去年もやりましたこの日の投稿です。
特に言うことはありませんが
ごゆっくりどうぞ
暑い日差しが差し込む中、
ある妖精に呼ばれて
霧の湖に向かって飛んでいた
「あいつは…元気にしてるだろうか。」
毎年真夏は天狗達に呼ばれて
山の作業を手伝っている。
借りている山小屋に戻ると。
「次の休みに会いに来て。」
そんな手紙が置いてあった。
断る理由もないから向かう事にするが
「こんな真夏なのに大丈夫なのか?」
今から会いに行くのは
氷精、チルノだ。
昔は元気で明るい子だってよく言われてたらしいが、今ではそんな風には思えないくらい大人しくて静かだ。
「まぁ、わざわざ呼ぶってことは問題ないんだろうな。」
そんなことを考えながら。
霧の湖に着いた。
「チルノ?いるのか?」
辺りを見渡してもすぐには見つからなかった。
少し移動しながら探していると
気温が下がったような感じがした。
「久しぶり」
大人しくて小さな声
でもそれはしっかりと聞こえた。
「あぁ、久しぶりだったか?」
「うん、久しぶりだと思う。」
日に当たり続けるのはチルノに良くないから木陰に移動するとすぐに体を寄せてきた
「急に呼び出してきてどうした?」
「ん?うん。会いたかったの」
「そうか。それだけか?」
「うん。ありがとう」
そう思えば去年もこんなことがあった気がする。チルノに会ってから何年が経っただろうか。
「どうしたの?何か考えごと?」
「あぁ、俺達、最初にあってから、何年経ったかなって思って。」
「そうだね…もう覚えてないや」
「でも、まだあの家。壊されてないんだろ」
「うん。でもね、もう、壊させないから。」
「そうか。」
最初に会った時、
チルノに家が無かった。
そんな感じの出会いだった気がする。
「懐かしいね、ちょっと思い出した」
「ああ、懐かしいな。」
そう、何年か前の春先のことだったかな。
…
「ちょっと待って」
霧の湖を通過しようとした時
どこからか声が聞こえた気がした。
「ねぇ、待ってよ!」
後ろから声が聞こえて振り向くと、
青い服に青いリボン。
どこか見覚えのある少女が居た。
「何か用か?」
「あなた、何してるの?」
「何かと言われたら、紅魔館の用事済ませるところかな。」
「そっか…終わったら戻ってきて欲しい。」
「ん?まぁいいけど」
そう言って少女は湖の近くの森のところまで行ってしまった、
とりあえず紅魔館の用事、というか咲夜からのお願いを済ませる。
ただのお使いくらいならメイド妖精にさせればいいのに。
それから霧の湖に戻ると、
すぐに少女が話しかけてきた。
「おかえり。」
「あ、あぁ、ただいま?」
いきなりおかえりと言われるのも
少し疑問に思うが…
「こっち来て。」
湖の木陰に誘われて座りながら話をしていた。
「あなた、どこから来たの?」
「どこからって言うと、うーん…」
考えてみると特に落ち着ける場所はないな…
普段誰かしらのお使いで動き回っていることが多い。
「基本的には人里の宿…かな?」
「宿…?家じゃないの?」
「家は持ったことないな。」
「そうなんだ。」
「そういえば名前は?」
「私はチルノ。」
確か氷の妖精だったか?
「チルノ?氷の妖精?」
「そうだよ、あなたは?」
「俺はレイ、水を操れる程度の妖怪かな。」
「レイ。妖怪なんだね。」
「お前こそ、家はいいのか?」
「家は…」
俯いて少し悲しそうに見える。
家族に何かあったのか?
喧嘩でもしたのだろうか、
それなら、少し後ろめたく思うのもわからなくはないが…
「すまない、そんなつもりはなかったんだ」
「ううん。いいの、毎年だから」
毎年…?毎年何かあるのか?
「何かあるのか?」
「冬にね、三月精達が私の家を壊すの」
三月精…?あぁ、なんとなくわかる。
「喧嘩したのか。」
「そういうわけじゃないよ?むしろイタズラ仲間で、仲はいいほうだし。」
「そうなのか、もしかしてそのイタズラで家を壊わされてるのか?」
「うん、いつもは仕返しにとっちめるんだけど、なんか今年はそんな気分になれなくて。」
「それじゃ、夜はいつもどうしてるんだ?家がないのは辛いだろ」
「うんまぁ…三月精に泊めてって言うのも気まずいし…紅魔館はよくお茶とか遊びに行くけど泊めてもらえなかった。」
もしかしていつも野宿なのか?
