また、一月空いてしまった、まぁいいや。
ではごゆっくり
「なぁ…そろそろ帰らないか?」
人里でお祭りをやっている。
物部布都、蘇我屠自古と、愁の三人はそのお祭りに参加したらどうだと、神子の提案され、二人の意見を聞かず布都が無理矢理飛び出した。
「だめに決まっておるだろう?お祭りを楽しむのだ!」
「お前だけ楽しんでいればいいじゃないか」
「そう言うでない、ほらお主も楽しまぬか?」
「わ、私はいい!早く帰ってゆっくりさせてくれ!」
「まぁ、屠自古さん。布都さんはもうその気なんですから仕方ないです、」
「うう…なんでこう毎回付き合わなきゃいけないんだ…」
「まぁ、美味しい料理もありますし、僕は少しいただきますけど」
「私は亡霊だ、食事などしなくてもなんともない、」
「まぁねぇ。」
相変わらず、布都に振り回されている、
「ほら、屠自古さんも食べましょう」
「むー…」
愁から差し出された串を渋々受け取り
少しずつ食べる
「まぁ。味は悪くないな。」
「食べるだけでは足りないだろう!ほら飲むぞ飲むぞ!」
布都は二人の分まで酒瓶を持ってくる。
「あのな、私は飲まないぞ」
「僕も外で飲むのは控えてるのでお断りしておきます」
「うぬー、詰まらぬなぁ?まぁよい!我は飲むぞ!」
瓶の蓋を開け、ラッパ飲みでお酒を飲む布都。それを見て二人は呆れるしかなかった
「屠自古さんがいやがるのがなんとなくわかった気がします」
「こうなると歯止めが効かないんだよ…神子様にお叱りをしてもらうしかないんだ…」
顔をあわせて溜息を吐く、
数分後には布都は酔い潰れて床に大の字で転がっている。
「小腹も満たせましたし。帰りましょうか。」
「そうだな。こいつ頼むよ」
「ええ、毎度のことですね。」
愁は布都を背負って、二人は霊廟に帰る。
「おや、早かったですね。」
「まぁ、布都が早くに潰れてしまってね」
「何本飲んだ?」
「確か、二本?」
「いや、三本だ、私達にって持ってきたのを両方共飲んでるから。」
「あ、そうか。」
「全く、飽きないな」
「なんでそんなに飲みたがるんだろうな」
「さぁ、私はわからん」
「気分が上がって気持ちがいいからだろう、布都はそれまで考えていた嫌な出来事を、一時的に忘れることができる、と言っていた」
「なるほどな。気分的なことか。」
「ふーん。」
「まぁ、飲みすぎも良くない、適度がいいのだか…布都はこの調子で。」
「まぁ、私よりも特訓をしているし、いいんじゃないか、たまには。」
「屠自古が布都に優しくするなんて珍しい。」
「たまには、」
「たまには、ね」
「私は部屋に戻る、ゆっくりしたいんだ」
「ええ、ご苦労様。」
…
「で、なんでお前はまだいるんだ。」
「んー。一つお願いがあって」
「私にか?」
「ああ、今からまた祭り行かないか?」
「は…え?」
「祭りってまともに楽しんだことなくてな、一人で行くのも何だから、是非と思って」
「さっきの話聞いてなかったのか?私はゆっくりしたいんだ。」
「まぁ、そうだよなぁ。」
不服そうにする屠自古。
ゆっくりしたいと言ったが。
残念そうに去ろうとする愁を見て
気が変わった。
「おい、ちょっと待て」
「ん?」
「仕方ないから行くよ。ただ、そんな長居するつもりはないぞ」
「ああ、ありがとう。」
霊廟を出るときに神子と会った、
「おや、二人でどちらに?」
「祭り、もう少し楽しもうって思って」
「そう言うことです。」
「行ってらっしゃい」
人里に着くと、人の気の多さのせいか屠自古は少し気が落ち着かなかった。
「おい愁、頼むからはぐれるなよ。」
「あ?ああ、そうだな、」
屋台に向かって愁はホットスナックを買うが…屠自古はただ雰囲気を眺めているだけだった。
「あっ、あれは。」
愁が見つけたのは射的だった。
「おー。射的だ。」
「こういうのやるのか?」
