探してみたが身内の鍛冶屋は受けてくれなかったよ。」

 

「そんな業物、鍛え直すのも一苦労でしょ。」

 

「まぁ、そうかもなぁ。」

 

「私が鍛冶屋だとして、それでもいくらお金払われてもやらないわ。」

 

「そんなにか?」

 

「素人でも目でわかるくらい、いいものだと思うわ」

 

「そうか…」

 

そんなに価値のあるものなのか。

形見だから大切に保管してはいたが。

 

「それで結局誰が鍛え直したの?」

 

「多々良小傘っていう妖怪が話しかけてきてな、自身があるからってお願いしたんだ。」

 

「唐傘お化けの?まぁ噂はちらっと聞いたけど…」

 

「でも数日したらこれが帰ってきたんだ。多分本物の鍛冶屋なんだろう。」

 

「あの霊夢の退魔針を作ったって噂もあるし。本当かもしれない…」

 

「そろそろ行くよ。」

 

「わかった。」

 

「あ、その前に。」

 

「どうしたの?」

 

「これ、渡しておくよ。」

 

「袋…?お金だね…これを私に?」

 

「もし紫苑が先に見つかったら、その金でうまい飯とあいつに似合うような服を着させてやってくれ。」

 

「えっ?うんと、わかった。」

 

そう言って二人で家から出て別れた。

 

「さてと。山は久々に行くな。」

 

山には以前、烏天狗のせいで世話になった。

その時の忘れ物もついでに持っていくから

それを理由に山に入れそうだ。

 

「関所はまぁ…大丈夫だろ。」

 

そう考えているうちに、山の関所に着いた。

 

「おい、そこのお前、止まれ」

 

言われた通りとりあえず足を止める

 

「うん?お前、以前ここに来たことあるな?」

 

覚えがいいな。

 

「あぁ、記者の烏天狗に振り回されてな、何度かお邪魔してるよ」

 

「やっぱりそうか、今度は何をしに来た」

 

「その時の忘れ物を返しに来たのと、ついでに人探しにな」

 

「忘れ物は私達が預かろう、」

 

「結局振り回されて終わりだからな、いくつか申し立てもあるから、手渡しさせてくれるか。」

 

「わかった。それで。人探しとは?」

 

「あんたらも見てみぬふりしてるんだろ。噂になってる怪しい人影ってやつを」

 

「なっ…!なぜそれを?」

 

「どこから漏れたかは知らないがそういう噂を聞く。」

 

「そうか…その人影はだな…」

 

「言わなくても大体わかる。貧乏神、だな」

 

「ああ…」

 

「まぁ、上も関わりたくないだろうな、」

 

「うむ…放っておけばいいと…」

 

「だろうな、」

 

「私で良ければ協力するが。」

 

「ああ、それには及ばない。宛はわかってるからな。」

 

「そうか。なら道中気をつけるといい、通行を許可したからと言って安全を保証したわけではない、何が起こってもこちらは責任は持たないからな。」

 

「あぁ、大丈夫さ」

 

案外すんなり道を通してもらえた。

 

まぁ先に烏天狗のとこに行くか。

 

関所からそう遠くないところにある小屋、

それが先の烏天狗の事務所になる。

 

「久しぶりにくるな。」

 

「うんと?見覚えのある姿ですね?」

 

烏天狗。射命丸文。

地底やら山やら人里、紅魔館

こいつのせいで色んなところに連れていかれた。

 

「よう、駄天狗。忘れ物返しに来たわ。」

 

「あややや、駄天狗なんて酷いですね」

 

「早く受け取れよ。」

 

「仕方ないですね。これは。写真?」

 

「ああ、各地巡ったときの写真がいくつか俺の家に置きっぱなしになってたんだよ。」

 

「わざわざ渡しに来るなんて律儀なんですねぇ」

 

「まぁ、これはついでなんだけどな」

 

「そうですかそうですか。照れ隠しはよしてくださいなー」

 

「それじゃ、俺はもう行くよ。」

 

「ちょ、何か反応してくださいよ…」

 

