つまりポーラも一番偉いんですかね……?(不安)
※
――私の“思い出”に……触れないで……!!
それは氷のように冷たくとげとげしい言葉だった。
伊13は全てを拒絶するようにふらふらと部屋を出ていった。
――あ……アネキ、どこいくんだよぉ……。
伊14がその後をよろよろと追いかける。
三浦は複雑な表情で黙り込んでいた。
その手には、つやつやと黒光りする拳銃が握られていた。
それは妙にお尻に挿れやすい形状をしていたが……?
一方そのころガンビア・ベイは、お尻を浮き輪に噛みつかれた状態から打って出る、起死回生の一手を思いついたのだが……。
そこに卑劣な罠が待っていることを、ガンビア・ベイはまだ知らなかった……。
※
「カンパ~イ!」
重巡洋艦ポーラが日頃から公言して憚らない夢の一つが、海にふわふわ浮かんでみたいというものである。
それも単なる海でなく、芳醇なワインの大海だ。
「あっ……。そっかぁ……」
「えへへ……、だってだって、想像してみてください、すっごく素敵じゃないですか~?」
海という海を飲み干してしまいたい、なんて壮大な野望を語るくせに、ポーラは恥じらう乙女のように顔を赤くして俯いた。
赤いのは十中八九お酒の所為だった。
日暮れからしばらくして、虫の音も楽しむ隙間のないぐらい、雨音が強くなりつつあった。窓にてんてんてんとひっきりなしに水滴がぶつかっている。目に見えない演奏家が雨粒の指先でガラスを奏でているようだった。
「ロマンチックなんだな」
「えへへ……。そ~ですか~?」
ポーラはきゃいきゃいとひとしきり笑って、それから頬に手を当てて「……暑いですね」とひとりごとを言った。
「夏になるとみんなそう言うな。ザラも」
「え? ……ああ、ハイ、そ~なんですかぁ」
「うん」
提督は便乗した。
「でも確かに、ちょっとべたべた、しますねぇ」
「梅雨っていうんだゾ」
「ツーユー」
ポーラは酔眼でじっと窓の外を見た。
それから視線を戻して、ちょっと迷ってから、ブランデーの瓶を引っ張り出してきた。
手元のグラスには、鮮やかな紅茶と、底の方でハチミツが綺麗な層になっていて、そこにブランデーを一滴垂らしてかき混ぜると、夕日がだんだんと沈んで行って夜が近づいてくるような、なんとも不思議な色合いになった。
「あ~そうそう。この前ぇ、売店でこのブランデー買ったんですよ~。ほら、見て見て~」
「あっ……かなり小さいんだな」
「ね~? カラフルだし、とっても可愛いです~」
「おっそうだな。いいゾ~これ」
時間は勤勉であり、夜は彼女に盲目だ。
ポーラは上品な仕草で紅茶を口にした。
「……ところで、いつまでポーラ、ここにいていいんでしたっけ~」
「TKMは確かまだ帰ってこないゾ」
「そっか。じゃあ、ポーラ、もう少しだけ、提督にご一緒しますね~」
伊14「ガンビーちゃんは結構のんきしてるけど、雨ってやはりやばい(伊号潜水艦)」
伊13「ノンケ……?」
提督「お、そうだな」
伊14「ヒトの体毛って、しゃがんで雨をやりすごそうと頭を抱えた状態で、水が流れやすいように生えてるらしーよ。やっぱやばいんだあねぇ」
伊13「進化論に興味はないケド……ガンビアさんの、下のお毛々には……ふふ……」
伊14「姉貴のシモの事情とか知りたくねー……」
提督「そうだよ(便乗)」