物語館   作:むつさん

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どうもむつさんです

長々と時間かけすぎましたかね…


ではごゆっくり


知られざる話

用事があって人里に来ていた。

 

山で悪事を働いた妖怪が人里に逃げ込んだという。

 

「全く…手間かけさせないでほしいですね。まぁ、哨戒任務よりマシですけど…」

 

広場の方から騒ぎ声が聞こえる。

何かあった?

例の妖怪じゃなきゃいいけど。

 

ひとまず向かってみますか。

 

「…案の定ってやつですか?全く…」

 

山蜻蛉…生き物を捕食して養分を吸って活きるという趣味の悪い妖怪

 

普段は妖怪の山で動物の子供を攫うことが多いんですが…

ついさっき。天狗の子供を攫っていたことが発覚して、罰から逃げるために人里に忍び込んだのだとか

 

無論攫われた天狗の子供は無事だ。

 

「そこの妖怪!!!」

 

「ヒエッ!もう来たのかよ!」

 

「山で騒ぎをおこした挙句、人里まで逃げ込んできて、ここまで騒がれるなんてあなたも無様ですね」

 

「う、うるせえ!」

 

「天狗の子供を攫った罰。しっかり受けてもらいます。」

 

「何言ってんだ人里でやるってのか!」

 

「もちろんです。上の許可も貰ってます、妖怪が妖怪を襲う分には霊夢さんも文句は言わないでしょうから。」

 

「なっ!ふざけやがって。近寄るんじゃねぇ!こいつがどうなってもいいのか!」

 

人間を人質に…また小癪な…

剣を抜いた矢先に、思いもよらぬ手を取られたな…

 

「それ以上近寄るな!」

 

「人間を人質に取るなんてまた馬鹿なことをしましたね。さらに罰が重くなりますよ。」

 

「あっ、椛?ちょっとどうなってるのよ。」

 

「霊夢さん?来たんですか。」

 

「あんたなんで人質なんて取られてんのよ。」

 

「ちょっと騒ぎに駆けつけるのが遅くなりました。」

 

「何よ、あんな低俗に追いつけなかったわけ?」

 

「空を飛ばれたらトンボには流石に追いつけないですよ、向こうは羽があるんですし」

 

「あんたの上司より遅いでしょ。」

 

「まぁ間違いじゃないですけど」

 

「どうするかしら。」

 

「へへ、こんな状況じゃ巫女も手出しが出来ねぇなぁ」

 

「うるさいわねぇ。」

 

「ああ、確かに二人は手出し出来ないかもな。」

 

「なんだ?オメェ。捕まっててどういうつもりなんだ?」

 

ほんとにどういうつもり…?

 

「馬鹿な妖怪だ。なぁ巫女さんよこいつはやってしまってもいいんだよな」

 

「ま、まぁ人里でこれだけ騒ぎ起こしちゃってるし私は別に構わないけど。」

 

「うん、わかった」

 

「な、なんのつもりだっ…うぐっ?!」

 

鈍い音と共に山蜻蛉が後ろに引き下がる

横腹から虫特有の血が流れてる

何をしたの?

 

「小刀だと…」

 

仕込み小刀…?

 

「相手が悪かったな。椛さんだったかな。どうするんですか。連れてくんなら手伝いますけど。」

 

「まぁ、もとより連行しないで斬り捨てるつもりだったからどちらでも」

 

「ならその剣貸してもらっていいですかね。個人的に腹が立ってるんですよ。」

 

「酔狂な人間…投げますよ。それっ!」

 

「ありがとうございます、借りとか作りたくないんだけどまあいいや」

 

いや別にいいけど…

 

「人間風情が俺なんかに…!」

 

「峰打ちになったとはいえ思いきり力込めた筈なんだがあんまり効いてないか」

 

「チクショウ…痛え…」

 

状況が読めない…

何なのこの人間…

 

いや人間じゃない…?