「だから、この木陰でお昼寝したり夜も寝てる。」
「うーん…他には?ほら慧音先生とかいるだろ。?」
「人里でよくイタズラしてたから…多分無理かな…」
「他に友達は居ないのか?」
「いるよ?大ちゃんっていう大妖精の女の子が居るんだけど…チルノちゃんらしくないって、最近会うことが減ったんだよね…」
「そうか…」
チルノの自分らしさって何だろうか。
「お前にとっての自分らしさってなんだ?」
「ちょっと前までは、おてんばだとか、バカみたいなことしてた。さいきょーだって、でもそれは妖精同士だけ。まぁ、元気で明るいってのはそうだったかな。」
「今は、大人しくて内気に見えるけど」
「そうだよね。どうしちゃったんだろう」
チルノの変化に周りも戸惑うだろうが、それよりもチルノ自身変わった自分に戸惑ってしまっている。
「そのなんだ、落ち込んてばかりでもだめだからな、なんか楽しいこと探そう」
「楽しいこととはちょっと違うかもしれないけど。本を読んでたかな。」
「本か。」
「でもね、家を壊されたときに一緒にいくつが駄目になっちゃったからどうしようかなって」
知り合いとも話さず、楽しさも見つからず唯一の本すら無くなって。
追い込まれてるというか。
そんな状況だと流石にこちらも心配になる。
「本なら紅魔館の大図書館があるじゃないか。」
「うん。今度行くんだ。」
「俺もいくつか用事あるし。良かったら今から行くか?」
「ううん。私はもう少しここに居る。」
「そうか。」
そろそろ移動しようかと立ち上がった時、チルノが小さな声で話しかけてきた
「あの…よかったらもう少し、少しだけでいいから、居てくれないかな…?」
寂しそうに囁きながらそうお願いされる。
何故か断る気になれなくて、
むしろ断ってはいけないような気がした
「いいよ。」
いつものように返事をして。
再びチルノの隣に座ると、チルノは肩を寄せてきて、少しすると肩に頭を乗せる
「どうした?」
「うんと…だめかな、?」
「ダメじゃないが…もしかして寂しかったのか?」
「うん…」
「そうか」
半泣きの状態で俯いてばかりで、どうにか声をかけてやりたいんだが…
「ずっと一人でぼうっとしてたから、こうやって話するのが久しぶりで。ちょっと嬉しかった。」
「楽しかったか?それなら良かった」
「うん。楽しかったよ、ありがとう」
僅かにチルノの顔に笑顔が見えた。
少しでも前向きになってくれているならそれはそれでいいか。
「家、無いんだったな。」
「そうだけど、どうしたの?」
「知り合いに頼んでみるよ。」
「でも、また壊されちゃうよ。」
「でも、今無いよりかはいいじゃないか。」
「そうだけど…」
「それに、俺もたまに寄るからさ。」
「う、うん…ありがとう。」
「それじゃ、そろそろ行こうかな」
そう思って、立ち上がった時、手に冷たさを感じた。チルノが手を掴んでいる
「チルノ?」
「あ…あの…えっと。」
顔を赤くして照れているようで
何か言いたげにモジモジしている。
「まだ居たほうがよかったか?」
「あっ、そうじゃなくて」
「ごめんな、俺も他にやることあるからさ。」
「わかってる…えっと…今日はありがとう!」
そっと手を離すと。チルノは紅魔館の方に向かっていった。
俺も別の用事を済ますために人里に向かった。
それから数日後。
博麗神社に寄った時だ、
「そうだ、萃香。」
「おっ、なんだ?酒の誘いか?」
「いや、他で用事があるんだ。」
「なんだー、そーなのかー」
話聞く気あるのか?
