物語館   作:むつさん

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どうも夢子です。

ごゆっくり


夢と現実、温もりと幸せ

待ってよ…ねぇ…

嫌だよ…行っちゃいやだよ…

待ってよ…!

 

………

 

「…あっ……夢か…」

 

嫌な夢…

 

「ルーミア。ん?おふっ!」

 

「うん、おはよう」

 

彼が居なくなるなんて…考えられない。

夢でよかった…

 

「おう…どうした?」

 

「大好き。」

 

「うん、そうか。」

 

彼に頭を撫でてもらうと…

なんだかとても気持ちいい。

 

「俺の夢でも見たか?」

 

「ん…うん。」

 

「楽しかったか?」

 

「ううん…とっても怖かった…」

 

「怖かった…そっか。なら聞かないでおくよ」

 

「わかった…」

 

そろそろ起きないと…でも…

 

「ルーミア?おい?あたっ!」

 

「むー…」

 

「また腕に齧りついて…そんなに俺の腕は美味しいか」

 

「血の味がする。」

 

「そうか。」

 

うん…起きなきゃ

 

「ふぁ〜…」

 

「朝から甘えっきりだな?」

 

「嫌だった?」

 

「いーや、甘えるルーミアも可愛かったな」

 

「じゃあ、怒ったら?」

 

「怒ってもきっと可愛いだろうな。」

 

もう…またそんなこと…

 

「…私が居なくなったら?」

 

なんてこと聞いてるんだろう…

でも…夢だと彼が消えて…

私は寂しかったんだ…

 

「探す。どこにでも行くよ。だから、ルーミアが居なくなったら寂しいから探す」

 

嬉しい…

 

「どこにも行かないよ?」

 

「そっか、よかった。」

 

「だって。まだ少しもあなたを味わってないから」

 

「あれだけ腕を齧っておきながら、まだ少しにも満たないのか」

 

「腕は血の味しかしないもん」

 

「そっか。そろそろ行かなきゃな。」

 

「仕事?」

 

「ああ、あと博麗神社な、」

 

「そっか。」

 

今日はついていこうかな

 

「ん?ルーミアも神社まで行くか?」

 

「うん。」

 

「珍しいや。さ、行こうか」

 

彼は毎朝、博麗神社までお参りに行く。

彼に会ったときは夜だったな

 

「あら。今日はルーミアも一緒なのね」

 

「おはよう博麗さん。」

 

「ええ、おはよう、毎日ありがとう、あんたくらいよ参拝に来てくれるのは」

 

「まぁ…他の人がどうかはわからないが、俺はこの神社を大切にしたいからさ」

 

「うん、そう言ってもらえると助かるわ」

 

「それじゃ、また明日、ルーミアもまた後でな」

 

「ええ、行ってらっしゃい、」

 

「行ってらっしゃい…帰ってきてね」

 

夢とは違う。笑顔で元気だった。

 

「ん?ルーミアはどうするの?」

 

「どうしようかな」

 

縁側で一休みしようかな。

でも、また怖い夢見たらどうしよ…

 

「ルーミア?」

 

「ねぇ、れーむ。」

 

「なに?」

 

「私ね、今朝怖い夢見たの。」

 

「あんたに怖いものがあったのね。それで?」

 

「彼がね…怒った顔で私を捨てるようにどこか行ってしまって…そんな夢見て…」

 

「そう…」

 

「私、何か悪い事したかな…でも最近人は食べてないし…」

 

「それは私に言われても困るわよ。」

 

「んー…仕事の邪魔したからかな…」

 

「確か、家でも仕事の残りをしてるって聞くわね」

 

「うん…ちょっといたずらして少し怒られた時があったんだ。でも、そのときはすぐ謝ったし、彼もすぐ笑って許してくれてたと思うけど…」

 

「ただの気にし過ぎじゃないの?」

 

「そうかな…?」

 

「彼は仕事って何してるの?」

 

「家でやるときはいつもの書類に書き込んだり纏めたりしてるね。」

 

「里の役場仕事か何かかしら。」

 

「最近、郷で人攫いが横行してるって言って。それで忙しいって。」

 