 

「ちょっと重たいなこの剣。まぁどれも同じか」

 

ちょっとどころじゃないと思うのだけど

 

「クッソ…こんなところで」

 

「もう一度言っておくよ。相手が悪かった」

 

山蜻蛉の頭が斬り落とされる…

 

「汚い色してるな…臭いし」

 

「…私神社に帰るわ。後始末宜しく。」

 

「霊夢さん?わ、わかりましたなんとかします。」

 

霊夢さんの様子がおかしかったような…

 

「剣、返すよ。ありがとう」

 

「はい、どういたしまして。ちょっと気になったのですが、あなたって人間じゃありませんよね」

 

「それが何か?」

 

「いや、特に何もないんですけど」

 

「人里にも妖怪くらい住むでしょう。」

 

「まぁ、それは確かに。」

 

「こいつ山蜻蛉でしたっけ」

 

「よく知ってますね。」

 

「ああ、いつか怨み晴らしてやろうと思ってたんだよ。僕の家族がこいつに襲われたんだ、駆けつけたときには遅くて、連れ去って逃げられたんだ」

 

「それで、腹が立ってるってことなんですね」

 

「そうだ、だから丁度よくこいつがやってきてくれたのが運が良かったのか悪いのか。」

 

「そうですか、結果的には良かったですね。」

 

「まぁ、そうだな、これで一つ悩みが消えたし。ありがとう。」

 

「いえ、こちらこそ面倒事一つ減ったのでお互い様です。」

 

「それじゃ、俺は帰るから。またあったときにでも借りの話しさせてくれるとありがたい」

 

「わかりました、別に気にしてませんが。人里によることがあればお伺いしますね。」

 

人里を後にして山に報告をしたあと

山の哨戒任務の続きをしていた。

 

「あんなことあったあとだし、流石にざわめいてますね。」

 

「おーい!椛ー!」

 

「あ、文さん」

 

「蜻蛉はどうなりました?」

 

「ああ、もう亡くなりました。人質に取った人間に返り討ちに遭って。」

 

「あ、そっか。まぁ仕方ないかな」

 

「何かありました?」

 

「天狗の子供を攫ってたのはみんな知られていると思うんですけど、あの妖怪実は人間の大人すら襲ってたって噂が流れてたんですよ」

 

「後の祭りですけど。ちょっと気になりますね」

 

「私は実際に目視してないので記事にはしませんしあくまで噂なんです、それと、山の麓の小屋で何人もの人間が萎れて倒れてるんじゃないかって話しを聞いたんですよね。」

 

「ん…?山の麓の小屋?そこって確か?」

 

「そうです。猪の妖怪がいた小屋です。転居したので空き巣状態なんですが、知らないんですか?」

 

「初耳です。」

 

「そうですか。私は気になったので見に行ったんですが…どうもそれらしい痕跡とかは全く見つからなかったのでガセネタなのかって思ってたんですけど。」

 

「この話っていつ頃知ったんですか?」

 

「その噂を私が聞いたのは蜻蛉が追われる前、天狗を襲った話よりもっと前からですよ?」

 

「…もしかしたら…」

 

「なんですか?」

 

「い、いえ」

 

「まぁいいや、今は蜻蛉の話で持ち切りですし、」

 

「忙しそうですね」

 

「まぁねえ。それじゃ」

 

一言挨拶すると文さんはどこかに行ってしまった。

 

「やっぱり…気になってしまうんですよね」

 

先程話していた山の麓の小屋に向かう…

猪とは親しかったから場所はなんとなく覚えてる。

 

「確かこの辺のはず…あった。」

 

空から見回ればすぐ見つかる。

 

「ん…?」

 

近づくと何か悪寒が走る、その直後に変な匂いがした。

 

「なんでしょうか…」

 

小屋の扉を開けた瞬間。

鼻が曲がるような腐臭に襲われた。

 

「うへぇ…なにこれ…」

 

袖を鼻に当てても匂ってくる…

食べ物の腐ったときの強烈な匂いばかりする…今すぐ燃やしたい…

 

「山蜻蛉の匂いもする…」

 

あまり好きな匂いじゃない…でもやっぱり…ここに来ている…

 

「血生臭い…匂いもする…?」

 

ただ食べ物が腐るだけなら。血の匂いなんかしない。

 

「寝室…ですかね…」

 

扉を開けると目の前に…遺体…?