「さ、酒はまた今度な…それで知り合いに家を建ててやりたくてだな、」
「家?家なら私じゃなくて他にもいるだろう?ほら、人里の面子とか勇儀とかさ。」
確かにそうか。勇儀、となると旧都か。
「そうか、確かにな、勇儀に聞いてみるよ。」
「別にいいよー」
旧都か…以前、酒飲みの妖怪に絡まれて散々な目に遭ったばかりで行くのは気が引けるが……まぁ言い始めたのは俺だからな。
悪いことが起こらないよう、少し賽銭だけして博麗神社を後にして妖怪の山に向かった。
山の頂上付近に着くと、
後ろから誰かに話しかけられた
「そこのあんた、地底に行く気かい?」
振り向いてみるとそこには勇儀が居て
旧都まで向かわなくて済んだ。
「勇儀か、丁度いいな。」
「あれ、レイじゃないか、また地底の頼みごとでも受けてくれたのかい?」
「あっ。いや、勇儀に用事があるんだ。」
「私?私がなんか頼みごとしたか?」
「俺が頼みたいことがあるんだ」
「ほう、そういうことか、お前から頼みに来るなんて珍しいね、で、どんなことだい?」
「知り合いに家を建ててやりたくてな、勇儀なら旧都でいくつか経験あると思って、協力してもらえると助かるんだが」
「家か、なるほどね、まぁ普段から良くしてもらってるからもちろん受けるよ。で、どこの誰だい?」
「チルノって妖精は知ってるか?」
「氷精だろ?知ってるさ、建てると言ってもあいつの家はいつも壊されてるじゃないか?」
「まぁ、だからこそ壊れないような家をお願いしたいんだ」
「それってつまり、弾幕にも耐えれる家ってことだろ?」
「まぁ…そうなるだろうな…」
「弾幕に耐えるってなると金属だな…でもそんな量の資源はないぞ…」
「石…でなんとかなるか?」
「強度としてはいいけど、もしも三月精達が一気に弾幕ぶつけてきたら、流石に耐えきれないぞ?」
家を建てるってのも大変なんだな。
頑丈な家ってのは難しいのか。
そうなると協力してもらえるかどうか考えものだな
「どうするかな…」
「例えば、木で建てたとして、魔法か何かでそういう風にできないのか?」
魔法…その手があったか。
魔法ってなると魔理沙かアリスかパチュリーだが、魔理沙は攻撃的だからそういうのはわからなさそうだな。となると近いところでパチュリーだな。
「もちろん私は魔法なんて使えないからな、そうするなら宛を探してもらわないと困るが」
「それに関しては、まぁ大丈夫だろう。」
「まぁ、レイのことだからな、いつからでいいんだ?どうせ私は暇だから今からでもいいんだが」
突拍子もないこと言い出すな。
まぁこういうのは早い方がいいのかもしれないな。
「そうだな。そうしてもらえると助かる。」
「それじゃ、私は人里に行って材料と人員集めてくるよ。魔法のことも合わせて話しておいてくれるか?頼んだよ」
そう言って勇儀は人里に向かっていった。
俺もチルノに話しをするため、霧の湖まで向かった
「チルノ?いるか?」
少し探すと木陰で本を読んでいるチルノを見つけた
「何読んでるんだ?」
「これ?えっと…」
本を閉じると表紙が見えた。
「芸術か、造形に興味あるのか」
「うんと…気になってたんだ。こういうの」
チルノは本を置くと氷を作り出し、形を変え始めた。
「こんな感じ、かな。」
チルノが作り上げたのは家の形の氷像
良く出来ている。もしかして、自分の家を模したのだろうか
「すごいな、さっき読み始めたばかりなんだろ?」
「ん?うん、そうだけど、そんなに上手かな?」
「ああ、良く出来てると思うぞ。」
「うん。ありがとう。」
「それ、飾ると良さそうだよな」
「今度紅魔館に持っていってみようかな。」
「家、建てるから飾るといいんじゃないか?」
「えっ?」
「ほら、この前言っただろ。今から始めるんだよ。」
「そ、そうなんだ。」
「それで。チルノの家ってどこにある?」
「えっと…ついて来て。」
湖の近くの森を進むと開けたところに出た、そこには屋根や壁が崩れた廃屋が見えた。
「ここが、チルノの家」
「また、壊されちゃって。直すのもなんかね…」