「それは知ってるけど、確かどっかの半霊が終わらせたんじゃなかった?」

 

「うーん…詳しいことはわからないけど、忙しいって。」

 

「まぁ、後始末的なことはあるでしょうし。仕方ないわね。」

 

「今日も忙しいのかな、」

 

「まぁ、きっとね」

 

「やっぱり、邪魔したら良くないかな。」

 

「あんたの好きにすればいいわ、彼は人間で、あんたは人食い妖怪、全うの人間が妖怪に敵うわけないんだし。食われたところで人食い妖怪と同居してる時点で彼は何も言えないでしょ。」

 

「うん…」

 

「まぁ、心配に思うなら直接聞きなさい、きっとなんとも思ってないわよ。」

 

「そうしてみる。」

 

聞くって言っても…今すぐは聞けないし…

里に行くのもなぁ…

 

「あと。さっきの夢の話、」

 

「うん?」

 

「それも一応話すといいわ。知ってもらえるだけでも、あんたの気分も晴れると思うし、そうやって心配に思うほどまた夢に出てくるかもしれないから。」

 

「わかった。ありがとう霊夢」

 

「別に礼はいらないわ、またあんたがつまらない事で相談しに来られても困るのよ。」

 

「そっか。ごめん?」

 

心配してくれてるのかな。

 

「まぁ、あとはあんた次第よ。」

 

「うん。」

 

「確か彼の名前ってトウヤだったかしら?」

 

なんだか。眠たくなってきたな…

 

「れーむ」

 

「なに?」

 

「ちょっと寝るね」

 

「そう。彼が帰ってくる前に起きなさいよ」

 

「うーん。多分起きると思う」

 

起きたら彼がいたらいいな…

 

「妖怪って世話が焼けるわ…あっいや、妖怪だけじゃないわね、全く、最近はいろいろ忙しいわ…」

 

……

 

 

「ねぇ?」

 

「ん?」

 

「私が居なくなったら…どう思う?」

 

「うーん。あまり気にしないかな、帰ってくるのを待ってるよ」

 

「そっか…」

 

「ルーミア?」

 

「…もし私が帰ってこなかったら?」

 

「また一人で暮らすだけになると思う」

 

……なんで?

 

「私は…あなたが居なくなったら探すけどなぁ。」

 

「そっか。まぁ、多分すぐ見つかるよ」

 

どうしてそんなに…

 

「ねぇ?」

 

「ん?」

 

「…やっぱなんでもない…」

 

「そう。」

 

冷たい…すごく…

あの時の暖かさは…もうないんだ…

 

「あぁ、ルーミア」

 

「なに?」

「俺今度別の人と暮らす事になったんだ」

 

……?

 

「俺さ、結婚するんだ」

 

…え?……えっ?

 

「結婚…?」

 

「そう。だから、ルーミアとはさよならかな」

 

「えっ…?」

 

「じゃあね。」

 

待ってよ…

 

「えっ?待ってよ…」

 

「待たないよ。もう決まったんだ」

 

いやだよ……そんな…

 

待ってよ…

嫌だよ…行っちゃいやだよ…

 

なんで……なんで!

 

「ねぇ!待ってよ!」

 

………

 

「ルーミア?おい。ルーミア?」

 

「ふぇ…?」

 

あれ…?

 

「どうした?ずっとうなされてるぞ?」

 

また…夢だった…

嫌な夢…

でも今度は…はっきりと覚えてる…

怖いな…

 

「また怖い夢だったのか?」

 

「…うん…」

 

「ほら、泣くな、人食い妖怪が泣いてたら、人間はどうすりゃいいのかわかんないぞ」

 

「うぅ…トウヤ…」

 

彼は目の前にいるのに…

とても悲しくなる。

何でだろう…嬉しいはずなのに!

なんでこんなに泣いてしまうの?