「いや、渡しに来ただけだ、それ以外の用事はないからな。それに少し急いだほうがいいかもしれんからな。」

 

「…もしかして、貧乏神ですか?」

 

「よくわかったな。」

 

「そうですか。」

 

「それじゃ、」

 

烏天狗は特に言い返すこともなく黙って事務所に戻っていった。

やっぱり貧乏神には関わらないっていうのを貫いているのか。

 

「あいつも余程だな。」

 

貧乏神、か

それだけで人に悪く思われるなんて。

優しくないな。

 

山の森を進んでいき、

中腹ぐらいに着いた。

その頃にはもう夕方で、綺麗な夕日が見えてくる。

 

そう、その綺麗な夕日が見える場所だ

紫苑から教えてもらった場所についた

 

「ここに居たんだな。」

 

森の中の岩場。

そこからは人里がよく見えてそして夕日もよく見える。

その岩場の崖先に紫苑は居た。

 

「貴方…よくここがわかったね」

 

「お前が言ってたからな。そうじゃないかって思ったんだよ」

 

「なんで山に入れるの?」

 

「顔を覚えられてるしな、」

 

「…そう。」

 

「ここ、綺麗だよな。」

 

「ええ、とても綺麗。」

 

紅い夕日とそこに映る蒼い姿の紫苑。

二つとない、凄まじい光景だった。

 

「紫苑、また家に来いよ。」

 

「嫌よ。」

 

「そうか。ならまた来てくれるのを待ってるよ。」

 

「…」

 

紫苑はずっと景色を見ていたからか

顔を合わさずただ振り向きもしなかった。

 

後ろ姿しか見せなかった紫苑だったが

俺が立ち去ろうとしたとき。

話しかけてきた。

 

「ねぇ。」

 

「なんだ?」

 

「あなたの思う不幸って一体何?」

 

「…さぁ?」

 

「さぁ?じゃないの。教えて。」

 

珍しく強く話し掛けてくる。

 

「深く考えたことはないが…大切な物が目の前から消えた時。そう思うかもしれないな。」

 

「そう…」

 

そのまま俺も紫苑も黙って立ち尽くしていた。

 

 

そんな中どこからか声が聴こえてくる…

 

「おい!そこで何をしている!」

 

指図め、哨戒天狗だろう。

 

「なっ?貧乏神?!」

 

「そうよ。私は貧乏神、私は誰彼構わず不幸にさせてしまう。だから、あなたは早く哨戒の続きに行ったほうがいいわ。」

 

「しかし…この男は…」

 

「俺は関所から許可もらって入ってきてるからな、そういう紫苑は?関所は通ってないんだろ。」

 

「………」

 

「黙りか、不法侵入とあらば…」

 

「ええ、邪魔ならすぐにどこか行くわ」

 

「そういうわけでは…」

 

天狗が話し終える前に、紫苑は崖先から飛び降りていった。

そのまま見過ごすわけにもいかない、、

 

「馬鹿!何してっ!」

 

俺もすぐ飛び降りて紫苑を庇うようにして抱き締める。

 

「なっ!離してよ!」

 

「ふざけたこと言うな!」

 

そう言い切ったとき。強く地面に叩きつけられ、斜面から転がり落ちた。

 

動きが止まったときには全身に激痛が走り、

体が思うように動かなくなっていた。

 

「ちょ、ちょっと!しっかりしなさいよ!」

 

目は微かに開く。

映っていた景色は夕日で焼けた空と涙を流しながら話しかける紫苑の顔。

 

「無事…か…」

 

最後の力を絞って言葉を発する。

微かに動く腕で紫苑の顔に触れる。

その時の腕は、所々に木片が刺さり、血で赤くなっていた。

 

「喋らないで!無理したら、余計にひどくなるわ!」

 

その声も既によく聞き取れていなかった。

次第に気が薄れていく…

目を閉じると。そのまま何も感じなくなった。

 

……

 

「ちょっと…ねぇ…返事してよ!」

 

彼はそのまま。意識を失ってしまった。

微かに息はしてる。まだ生きてる。

早く治療しないといけないが

 

そう思えど。私も体中が痛い。

今の私に怪我人を運ぶほどの力はない…

どうしたらいいかと、そう思った矢先、聞き覚えのある声がした、さっきの天狗だろう。

 

「助けて!こっちよ!早く来て!」

 

できる限りの力で叫ぶ。

 

気が付いたのか、天狗は止まってこちらを見た。だが、少し止まって驚いた表情をした後どこかに行ってしまった…

 

「ちょっと!」

 

私が貧乏神だから?