呆れて吐き出すように話すチルノ。木陰に座り込んで家を眺めている。
「家を建てるというより、建て直す、の方が合ってるな。」
後ろから声が聞こえて振り向くと、
勇儀とその連れ達がいた。
何人か。人里の人間もいるようだ。
「勇儀、来たのか。」
「ああ、それで、ここでいいのかい?」
「頼むよ、」
「それはいいんだが、チルノの様子なんかおかしくないか」
確かに木陰に隠れて怯えているように見える。
「あの、もしかして。」
「ああ、すまない、話してなかったよ」
「おいおい、大事なところ抜かすなよ?」
怯えるチルノを宥めてやらないと。
「チルノ、確かに協力するとは言ったけど基本的には彼らの仕事なんだ、教えるの遅れてごめんな。」
「う、うん。」
勇儀の後ろの人間達が何か話している。
よく聞き取れないが、何か不満そうだ
「どうした、お前ら」
「いや、あの青くてちっこいの、チルノって妖精だよな。」
「そうだが?それがなにか?」
「いやな…散々いたずらに振り回されて迷惑被ってたから、そんな目の敵の家を建てるってもなぁ、まぁ、他でもよくあるんだろうけど。」
「あ、あの…ごめんなさい」
「あっ?い、今なんて?」
「ご、ごめんなさい…」
「チルノ、落ち着いて。」
「そんな状態で謝られちゃ…こっちが悪いことしたみたいじゃねぇか…頭上げてくれよ…」
「まぁまぁ、心変わりの一つくらい許してやりなよ。」
勇儀のその一声で人間達は気を収めたようで、準備に取り掛かった。
「それじゃ、始めるからな。」
「はい…えっと、お願いします。」
離れて眺めているだけでは言い出した本人として顔が立たないと、思い何かできることはないかと探していたが
「すまないな、レイ、こういう仕事は危険が多いから、いくらお前でも流石に任せれないんだ。あと、基本的な家の形は出来てるからすぐ終わるよ。わざわざ来てもらって申し訳無いけど。人手は足りてるんだ。」
「そ…そうか…わかった。」
木陰に居るチルノの隣に座り込み
作業を眺めていた。
「手伝わないの?」
「どうも、予定していたよりも早く終わるらしくてな。人手は足りてるらしい。」
「そうなんだね。」
「どうするかな」
考えに更けていると、
小腹が空いてきた。
それで一つ思いついたことがある。
「チルノ、ちょっとついて来てくれ。」
「えっ?う、うん。」
二人で人里まで向かい
握り飯やパン、そしてお茶を買い込んだ。
そしてそれを持って家のところまで戻る。
「これ。お昼ご飯だね。」
「手伝いがない分、こういう所で協力できると思ったんだよ。」
「そうだね、皆。お腹すいてるかな、」
「まぁ、そろそろ昼飯時だから、いい具合だと思うんだが。」
そう思って待機してると、勇儀が荷物に気付いたようだ。
「ん?それは?飯か?」
「昼飯は済ませたか?一応全員足りる分ぐらいは買ってきたんだが。」
「昼はまだ済ませてないよ、むしろ、そろそろ休憩挟もうとしてたとこだからな。丁度いいや。みんな!飯にするよ!」
勇儀が叫ぶようにすると、作業してた連中は手を止めて集まってきた。
「二人が食事の用意をしてくれたんだ、せっかくだから頂こうじゃないか」
レジャーシートを広げ。食事が並ぶ。
小さめの宴会のような感じになった。
もちろんお酒はないが。
それはまぁ、仕方ないかと。
こんな感じの日々が数日は続いた。
そして。完成する頃。
チルノの家に向かうと。
立派になった家がそこにはあった。
「すごい…これ、本当にいいのかな」
「何言ってるんだ。当たり前さ、まぁ、まだ手直しがいくつかあるから、もう少し待っておくれよ。」
勇儀が呼ばれると家の外観と内装の見周りに行った。
頷いて笑顔になったところを見ると、
どうやらこれで完成のようだ。
というか、勇儀が満足するほど立派な家なら俺も欲しいくらいなんだがな…
「いやぁ、久々だからつい興奮して手の混んだものになったなぁ。」
「いいじゃないか。その方がありがたいよ」
「まぁそうだな!私達の仕事はこれで終わりだよ。あとは任せたよ?」