 

「怖かったんだな」

 

「うん…」

 

「また。俺の夢か?」

 

「うん…」

 

思い出すと…余計に悲しくなる

 

「ねぇ…」

 

「ん?」

 

「私が…私が居なくなったら。どう思う…?」

 

「それ、今朝も聞いたな、ルーミアが居なくなったら、探しに行く、いないと寂しいから」

 

「うん…ありがとう」

 

やっぱり…夢じゃない。

 

「私もあなたが居なくなったら探すから。」

 

「ありがとうな。」

 

「トウヤ、といったかしら?」

 

「あぁ。博麗さん、どうかしました?」

 

「仕事の方はいいの?」

 

「んー…まぁ、まだまだ終わりは見えないけど、先が見えない分、しっかりと一日分終らせてるから、まぁ、問題ないですよ、」

 

「そう、あんた、ルーミアを大切にしなさいよ、もし捨てるようなことがあれば私が許さないからね、」

 

「万が一にもルーミアを捨てるなんてことはないよ、もしルーミアをおいていなくなるとすれば僕が死ぬときくらいさ。」

 

「トウヤ…」

 

夢とは違う。

彼は…

 

「ルーミア?」

 

「やっぱり…あなたが大好き」

 

「うん、ありがとう」

 

「ほら、日が落ちる前に帰った帰った」

 

「そうだね、帰ろうか」

 

「うん。」

 

博麗神社をあとにして長い階段を降りるとき、初めて彼と話をしたときのことを思い出した。

 

彼は仕事帰りだったかな。

ご飯をご馳走させてもらったり。

いっしょに寝たり。

 

すごく暖かさを感じた。だから

彼が大好きになった。

 

「あなたも、私のことが好き?」

 

「好きよりも、」

 

よりも?

 

「自分の娘のような、そんな感じ」

 

「家族?かな?」

 

「うん。そんな感じ、簡単に言えば、愛してる、かな。」

 

やっぱり彼は暖かい。

他の人間とは違う。とても優しい。

 

「嬉しいな。すごく嬉しい、」

 

「良かったよ」

 

「私ね、最近怖い夢ばかりで」

 

「うん。」

 

「その毎回があなたが私を置いてどこかに行ってしまう夢だったの。」

 

「そっか…」

 

「だから。とても心配になって。怖くて」

 

「大丈夫だよ。」

 

「うん。あなたの答えが聞けてすっきりした」

 

「そうか、良かった」

 

「ありがとう。」

 

「おう。」

 

彼と居るとすごく落ち着く。

彼だからそこかもしれないけど。

なんだかとても幸せな気分になる。

 

「ずっと一緒に居たいな。」

 

「ずっとか、普通なら考えられないな」

 

「うーん…そうだね。」

 

「不死の薬…とか言うのがあれば。無理じゃないが、簡単に手に入るものでもないからな。」

 

「永遠亭…だっけ?」

 

「永琳さんとは知り合いだが、不死の薬となれば話は別だからなぁ。」

 

「そうだね、」

 

「でも。俺は…」

 

「いいよ!そこまで!」

 

そんな。無理しなくても…

 

「だって、ルーミアが悲しいだろ?」

 

「確かに、貴方が居なくなってしまったら悲しいけど…寿命なら、それは仕方ないことだから。」

 

「でも…」

 

「でもなルーミア。実は、もう」

 

えっ?まさか…

 

「不死の薬…?」

 

「もう既に服用したあとなんだ。」

 

「そ、そうなの?」

 

「輝夜っていう月のお姫様が俺にってくれたんだ。永琳さんに確認したら間違いないって。それで。」

 

そうだったんだ。

 

「隠しててゴメンな。でもこれで別れの悲しさはないから。ずっと一緒に居られる。」

 

「何か…ほんと、ありがとう。」

 

「まぁ…俺もどうしようか悩んだけど、でも、ルーミアのことを考えると、ルーミアに悲しい思いはして欲しくなくてな。」

 

「私は…ガマンするのに。」

 

「いいんだよ、我慢はもうしなくていいから」

 

「うん…ありがとう!」

 

たくさん甘える、そうしよう

彼は…私の大切な人。

自分の運命を変えてまで。私のことを想ってくれるとても良い人。

 

私も彼と一緒にいる、だから。

私も彼に何かしてあげたいな

 

でも…今は一緒にいるだけで

私も彼もとても幸せ。

だから、それはまた今度。




読了ありがとうございます

次話を気長にお待ちください

それではまた会えたら会いましょう
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