 

「人間の女性と…子供ですか…」

 

女性は窶れているように見える。

山蜻蛉に養分を吸われたのかもしれない。

 

「息もしてないし、脈もない。」

 

女性はもう亡くなっている

 

「子供の方は…まだ生きてるかな…」

 

微かに何か感じる。

妖力のような霊力のような…

恐らく父親の方は人間じゃないのだろう…

 

「いや…息も脈もない…」

 

仕方ない…か

 

「ん…人間じゃない…?」

 

そうかこの二人とも…

 

(山蜻蛉に家族を連れ去られて)

 

そう言う事か…

 

とりあえず匂いがきついので外に出たい…

 

小屋を出て空を飛ぶ

「ああ…空気が美味しい…」

 

小屋のことは上に話すべきなのか…

山蜻蛉がいない今…調べれることは少ないし、後の祭りなのも確かだし。

 

「彼には伝えるだけ伝えてみるかな…」

 

人里に向かった途中でふと気づいた

 

「あっ…名前聞いてない…」

 

人里が見渡せる場所で千里先まで見通してみる…似た人物は沢山いるが…よく覚えてるからすぐわかる。

 

「見えた」

 

急いで彼のところに向かった、

 

「ちょっといいですか」

 

「はい?あれ、君は今朝の天狗か」

 

「お話があって。」

 

「うーん、今のほうがいいかな?」

 

「あっいえ、すぐにと言う訳じゃないのですが…」

 

「買い物しながらでもいいかな。」

 

「まぁ、別にいいですけど…」

 

「妻も子供もいないと、家の仕事も大変だ」

 

「その…ご家族のことなんですが」

 

「僕の?あっ、ここの八百屋寄るからちょっと待って」

 

「は、はい。」

 

少し待つと、両手に袋を手に持って戻ってきた。

 

「片方、持ちましょうか?」

 

「いやいいよ、僕の荷物だからね。」

 

「そうですか。」

 

「それで、僕の家族の話だっけ?」

 

「妖怪の山の麓に一件の小屋があるんですが…住者の妖怪が消えてから空き巣状態だったんです。」

 

「ふむ。」

 

「その小屋に山蜻蛉が居座っていたみたいで調べたところ、二人の人間の遺体が見つかりました。片方は女性、もう片方は子供」

 

「なるほどね。」

 

「気になったのは、子供の方は純粋な人間ではないということ、多少ですが、妖力のような気配がしました」

 

「うん。山蜻蛉がいたという痕跡は?」

 

「リビングに当たる場所で山蜻蛉の臭いがしました。。間違いないかと。」

 

「そうか。勘違いじゃなくてよかったよ」

 

「どういうことですか?」

 

「ほら、人違いなのに怨んでたんじゃないかなって後から考えていたんだ。」

 

「まぁ…それは。」

 

「でもそうか…わかっていたことだけど、二人とも亡くなってるか…」

 

「…はい。あまりお見せできる状態ではないですし。何よりあの小屋…腐臭が酷いので…」

 

「腐臭ね、住者が残していったものか」

 

「はい…二度と立ち寄りたくないくらいに…」

 

「あはは、そこまで言うんだね。」

 

「まぁ…」

 

「いいや、結果はわかったし。報復も果たせた。わざわざ報告ありがとう。」

 

「はい、あなたには話すべきかと思ったから」

 

「そうだなぁ。また借りができた。」

 

「お気になさらず。」

 

「すぐそこまで来てるから食事だけどうかな。料理には自信があるんだ」

 