「いや、初めてやるんだ」
愁は銭を払うと
的用の缶や木の板に上手く当てていった。
「大したウデだな。」
「結構当たるもんなんだな」
「そうか?難しそうだが」
その流れを見ていた店番が二人に話しかける。
「え?私がやるのか?金は持ってないぞ」
「タダで一回いいってさ」
「な、なら…」
屠自古は射的銃を構えて狙う
一回当たりはしたが、他は的外れていく。
「やっぱり難しいな、」
「こういうもんなんだな」
屠自古は銃を返して周りを見渡すとあるものを見つけた。
「あれは?」
「金魚すくいか。やってみようか。」
二人は同時に始めた。
「あ、破れた。」
愁は早くに終わってしまった
その隣でまだ屠自古は続いている
二人が終わってお互いどれだけ取れたか確認した。
「僕は二匹だった。」
「二匹?私は七は取れたぞ?」
「すごいな、どうやったんだ」
「んー、わからないがとにかく取れた」
二人は金魚を戻す
「案外楽しいな」
「人里の祭りは初めてなのか?」
「人里には頻繁に出入りしててな、神子さんとも知り合いなんだ、元々地底の旧都の住みだったんだが、最近神子さんに提案されて霊廟に来た、だからこういうのは初めてなんだよ。」
「ふーん。」
「そうだ、せっかくだから最後に行きたいところがあるんだ」
「行きたいところ?」
「祭りの締めと言ったら神社だって昔聞いたことがあってさ。」
「神社?」
「ああ、ついてきてくれるか?」
「まぁ、どうせだから行くよ」
人里を離れて長い階段を登る
「わざわざ今来なくてもいつでも来れるだろう。」
「まぁ、いいじゃないか」
二人が訪れたのは博麗神社だった。
「あら、珍しい客が来たわね」
境内につくと霊夢が箒を持って立っていた。
「久しぶりだな、博麗の巫女。」
「あんた、亡霊のクセに男がいるのね、関心するわ」
「それは皮肉のつもりか?」
「さあ、隣のあんたは?」
「愁です、」
「ああ、地底にいた人間ね。」
「神社なんて、久しぶりだな。」
「ところで何の用なの?参拝客なら歓迎するけど。」
「ああ、こいつが神社に行きたいっていうから、祭りのついでについてきてやったんだ。」
「そう、それにしてはあんたもやけに満足そうね」
「まぁ、楽しかったしな」
「お賽銭入れておいたよ」
「あら、ありがとう。」
「いつの間に」
「さて、それじゃ戻ろうか」
「だな、」
「わざわざお疲れ様」
霊夢に軽く挨拶をして神社を後にした。
「なぁ、屠自古さんは疲れてないか?」
「何を言ってるんだ?」
「ああ、亡霊だし、歩いているわけでもないから、疲れないか」
「肉体的な疲れとしたら雷使いすぎたときくらいだ、あとは基本的には気持ち的な疲れとかばかりだ、主に布都のせいで」
「お疲れ様だな、」
「全くだ、でもまぁ、たまには…」
屠自古は愁の背中にしがみついた
「おう?」
「重たいか?」
「いや、なんというか。空気で膨らんだカバンを背負ってる感じ」
「つまり軽いということか」
「うん。」
「お前こそ疲れてないか」
「まぁ、少しな」
「帰ってゆっくりするか」
「そうだな、」
…
「…なぁ、人間って、こんなにも暖かいんだな。」
「ん?」
「普段から神子様や布都としか話をしないせいか、冷たくするか、呆れているか、場に合わせるようなことしかしてなかったんだ。」
「そうか」
「だから、こんなふうに優しくされたり、親しげに誰かと触れ合うのは久しぶりか、もしかしたら初めてかもしれないんだ」
「なるほどな、」
「…ありがとう」
「こちらこそ、わざわざ今日はありがとう」
しばらくそのままだったが
屠自古はしばらくすると寝入ってしまった
「おや、お戻りですか、」
霊廟に着くと神子が待っていた
「そんな長く出てた覚えはないけど、遅かったか?」
「まぁ、そんな長くはないが。それに屠自古?」
「寝てるよ」
「ほう…珍しい。」
