物語館   作:むつさん

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どうもむつさんです
(今後はむつさんで通します)

4話連続投稿です。
遅くなりました9月に投稿かなとか言って遅くなりましたごめんなさい許して…

まえがきはこれだけ
あとがきは四話目のラストにだけ

ではごゆっくり


生まれた理由

雨が降り続ける中、魔法の森のある広場に物が放り込まれた、そのすぐ直後に、ゴミや瓦礫の山が雪崩を起こすように崩れた。

 

……

 

わたしの初めての一日は…

雨の降る冷たい朝から始まった…

 

 

「痛い…ごつごつしてる…」

 

聞こえてくる【声】に違和感を感じる…

 

「あれ…わたし…?」

 

人の身なりをしてる…

これは一体なんで…

 

「あっ!唐傘…あれ…唐傘は…?」

 

必死になって探したが

瓦礫の山ばかり。

 

「いた!よかった…」

 

地面の上に力なく倒れていた…

 

「起きて…唐傘…」

 

唐傘は薄っすらと目を開けると起き上がって露先を広げ、私を雨から防ごうとしていた。

 

「ありがとう。でもこれじゃ雨を防げないね…」

 

生地に穴が開いていたり、破れていたり…

 

「私達…どうして生まれたんだろ…」

 

唐傘の中棒を持って肩にかけて歩く…

 

瓦礫やゴミ溜まりの外は森ばかり…

 

「どうしよう?」

 

宛もなく森の中に入り、道らしき場所を歩いていると、後ろから何か気配を感じた…

 

振り返ると見たことのない生き物がそこにいた。

 

「ひゃっ…」

 

怖かった、見たこともない、

恐ろしい…そればかりで必死に逃げようと走った。

 

でもボロボロの体では逃げることもまともにできなくて、飛んで逃げようとすると足を何かに掴まれた

 

解く間もなく引っ張られて地面に叩きつけられる…その直後にまた手足を植物のようなもので縛られた。

 

「い…いや…!離してよ!」

 

藻掻いても暴れても齒が立たなかった。

化物の方を向くと刃物のような手をこちらに向けて嗤っているようだった。

 

「いや…いやだよ…殺されちゃうよ…」

 

恐ろしさのせいで考えも纏まらなくて体も動かない…

もう何もできなかった…

 

「やめて…こないでよ…」

 

化物は高笑いをすると手を大きく振り上げる

 

「ひゃっ…」

 

怖さのせいで目を瞑ってしまう…

 

その瞬間轟音とともに地響きのような揺れが起きた。

 

ゆっくりと目を開けると目の前の化物は居なかった。気がつくと手足も自由になっていた。

 

「えっ…何が起きてるの…?」

 

「大丈夫か?」

 

「あなたは…?」

 

「私は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだぜ!」

 

「魔法使い…?」

「そうだぜ、っとのんびりしてられないな、ここにいると危ないからほら早く後ろに乗れ」

 

「えっ?う、うん…」

 

その場の状況が飲み込めないが…箒に跨ると浮き始めた。

 

「あっ…唐傘!」

 

唐傘は呼ぶとすぐ飛んできた、

 

「その傘、大切なものなのか?」

 

「とても…とても大切。」

 

「そうか。ほら行くぞ、捕まってろ!」

 

勢い良く上昇すると空に飛び上がった。

 

「え、ええ…!?」

 

「空を飛ぶのは初めてか?」

 

「う、うん…というか。私は…」

 

「んー、話はあと、安全なとこに行こう。霊夢のとこでいいか」

 

森の上を飛んでいると地上から植物の種のようなものが幾つも飛んできた。

 

「やっぱりさっきの砲戦花か…邪魔だなぁ…揺れるぞ!しっかり掴んでいてくれよ!」

 

箒が四方八方に揺れる…

 

「なんなのこれ…」

 

「飛行物を無差別に攻撃する植物だよ。全く迷惑極まりないぜ。」

 

森を抜けるともう種は飛んでこなかった。

 

「危なかったぜ…」

 

「小さい種みたいだったけど…」

 