私が貧乏神だから…彼はこんなに大怪我をして死にかけて。それなのに…助けを求めても逃げられてしまう

 

「ごめんなさい…私…私…」

 

何も言えなかった。

何を言ったって彼には届かない。

死人に口なしとは言えないが、

今の彼には意識がない…

謝っても…彼は返事をしてくれない。

 

座り尽くして…

ただずっと泣いていた…

それしかできず、

それ以外考えられなかった。

私のせいで人が不幸になるなんて

私の中ではよくあることだった。

でもそれが自分を庇ってまで大切に思う人まで、死の縁に追い込まれるほどの不幸を起こしてしまった。

 

罪悪感で胸が苦しく。

何もできない自分がとても情けなかった。

 

泣き続けていたその時。

 

「姉さん!大丈夫!?」

 

妹の声だ。

振り向くとそこに女苑と先の天狗がいた。

 

「女苑…私…」

 

「姉さん…これは…」

 

女苑の絶望したような顔。

天狗の俯く顔。

どちらも私の罪悪感を膨らます。

 

「だめだよ…まだ諦めちゃ!」

 

「えっ…?」

 

「まだ息をしてる!生きてるんだよ!早くしないと!」

 

女苑は天狗に話す

 

天狗は飛び去っていく。

 

「姉さんも怪我してるんだから安静にしててて。ここで待ってて」

 

女苑もどこか行ってしまった

 

全て終わりだと思っていた

そんな中突然起きたことにまだ意識が追いついていなく。戸惑っていた。

 

「…私は…貧乏神…誰彼構わず不幸にさせてしまう…」

 

そう貧乏神なのに。

いわば奇跡が起きたという事だ。

 

考えても見れば不幸の裏返しは幸福

奇跡はまた別の類なのだろう。

 

そう思うとなんとなく自分の中で自己解決してしまった。

 

だが、そう考えているうちに、

私も体の限界が来たようだった。

次第に力が抜けていき

意識を失ってしまっていた

 

………

 

気がついたのか、体に意識は戻ってきたようだ、だが目を開けることすらままならず手足も動かない。

 

体中に怪我を負えばそうもなるか。

 

どれぐらいの間眠ったままだったのだろうか、時間を確認するすべもなく。むしろ現実で生きているのかすら怪しい。

 

「心配しなくとも、あなたは生きているわ」

 

唐突に聞こえてくる。誰かの声

心でも読んでいるのか?

 

「そう、私は心が読めるの、」

 

なるほど、目も口も使えない状態でもそれなら話せるな。

 

それならばいくつか確認したいことがある

 

「何かしら?」

 

まず俺の、心を読んでいるあんたは誰だ

 

「私は古明地さとり、地底であったことあるでしょ?」

 

あ、思い出した。あの姉妹の姉の方か

あと、それでもう一つ。

依神紫苑は。あいつは無事か?

 

「彼女もしっかり治療してもらってるわ、あなたよりも比較的軽傷だけど、精神的に来てるみたいよ。早く貴方が元気になって、彼女に会いに行きなさい。」

 

そうは言っても体のどこも動かないんでは、それもできん。

 

「そうでしょうね、まぁまだしばらく様子見よ。」

 

仕方ないな。まだ当分はこのままなんだろ。

 

「さぁ?私はそういうのは詳しくないわ」

 

そうか、だろうな。

 

それと。ここはどこだ?