「それじゃ、」
愁は屠自古の部屋に向かう
「ゆっくり休め」
布団に屠自古を寝かせようとすると起きてしまった
「あぁ…着いてたのか…」
「起きたか、とっくに着いてるよ」
「すまなかった…寝るつもりはなかったんだが…」
「まだ眠たいだろ。そのまま寝るといい」
「そうするよ。」
愁は、屠自古が布団に入り込み、寝入ったのを確認すると自分の部屋に戻っていった。
「祭り、か」
部屋の隅においてある酒瓶を持ち出して
蓋を開けようとしたとき。
部屋の扉が開いた。
「ん?屠自古さん?」
「なんか、目が覚めたんだ。」
「そうか、にしてもなんで俺の部屋に?」
「…まぁ、ちょっとな、」
愁の隣に落ち着き。
持ってきていた本を読んでいる
「どうした?」
「ん…?うん。」
「まぁ、落ち着くなら、いいか、」
愁はお酒を少しずつ飲む。
「酒、飲むんだな」
「ああ、かなり弱いけどな」
「そうか、」
「少し飲むか?」
「いや、私はいい。」
その後は、二人はただ話さず
酒を飲み、本を読むだけだった。
屠自古が本の最後のページを読み終えた時、
愁もお酒を飲むのを止めて、瓶に蓋をした
「酔が回ってきたか、少し眠たくなってきたな。少し休むよ」
「そうか。」
愁は布団を広げて横になる
屠自古は部屋の出口の手前で少し待って愁に話しかけた。
「もし起きてたら、私からも一つお願いを聞いてほしい。」
「お願いって?」
「隣で寝ていいか?」
「いいよ。」
屠自古は愁の隣に行き横になる
「屠自古さんはこんなお願いでよかったのか?」
「特に思いつかなかった」
「お願いされなくてもいつでも」
「うん…?」
「疲れたらいつでも相手するよ。」
「いいのか…?」
「実は屠自古のことが好きなんだ」
「お前…そんなことを…」
「だめだったか?」
「いや…私なんかでいいのか…」
「うん。いい」
「すまない…なんというか」
「まぁ。屠自古が嫌なら諦めるけど」
「嫌ではない、むしろ、これだけ優しくされると嬉しい、嬉しいというべきなのか、なんて言えばいいんだろう…」
「んー。」
「なんて言えばいいかな、好き、でいいんだと思うけど、それがなんとなくうまく表現できなくて」
「そうか、ありがとう」
「他の誰かなんて気にした事なかったのに…何だか不思議な感じだ」
「俺は人間には親しい相手が居なくてな、地底の妖怪とか霊廟の屠自古達、そういう関係しかない、でも好きだと思ったのは初めてだ」
「そうだったのか…」
「会えて良かった。俺も今、すごく嬉しいんだ。」
「うん、私もだ」
二人は体を寄せ合っていた、
少しすると二人共寝入ってしまった
愁が目を覚ますと屠自古はまだ寝ていた。
起こさないように部屋を出る。
「よく眠れたか」
「ああ、よく寝たよ」
「屠自古は?まだ寝ているのか?」
「まだ寝てるだろうと思う、」
「そうか、にしてもあの屠自古が、」
「屠自古さんがどうかした?」
「まさか、他人に心を許すなんて滅多にないことだ。」
「そうらしいな、他人なんて気にしたことないと言っていたよ。」
「しかも相手は男というのも」
「まぁ、屠自古さんなりの気持ちがありますからね」
「屠自古のことよろしく頼むぞ」
「え?神子様の家来でしょう?」
「ああそうだ、だがお前がまだしばらくここに居るなら少し相手してやってくれ、正直な所、事あるごとに二人を相手するのは面倒でな」
「構いませんが、喧嘩されたら私では手出しできませんよ、それは頼みます」
「あぁ…説教は私からするよ。」
「なんだ?屠自古がどうかしたのか?」
布都が横から話に入る
「ん?屠自古の相手をしてほしいって話、」
「お主が?屠自古のか?」
「そうだが?」
「あの屠自古が…」
「それはそうと、布都は少しお酒を控えなさい」
「うぬぅ…」
「お酒の飲みすぎは良くないですからね。」
「はい…」