「ああ、助かったよ。報酬は今はないから後日でいいか?」
勇儀と話していると、連れの作業員達が割り込んできた。
「いや、報酬はいらないや。正直な所暇だからってのもあるが、何より楽しかった。」
「あと、毎日の昼が何よりご褒美みたいなもんだったしな。お嬢さんと話しながらの飯なんて最高だったよ。ありがとうな。」
「い、いえ、そんな、」
チルノは戸惑っているのか
困り顔と照れ顔が入り混じっていた。
無理もないだろう。前まではいたずらばかりでこんなふうに接してもらったことないだろうからな。
「よかったな。チルノ。」
「う、うん。」
「それじゃ、私達は失礼するよ。あいつらはあんなこと言ってるが、私からのお礼として報酬は出しとくから。心配しなくていい。」
「ああ、わかった。本当にありがとう」
勇儀は、おう、と返事をして荷物を持ち上げて里へと向かっていってしまった。
「完成したな。 」
「うん。なんか。ちょっと嬉しくなってきたな。」
薄っすらと笑顔を移すと。
歩き始めて家の中に入って行ってしまった
「さて、最後の仕上げをするか」
家をあとにして大図書館つくと。
まだかと言わんばかりにパチュリーが暇そうにしていた。
「思ったより早かったのね。あと2日くらい掛かるんじゃないかと思ってたのだけど」
「まぁ、指揮をしてるのが鬼だからなそりゃ、早くも終わるはずだよ。」
「鬼とその愉快な仲間たち、ね」
「まぁ、そういうこと。頼むよ」
「外に出るなんて。半月前の宴以来だわ。」
「引き篭もってると体に良くないぞ」
「好きで篭ってる訳じゃないのよ、」
持病の喘息、だったか。
そういえばそんなこと言ってたな
「たまには、外に出ないとほんとに良くないからな?」
「外庭を散歩とかしてるわ?」
「そうか。」
気がつくと夕方になっていて、
赤々とした夕日がよく見えた。
「あら…夕日ってこんなに綺麗なのね。」
「そりゃ、お天道様だからな。」
「本で見るより何倍も綺麗じゃない。」
「あれは、書物だからな、そのへんは劣るさ」
話をしているとチルノの家の前まで着いた
「ここね。あら、相当立派じゃない」
「ホントな、俺もこんな家欲しいよ」
「あんたは、いつも宿とか野宿とかよね。」
「まぁ、俺のことはいいから頼むよ」
「ええ、良いのだけど。家の中に誰か居ないかしら?確認してほしいわ」
「あぁ、わかった」
多分チルノが居るかもしれない
さっき家に入っていったのは見たから
居たとしたら呼ばないとな。
「チルノ?いるかー?」
家に入って軽く叫ぶ。
特に音もなく声も聞こえない
もしかしたらチルノはいないのかもしれない。
そう思ったとき、寝室のような部屋のベットで寝ているチルノを見つけた。
「あ…寝てるのか…こりゃ困ったな…」
仕方なく抱き上げて家の外に出る
「あ。あんた…寝てるからと言ってそれはないわ…」
いわゆるお姫様抱っこ状態にパチュリーはドン引きしていた。
「し、仕方ないだろ。」
「ま、まぁいいわ。少し下がってちょうだい、、」
パチュリーが魔法を唱えると
家の周りにいくつか魔法陣が展開していく。
次第に家の周りに薄っすらと結界のようなものが張りついて。すぐに見えなくなった。
「これでよし。試して見るかしら?」
「俺か?俺は妖精ほど弾幕は強くないしな。頼むよ」
「そう。私がやってみるわ。」
「壊さないでくれよ?」
「私の弾幕は確かに協力だけどそれに耐え得る結界を張ったつもりよ。耐えれるはずだから幾ら妖精達が束になったってビクともしないわ。」
「まぁ、大魔法使いの弾幕ならそりゃな。」
パチュリーはまた魔法陣を繰り出すと
その魔法陣からいくつも魔法が放たれて。
勢い良く家にぶつかった、
「えっ?あっ…い、家が…」
今の衝撃の音でチルノは起きてしまったようで。弾幕が家に当たる瞬間だけを見てしまったようだ。
「あっ、起きたな。」
衝撃の影響でいくつも煙が発生したが、
その煙が消えたとき。そこにあったのは傷一つないさっきの家だった
「あれ?ど、どういうこと?」
「チルノ、これでやっと完成だ。」
「えっと…う、うん…」
