ストライク・ザ・ブラッド ~血塗られた吸血鬼~ 作:ぅっchi_
約1年ぶりくらいでしょうか?
その間は慣れない社会人生活で暇がありませんでした。
今回はちょっとした気分転換で書いてみました。
久しぶりすぎて内容を覚えていないという方はお手数ですが読み直しをおすすめします。細かいところの修正もいれてあります。
日は沈み、夜が過ぎ、朝を迎える。
雨音がこだまし、辺りは凍えるような霧に包まれている。
見えるのはレンガ造りの道や建物、そしてすべてが赤く染まっている。
手には赤い液体の滴るメスが握られており、足元には肉のような赤い塊が。
すぐそばの窓に映るのは自分のものと思われる影。
ただその影は―――
その口は不気味なほどにわらっていた。
―――キザメ。
影が歪んだその口で告げる。
―――キリサケ。
少しずつ影が薄れていく。
―――チデヌラセ。
その
これは切り裂き吸血鬼―――桐原悠斗が幾度となく繰り返し見る夢。血に刻まれた記憶。
浅い眠りのまま、夜は過ぎ、朝を迎える。
♰ ♰ ♰
耳元で雨音が鳴っている。
携帯に設定しているアラームの音だ。
悠斗は手探りで携帯を探し出し、画面をタップして停止させる。
そして再び安らかな眠りにつこうとしたところで―――
「悠君、起きて。朝だよ。朝ごはんできてるよ。今日は日本史の追試なんでしょ。」
体をゆすられ、重い瞼を開けると凪―――暁凪沙、古城の妹だ―――がいた。
制服にエプロンをつけており、キッチンの方からはおいしそうなにおいがしてくる。
凪にはいつも朝ごはんを作ってもらっている。始めは悠斗が朝に弱く、遅刻が多いと知った凪が偶に来る程度だったが、凪のいない日はほとんど遅刻しているとバレてしまったため、今では毎日来られている。
こちらとしてはわざわざ毎日来ないくていいと言っているのだが、凪は私がやりたいからやってるんだから気にしないでと言われ押し切られた。
「あと、地球の回転が5度進むまで…」
「え?えっと、一日が24時間でそれから360度で…それから5度だから、ええっと…」
「………20分」
「おぉ、さすが悠君。って、そんなんじゃ誤魔化されないよ!起きて!20分も寝たら、朝ごはん冷めちゃうし遅刻だよ!」
凪が指を折りながら計算していたが答えがでないようなので教えると、ひっかかりかけたのだがすぐに気づかれてしまった。
先ほどよりもさらに強く揺すられてしまう。
「わかった。わかったからそんな強く揺すらないでくれ」
「よろしい。じゃあちゃんと起きてきてね」
「あぁ」
返事を聞くなり凪はリビングの方へ駆けて行った。
気怠い体を起こし、意味のない目覚まし時計を見ると8時前。
追試は9時半からなので少し余裕をもって学校へ行けそうだ。
本当に凪には感謝しなければいけない。これまでの俺だったら間違いなく遅刻していただろう。
リビングへ行くと焼かれたトーストとコーヒーが2人分置いてあった。さすが凪、よくわかってらっしゃる。白米もいいと思うが朝はパンとコーヒーが一番だ。
「早く食べよっ!」
「わかってるって」
俺と凪は4人席の食卓に対面して座る。これが定位置だ。
「それじゃあ」
「「いただきます」」
トーストは非常においしくすぐに食べ終わってしまった。
凪には何をさせても上手いから何かして上げたいとは思うが、料理だけは敵いそうにないな。
「あ、そうそう。夏休み明けうちのクラスに転校生が来るの。昨日、部活で学校に行ったときに先生に紹介してもらったんだ。すっごくかわいい娘なんだよ。絶対モテると思うよ」
「凪がいうくらいだからそうとうかわいい娘なんだろうな」
凪は料理や家事など家事全般難なくこなすうえにかわいらしく成績もいい。しかも裏表のない性格と分け隔てなく接することから友達も多い。そんな子を周りの男子が放っておくわけがなく何度も告白をされているそうだ。
そんな凪がいうのだからその娘が転入したらきっと大騒ぎになって大変だろう。
「でね、その娘姫柊雪菜ちゃんっていうんだけど、古城くんのこと聞かれたんだよね。古城くんに聞いても教えてくれないし、悠くん何か知ってる?」
「いや、凪が知らないことを俺が知ってるわけないだろ」
「そっか~、悠くんなら何か知ってると思ったんだけどな」
十中八九この前の騒動の槍使いの少女だろうな。古城のことを第四真祖と呼んだことから監視なのだろう。はぁ、また古城か…。古城は毎度面倒ごとに巻き込まれてしまうため一緒にいる悠斗も巻き込まれてしまうのだ、本当に勘弁してほしい。
「これからは同じ学校になるんだし、二人がどんな関係なのかわかるようになるさ」
「そうだね。また今度聞いてみよう」
とりあえずこの場はやり過ごせたようだ。
古城、がんばれ。
俺はコーヒーも飲み終わったので席を立つ。
「じゃあ俺は補修に行ってくるから」
「うん、いってらっしゃい。気を付けてね」
時間を見るといい頃合いだったため行く旨を伝えると、凪も明るい笑顔で手を振ってくれた。
この笑顔を見ると眠気も吹き飛び元気が出る。
ほんと凪には助けてもらってばっかりだ。
今日は何か買って帰ろうかと考えながら俺は玄関を出た。