物語館   作:むつさん

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どうも悠樹です。

今回はちょっとしたお話。

かなり短いですが。

どうぞごゆっくり


普通の魔法使い。

「私は霧雨魔理沙~普通の魔法使い~」

 

魔理沙はそう呟いた

 

それを聞いていた天狗、射命丸文はそんな魔理沙を不審に思っていた。

 

「魔理沙さんって、あんなに女の子みたいなことしましたっけ…?」

 

少なからず誰でもするとは思うが

文にとってのイメージではそういうふうではないのが確かだった。

 

「何か怪しい感じがしますね…」

 

文は突然そう思うと、魔理沙について思い返していた。

 

「確か…最近顔を見てなかったような…」

 

いろんなところを飛び回り新聞の記事になるようなネタを探す文にとって、ほぼ毎日いろんな人に会う

 

そして、幻想郷で有名な人物である魔理沙であれば、見かけたら話はかける、見つかったら弾幕ごっこと、よく顔を合わせる。

それも2日に一回はあるだろう。

 

ただ、文は数日の間、魔理沙と会っていなかった。

 

「なんだか怪しいですね~。少し尾行。しちゃいますか」

 

そういうと、距離を開けながら後ろをついていく。

 

 

「おーい、霊夢ー。」

 

「何よ魔理沙、また来たの?」

 

「またとは失礼な~、最近合ってなかったじゃん?だから久々だなーと思ってさ。」

 

「そう?別に私はそうは思わないわ。」

 

「ひどいなー。そんな冷たくしなくてもいいじゃない。」

 

「今日も特に何もないわよ、こーりんのところにでも言ってまたガラクタでも探してみたら?」

 

「こーりんか…そうだね、行ってくる!」

 

そう言うと魔理沙は神社を後にした。

 

 

「魔理沙さん…あんな喋り方だったっけ?」

 

文の知っている魔理沙はもう少し男口調が混ざっているだろうというが。今の魔理沙からはそういったイメージはなかっただろう。

 

「それに…あんな簡単に霊夢さんから離れない気が…まぁ、それは気のせいですね」

 

文は尾行を続けた。

 

 

魔法の森の入り口くらいにある店、香霖堂

様々な道具やガラクタも売っている。

ただし、品揃えはあまりよくない。

 

「こーりんー、来たよー。」

 

「魔理沙じゃないか、今日は何を持っていくんだい?」

 

「んー、」

 

魔理沙は暫く店内を見渡していた

 

「今日はいいや、魔法の研究に使えるものはなさそうだし」

 

「そうかい。」

 

魔理沙は店を出て、またどこかに行ってしまった。

 

「ところで、そんなところで何をしているんだい」

 

店主である霖之助は文が隠れていることに気がついていたようだった。

 

「あやや…バレてましたか、」

 

「隠れてたってネタなんか有りはしないだろうに。」

 

「それが今日の魔理沙さんがなんか妙に感じましてね、ちょっと尾行してたところなんですよ。」

 

「そうかい、確かに口調はいつもと違った気がするかな、ほら早く行かないと見失うよ」

 

「そうでした!、それでは!」

 

飛んでいく魔理沙を低空から尾行していく。

 

魔理沙が次に向かったのは紅魔館、の大図書館。つまり本泥棒、のはずなのだが

 

「ほんと、大きな扉だなぁ。」

 

普段窓を割って入る魔理沙が

大扉を開けて入っていった。

 

「ええ!ちょっ!どういう?」

 

文は魔理沙のあまりの行動に驚いた。

 

窓から覗いてみれば。

普段通り立ち読みしているが、

それを持っていく気配はなく。

ただ単にコミック物を読んでしまう、

読んではしまうを、繰り返していた。

 

「魔理沙さん?コミックなんて興味あったんですね。」

 

物珍しそうに小悪魔が話しかける、

 

「まぁ、ちょっとかなー。」

 

当たり前のように話をする。

かと思えば、何も持っていかず扉から出ていきまたどこかに向かっている。

 

「これ…絶対おかしいですよ、」

 

少なからず文の知っている魔理沙の行動ではないのだろう。

 

魔法の森に向かって飛んでいる。

おそらく人形遣いの家だろう。

 

「おーい、アリスー!」

 

返事がない、

文は遠くから窓の中を覗いているが

アリスらしき人物は見つからなかった

おそらく留守にしているのだろう

 

「うーん、いないのか、会ってみたかったのに。」

 

 

「会ってみたかった…?」

 

魔理沙の奇妙な発言を聞き逃さなかった。

魔理沙とアリスはかなりの仲良しであり。ほぼ毎日合うくらいだというのに、

 

会ってみたいなどと言うはずがない

その発言で文は確信した。

 

「魔理沙さんの姿をした誰か、ですね、」

 

「ん?誰かいる?」

 

独り言が聞こえてしまって気づかれそうになり急いで隠れる。

 

「んー。気のせいか。」

 

魔理沙はまた飛び上がり

自分の店、つまり家まで帰っていった。

 

 

文も魔理沙の家に向い後を追う。

 

魔理沙は家の前につくと。

魔法の様な何かを使い姿を変えた。

 

「やはり…偽物でしたか」

 

見た目はごく一般的な女性

多分人間か魔法使いかだろう。

 

女性は家の中に入っていく

 

窓から中を除くと、魔理沙の姿はなかった、

しかし、家の中はかなり整頓されており、以前のような散らかり具合は見受けられない

 

「うーん…魔理沙さん見当たりませんね…」

 

