知将MUR   作:ピュゼロ

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・「んんwwww空はあんなに青いですぞwwwwwww」


短編集 114514話 その③

・SZNMと提督と浜ぱい(意味深)

 

 とある秋。

 その年の秋刀魚漁は豊作がもたらされた。海の恵みが海流に乗って鎮守府近海まで流れつき、水揚げされた漁果の銀色のうろこがきらめていた。湿った潮風に翼を預けながら海鳥たちがにゃあにゃあと鳴き声をあげてお零れを狙っている。鎮守府のどこかで昼夜に渡り機械の重たい音がする。

 透き通ったグラスを傾ける誰かの笑い声。ふっくらと焼けた魚に舌鼓を打つもの。

 そうした中にあって、提督と漣たちは、「どうして我々は秋刀魚を獲っているのか?」という疑問に立ち返っていた。

「お秋刀魚んしゃぶらさせてください……(懇願)」

「ご主人様ぁ、そうやって可愛らしくおねだりしても、ご褒美(秋刀魚)はないんですぞ?」

「しゃぶりタイム……(不服)」

 漣に優しく諭されて、提督は死人のような顔をしてのろのろと書き仕事に戻った。こうやって、何かあるたび秘書艦の漣に宥め賺され時々脅されて、連日連夜おやつ感覚で馬車馬のように働かされていた提督である。さすがにそろそろ潮時ですかネ。漣はそう了解した。元より彼女たちが潮の目を読み間違えるはずもない。

「んじゃー、そろそろ一息入れますかぁ。ご主人様、コーヒー飲みますよね?」

「気持ちよく、INしてください……」

「ご主人様の人間性も限界と見えますネ」

 漣はパチンと手を叩いて秘書艦の椅子から立ち上がった。特別提督をねぎらうために、給仕室まで行って豆でも挽いてやろうかとも思ったが、すぐに面倒になって、部屋の隅にぶちまけられた品々からインスタントのを拾い上げた。

 彼女は洗ってないカップにこぽこぽと90度前後のお湯を注ぎながら、哀れな提督に手慰みに話題をふる。最近顔を合わせた姉妹の近況のことだ。

「そうそう。この前のハナシなんですけれどね、ご主人様。ご主人様のご同期の方の、敷波のアネキんトコ。ご一緒したじゃないですか?」

「キムチ……(空腹)」

「ご主人様聞いてますか? ……おほん、えーと。岸波さん? でしたっけ。新しく着任されてた方のですね」

「まあね、すんごい可愛いじゃないですか」

「ま、漣の方がカワイイですけどネ」

「モコモコ……」

「ああ、うん、まあ」

「それでですね。その提督の方がもう鼻の下伸ばしてしょうがない。ま、世の男性のみなさまの悲しきサガなんて言えばそうなのかもしれませんけどね。そんで、アネキがまー怒っちゃってて怒っちゃってて」

「なのに次の日、んまー! ふんわりゆるふわ愛され系パーマなアネキになっちゃってたんですヨ! ……あ、こちらコーヒーでーす」

「喋りたい……太い、シーチキンが欲しい……」

「欲しいんだろ?(小悪魔のささやき)」

「太いシーチキンが欲しい……!!(突然の怒り)」

 提督は相当喉が渇いているみたいだった。

 ふと漣はいたずら心を出して、一度置いたコーヒーをちょっとだけ遠くに逃がすと、提督は砂漠の遭難者みたいな声で呻いた。ミイラになった魔法使いが、ちょっと一眠りしている間に硬直が進んでしまって、椅子の上で足掻いているみたいだった。

 これはこれは。ひょっとすると、ご主人様には少し“息抜き”が必要みたいですネ……?

 そんなことを考えて、漣はにっこりと微笑んだ。

 行儀悪く提督の机に腰掛けると、今巷で話題のアーケード空母棲姫みたいに大仰に足を組んで、蠱惑的な流し目をくれてきた。そのまま、スカートの裾を持って、いかにも大胆、不敬で不敵で、挑発的な仕草をしてみせた。

「ねね、ご主人様。漣ちょっと、“おはなし”があるんですけどぉ……。ちょっと、ここのところ、持ってみてくれますかぁ?」

「ぺろぺろナナチ……」

 しばらく間があった。漣と提督との間に触った触ってないの藪雉の言い合いが(漣一人だけ)あったが、やがて意味深な沈黙を遮るようにノックの音が響いた。

 漣はいよいよ興が乗ってきた表情で右手の小指をぺろっと舐めていたが、それを聞くと、振り返りもせずに「……ちぇ」と舌打ちを一つ。それから大きくため息をついて、別に乱れてもいない衣服を整えた。