「確かに小さいけどな、あれは脆いんだよ、何かにぶつかると砕けて酸性の液体をばら撒くんだ。当たると服が溶けたり、皮膚に触れると炎症を起こしてすごく痛いんだ…」

 

「そ…そんなものなんで飛ばすの…」

 

「私も知りたいぜ…というか誰があんなもの森に植えたんだよって思うぜ」

 

確かにそうだ…こんな危ないもの誰が植えるのかな…

 

「さて、見えてきたぜ。」

 

魔理沙が指差した先には、何故か見覚えのある建物があった。

 

「ふぅ〜。無事到着だぜ!」

 

「ここは…」

 

「博麗神社。知らないのか?」

 

「あんたまた面倒そうなの連れてきたわね…」

 

赤い服の人間が近づいてくる…

 

「妖怪に襲われてたからな。助けてやっただけだぜ!」

 

「まぁ、助けたその子も妖怪だけどね」

 

「うえっ!そうなのか!?」

 

赤い服の人間は私を睨んでくる…

 

「あんた…唐傘お化けね。」

 

「えっ…わかるの?」

 

「まぁ、カンもあるけど、手に持ってる唐傘と、あんたのその様子見たら大体わかるわ」

 

「わたしはわからなかったぜ…」

 

「あんたほんとそういう所鈍感よね」

 

「さ、さぁ?」

 

「自己紹介まだだったかしら。私はこの神社、博麗神社の巫女。博麗霊夢よ。」

 

「み…こ?」

 

「そうね。簡単に言えばお祓いとか、妖怪退治とかやってるわ。」

 

「妖怪…退治…」

 

「ああもう…あからさまにそんなこわばった顔しないの。妖怪退治って言ってもこの幻想郷に対する脅威が主だから、安心しなさい」

 

「うぅ…私は…」

 

安心しているのか…していないかもしれないけど、急に疲れが体を襲ってきて…膝から崩れて座り込んでしまった

 

「ちょっと。大丈夫?」

 

「雨も降ってるわけだし、少し休ませてあげようぜ。」

 

「神社で妖怪を休ませるのもおかしな話だけど…もう。仕方ないわね、魔理沙頼んだ」

 

「わたしが?そんな雑なぁ…」

 

魔理沙は私をおんぶすると。

神社の建物の中に入る。

 

何か祀ってあるのかと思ったけど…

そういうわけでもなかった…

 

「布団、用意したからしばらく横になって休んでなさい。」

 

「えっと…あの…」

 

「ありがとうでいいわ。感謝の意思表情くらいなら言わなくてもわかる、今はいいから休みなさい」

 

「ありがとう。」

 

布団に入って横になる…

すぐ寝付けるかと思ったけど、

なぜか眠れなかった

 

「唐傘なんて抱きしめて寝ちゃって」

 

「大切なんだってさ」

 

「そう。だけど。ちょっと気になるわね。」

 

二人がまだ話をしているのを聞いていた

 

「何が?」

 

「唐傘もボロボロだし服も破れたり穴が空いてたり。まさかね…」

 

「どういうことだよ。」

 

「魔理沙は付喪神って知ってるわね」

 

「ああ、道具に魂が、ってやつだな」

 

「そう。付喪神が生まれるには理由があるわ、簡単に言えば。道具に霊魂が宿って変化するってやつ。昔の表現だと百年経つと変化するとかって説があるらしいけど実際にはこの子は…」

 

「霊夢って博識なんだな…」

 

「あのね、妖怪退治とかしてたら自然と気になるものなのよ。調べる場所ならあるし。そりゃ知ってることだって多いわ、」

 

「んで、こいつがどうしたんだ?」

 

「多分。霊魂が取り付いた理由が怨念とか恨みなんじゃないかって思うの。」

 

「唐傘だから捨てられた…とか?」

 

「付喪神って、使い手の愛着によって生まれたり、捨てられたりしたときの恨みや憎しみで生まれるって説もあるのよ。」

 

「へ、へぇ…そうなのか…」

 

私…捨てられたの…?