小さく返事をすると布都は自分の部屋に戻っていった。
「全くだ」
それと入れ替わりで屠自古が起きてきた。
「よく眠れたようだな?」
「神子様…えっと…」
「安心しろ怒っていないぞ」
「はい…ですが…」
「屠自古は布都と違って大人しくしている、まぁ、好きにしなさい。布都がまだまだ未熟すぎるのはあるが…それはそれだからな」
「神子様。」
「どうした?何か不満でもあったか?」
「いえ…大丈夫です。」
「うむ、ならよろしい、私は少し出てくるから、留守を頼む」
「はい、お気をつけて」
「神子様言ってしまったな」
「ああ、」
「あのだな…愁。」
「なんだ?」
「あまり話題として良くないことなんだが…布都のことなんだ。」
「布都?」
「私も不本意で知ってしまったのだが…あいつ、お前のこと好きらしくてな」
「は、はぁ。それが?」
「一応、なんだ、愁は布都をどう見てるのか、知っておけたらなと思ったんだ…」
「なるほどな。」
「身勝手な発言ですまない…」
「俺は布都の事を気にしたことはないぞ、告白されても、付き合う気はないし、はっきり言って断ると思う」
「そ、そうか、バッサリ言うんだな…」
「タイプじゃない、って言うと聞こえが悪いかもしれないが、酒の事とか…色々あるしな」
「まぁな。」
「それに、布都は仙人で修行を積まないといけないだろ?余計なことをさせたくない、」
「私もそれなりに修行というのはしているぞ?」
「うん…そうだな、」
「やらないといけないというわけではないが…だからといってやらない訳でもないしな」
「結局、布都のことは、特に考えてないってことだ」
「そうか、わかった。」
「屠自古はどうして布都がそういう風に思ってるって知ったんだ?」
「布都と神子様が話をしてたんだ。それで…そういう話が偶然聞こえてしまって」
「あ、なら神子様も知ってるのか」
「多分知っているだろう」
「なんか…神子様も大変そうだな」
「まぁ…特に何も言わなかったから、神子様自身はあまり気にしてないと思う。」
「そうか、まぁ、そうかもな。」
「さて、俺は部屋に戻ろうかな」
「本を置いたままだったな、取りに行かせてもらう」
「おう。」
愁の部屋に着くと屠自古はまた、愁の隣に座り込む
「自分の部屋に戻らないのか?」
「ん…なんとなく。」
「なんとなく、ね。」
「だめか?」
「駄目ではないよ。」
「そうか、よかった。」
「落ち着くのか?」
「ああ、不思議とな、」
「そうなのか、」
「なぁ。」
「ん?」
「なんか…済まないな」
「何が?」
「迷惑じゃないか?」
「迷惑って何が?」
「いや、私から一方的なんじゃないかって思えてきたんだ。」
「そうか?別にそんなことないと思うけどな、考え過ぎじゃないか?」
「うーん…」
「屠自古は冷静なのはいいけど、考え過ぎは良くないぞ。別に気楽にすればいい、布都みたいにやり過ぎは良くないが。俺は好きだから屠自古といるんだ。」
「うん、それなら、良かった」
「あのさ。屠自古」
「なんだ?」
「次あるとき、また人里の祭りに行こう」
「ああ、構わないよ。」
「その時まで俺が居るかわからないけど。」
「ん?どういうことだ?」
「単純に地底に帰るかもってこと。」
「そうか。それはそうだな」
「でも、地底にいても、人里で祭りがあるってわかってたら絶対に行くよ、」
「そうか。なら私も行って会おう」
「約束だな。」
「ああ。」
…
それから数日後。
訳があり愁は地底に来ていた。
「古明地姉妹が俺を指名で何の用で?」
「少しお願いがあるの」
「お願いって?」
「ある妖怪退治の手伝い。博麗霊夢のお手伝いよ、あなたにしか頼めないお願いなのよ。」
「わざわざ呼ばなくても、妖怪退治くらいあんたでも鬼でもできるだろ。」
「生憎私も鬼も忙しくて、実力のあるあなたに頼みたいのよ」
「はぁ、わかったよ。それで?手伝いってどんなことだ?」