別の窓から除くと、そこには魔理沙がいた

しかし、鎖で縛られており、必死に藻掻いていた。

 

「もー。うるさいなー。」

 

「お前、こんなことして覚悟しておけよ!」

 

「はいはい、今あなたは動けないんだから、大人しくしてて」

 

何があって魔理沙は捕まったのか、

それを調べる必要がある。

 

「んー、次はどこ行こうかなぁ」

 

「次って…まさか何かやってないだろうな!」

 

「まだ何もやってないよ、挨拶して回ってただけだって。」

 

まだ、つまり何かをするつもりはある。

 

「この八卦炉も見てみたいし」

 

「お前、それを使いこなせるのは私だけだぞ。」

 

「ハイハイ、嘘は聞きたくないから。黙ってて。」

 

「嘘じゃない、お前が使ったところで大した威力は出ない。そういう改良をしてあるから私以外は使っても意味がないぞ」

 

「やってみようか?」

「なっ…」

 

女性が八卦炉を魔理沙に向ける。

 

「ちょ…」

 

文も少し慌てたが…

 

「やっぱやーめた、あなたにはまだ聞きたいことがあるし」

 

女性はまた魔理沙の姿になり外に出ていった。

 

とりあえず一安心といったところだ。

 

ニセ魔理沙が見えなくなったのを確認して家の中に入る。

 

「お前は!文!」

 

「魔理沙さん、大丈夫ですか?」

 

「この状況を見て大丈夫なわけ無いだろ。早くこの鎖外してくれよ」

 

「はいはい、ちょっとお待ちくださいね。」

 

その時、突然扉が開いた。

 

「あっ、やばっ…」

 

文が急いで外そうとする。

 

「何がやばいのよ。別に急ぐ必要はないわ」

 

入って来たのは霊夢だった。

 

「霊夢!来てくれると思ってたぜ!」

 

「まぁ、あんたがめんどくさいことに巻き込まれてるんじゃないかって、ちょっと気になってたのよ」

 

「なんでそう思ったんですか?」

 

「暫く見てないし、口調も女っぽくめ気持ち悪い、おまけにいつもみたいな貪欲さがない。それも、文が後ろから心配そうに尾行してたから、なんかあったんじゃないかってね。」

 

「なるほど…お前あいつを尾行してたのか?」

 

「ええ、警戒自体は緩かったので案外危なげなく尾行できました。」

 

「あんたなんで捕まってたのよ。」

 

「いやぁ…それがな…」

 

数日前魔法の研究で失敗をしてしまい

妙な煙を吸って気を失った

そして、気がついたら鎖で繋がれており、目の前にはニセ魔理沙がいた。

 

「相変わらずうまく行かないのね」

 

「あはは、まぁ進展はあったから、とりあえず良かったかな」

 

「ばか、何も良くないわよ、文も私も気づいてなかったらあんたどうやってたかわからないのよ、」

 

「あ、あぁ、すまなかったなぁ、助かったよ」

 

「とりあえずニセ魔理沙探すわよ」

 

「その必要はなさそうだ、ほら、外にもう居るからな。」

 

三人は外に出ると魔理沙の格好をした女性がいた、

 

「なっ。」

 

「あんたね、魔理沙に化けてたのは。」

 

「化けてなんかない!そいつが偽物だ!」

 

「あのね、あんた似てないのよ」

 

「なっ、」

 

「口調も性格も行動も全くよ」

 

「それならこれはどうだ!」

 

女性は霊夢達に向けて八卦炉を向ける

 

「マスタースパーク!」

 

「無駄よあなた程度では敵うわけないわ」

 

八卦炉から光が発射されるが。

霊夢は結界を張り全て防いだ

 

「なんだと…」

 

霊夢は瞬間移動をして、女性から八卦炉を奪い、また瞬間移動で元の位置に戻り、魔理沙に八卦炉を返した

 

「おー、助かるぜ。」

 

「さてと。」

 

弾幕が全く通用せずショックで動きが止まっていた女性。

それでも容赦なく…

霊夢は女性の周りに結界を張った

 

「なっ!これは?」

 

「まぁ、簡単な結界よ、あんたは今その中から出られない。当然攻撃もほとんど無意味、私の結界だから、当たり前ね」

 

「な、ならなんで魔理沙は八卦炉を構えて…」

 

「言ったでしょ、ほとんだだって。」

 

「私の場合、本気を出せば結界くらいだったら簡単に割れるぜ、流石に霊夢の大結界やそういう類にはかき消されるけど。」

 

「って事は…まさか…」

 

「そのまさかだぜ」

 

魔理沙は八卦炉を構えて…

 

「魔砲【ファイナルマスタースパーク】!」

 

八卦炉から放たれた光は結界を簡単に破り、女性を飲み込んでいった。

 

光が消えると女性はそこにはいなかった

 

「いやぁ、久々に飛ばしたぜ!」

 

「相変わらずバカみたいな火力してるわね」

 

「まぁな!弾幕はパワーだぜ!」

 

「さて、一段落ついたことだし魔理沙の奢りでお酒でも飲ませてもらおうかしら」

 

「なっ!まぁ、今回は仕方ないな」

 

「私もご一緒しますね?」

 

「文も来るのか…」

 

「そうね、文がいなかったらもしかしたらあんたそのままだったかもね」

 

「まぁ、いいぜ」

 

三人は魔理沙の家に入ると翌日の朝までお酒を飲み更かしたという。

 




ではまた会えたら会いましょう

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