 

「この子は捨て傘とか忘れ傘。そんな所じゃないかしら。」

 

「そういうことか…」

 

「実際の所はわからないわ。この子が生まれた経緯を調べる方法なんて無いわけだし、聞き出すのもこの子に悪いわ。悲しい結末の結果、この子が生まれたのなら尚更ね。」

 

「残酷なんだな…」

 

「でも、それは私達と同じ人間がやったことなのよ、もし本当にこの子が人間から捨てられたのなら、過去を思い出したこの子が人間を襲わないことを祈るわ」

 

「だな…その時があったら…」

 

「最悪私はこの子を祓わないと行けないわけでしょ。それだけは勘弁ね」

 

「なんだ?優しい言い方するな」

 

「煩いわね。仕方ないでしょ。」

 

「まぁ、最近の霊夢は妖精達に甘いもんな」

 

「そういう貴方も妖精達に好かれてるでしょ」

 

「ははっ、確かにな」

 

「今日は来ないのかしらね。 」

 

「あいつらがいないと静かだよな」

 

「今はいないほうが良いわ怪我人もいるわけだし」

 

「怪我人、人じゃなくて妖怪だけどな。」

 

「どっちも変わらないわ」

 

…どうしてだろう…

胸が苦しくて…悲しい…

 

「ねぇ…」

 

「あら、起こしてしまったわね」

 

「ううん…ずっと起きてた…」

 

「そう、どうかした?」

 

「私…捨てられたの…?」

 

「ああ、さっきの話ね、あくまで可能性の話よ事実かどうかは私には分からない」

 

「でも霊夢、こいつを見つけたとき魔法の森にいたんだけど、近くにあの広場があったんだよ…」

 

「あの場所って?…もしかして」

 

「ああ…人里では掃き溜めって呼ばれてる。」

 

「…魔理沙が見たのなら誤魔化しようがないわね。」

 

「掃き溜め…?」

 

「人里にはね。要らなくなったものや処理できなくなったゴミを魔法の森のある広場に捨てていくような人間がたまにいるのよ、私や魔理沙みたいに幻想郷を護ってる側からすれば迷惑極まりないわ。」

 

「じゃあ…やっぱり私…要らなくなったから捨てられたんだね…」

 

「心苦しいとは思うけれど、そういうことになるわ。」

 

「そうなんだ…」

 

胸が苦しくて…悲しい…辛い…

そんな気持ちで一杯だった…

涙が溢れて流れてくる…

 

「泣きたくなるのはわかるけれど…私達には止められなかったことなのよね…」

 

「ああ…そうだな…」

 

「私…これからどうすればいいの…」

 

「ああ…困ったわね…」

 

「いやまぁ…残酷すぎるのはあるけど…起きてしまったのは変えようのない事実なんだよな…」

 

「なんで…私は生まれてきたの…なんでこんなに苦しくて…悲しい思いをしないと…」

 

「そうね…貴方名前はまだ無いわね?」

 

「名前…?」

 

名前…何か引っかかるような気がして…

 

「えっと…名前…」

 

「霊夢、生まれたばかりなんだから名前なんてあるはずないぜ」

 

「ううん…名前ならある…」

 

「なんて?」

 

古いような記憶…

薄っすらと浮かぶ風景…

その風景に映った景色は

まるで懐かしいような…新しいような…

その中で誰かが私の名前を呼んだ

 

「多々良小傘…私の名前は多々良小傘。」

 

「どういうことなの?」

 

「分からない…わからないけど、これが私の名前…」

 

「誰が名付けたんだ?」

 

「この子がまだ傘でいた頃の使い主じゃないかしら。それなら話は通るわ。」

 

「その時の記憶って残ってるものなのか?それに、傘にわざわざ名前をつけるなんて酔狂なやつだな」

 

「さぁ?でも記憶に残ってる訳だからこの子は名前を覚えてるんでしょ」

 

「ああ、まぁそうだな。」

 

傘でいた頃の私の使い主…

どんな人間だったのかな…

 

少し…思い出せそうな気がする…

思い返そうとするほど…

さっきと同じ感覚になる。

 