「はーい。夜分遅くにごくろーさまでーす」

「浜風、失礼します」

 扉が開いて、駆逐艦浜風が入室した。彼女の前髪はちょっとでかすぎる感じもした。前髪とかが。

「ぷもも……」

「……提督? 少し、お加減が優れないようですが」

「あーあー。いいですいいですそーゆー私気づいちゃうんですよアピールー。ご主人様には漣がいますんでー」

「ぷももえんぐえげぎぎおもえちょっちょっちょっさ……(意味不明)」

「ええっと……」

「ここでおっぱい出せばいいんですか?(威圧)」

「パイパイパーイパパイニ"チーッチッチッチッチッチッチッズオォ……」

「だ……本当に大丈夫ですか? 二人とも」

 

 

・夏祭りmodeの恋する曙ちゃんは卑劣なクソ提督に催眠術を仕掛けられてて秘密のワードを聞くと素直な女の子になっちゃう!

 

「どうして駄目なんだ、曙。せっかくの祭りじゃないか」

「なんでそのせっかくのお祭りに、よりにもよってアンタと行かなくちゃいけないのよ!」

「たまには俺だって息抜きぐらいしたい。お前は嫌なのか?」

「決まってるじゃない。何が悲しくて、いっつも人に茶々入れてくるアンタと連れ立って回らなきゃいけないわけ? アンタ身長だってあんまりだし、にぶちんだし、四六時中へらへらしてて、真面目にやってる時なんて滅多にないし。

 大体アンタ、いい歳してて結婚もできてないのに、身の回りの事とか全然だし、お酒とか入れるといつも次の日体調悪くして、指揮にも影響するし。もっとしゃんとしなさいよ。

 たまには息抜きぐらいしたいって? アンタいっつもそれだけど、それでこの曙とつり合うなんて思ってるの?」

「そこをなんとか、頼むよ。オナシャス! 何でもしますから!」

「イ、ヤ、よ!」

「『スク水』」

「そりゃあ、わたしだって本当は行きたいけど……でも、先に潮と約束しちゃったんだから、しょうがないじゃない。そんな、いきなり言われたって困るわよ……。

 もちろん、潮にだって悪いし……ずっと待ってたのに、アンタ全然そのコト話さないし……。ここんところ、大淀や明石と打ち合わせとかで忙しそうだし、気がついたら漣と一緒にふざけてるし、別に、わたしなんか誘う気ないのかなって。だって、アンタその気になれば、妙高とか、翔鶴とか、好い人いくらでもいるのに。それなのにわたし、一人で怒ってて、悩んだり苦しくなったりしてて、馬鹿みたいじゃない……」

「しゃーない、じゃあ漣お前、これから暇か?」

「腹減ったなぁ」

 

 

・敏感ふとまらうーちゃん(意味深)

 

「ああ、しかし……」

 そいつは、栄えある長門型戦艦一番艦は、悲しげに首を振った。

 彼女に誇りがある限り、己の、こうしたいと思う心のままに従う事だけは、絶対にできなかった。

「結局のところ、卯月。お前と私では、好きという言葉の意味が違うのだ」

「……そんなコトないもん。うーちゃん、長門が大好きだから!」

「私もだよ、卯月。でも、それは……」

 長門はそこでふと言葉尻を切り、目の前の彼女を、睦月型駆逐艦四番艦の卯月の事を、ほとんど睨むのに近い鋭さで見つめた。

 それは、一週間ただの一滴も水を飲んでいない砂漠の放浪者のような、ざらざらにささくれだった、干乾びて飢えた眼光だった。

 柔らかい臙脂色の頭髪から、膝の下まで。襟元の肌色、小さな頤、未発達の胸、眩しいむきだしの太腿。

 じろじろと、舐め回すような、それはそういう目つきだった。

「……長門、さあん」

 不意に彼女はぴょんぴょん跳ねて、長門の前に立った。見上げる。背丈はその肩のところにも届いていない。

 視線が合う。

「卯月?」

「……うーちゃん、ね」

 形の良い唇からちらと舌が覗いた。無垢な少女には酷く不釣合いな仕草だった。

「何を……うっ!? や、卯月、やめ……!」

 長門は腰砕けになり、へなへなと床に座り込んだ。武装も、自慢の重装甲も役に立たなかった。

 違うのは立った。

「いけない……卯月、私は……」

 呻く長門の頭を彼女は優しく胸に抱え込んで、その耳元に、ぴょんぴょんと、理性の最後の壁を突き崩す言葉を囁いた。甘い声音はあらがい難い何かと禁忌とを同時に感じさせる、幼い少女のものだった。

