知将MUR   作:ピュゼロ

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……それでも生きてりゃ、いつかきっと、いいことあるって!


第114514話 新春お正月スペシャル! 伊14、井の頭公園に出港する!の巻

 

 季節外れの銀雪が、公園の中に薄く積もっている。一本の樹の根元に、寝床と決め込んだひとが横たわっている。

 それは、潜水艦の形をしていた。

「うぇぇ……頭イッタぃ。……超ズキズキする。

 ……ここどこ?」

 伊14号がぶつぶつと小声で悪態をつきながら起き上がる。上に積もった雪がさらさらと滑り落ちた。

 ……くしゅん。遠くで枝がしなる音がした。

「なんでイヨ、公園で寝てんの……? せめてベンチで寝なよ……(他人事)」

 と、そこで何かに気づいたように、顔をしかめた。時報でも聞いているかのように、何もない空へ目を泳がせていたが、やがて、くるりと振り返った。

 そこにいたのは、青い雪だるまのような「お化け」だった。積雪を無邪気に跳ね回っている。それは、おとぎ話に語られる伝承の存在。霜の妖精、あるいは、雪と氷で形作られる小人。

「ヒーホー! おいら、ジャックフロストだホー!

 オイ、そこのアホ面……ヒホホ!? コイツめっちゃ酒くせーホ!」

「うう……ちょ、大声やめて……頭ガンガンするから……」

 伊14号が頭と口を抑えて呻くと、雪の妖精はどん引きしたようにいった。

「これ絶対、イヨ、誰かに後ろから殴られて拉致されたんだ。頭痛ほんとすごいもん。

 ……っていうか、なに? なんで雪!?

 いやいや、ついこの前まで、超夏日だったジャン! 令和の季節感やばすぎない?」

「ヒッホッホ、今頃気づいたのかホ。トロすぎるホ、この酔っ払い。もうベンチとかガッツリ雪積もってるのにホ」

「うぇ~ん……今度からはほどほどにするからさ~……」

 伊14は心の底から反省した様子に泣きついたが、二日酔いが抜ければまたあっという間に深酒を重ねるのだから、青い妖精の冷たい態度は間違っていなかった。

「もう遅いホ! アンタここで、カチンコチンチンのアルゼンチンだホ~! ……ブフ!」

「ふぅ~ん、そういうこと言うんだ……」

 くだらないギャグは、二日酔いで苦しむ伊14には逆効果だったようだ。

 ぽかん(拳骨の効果音)。

「……驚いたなァ。結構マジでぶん殴ったのに、死なないんだね、あんた?」拳をグーの形に握りこんだまま、伊14が不思議そうにいった。

「ちょ……ま、待つホ!! ア、アンタ人間じゃないホね……!?」

「今頃気づいたの? 艦娘って……知らないの? 新聞とか読まない系? ……まァいいやなんでも。

 イヨ、今は非番だけどさ。覚えてないけどたぶんね。お酒飲んで公園で寝てたんだから、たぶんそうでしょ……(震え声)。

 で、いくら非番の艦娘っていったって、山から降りてきた熊ぐらいは始末しなくちゃ。

 ……そんで、あんたいったい、なんなの?」

「オ……オイラ、クマじゃないホ! “アクマ”だホ~……だから許してほしいホ~!」

 たった一発。

 伊14は、拳を振り上げてぶつけただけで、低級とはいえ、伝承に語られる「悪魔」を叩き潰してしまった。

 全長113m、基準排水量2620tという人の英知の結晶は、その暴力的な質量で神秘を粉々に粉砕したのだった。

「う~ん、どうしよっかな~。イヨもな~」

「お願いだホ! 見逃してほしいホ! あ、アクマを殺して平気なのかホ?」

「イヨもさ……殺すほど悪魔じゃないしな~」

「な、なんでもするから食べるのだけは許してホ~……」

「ん? いま何でもするって……言ったよね!

 ウチ(三浦艦隊)だと、それを言った瞬間、全ての人権を放棄する魔法の言葉なんだよ!(まあイヨたち元々そんなのないけど)あとはみんなのおもちゃですって感じの。

 うんうん、とうとうイヨにも下っぱ……もとい、後輩ができたんだね~」

「いや、それは……。そ、そんなのイヤホ~!」

「嫌って言ったって、横向くんだよ90度!(酔っ払い特有のたわごと)」

 

 

●……数時間後、魔都トウキョウ

 

 ……悪霊ポルターガイストが 現れた! ▼

「悶絶少年専属調教師のタクヤと申します」

「うわっ、提督みたいなのが出てきた!」

「あっ、店長! ご無沙汰じゃないっすか!」

「気を付けるホ、DARK悪魔とは会話が通じないホ!」

「お前もう生きて帰れねえなぁ?」

「いやまあ、提督も大体こんな感じだし……」

「ズイブン変なやつなんだホ~」

「うーん、奇人変人の類なのは否定できないなー」

「もう許さ……ゆるっ、もう許せるぞオイ!」

「まー、物は試しだね。

 ねえねえ、イヨたちちょっと探し物があるんだけど、手伝ってくれない?」

「あっ、いいっすよ(快諾)」

「いいねいいね、ノリいいじゃん~」

「お金、タダでいいから(良心)」

 ……悪霊ポルターガイストが 仲魔になった! ▼

「いいのかホ……(困惑)」

 




ゴジラマイナス、重巡「高雄」が登場するシーンすごくカッコよかったので、落ち着いたらみんな観よう
ドラマパートは全部スキップしていいよ(無慈悲)
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