「ここから離れた洞窟に見たことのない妖怪が現れたの、気味の悪い生き物だって聞いてるわ。取巻きが多いせいでまともに動けないって言ってたから取り巻きの気を引くのがいいかもしれないわ。」
「わかった、霊夢さんは?もう向かってるのか?」
「さっき館を出たところよ、走れば間に合うんじゃない?」
「ん、わかった、向かうよ」
そう遠くないところに洞窟があり。
霊夢は入り口で待っていた
「霊夢さん。」
「愁だったかしら?」
「ああ、古明地に頼まれて来た、」
「あんた人間でしょ?何ができるの?」
「こう見えても刀には自信がある。あと少なからず魔法の類は紅魔館の魔法使いに匹敵すると思ってくれると。普通の人間じゃないって思えばそんなもん」
「半霊と魔法使いを足して割った感じね、ドジしなければ十分、もし襲われたら本体は私が祓うから取巻き共の気を引いてもらいたい、できるわね?」
「ああ、できる限りやってみるよ」
洞窟の中は湿気が強く、薄暗い
そのせいか少し肌寒さがある
「わざわざ退治する必要はあるのか。」
「あんた聞いてないの?」
「何をだ?」
「目的よ、お燐がペットを探してこの洞窟に入ってから、帰ってきてないって話なのよ、それでお燐を探そうとしたら、化物がいて近づけないから退治依頼ってわけ、お燐はまだ見つかってない。」
「それって、その化物にお燐が襲われている可能性は?」
「十分に有り得るわ、だから、私が行くのよ」
「なんてこったい。」
「道中見かけなかったけど、どうやら、この奥が突き当りみたいね、」
「探さなくても見つかるなら話は早いんだが。」
広間のような場所に出ると、奥にお燐らしき少女と白斑の猫が横たわっていた
「うーん…ちょっと距離がありすぎるな…」
「静かに、上を見なさい。」
「おお…これはこれは…」
天井には虫の様な妖怪が無数に居り、その様子はハチのようだった、
「真ん中にある柱状の巣みたいなところに本体がいると、私は予測してる。」
「んー。おそらくそうだろうな。」
「取巻き共はこっちに気づいてるみたいね。ゆっくり歩いてお燐を助けれるか試してみましょ」
「襲われたら最悪応戦するしかないな」
「行動はハチのそれに近いわね。手を出さなければ何もしてこない、かしら」
「だといいんだが。」
特に敵意も見せずにお燐に近寄る。
お燐の所に着いても特に襲い掛かってくる様子はなかった。
「護衛頼むわ、私が背負うから」
「隣の猫は?」
「息がない、脈もないし、生きてないわ」
「そうか…そりゃ仕方ない。けど、古明地のとこのペットなんだろ?一応持って帰って知らせるくらいしないと」
「あーもう、わかったわよ」
二人は広間の出口に近寄ると。
後ろから思い切り妖怪達が襲い掛かってきた。
「ちっ…」
「なんとか振り切れると思ったのに。」
妖怪達は羽虫のように群がり入り口を塞ぐ、
「何が目的なのよ!」
妖怪達は何か話しているようだが
人の言葉でないため、二人にはわからなかった。
愁は話しかけられてると思い言葉を返す
「残念だがおいてくわけには行かなくてな。お燐は帰らなきゃいけないんだ、ここにいるべきじゃないんだ」
妖怪達は二人の言葉を理解しているようで。それを尋ねる仕草をしている
「んーと。お燐には家がある、お前らの此処みたいにな、そこに帰らないといけない。だから俺らは迎えに来たんだ、」
「話してるつもりなの?」
「なんとなくだ、向こうさんはこっちの言葉がわかってるだろう、多分」
妖怪達は話し合いをしているようで
お互いに頷き合うと引いていった。
「入り口が開いたな。」
「わかってくれた、ということかしら」
「おそらく。」
その後入り口に向かおうとすると妖怪達がまた群がり、いきなり襲い掛かってきた。
「なっ!」
「やっぱだめじゃない!」
「だめなのか。」
「ん…?」