「なら、お言葉に甘えて。」

 

「ついた」

 

「おじゃまします。」

 

家の中はちょっとだけ荒れてる。

まぁ、仕方ないですよね。

家族居なくなった直後ですから。

 

「あ、ごめん。すぐ片付けるよ。」

 

「いえ、気にしないで。」

 

料理雑誌や生活系の雑誌ばかり。

時折新聞が少し。文さんのところの新聞かな

 

「今作るからもう少し待ってて。」

 

「はい。」

 

少し待つと美味しそうなオムライスを持ってきてくれた。

 

「おまたせ。どうぞ食べて」

 

「いただきます。」

 

味もしっかり付いてて、

卵にいい感じに包まれてる。

人里で食事なんて久々かもしれない。

飲食店じゃないから。

あまり関係ないか

 

「うん、美味しいかったです。ごちそうさまでした」

 

「よかったよ。」

 

「ありがとうございました、それでは、私はこれで。」

 

「ああ、名前、聞いていいかな。」

 

「犬走椛です。」

 

「犬走さんだね。僕は朝霧。カマイタチの類の妖怪だよ。あれほど強くはないけどね」

 

「やっぱり妖怪なんですね。」

 

「まぁね、気づいてたと思うけど」

 

「ええ、それでは」

 

山に戻る途中霊夢さんが後から追いかけてきていた。

 

「何か御用ですか?」

 

「さっきの妖怪に会って来てたのよね」

 

「ええ、何かありました?」

 

「うーん、なんか嫌な予感がするのよね、なんというかあいつから生気を感じられなかったというか」

 

「そうですか?別にそんな感じしませんでしたが…買い出しも楽しそうでしたし、話していてもそんなような雰囲気でもなかったですよ?」

 

「そう…何か嫌な感じというか。そんな気がするのよね。まぁいいや。気をつけなさいよ。」

 

「まぁ、はい。」

 

霊夢さんと離れてから山の家に戻る途中。

かなり強い風が吹いていた。

 

「嫌な予感ってのはコレのことなんですかね」

 

妖怪の山では風が吹くなんてよくあること

天狗が風起こしをしたり、そうでなくでも妖怪達が喧嘩をすれば風くらい吹く。

酷いと地響きとかするし

 

でもいつも感じるそれとは違う。

悪寒のような感覚とわざとらしい風

 

それと、さっきから気配は感じてた。

 

「居るんですよね隠れてないで出てきてください」

 

そういった瞬間、後から殺気を感じて盾を構える。

案の定盾に何かがぶつかってきた、

 

「やっぱり貴方ですか。」

 

「流石は山の天狗」

 

「貴方よりもっと早い天狗を知ってますから」

 

「そりゃ敵わんな。」

 

「何のつもりですか。わざわざ私に斬りかかる理由を教えてください、自己防衛だけで事を解決させるのは嫌いです」

 

「知りたいか?お前にはわからないと思うが」

 

「決めつけは好きじゃありません」

 

「そうだな…あんたは目の前から大切なものが亡くなったらどう思う?」

 

「まぁ、悲しいですかね」

 

「表現しきれない哀しみに襲われるんだ。それも、割り切る決意ができるまで毎日な。」

 

「私には何も言えません」

 

「だろうな。でもそれだけじゃない…」

 

「どういうことですか…?」

 

「俺は何度も味わってきた。知り合いの妖怪も人里の隣人も、家族も。ここ数日に次々に亡くなった…こんなことってあるか…」

 

「妖怪であるなら別れはいくつもあるはずでしょう?」

 

「ああ、それは間違いない。一度に亡くしたものが大き過ぎたんだ。亡くしたときの哀しみが大きすぎた…」

 

「そうですか、それが私を襲う理由と何が関係しているんですか」

 

「あんた、実力はあるんだろ。」

 

「まぁ、並大抵の妖怪には負けるつもりはありませんけど。」

 