「とりあえず降ろして上げなさいよ」
「そうだな、チルノ、ちょっといいか?」
「えっ?あっ・・・!はぅぅ…」
チルノは自分の状態を認識するとすっかり赤くなってしまって、降ろした瞬間座り込んだ。
「あっ、あの…えっと…なんで」
「ごめんな、寝てたからこうするしかなくてな?」
「流石に女の子にあれはないわ。」
「あっ…パチュリーさん…」
「だから…ごめんって…」
「う、うん…でも、ちょっと嬉しかった…」
「おっ、おう?」
「まぁ、用事も住んだし、私はちょっと散歩して帰るわ。また結界が弱くなったときは呼んで頂戴、それじゃ、お幸せになさいね。」
パチュリーはそういうと歩いて紅魔館まで向かっていった
チルノはまだ、座り込んだままだった
「チルノ?大丈夫か?」
「なんていうか、ずっと考えがとまんなくて…よくわかんなくて…」
「チルノ、落ち着け?とりあえず家の中に行こう。」
「う、うん…」
チルノは立ち上がるといきなり手を繋いできた。いや、力が入り過ぎて、繋ぐというより掴んできたの方が合ってるかもしれない…
ここは我慢するしかないか
家の中は家具や荷物がしっかりと整頓されていて、本当にキレイだった。
チルノは椅子に座り込んで蹲っていた
「ほんと…わたし…どうしちゃったんだろう…」
「チルノ。」
少し経つとチルノは椅子に座ったまま寝てしまっていた。
「これは、またか。」
椅子から今度はおぶって寝室のベットまで向かう、
ベットにおろして、薄く毛布をかけ、
近くにあった椅子に座り込む。
「一息ついたな…」
「わ、わたし…あの…レイ…」
「チルノ?」
いきなりのことで驚いたが、しっかりと寝ているようだから、恐らく寝言だろう。
夢まで見るくらい疲れたのだろうか。
「ここ…どこ…」
悪い夢でも見てるのか?
「いやだ…まって…いや!」
相当魘されているようで。
顔色も悪く、息も荒い。
「おい、チルノ?大丈夫か?」
「あっ…レイ…」
目は覚したようだ。
大丈夫だろうか?
「よかった…夢だったんだ…」
「悪夢…だったみたいだな」
「うん…でも、なんか…」
「うん?どうした?」
「いいや、何でもない」
チルノはまた布団に入る。
「しばらくはここに居るから。安心しろ」
「うん、ありがとう」
しばらくするとチルノはまた寝入ったようで今度は特に魘されている様子はなく
落ち着いた様子だった。
「俺も疲れたな…」
近くにあったソファに座り込み
楽な姿勢で寝入った。
目が覚めると。チルノはまだ寝ていた、
外はまだ日の出る前くらいだった。
「まだ、寝てるのか」
「ん…起きてるよ」
「よく眠れたか?」
「うん」
「俺はそろそろどこか行こうかな」
「いつでも来て…」
「あぁ、ありがとな、」
荷支度をして家から出ると窓からチルノがこちらを向いているのが見えた
どこか寂しそうな表情だったが…
「また今度行けばいいか、その時までお預けってことでいいかな。」
薄々は気づいて居るが、チルノも女の子、
誰かが気になるのは妖精も変わらず、
チルノにとってそれがきっと俺なのだろう
それから何度かチルノの家に寄っていた。
話をしたり、氷の造形をもらったりそのお返しに食事を行ったりと、チルノとはいろいろあるが。
冬のことだ、雪が積もって気温も下がり
俺も寒さのせいで外に出歩くことが減ったせいか、チルノに会う数が減ったその頃ことだ
人里で知り合いの所に行こうとしたとき
里の外から大きな音がした。土煙のようなものが遠くから見える、
方向的に霧の湖の方だ、また紅魔館の吸血鬼姉妹が喧嘩でもしているのだろう。
そう思って煙を少し眺めていたが
いつもよりも煙の位置がズレている
「おかしい?こんなに強く煙が立つか?」
吸血鬼姉妹の喧嘩もよっぽど派手なのだろうか、いや…そんなことならもっと大きな音があるはずだ。
「嫌な予感がしてきたな…」
すぐに霧の湖の方まで飛んでいく。
上空からだとよくわかるが紅魔館ではなく湖の側の森の中からだ。
「冬に壊されるって…言ってたな…」
多分三月精だろう。