懐かしいような新しいような、

そんな風景ばかり頭に浮かぶ…

でもその度に悲しい気持ちで胸が一杯になるのと同時に…嫌な風景も思い浮かぶ…

 

「さっきからどうしたのよ。」

 

「あっ…何でもない…」

 

「言いたいことがあるなら言うのよ。」

 

「…えっと…言いたいことはあるけど…なんていえばいいのかわからなくて…」

 

「妖怪として生まれたばかりなんだから話下手でも仕方ないぜ。纏まってから話をしてくれ」

 

「うん…」

 

また布団に横になる…

胸が苦しいのが収まらない…

何か考える度に捨てられたという事実が頭を過ぎって胸が苦しくてなる。

その度に涙が止まらなかった。

 

「…魔理沙ちょっと席を外して頂戴。」

 

「えっと…なんとなく察したぜ、丁度いいやこーりんのとこにでも行くかな」

 

魔理沙は外に行ってしまった…

 

「多々良って呼べばいいかしら?それとも小傘?」

 

「…どっちでも…」

 

「ちょっと隣失礼するわね」

 

すぐ近くまでの巫女は来ていた。

何かされるのかもしれない…

でも今の私には抵抗する余力は微塵もない…

 

「ねえ、小傘。」

 

「…うん…」

 

「確かにあなたは今すごく苦しくて辛いと思うわ」

 

「うん…涙が止まらないよ…」

 

「そう…ね、起き上がってこっち向けるかしら?」

 

「えっ?う。うん…」

 

言われたとおりにすると、

巫女は…霊夢は私を抱きしめた…

 

「えっ…えっと…」

 

「辛いことや悲しいことは誰にでもあるわ。」

 

「それは…あなたにもあるんですか…」

 

「もちろんよ、私はこの幻想郷を護ってきて、辛かったり悲しい思いを幾度と経験したわ。だからこそわかる事ことがあってね」

 

「どんなこと…?」

 

「辛いことや悲しいことがあった分、それと同じくらい嬉しいことや楽しいことがあるってこと。小傘はまだ生まれたばかりでいきなり苦しくて辛い思いをしてる。でもその分、小傘はきっと楽しくて幸せに生きることができると思うわ。」

 

「楽しくて幸せに生きる…」

 

「そう。傘でいた頃は辛かったかもしれない、今も辛いと思うわ。でもこれからはきっと楽しくなる。私が保証するわ。」

 

「ほんと…?」

 

「ほんとよ、私のカンは当たるから安心しなさい」

 

「わかった…」

 

しばらくそのままの姿勢だったけど。

とても気持ちのいい暖かさだったからか気がついたら眠っていた。

 

……

 

「この傘お気に入りだからね。」

 

「はぁ?そんな地味な傘が?」

 

「奇抜すぎたり無色透明よりいい、それに地味でも愛着があるなら気にすることはないよ。」

 

「よくわかんねぇな。」

 

「君みたいにすぐ代え物を用意する人にはわからないかもしれないね。」

 

「仕方ねぇだろ。天気なんてわかんねぇし。」

 

「だからこそ、持ち歩くんじゃないか」

 

「そういうもんなのかね。」

 

「私はそう思うよ。」

 

「へぇ、そうかい。」

 

「それに、道具でも大切にすれば、いつか答えてくれるさ。」

 

「傘に口なんかねぇよ。」

 

「ははは、確かにそうだね、でも、付喪神になってくれたら、答えてくれるかもしれないよ?」

 

「百年経たないと生まれねんだろ?その頃にはあんたは死んでる」

 

「確かに。まぁ、いつかそのうちさ。」

 

「あっそ…」

 

「どちらにせよ、僕はこの傘が……」

 

……

 

目が覚めると見覚えのある風景に戻ってきていた。

 

「ここは…神社、さっきの…夢…?」

 

周りを見渡しても霊夢が隣で寝ているだった

 

「夢…か…」

 

少し経つとまた眠たくなったので

再び寝ることにした。

 




次の話に続きます
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