物語館   作:むつさん

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どうも夢子です。


どうぞごゆっくり


魂が入り込む刀

白玉楼を訪ねていた、

 

「すいませーん!」

 

「はいはーい。」

 

出迎えたのは男性…?

 

「どなたですか?」

 

「あっ。えっと橘って言います。ここが白玉楼で合ってますか?」

 

「ええ。そうですけど?何のようですか?」

 

「魂魄妖夢って言う人を探してるですが…」

 

「人っていうか半霊っていうか、まぁ、それで?」

 

「刀の稽古をつけてほしいと思ってここに来たんです…」

 

「ほう。刀の稽古ねぇ…本人に聞いてみないとな。とりあえず上がって。」

 

「ありがとうございます、お邪魔します。」

 

開けた和室に案内されると一人の女性がいた。

 

「あら、お客さん?」

 

「あれ、幽々子様こんなところで。どうしたんですか?」

 

「たまたまここにいるだけよ?」

 

「そうですか。橘さんだっけ。お茶持ってくるので座って待っててください。」

 

「えっと。はい。」

 

向かいに座ってる人…幽々子様って…ことは、前に聞いた妖夢さんの知り合いの方だったっけ。

 

「貴方、妖怪ね。」

 

「えっと…そうですが…」

 

「半妖にしては。力が弱いわね。」

 

「力が弱い?…普通の人間と同じように勉強して寝て遊んで…そんな生活ばかりだから気にしたことありませんでした。」

 

「ならなんで稽古をつけてもらおうと思ったのかしら?」

 

なんで稽古の話を知っているのだろうか…?

 

「色々とあって…」

 

「ふーん、そう。色々ね」

 

「基本的には自衛の為です。」

 

「そう。持ってきた木刀も自衛の為のものなのね?」

 

「これはそうですね。家に置いてあったものです。所謂泥棒対策として。」

 

「そう。」

 

「お茶、お持ちしました。」

 

お茶を持ってきたのはさっきの男性ではなく別の女性だった。

多分この人が魂魄妖夢さんだ。

 

「私に稽古を付けて欲しいって聞きましたが」

 

「剣術を教えてもらいたくて。」

 

「剣術ですか…剣術と言うよりかはそうですね…」

 

「基礎と応用で充分じゃないかしら?それ以降は個人の動きによるわ。」

 

「そうですね。それが良さそうです。」

 

 

道場ようの場所に移る

 

「その木刀は使い古してあるようですね」

 

「元々知り合いのものなんですけど、要らないってもらったものなんです…知り合いは昔、人里でよく暴れてたので…それで。」

 

「なるほど。あなた自体は握ったことはあるのですか?」

 

「とりあえずは、数回。」

 

「わかりました。とりあえず構えの姿勢はわかりますね?」

 

「はい。」

 

青年は木刀で構えの姿勢をとる。

両手で握り締め。しっかりとした姿勢だった。

 

「構えの姿勢は問題なさそうですね。」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

「振りかざしたりとかはしたことありますか?」

 

「はい。一応寺子屋の道場に通っていた頃や最近でも多少は。」

 

「なら、とりあえず基本のおさらいからですけど。いいですか?」

 

「はい。」

 

「まずは。攻めの練習と守りの練習をしますよ。」

 

「はい!」

 

一先ず受け身からですね

 

「守りの姿勢もできてるようですね。実践ではしっかり構えるといいですよ」

 

「わかりました」

 

実際に振りかざしてみてもしっかりと刀で受け止めれている。少し押してみても、反発して押し返して来る。

 

「守りは十分ですね、攻めの練習をします」

 

「はい。」

 

振りかざして来るのを刀で受け止める。

人間の青年くらいの力ではない…

少なくとも妖怪の力程は出してきている

半妖なのはわかるけれど…

とりあえず反発して下げないと。

 

「これでは…」

 

攻めの姿勢が強すぎる…

私が防戦一方のような感じになってる…

大きく下がらないと…

 

「えっと…」

 

「手を止めましょう、十分です。」

 

「わかりました」

 

刀の振り方も守りも十分過ぎる程にできてる。

 

「本当に数回だけなんですか?」

 

「えっと…はい。」

 

上達が早かったのか、元々持ち合わせていたセンスなのか…

 

「まぁ、刀の稽古という意味では初心に帰って頂けたと思います、守りも攻めも十分ですし、刀の扱いもしっかりとできてますよ」

 

「ありがとうございます。」

 

「軽い実践形式でやってみましょうか」

 

「是非お願いします。」

 

お互いに構える…

 

私から攻めてみよう…

 

刀を振りかざしても。一発も通らない…

それどころか軽く往なされている

一旦下がると詰められて防ぎ切るまでが長い…押しの力が強いせいか反発して相手を下げることも難しい。

 

本当に素人…?