霊夢は自分が襲われていないことに気づく。
「私には何もしてこないみたい!」
「俺が悪いのか?」
「さぁ?」
反撃はせずただただ避ける
「だから何が目的なのよ!」
妖怪達はまた話しているがよくわからなかった、ただ、愁に対して攻撃を繰り返す
「ああ…厄介ね」
「なんとかならないか?」
「先にお燐を連れて帰ってもいい?」
「ああ、そうだな。」
「それまで耐えなさい。」
「へいへいっ!」
霊夢はお燐と猫を背負って洞窟を去っていった。
「でっ!なんだ!俺が何したってんだ!」
また妖怪達は話している。
「頼むから!わかる言葉がほしいよ!」
猛攻を避け続けていると妖怪達は途端に動きを止めた。
その直後、柱状の巣から取巻きよりも形の変わった妖怪が出てきた
「お前は?…なっ!あぁ!もう!」
沢山居た妖怪が一斉に愁に飛びかかる
……
「お燐!お燐起きて!」
「とりあえずお燐とペットは連れてきたわ、ペットの方は残念だけれど…一先ず私は洞窟に戻るわ、彼がまだ残ってるから。」
「わかりました…どうかご無事で。」
霊夢は急いで洞窟に向かう。
霊夢は広間に着くと、妖怪達が何かに群がって捕まえている様子が見えた。
「なっ!愁!」
叫んだ次の瞬間、群がりの中心に大きな爆発が起きて、妖怪達は飛び散り消えた。
爆発の中心の所に愁がいた。
「ちょっとあんた!大丈夫なの!?」
「ああー。まぁ大丈夫とは言えねぇな、かなりキツイ」
「何してんのよ!あんなの人間に耐えられるものじゃないわ!」
「捕まりそうになったから岩で塞いだら、余計に閉じ込められちって、仕方なくな。」
「わたしを待てばよかったじゃない」
「あっ、そうだな。」
「人間…お前は…」
妖怪の親玉はそう呟くとまた妖怪達が集まる。
「なんか、腹立ってきたし退治しとくか」
「当たり前よ。」
妖怪達はまた、束になって愁に突撃していく
「二度も同じ手は効かない!」
愁は魔法と刀を駆使して、妖怪を一気に薙ぎ倒していく。
「さて、私は本体を叩くわ!」
【神霊[夢想封印]】
妖怪の親玉をめがけて飛んでいく。
しかし、親玉は避けることもなく、ただそれを受けて、倒れた
その瞬間取巻きの妖怪達も力なく地面に落ちていき、力尽きるように消えていった
「なんだ?案外あっさりだな」
「そうね、避ける素振りもないし謎だわ」
「人間…あぁ…」
親玉はまだ微かに生きていて、倒れながらも呟いていた。
「そんなに人間に恨みがあるのか?」
「恨みではない。かつて私を…この醜い私を救ったあの人間に…会いたかった…」
「誰だよそれは」
「それは…お前によく似た人間だった…」
「あんた、過去に妖怪を助けたことないわけ?」
「んーや、妖怪は助けた覚えはないが、こいつ…」
「何か心当たりはあるの?」
「昔、羽虫が虫かごの中で沢山居たのを見つけて野に返した覚えがある。ガキが捕まえたやつだろう。虫なんてその時は嫌いだったし捕まえるのなんて嫌だったが、籠の中で藻掻く姿見てたら、なんとなく可哀想に思えて、助けてやった記憶ならある」
「ああ…お前だったのか…」
「あのときのバッタみたいなやつか」
「概ね合っている…お礼をしたかった。しかし人の言葉もわからず我々の言葉も伝わらない、そうした未練が…私を妖怪にしたのかもしれない…」
「そうか、まぁ。あの時死ななくてよかったよ、でもな、お前の気持ちは今よく分かった、だから亡くなった仲間のところに行って仲良くしてこい」
「ああ…これであのときの仲間も喜ぶだろう…改めて…ありがとう…」
そう言い放つと妖怪は消え散った。
「これでよかったのね」
「まぁ、いいんじゃないか」
「それじゃ、私は神社に帰ろうかしら。」
「そうだな。俺も帰るか」
…
地上、人里が賑わっていた
祭りというわけではないが。
屋台などが多く並び、人が集まっていた、
「流石に…来ないよな…」