「…手合わせ願いたい。本気で来てくれ。」

 

「嫌です。」

 

「なぜ断る。」

 

「命を断つつもりなら他人を巻き込むのは迷惑極まりないですよ。あなたがどれだけ悲惨な思いをしたところで全くの他人である私には関係ありません。」

 

「…」

 

「手合わせをする分には構いませんが、私は手合わせで誰かの命を奪う気は無いです。勝手にしてください。」

 

「そうか…」

 

「そもそも、妖怪でありながらその態度は酷いですよ。人間以下です。そこから見直したらどうですか?」

 

「散々な言われようだな…」

 

「自殺願望の妖怪なんて私は初めて見ましたね。死神にでも頼んだらどうですか、そのほうがまだマシですよ。」

 

「ははは…参ったな…」

 

「頭冷やして考え直してください。出会いや別れなんて妖怪には人間より多くありますし、嫌になることなんていつものことでしょう。ましてや人里で平和に過ごしているならもっと何かに熱心になって生きたらどうですか。そのほうが嫌なことあった分楽しく感じるのは大きくなるでしょうし」

 

「何も言い返せないな…」

 

「夜も遅いですから、帰って考え直したらどうですか、私も帰りたいので。失礼しますね。」

 

「あ、ああ。」

 

振り返ることもなく家に帰った

ふと思い返すと少し言い過ぎたかもしれない…

 

でもまぁ。もう過ぎたこと

 

 

「今日は色々ありすぎましたね…」

 

疲れすぎてるのか逆に寝付くのか遅かった。

それと、普段より風が強く少し騒がしく感じていた。

でもそんなことを考えることもなくいつの間にか寝ていた。

 

 

翌日、いつも通り山の見回りをしている、

 

「今日は晴れているから明るくて見渡しやすい」

 

そう呟いていた矢先に嫌なものが見えた。

 

傷だらけの妖怪の遺体。

 

「この傷は爪痕じゃないですね。」

 

爪よりも鋭利な切り傷が多い。

ただどれも浅い。

胸元に一箇所だけある大きな刺し傷で死に至ったようだ…

 

周りを見渡しても特に何もなく

目の前の遺体からの血の匂いしかしない。

気配もなく他に妖怪は近くにいない。

 

「遺体も冷たいから時間が経ってるみたいですね。誰も気づかなかったのでしょうか?」

 

死肉を貪る妖怪はいるし、

血の匂いに反応する妖怪だっている、

 

争った形跡もないし…

 

「切り傷か…」

 

なんとなく思い出ごす、昨日の夜の出来事

 

「かまいたちの妖怪…?」

 

急に襲ってきた彼なら、他に手を出しても不思議ではない。

傷が刃物痕だとすれば彼の所行の可能性はあるが。それだと昨日の彼の希望とは真逆になる…

 

仮に彼だとしても自分から消えたがっていたのに、妖怪を殺す理由はあるのだろうか…

 

「まだそうと決まったわけじゃないですが…」

 

不可解な点が多い。

妖怪が死ぬなんて日常的にあることではないし、こんなに呆気なく殺されるのも数少ない。

 

「…何にしても。不穏ですね。」

 

あれだけ感づいていたけれど、博麗の巫女は動くのだろうか。

 

「山の問題でもありますが、こういうときは外部の協力者は何かと役に立ちますし…単独だと少し不安はありますね。」

 

そうは思いながらも調査をする

遺体はそのままでしばらく辺りを見回してみる。

 

「この付近には何もなし」

 

荒らされた形跡や争った痕跡もない

この様子だと直ぐには見つからないかもしれない。

 

「策としては望ましくないけど、経過観察。十分注意しないと。」

 

一日山の調査をしたけど

結局その日は先の謎の遺体以外何も見つけることはできなかった

 

あの日から数日、変死体周辺に限らず調査しても特に何も動きがなかった。

 

山全体。平穏な感じが続いていた。

 