もしくは数回の経験が半端じゃないのだとしたら…誰がこんなにも指南できる…?

 

「妖夢。今は考えず向かいの相手に集中しなさい。」

 

そうだ、考えている暇はない。

 

こうなっては容赦していられない。

一度下がって。相手が詰めてくるのを待つ。

 

大きく振りかざしてこれば…

 

「甘い!」

 

「くっ…」

 

カウンター…決まって良かった

 

「お疲れ様でした。」

 

「負けました…」

 

「十分じゃないの?妖夢にあれだけ詰めることができるなら。」

 

「幽々子様、先程は申し訳ございませんでした…」

 

「いいのよ、あの局面なら考えたくなるのもわかるわ。でも。そこがあなたの甘いところよ。頑張りなさい」

 

「はい、精進します。」

 

「稽古。ありがとうございます。」

 

「ええ。でも驚きました。数回しか刀を握ったことがないというのに。あれだけの実力つけれるのですね。」

 

「生まれ持ってのセンスね。」

 

「やっぱりそういう人はいるのですね。」

 

「あなたもそうだったでしょう?」

 

「まぁ。それは確かに。」

 

「両手に一本ずつ刀を持つなんて簡単なことじゃないわ。」

 

「…話が逸れましたが、今日はこれでお終いにしましょう。また今度機会があればお相手します。」

 

「わかりました。ありがとうございました。」

 

「ご苦労様。」

 

木刀を背負って青年は帰っていった…

 

「幽々子様。」

 

「何かしら?」

 

「半妖にしては。力が強すぎると思いませんか」

 

「普段は妖怪としての力は弱くても物理的な力は強いってことね。」

 

「妖怪としての力も強かったと思いますが…?一瞬だけでしょうか…」

 

「何か特別な妖怪ね。」

 

「特別な?」

 

「木刀を構えているときの彼は、明らかに初め見たときと風格が違っているもの、彼は木刀以外に刀を持っているでしょうね。木刀の扱いにも慣れているでしょうけど、他の刀も使えこなせるわ」

 

「なるほど…」

 

「寺子屋で触ったとか、数回だっていうのは…現実的とは思えないけれど。少なからず彼が低レベルではないのは確かね」

 

「彼は一体…」

 

「単純に自身が無かったのでしょう。彼自身自分が妖怪だっていう自覚はあると思うけれどそれがどこまで理解しているかだと思うわ。」

 

「自身がない…迷いがあったようには思えませんでしたが…」

 

「深い理由は話さなかったわ。ただ自衛のためとは言ってたわね」

 

「自衛…そうですか」

 

 

……

 

妖怪の気配…弱い気配だから心配はない…

いや…この気配は…

 

「今日は二人とも不在なのよねぇ…」

 

仕方なく出迎える

 

……

 

「いらっしゃい。今日も稽古?」

 

「幽々子様。はい、稽古に来ました」

 

「やっぱそうよねぇ。生憎だけど今日は妖夢は出掛けてるから。刀の稽古は無理そうね。」

 

「そうですか…また日を改めて…」

 

「まぁせっかく来たんだからお茶でも飲んでいきなさいな。」

 

「はあ…ではお言葉に甘えて。」

 

部屋で待っていると幽々子様がお茶を持ってきてくれた

 

「幽々子様がお茶を…?」

 

「そうよ。今日は私しかいないもの。」

 

「えっと…ありがとうございます」

 

「いいのよ。」

 

幽々子様と二人か…

 

「緊張してるかしら?」

 

「え、ええ…まぁ…」

 

「ふふ。ならその緊張感を生かして、特訓でもしましょう。」

 

「えっ?」

 

「こっちよ。」

 

屋敷を進んでいると周囲がいつの間にか見覚えのない風景になっていた。

 

「ここは…?」

 

「冥界よ。安心しなさい。死んだわけではないわ」

 

「冥界…」

 

「当然のことだと思うけど飛べるわね?」

 

「それはもちろん。」

 

「なら、弾幕を避ける練習はしたことあるかしら?」

 

「それは…ないですね。」

 

「なら、早速特訓しましょ。」

 

「えっと…はい。」

 

「ただ避けるだけでは面白くないわね…ルールをいくつか決めるわ。」

 

「ルール…ですか。」

 

「刀の使用禁止。地上にいられるのは二秒だけ。」

 

「なるほど…」

 

「目的としては、そうね。私は動かないから私の手の届く所まで来れたら上々。ただし被弾したら即座にもとの位置に戻すわ。」

 