「夜のうーちゃんはぁ……とっても凄いんだぴょん……?」

 

 

・陽炎型の三隻に、放置ボイスが着任されました

 

 ……不知火の場合(ちょっと嬉しそう)

 あなたはふと書面から顔を上げた。その視線に気づいて、何事でしょうかと、不知火は片方の眉をついと持ち上げた。

 すみませんね、秘書艦をやってもらっているのに、暇にしてしまって。あなたがそう詫びると、彼女はそれを否定するように首を振った。心底、心外です。そういう事を言った。

「不知火は決して、退屈などしていません」

 彼女はそう言って、数度瞬きをしてから、おもむろに軽く脚を組み替えた。抗議するように一度、椅子がぎいと軋んだ。

 それでも。あなたは少し食い下がった。すると、彼女は机に肘をついて、両手の指を互い違いに合わせて、それから小さく肩をすくめた。

「……いえ、構いませんよ」

 そうですか。

 あなたは再び顔を伏せた。狭まった視界の端、ぎりぎりのところで、不知火がそっぽを向いた。その唇が僅かに動いて、ぼそりと、かすかに呟いた。

「どうぞ、ご自由に……」

 不意にあなたは酷くばつが悪くなってしまい、それからふと、頼める事があるのに気がついた。これなら、そこまで手のかかる訳でもなく、頼み事には丁度いいと思われた。

 なら一つ、お願いできますか。何気ないふうにして訊ねた。

 少しだけ身動ぎをして、彼女はあくまで平静に首肯した。けれど、返ってきたその声には、幾ばくかの喜色が浮かんでいるようだった。

 ――不知火に、何か、御用ですか。

 

 ……黒潮の場合(ちょっと怒ってそう)

 ふと書き付けていた筆を止めて、あなたは考え込んだ。迫りくる一大規模攻勢(イベント)。大本営がこのところ折々で匂わせてくる例のあれを前にして、ふっつりと黙り込んだ。

 時勢は既に、備えを求めている。未だ発表はされていないが、号令がかかってからでは、明らかに遅い。戦争が誰の目にも明らかになってから準備を始める組織など、無能以外の何ものでもない。

 つまり、必要なのだ。大型建造が。

 もっと言うと、大和型戦艦が。

 しかし、そもそもこの時期に、この大型艦建造を行うというのは、はたして如何なものだろうか。

 ゆっくりと息をついて、あなたは眉間を強く揉んだ。

「なあなあ、司令。ちょっとええか?」

 ああ、しかし、大和型不在で臨む事こそが、慢心と称されるのではないだろうか。

 手元には優秀な秘書艦が用意したデータがすでにあがってきている。

 建造計画書の数字は、どこを見ても素晴らしいものだ。

 もちろん、見積もられたコストも、素晴らしかった。とてもではないが、気軽に承認できるものではなかった。

「司令はん? ……司令はーん?」

 不要の長物といえば、そうだろう。この一件さえなければ、駆逐艦たちをあくせく労働に従事させずに済むし、逆に、希望する連中に好きなだけ出撃させられる。朝のおかずが一品増えたり、潜水艦に休日だって出せるかもしれなかった。

「聞こえてないんやろうかぁ……。まあ、ええか。のんびりしよー」

 要不要と、確立と、様々な事を考え合わせて、そこでようやく、あなたは彼女に意識を向ける事ができた。

 彼女の方でも、それに気がついたようだ。

 ――司令はん。なんやろかー?

 朗らかで、いつも柔和な笑顔を絶やさない黒潮の、それは冷たい声音だった。

 あなたは苦笑いをして、ずうっと気づかずに、黙り込んでいた事を詫びた。それから、どうか機嫌を治すよう、頼み込んだ。

 

 ……陽炎の場合(遠征からまだ帰ってきてません)

 




・はい! 榛名は13万で大丈夫です!(艦これACカード)
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