「まだ気がかりではありますが…でも他にもあれを見つけた人がいるはずなのに。何故誰も声を上げないのでしょう…」

 

かく言う私も報告も何もなしだが…

変死体がある、と言うだけで報告するものかどうか悩むところでもある。

 

「一体…何でしょう…」

 

そう思いながら、変死体のもとに向かう。

 

雨が降っているせいで少し気配が読み取りにくい。ノイズのような感覚が混じる。

 

「まだここにある…」

 

依然として変死体はそのまま。

少しづつ枯れてきてはいるが。

何かに荒らされた形跡はない。

 

空に飛んで周りを見渡す。

気配は感じ取れないが。特に何も見えない。

 

一時間近く飛んで周りに何かないか探していた。

 

ふと視線を変死体の方に戻すと。

そこには何もなかった。

 

そう。なくなっていた。

 

「えっ?!」

 

位置を間違えたのかと周りを見渡すと

小人のような何かが変死体をひきずっていた

 

「どこに向かって居るのでしょう…」

 

気付かれないように上空から付けていると。

岩場の穴倉のような場所に入っていった。

 

「ここが…巣?」

 

薄暗い洞窟かと思ったが。

直ぐ突き当りが行き止まりになっていた。

そこに、先の小人がいた。

 

その小人は…ひきずって持ち込んだ妖怪を食べていた。

 

「うわっ…」

 

気持ち悪い雰囲気と骨を噛み砕く音が響く。

 

その隣で人型の何かが倒れている。

 

「あれは…人間…?」

 

人形のようで全く動かないが、

まるで生きているように肌身はしっかりしている。

 

「これは一体…?」

 

困惑していると、

後ろから殺気を感じた。

この感覚はよく知っている。

嫌な予感だ。

 

盾を構えて振り向くと。

盾に何かがぶつかった。

 

「…」

 

「あなたですか。」

 

かまいたちの妖怪。

でも以前とは違う。

みすぼらしい服装に、窶れた格好

意識はまるで獣のよう…

 

「…コロス…」

 

「話はできる状態じゃない…」

 

あまりにも動きが弱々しく。

最初の一撃で力を使い果たした様子だった。

 

「こんなところで殺されるつもりはないっ!」

 

蹴り飛ばすと動かなくなったが

息はしているようだ。

 

その様子を見ていた小人のような何かが襲い掛かってきた。

それもまるで子供のお遊戯のようで

軽く避けるだけで転んで倒れ込んだ。

そのまま起き上がる様子は無かった

 

「一体…」

 

何もわからないまま困惑していると

異様なまでの妖力を感じた。

それもすぐ近くに。

 

「なんですか…?!」

 

身の危険を感じてすぐに洞窟を出るために走る…そんなに距離がなかったはずなのにいつまで経っても出口が見えない。

 

「どうして?まさか…」

 

振り向くとさっきの行き止まりがすぐ近くに…

 

「何かの魔法…」

 

「…テング…テング…」

 

「誰っ!?」

 

いきなり聞こえてくる女性の声。

声の方を向くとさっきまで倒れていた女性がぐったりした姿勢をしたまま宙に浮いている。

 

「貴方の力ですね。」

 

「テング…コロス…」

 

「こっちも同じですか…」

 

まともに話のできる状況じゃない。

 

構える暇もなく魔法による弾幕を飛ばしてくる。

 

「威勢は充分ですが…大したことはないですね」

 

単調な弾幕をばかり。

避けながら詰めていく。

 

弾幕が途切れるタイミング

そこを狙って一太刀浴びせようとしたが

結界のようなものが張られていて歯が立たなかった、

 

「攻撃はゆるい割に。守りは鉄壁並ですか…」

 

一度下がって体制を取る。

手元に妖力を集中させる…

 

すると何故か見覚えのない感覚があった。

剣が軽く感じ、いつの間にか形状が変わっていた、

大太刀に白い大きな紅葉の装飾。

どこか既視感のある風格だった。

 