「被弾を一切せずに幽々子様の近くまで行くと、」

 

「そういうこと、それじゃ始めるわね」

 

幽々子様はかなり遠くまで離れてしまった

 

「かなり遠すぎませんか…」

 

それも当たり前か。遠ければ避けやすいが近ければ近いほど弾幕は避けにくくなる。

そう思えばいい特訓かもしれない

 

距離があるうちは簡単に避けて進むことができたが、半分まで来たところでそんな余裕はもうなかった

 

「こんなにいきなり難しくなるのか…」

 

避けるのに必死で前に進めてもさっきよりもペースが遅い。

 

「武器が使えない上に陸にも降りれない…こんな状況で…どう進めば…」

 

活路の開き方がわからない。

避けるばかりでは何も進まない。

 

「どうすれば…」

 

考えれば考えるほど後退してしまっている…

 

「考える…?」

 

この前…幽々子様が妖夢さんに行っていたことを思い出す。

 

(考えず向かいの相手に集中する。)

 

今の状態なら幽々子様の弾幕対して…

 

「一定の動きがあるわけでもない…規則性もない…なら。直感しかないのか…」

 

安全圏で考察する…

 

「手段は選べない。」

 

一つわかることは。

僕に向かって飛んでくる数は少ない。

浮遊して動くだけの弾幕が大半。

なら…

 

「さっきよりも早く進まないと。」

 

移動速度を上げて。なるべく浮遊して動くだけの弾幕を避ける。

 

「向かってくる弾幕は自然と避けれる。なら気にするのはその場にあるものだけ…」

 

とは言え油断はできない。

 

「上出来じゃない。」

 

危ない局面もあったが。なんとか声が届く所まで来れている。

 

「でもこれからよ?」

 

そうだ、最もこれから、密度が濃くなる。

その上向かってくる弾幕も無視はできない。

 

「早く…」

 

見るのは幽々子様じゃない…今はまだ弾幕だけ見ればいい…

 

「さすが妖怪と言ったところね。」

 

あともう一息なのに。

ほとんど壁のような弾幕…

避けるも突破もできない…

 

「くっ…こんなの…」

 

「まぁ、おしまいね。」

 

四方八方から弾幕が襲ってくる…

とっさの判断だった…急降下して、地面を蹴って後ろに避けながら上昇する。

 

「あら…あれを避けるなんて…大したものだわ」

 

「はぁ…」

 

息が続かない…

 

「お手上げです…」

 

「そう?もう一息じゃない」

 

「…これ以上はちょっとキツイですよ…」

 

「まぁ、無理をするのは良くないものね」

 

地上に降りて一息つきながら来た道を戻っていく

 

屋敷に戻るとお茶が用意されていた。

 

「妖夢、戻ってたのね」

 

「はい。今日はそこまで用事無かったので。」

 

「そう、そのまま稽古するのかしら?」

 

「私は構いませんが?」

 

「いや…休ませてください…というか今日はもう無理ですって…」

 

「冥界まで行ってたんですよね。何されてたんですか?」

 

「弾幕を避ける練習。」

 

「…なるほど…ね…武器を使わない例のアレですか…」

 

「そうよ。もう一息だったのだけどねぇ。」

 

「まぁ、普通に考えて無理難題ですからね。」

 

「本人は気づかなかったみたいだけど。惜しいとこまでは動いてたのよ?」

 

「惜しいところまで…?あれがですか…?」

 

「そうよ。急降下したのは覚えているかしら?」

 

「ええ、それは覚えてます」

 

「降りた先正面には何があった?」

 

「何があったか…何が…?ん?何もなかった…な…何もなかった」

 

「つまり、あの場で下がらずに進めば私に近づくことができたのよ。惜しかったわね」

 

「とっさの判断ミスか…」

 

「でもあれでいい、貴方には余裕が無かったのならね。実際の場合では詰めすぎるより一定の距離を保って攻めるときに一気に攻めればいい。」

 

「わかりました。」

 

「私からはこれくらいかしらねぇ」

 

「また機会があれば来ます」

 

「ご苦労様。」

 

……

 

「今日は何を買って帰ろうかな…」

 

最近…幽々子様のおやつもまた減ってきたし…

 

「たまにはお団子買って帰りましょう」

 

兎の屋台から団子を受け取ったその直後、

何か大きな物音がした。

音的に人里の中だ

 

「なんですか今の音は?」

 

煙の上がった所まで向かう途中

誰か見覚えのある人とすれ違った気がする…

そんなことを考えるよりも事件のある場所に向かうと妖怪達が宿舎を襲い込んでいた

 

「また妖怪が暴れて…!」

 