 

「人里よ、もっと詳しく言うなら貴方の家」

 

自分の家か、なるほど紫苑はどこにいる?

 

「彼女は永遠亭で治療を受けてるはずよ、

妹と一緒にいるんじゃないかしら。」

 

そうか、ありがとう。

 

「どういたしまして、とは言ってもしばらくは貴方は動けないわ。安静にしておいて頂戴」

 

安静も何も動けないんだよ。

 

「そうね。」

 

話が終わるとさとりは立ち上がって離れたようだ。

扉の音がしてさとりは家から出たようだ

 

誰もいなくなると時計の音だけがよく聞こえるくらい家の中は静かだった。

 

全く…俺も無茶しすぎたか。

 

考えに深けているとまた意識が遠のいて眠ってしまった。

 

 

目が覚めたのは

その半日ぐらい経ったときだ、

 

しばらくは体が気怠いままだったが

目が開いて、手足も動かせた。

ただ、やはり動かすと痛みが走る。

余程、傷口が酷かったのだろう

 

「痛いな…これは…」

 

仕方なく動かずに安静にしておく。

 

気がつくと、物音がよく聞こえてきた。

 

「誰かいるのか?」

 

「あっ、起きたのね。」

 

聞き覚えがあるな。

 

「私よ。女苑よ、」

 

「妹の方か。」

 

「そう、姉さんがあなたの事が心配だっていうから、怪我人をうろつかせるわけには行かなくて、私が来たの」

 

「そうか、すまないな心配かけて」

 

「そりゃ、心配もするでしょ、あんな怪我して心配しないほうがよっぽどの無神経よ。」

 

「まぁ、そうだな、」

 

「動ける?」

 

「動くとかなり痛いな。」

 

「傷口開くと余計に酷くなりそうだね」

 

「あぁ、まぁな。」

 

「治療は永琳にしてもらってるから、どこぞの人里の藪医者より十二分にいいはずだよ」

 

「そりゃ、助かるよ」

 

傷テープだらけの腕

足もそんな感じだ、

 

「ねぇ、あんたさ」

 

「ん?」

 

「姉さんは崖から飛び降りたって聞いてるけど、どうして庇ったの?」

 

「…自分の中でも考えたんだ。今まで一人でいる事が多かったから、他人なんてそう気にしたことはなかった。」

 

そうだ、育ての親が居なくなってから、

誰かと少しでも時間を共にするなんて、

微塵もなかった。

 

「それで紫苑に会ってから何か感じたんだ」

 

「それがあんたの思う大切なもの?」

 

「そう、かもしれないな」

 

「そっか、姉さんが貧乏神だって知ってるでしょ?」

 

「ああ、そりゃもちろん、」

 

「貧乏神を選ぶなんてあんたもよっぽど酔狂だね、」

 

「まぁ、まず貧乏神と関わりたくないと普通思うだろう。」

 

「ましてやその妹の私は疫病神だよ。」

 

「お前疫病神なのか」

 

「そうだよ、言ってなかったっけ?」

 

「まぁ、聞いたことはない」

 

「そうだっけ、まぁ私は姉さんと違って力をコントロールできるけど」

 

「まぁ、できても出来なくても脅威なのは変わりないけどな。」

 

「まぁ、間違いないよ。」

 

最凶最悪の姉妹ってやつか。

これはこれですごいな。

 

「少しでも動くと痛い?」

 

「まぁ…」

 

「じゃぁ、無理しないほうがいいね。」

 

「動くことすらできないからな、しばらくの辛抱だ。」

 

生憎人ではないから空腹感やそういった感覚は長く我慢できる。それでも、永琳の薬なら傷口も早く治ってくれるはずだ。

 

女苑と話していると家の扉が開く音がした。

誰だろうか、訪ねることもせずいきなり開けるなんて…

 

「女苑、いたのね。」

 

「姉さん!怪我してるんだから、外で歩くのはだめだよ。」

 

「だって。心配なんだもの。」

 

「そりゃわかるけど、でも姉さんだって怪我して傷口が塞がってるわけじゃないんだから

安静にしておかないと。」

 