「長年使ってきた証。ですかね。」

 

再び詰めて振りかざす。

結界がまるで紙を切るかのような感覚だった

 

当然結界越しに謎の女性を斬る。

 

「ウゥ…」

 

先程蹴りつけた妖怪が小さく唸る

 

「カゾク…マモル…」

 

弱々しく立ち上がるがすぐ倒れ込んだ

 

「テング…テング…」

 

「椛。」

 

後ろから声が聞こえて振り向くと

 

「文さん。」

 

「怪我は…無さそうですね。」

 

「まぁ、大したことないです。ですが…」

 

「この三人見覚えあるんですか」

 

「山蜻蛉に襲われた人間と妖怪の子供、立ち上がろうと弱々しく動いてるのはその親。なぜこうなったのか意図はわかりませんが」

 

「貴方は放置された妖怪の遺体を覚えてますか?」

 

「ああ、そこにある遺体ですか」

 

「え?ああ、あれなんですね」

 

「あれが何か」

 

「あれは山蜻蛉なんですよ。」

 

「あれが?でも人里で確かに首を落とされたはずなのに…」

 

「切り落とした後、山蜻蛉はどうしたんですか?」

 

「私は何も触らず…」

 

「多分人間も触らず放置したでしょうね。」

 

「それで…生きていたと?」

 

「恐らく…」

 

「有り得ないとは思いますが、そうなります。擬態くらいはできると思いますから見覚えがないのは仕方ありません」

 

「仮に生きていたとして…山蜻蛉に襲われたはずの二人は生きてる、というか妖怪になっているし…もう謎だらけじゃないですか?」

 

「大体察しはつきますけどね、」

 

「どういうことですか?」

 

「この二人は別の妖怪の呪術を掛けられたからだと思います。ただの呪術ではなく死屍に関連したものでしょう。なので妖怪ではなく生ける屍ですね」

 

「男の方は」

 

「家族への愛に溺れたんでしょうね、それでまともな神経を失ったと見ていいでしょう」

 

「女性は弾幕で襲ってきましたね、そこで倒れてる子供は何もできないでそのまま倒れ込んだままで」

 

「人間の女性でも霊力は有るでしょうからね、さっき感じた妖力の方はこの子ですか?」

 

「いや…」

 

誤解されないように手元の剣を見せるかな

 

「これのことじゃないですか。」

 

「いつの間にそんな大層な剣を…」

 

「貰ったわけじゃなくて。手元に妖力を込めたら剣が反応したんです。」

 

「応えてくれたわけですね。」

 

「はい、びっくりしましたね」

 

「さて、どうしましょうか」

 

「ここで楽にさせたところで。さっき話した術者がまた繰り返す可能性がありますよ。」

 

「仮に男が術者だとしたらそこで打ち止めですね。」

 

「念の為、首は落としておきましょうか。」

 

かまいたちの妖怪と子供、二人とも首を落とす。女性の方は既に動かなくなっていた。

 

「これで、終わりだといいんですけどね。」

 

そう呟いて、私達は岩穴を後にした

 

 

それから数日後ふと思い出して岩穴まで訪れる。

 

そこで目にしたのは3つの骸だけ。

 

「終わりましたね。」

 

人型の骸が3つ。例の家族。

静かに倒れているだけだった。

 

「もうここには用事はありませんね」

 

特にすることもなく岩穴から出た。

 

「あれが末路ですか」

 

振り返ってそう呟いた

 

最後まで見届けたが、結局、大事にはならなかった

山蜻蛉やかまいたちの妖怪

猪の小屋、岩穴での出来事

色々とあった

大したことないと言えば少し違うが…

私以外が結末を知る必要はない。

幻想郷では大きな問題ではないのだから

 

 




やばいもう一月半しかないやばい

あと三話とか無理なんじゃないか。
あ…あぁ…
なんとか頑張ろう…



また会えたら会いましょう
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