刀を構えると、

後ろから誰かが走って来た。

 

「下がって。」

 

見覚えのある顔。

橘さんだった。

 

でも普段と表情が違う、

風格も何もかも違う

でも彼は素人当然のはず…

 

「あなたこそ下がって。」

 

「…」

 

何も言わずに妖怪達の群れの中に飛び込んでいった。

 

「ちょっと!」

 

圧巻だった。

傷一つ付かず敵の攻撃に触れることもなく、

暴れていた妖怪達を斬っていった。

暴れてたのは二匹や三匹ではない。

十とか十五は居るはず…

 

気がつくと妖怪の屍だけが並んでいた。

 

「あれ…?私が来た意味ない?」

 

いつの間にか横に博麗の巫女がいた。

 

「霊夢さん。」

 

「あんたの仕業?ってわけでもなさそうよね。何これ?」

 

「えっと…」

 

私も少し驚いている。

 

「橘さん…どうして…」

 

「まだ一匹中にいるみたいね。退治しましょ」

 

「いえ!その必要はありません!この気配は…」

 

いつもと違う妖気…

でもその中に確かに橘さんの気配はある…

 

「なんでよ。暴れてたのって妖怪なんでしょ?」

 

「この妖気は…別です。」

 

半壊の宿舎から橘さんが出てくる。

 

「終わりましたよ。」

 

「終わりましたよって。あんたも妖怪じゃないの。」

 

「そうだね。妖怪だ。退治するの?」

 

「あんたが元凶なら退治するけど。そうじゃないなら理由もないし、面倒そうだからやめておくわ」

 

そう言って、霊夢さんは帰っていった。

 

「あの…橘さん?」

 

「なんですか?」

 

意味もなく引き止めてしまった…

でも聞きたいことが山程ある

 

「その刀はどこで…?」

 

「刀…どこで…か」

 

何か後ろめたいものでもあるのだろうか…

 

「家まで来てください。ここでは話せません」

 

「…わかりました」

 

橘さんの家は人里の端の方にあり、小さな借家だった。

 

「ここに一人で…?」

 

「そう、あがってください」

 

一人暮らしの最低限のものしかない…

 

「それで、さっきの話だけど、」

 

「その刀は…」

 

「神刀って言われてる、古い刀。」

 

「神刀…?」

 

「御霊の宿る刀なんです。」

 

「そんなことが…」

 

「私は確かに妖怪です。でもまだ私としての力が弱い。だから。特訓が必要だった」

 

「でもあの様子だと。」

 

「あれは…刀の御霊の力です…」

 

「御霊の力…」

 

「力というよりかは、御霊が身体を操っていると言うのが近いかもしれません。」

 

「身体を操る?」

 

「この刀は私が世話になった人間が持っていた刀で…その人は刀鍛冶だったのですが。神様が宿る刀だと言って私に渡されました」

 

「神様?」

 

「何の神様なのかもわからず、名前もわかりません。ただこれには御霊が宿っていてその御霊に願えば力を貸してくれる。その代わりに身体を一時的に受け渡す。そういう仕組みになってます」

 

「なるほど…」

 

「でも…この刀は私にしか答えてくれないみたいで…友人や別の妖怪には反応しなかったんですよね…」

 

「貴方だけの刀なんですね。」

 

「そうですね…」

 

「色々と納得しました。」

 

「それは良かったです。」

 

「また今度特訓がしたいときはいつでも稽古できますから。」

 

「…まぁ、その時が来たらですね、」

 

「はい。では失礼しました」

 

……

 

その後何日経っても橘さんは来なかった。

特に気にはしてなかったけれど

幽々子様から話しかけられて思い出した

 

「刀の稽古の妖怪。覚えてるかしら?」

 

「えっと…橘さんでしたよね。」

 

「彼、行方不明になったみたいね」

 

「えっ?」

 

「家には刀だけ残してあって。彼だけ消えた。」

 

「どういうこと…?」

 

「あの刀。私も見たけれど。やっぱり妖刀ね」

 

「妖刀…?彼は御霊の刀だって…」

 

「そう言われて渡されただけ。でも、本当は妖怪の魂を吸って鍛えられる妖刀。」

 

「なら。彼が力を借りると言っていたのは?」

 

「それは間違いないわね。持ち主身体を操って力を振るう刀だもの」

 

「そんな…」

 

「だからあの刀に彼は喰われた。」

 

「…そうですか…」

 

「まぁ、今となっては他人事よ。そう深く思い詰めることはないわ。」

 

「そうですね。」

 

 

結局あの刀はある貴婦人の家に買い取られ

商売道具になったとか。

 




また会えたら会いましょう
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