「もう、私なら大丈夫だから。」

 

「そうは言ってもさ。」

 

いつまでも問答が続く。

姉妹らしい会話だ、

 

「紫苑が居たいなら別にいいよ。」

 

「貴方もそうやって…」

 

「大丈夫?ちゃんと生きてるわよね…?」

 

「お陰様でこの有様だけどな。」

 

「ごめんなさい…」

 

「謝ることはない、こうなってもおかしくなかったからな逆に生きてる方が奇跡だと思う。」

 

「そうね。怪我だらけとはいえ、命に別状はないって言ってたから」

 

「なら放っておけば治る。」

 

「まぁ…間違いじゃないけど。」

 

紫苑か近づいて手に触れる。

 

「ほんとに、酷い怪我ね…」

 

そう言いながら手に触れる。

 

「まだ痛いから動かされると困るんだが」

 

「あっ、ごめん、」

 

「お前も無理するなよ。」

 

「う…うん。」

 

紫苑は俺の隣で座ると、

また手に触れてくる。

 

「やっぱり…痛いよね…」

 

「そりゃ、まぁ」

 

「なんで私を庇ったの?」

 

「…自分が傷付くよりも、お前がいなくなる方が嫌だったからだ」

 

「それが、貴方の不幸?」

 

「そうとも言える。」

 

「私は貧乏神なのよ?」

 

「ああ、そうだな、」

 

「そうだなって、そんな、なんとも思わないの?」

 

「確かに貧乏神かもしれないけど、俺からすれば普通の女性と変わりないんだ。何かと理由つけて嫌うとか近寄りたくないとか、そういうのは嫌いだから」

 

「普通の女性。ね」

 

「普段はみっともない姿してるけど、ちゃんと着飾って髪も整えて。そうすれば美しい女性だし」

 

「おふろ借りたときね、」

 

「ああ、その時、凄く勿体なく感じたんだ、でも貧乏神だからって拒否するだろうと思ってな」

 

「…私は、貧乏神だから、」

 

「そう言うと思った。だから、特に何も言わなかったんだ。」

「なんていうか…その…貴方にとって私は、大切なのね…」

 

「まぁ、それ以上、かな。」

 

「…ありがとう。」

 

「よかったね、姉さん。」

 

「うん、」

 

「あっ、そうだ、これ返すよ。」

 

女苑が持ってきたのは以前渡した袋だった

 

「あっ…この袋…」

 

「覚えてるんだな、そう、紫苑が持ち出そうとした時のものさ」

 

「そうだったの?姉さん」

 

「う…うん…一度盗もうとしたときがあって」

 

「それをわざわざ私に持たせるなんてね」

 

「まぁ、受け取っておくから、机に置いてくれ。」

 

「それじゃ私は出るね、また今度、お大事に」

 

「あぁ、ありがとうな」

 

女苑はそういうと家を出て行った

 

「紫苑は永遠亭に戻らなくていいのか?」

 

「私はここにいる。心配だから。」

 

「そうか、ありがとう」

 

そっと力を入れて手を握る。

少し痛みが走るけど

でもそんな痛みが生きてる証だと思うと

なんとなく嬉しく感じた。

 

「痛くない?大丈夫?」

 

「大丈夫さ。痛いだけだから」

 

「そっか」

 

「これからもよろしくな」

 

「えっと…うん。よろしく!」

 

 

 

今まで戸惑いもあったかもしれない

でも紫苑の笑顔がそれを晴らしてくれた

 

いつも心から誰かと居たいと思った

だから紫苑が貧乏神だと知っていても

たとえ不幸を呼んだとしても

それは俺が紫苑と居る証で

俺の心を少なからず満たしてくれた。

 

だからこれからも彼女を大切にしようと

そう誓って生きていくんだ、

 




毎回の事ですが
書き終わってから題名が思い浮かばないんですよね…
何かと考えても出てきません…
話の内容をしっかりするべきでしょうか
ちょっと考えないといけないかな。

ではまた会えたら会いましょう
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