屠自古は人里の広場で周りを見渡しながら立ち尽くしていた。
「何やってるんだろうか、私は」
「おや、こんなところに居たのか」
屠自古に話しかけたのは神子だった、
「神子様、来ていたんですね」
「ああ、偶然な。愁は居ないのだな」
「地底に行ってるから、多分来ないと思います」
「なのにあなたはそこで待っていると」
「待っているつもりは…まぁでも…待っていると言うことになりますね…」
「約束でもしているのか?」
「いや、特に、また祭りがあったら一緒に行こうと話はしていたが。今日は祭りではないし。」
「そうだな。」
「霊廟に戻るか…でも…」
「私は先に戻っているからな」
「はい、」
神子がその場を去っていても、屠自古はまだそのままでいた。
「来ないと思っても…なんで待ってるんだろうか…」
「来ないって思っても会いたいから待ってるんだろ?」
屠自古はの呟きに対して答えた人物が居た
「この声は、愁。」
「里が賑わってるって霊夢から聞いてな、様子見に来たんだ。」
「そうだったのか」
「待ってたんだろ?」
「でも、祭りじゃない…」
「祭りではないけどこれはこれで」
「でも、屋台がもう減って」
「夕方だし、戻ろうか?」
「ん、そうだな。」
二人は屋台に寄ることはなく霊廟に戻って行った。
…
「なぁ、屠自古。」
「なんだ?」
「長く生きるのって、どんな感じなんだ?」
「さぁ。私は亡霊だから、生きているというわけではないけど、まぁ、楽しいこととか嫌なこととか、たくさん繰り返すだろうな。」
「そうだよな…」
「何かあったのか?」
「さっきまで地底にいたんだけどな、古明地に、人探しと妖怪退治をお願いされたんだ」
「そうだったのか…無事でよかった。」
「ああ、その時退治した妖怪がな…昔俺がガキの頃に助けた虫だったらしくて…」
「虫が妖怪になった…か」
「ああ、その時は俺は虫なんて嫌いだったけど、どうも虫籠の中で藻掻くのが可哀想で助けたんだ。」
「その虫がなんで妖怪に?」
「なんとも、感謝を想いを伝えたいらしく、ただ虫のままでは何も出来ずその未練だって言ってたよ。」
「未練…か」
「あのときはまだ10歳だったか…10年以上経ってるんだ。虫なんて数週間すれば死んでしまう。早ければ二三日で死ぬやつだっているだろ。なのにあいつは10年以上も…」
「それだけ永らえれるほど、強い意志だったんだろう。」
「結局は退治してしまった。あいつは逝く前に俺にありがとうだけ伝えて消えてった、」
「未練が消え去って生きる意味を無くしたからだろうな。」
「生きる意味…か」
「私は亡霊だ、でも…未練とかは特にない、案外不自由のないこの体で生きているだけだ、お前と違って…長く生きてしまうが。」
「別れるのは辛いかな」
「それは仕方のないことだと思う。でも、私はお前が居なくなっても忘れたりはしない、お前は老いてしまうだろうし、避けられないだろう。」
「うん。だから、今こういう風に思ってしまうんだろうね。」
「心配なのか」
「まぁね、俺が居なくなったら屠自古は悲しむだろう、そう思うとなんだかな。」
「まぁ、悲しくはなるさ、でも、さっきも言ったが、避けられないんだ。」
「仕方ない…か」
「亡霊にでもなって帰って来れたら、話は別だが。」
「亡霊かー。」
「なんにしろ、私はお前と居たいんだ。亡霊でも何でも戻ってこれるんだったら、帰ってこい」
「かなり無理なお願いだなそれは。でも、ありがとう」
「どういたしまして、まぁもう遅いし、寝よう」
「ああ、俺も疲れた」
二人は布団に入るとしばらくしないうちに眠ってしまった、
そのときの二人は幸せそうに手を繋いで寝ていた
あれ…こんな長かったかな…
3月はゲームゲームゲームゲームのお祭りで
執筆が疎かになりそう(焦り)
今年中に100話目指せるのかこれ…
ではまた会えたら会いましょう