よっぽど家は大丈夫だとは思うが。
チルノが心配だ。
「やめて!もうやめてよ!」
急ぎながら飛んでいると。
叫ぶ声が聞こえた。
恐らく今のはチルノの声だ。
現場まで着くとやっぱり三月精がいた。
「な、なんでいるのよ。」
「あの人に作ってもらったの!壊させないから!」
「な…何よ!…」
三月精達が弾幕を撃つと
それに合わせて打ち消すようにチルノも弾幕を撃つ。
「も、もう!そんなに大事ならもういいよ!」
サニーミルクが痺れをきらして諦めたようだ。手を止めるとチルノはすぐに座り込んでしまった
「おいチルノ!大丈夫か?」
「レイ…わ、わたし…頑張って守ったよ…?」
「あぁ、ありがとう。でも無理はするなよ?」
「うん…ごめんね…」
「謝らなくていい。」
突然やってきてチルノに寄り添う俺を見て、スターサファイアが恐る恐る話しかけてきた
「あなたは誰?」
「俺か?俺はレイ、チルノの家を建てたのは俺なんだ」
「そうなの?なんか悪いことしちゃったかな」
「ああ、壊されると、チルノも悲しむし俺も困る。」
「そっか、ごめんなさい、」
「もう、今度からは壊しに来ないよごめんね、チルノちゃん」
ルナチャイルドは深々と謝ると三人でまたどこかに行ってしまった。
「家、無事だな。よかったよ。」
「うん、よかった。」
「チルノは無事か?三人分を一度に対処しようなんて無茶苦茶だぞ…」
「ちょっとやりすぎて疲れちゃったな…あはは…」
「立てるか?」
「ちょっと待ってね…」
「仕方ない、ほら早く」
「ありがとう。」
チルノをおぶって家まで行き、椅子に座らせてお茶を出す。
「ありがとう、助けてもらってばかりで。なんかごめんね。」
「謝る必要はないよ。」
「久々にあんなに力いっぱい頑張ったかな。最近ずっと本読むばっかだったから。」
「でも、チルノがあんなに強いなんて思わなかったよ、相手は三人だぞ?」
「うん、でも三月精達とはいつものことだよ?あれくらいなら日常茶飯事だったし。それに妖精相手だったら負けるつもりは無いし」
「チルノってホントはすごく強いんだな。」
「妖精相手なら、だけどね、一応、霊夢や魔理沙からは面倒くさがられるかな。それくらい相手にしたくないってよく言われてた。」
「俺じゃ絶対敵わないな。何せ最近妖怪になったばかりだし」
「そうなんだ。そういえば、水を操るんだっけ?」
「あ?ああ。大したことはないよ。もし俺とチルノと弾幕勝負したとしても、相性の関係で勝ち目もないし。」
「そうだね。水は凍っちゃうから、わたしの方が有利かもしれないね。」
「まぁ、そんなことはしないけどな。妖精に弾幕勝負しかけるなんてしないし、もっと言うならチルノが痛い思いするのは俺も気分よくないしな、」
「わたしの心配もしてくれるんだね、ありがとう。」
「まぁ、なんというか、よく一緒にいたからなそりゃ…まぁ」
よく考えると俺も気がつくとチルノの事を考えてる事が多い。それだけ親しくなっているのは確かだが…でも俺はチルノのことを大切だと思っている。
「ねぇ?それならさ。」
「うん?」
「これからも一緒に居て。もし何かあってもここに帰ってきて?」
「それは毎日ってことか?」
「そうだよ、一緒に居て欲しくて。」
「ありがとな。そうするよ。」
もし何かあってもここに帰ってきて……?
この言葉に少し疑問が浮かぶ…
まぁ、それだけ大切ということかもしれないが…
それから俺はチルノと一緒に日々を過ごした。いつものように誰かしらのお願いは聞いてそれに対して動きはするが、
自分から探すようなことはなくなった。
以前は自分の時間というのがどうもつまらなく感じていたからだが、今は違う落ち着ける場所もあれば、チルノもいる。
だから、これからはゆっくり過ごそう。
そう決めて毎日を過ごしていた。
チルノにはこんなキャラもありなんじゃないか
そんなふうに私は思ってます
もちろん⑨も良いとは思うんですが
人を馬鹿にするのはあまり好きな質ではないので
こんな感じのキャラ設定が多くなりがちです…
ではまた会えたら会いましょう