もし沢田綱吉が不良だったなら。   作:青クマ

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そういえば俺の好きなエジプト神と恋愛するスマホゲーの新作がリリースされてた。
嬉しい。



泣き虫牛の子元気の子

 ピンポーン。

 ユニとの恥ずかしい感情暴露大会の翌日、隣に眠るユニを見てもどかしい気持ちに包まれていた俺の休日はその音から始まった。

 

 基本的に俺に来客はこない。獄ちゃんなら来るかもしれないが家を教えてないのでそれもない。という事は宅配便かユニへの来客だろう。

 ユニは珍しく俺が起きている時間になっても目を覚ましていなかった。つい感情的になり日付が変わるまで言い合いをしていたので当然なのかもしれない。育ちが良く、中学生にも関わらずいつも早寝するユニには未知の時間帯だったとしてもおかしくはなかった。

 

 ユニを起こす事も考えたが自分のせいでまだ寝息を立てている事を鑑みると罪悪感からかどうにも起こす気にはなれない。一瞬起こそうかと伸ばしていた手は、急遽予定を変更し布団の掛け直し作業を行った。

 一つ欠伸をしてから玄関の扉を開ける。

 ……誰もいない。

 

「……誰もいねーじゃんかよ」

 

 ピンポンダッシュかと思い扉を閉める。

 

「ランボさんはここにいるもんね!」

 

 いや、さっきまではおらんかったろ。とか思いながら先ほどより乱暴に扉を開けた。

 

「ぐぴゃっ!……ぐすっ、ランボさん泣かないんだもんね」

 

 軽い衝撃。謎の声。なんか吹っ飛ばした。

 よくよく見ればアフロ頭に牛柄の服を着た五才程のガキが転がっている。最初に扉を開けた時は小さかったので気づかなかったのか。

 ガキは嫌いだ。昔からよくガキには懐かれるがそんな事をされたら煙草も吸うことが出来ない。こう見えて俺は副流煙に気を使う男だ。そう言う割には昨日ユニに無理矢理酒を飲ませたが。

 ともかくウチに来るという事はマフィア関係だろうし、扉をぶつけた詫びもあって家に上げる。

 

「ランボとか言ったっけか、お前は何でウチに来たんだ?」

 

 屈んで目線を合わせてから話を聞く。

 

「ぐすっ、ランボさんはボスにボンゴレの十代目を見てくるように言われたんだもんね」

 

 マフィア関係者ではあったが珍しく俺への来客だったようだ。

 

「あー、扉をぶつけたのは謝る。……なんかジュースでも飲むか?」

 

「……ランボさんはブドウジュースを要求するもんね」

 

 冷蔵庫から出した葡萄ジュースをコップ三つに注ぐ。

 

「あらら〜?コップが三つ。ランボさんが二つ飲むんだもんね!」

 

「ちげーって。おかわりはまだ沢山あるからコップは一つで飲め」

 

 トントントン、とユニが階段から下りてきた。

 ジャストタイミング。超直感の精度は今日も良好な模様である。

 

「……おはよう、ユニ」

 

「おはようございます、ツナ君。……そちらの子供はどうしたんですか?」

 

 ユニは平然を装って朝の挨拶をしたが心なしか顔が赤い。記憶はバッチリ残っているようだ。

 

「えと、コイツは……」

 

「オレっちはランボさんだもんね。ブドウとあめ玉が好きな五才だもんね!」

 

 何と説明しようか迷っていたらランボが自分で答えた。ちゃんと自分で挨拶出来る所は嫌いじゃない。

 

「なんでもコイツのボスに俺を見に来るよう指示されたらしいぜ」

 

「あらあらツナ君も人気者ですね。マフィアとして名前が売れるのは良いことですよ」

 

「だからって様子見に来るのがガキってどういうことなのよ」

 

「ランボさんはガキじゃないもんね!」

 

「ふふふ、だそうですよ?あっ、私お夕飯の食材を買いに行ってきますね。ツナ君は何か食べたい物ありますか?」

 

「んー……。おいランボ、なんか食いたいモンあるか?」

 

 俺は特に無かったのでランボに話を振る。何でもいいと言われるのが一番困ると聞いた事があるが故の配慮だ。

 

「ランボさんはカレーが食べたいもんね!」

 

「はい、わかりました。それでは行ってきますね」

 

  ユニが買い物に出かけてから気づいた。流れでランボに夕飯を食わせる約束をした挙句コイツの面倒を見るの俺じゃねーか!

 嘆いても仕方ないのでとりあえずリビングルームに連れていきユニが俺に見せようと持ってきた任侠物のヤクザの映画を見せる。ランボにはまだ早いかもしれないがランボも男ならユニ用の恋愛映画よりは悪くないだろう。その証拠にランボは組を守るために一人敵対組織に立ち向かう主人公をキラキラした目で見ている。

 ちなみに余談だが俺もよく一緒に恋愛映画を鑑賞させられるが男目線からだと面白くも何ともなかったりする。

 

 

「ランボ。お前ってどこのファミリーから来たんだ?」

 

 そこまで興味は無かったが話題作りの為に聞いてみた。ないとは思うが敵対ファミリーだった場合扱いも変わってくる。

 

「気になるぅ?気になっちゃうのぉ〜?仕方ないから特別に教えてあげるもんね。聞いて驚けボヴィーノファミリーだもんね!」

 

 うっざ。

 いやかなりウザかったが確かに驚いた。ボヴィーノと言えば弱小ファミリーだがユニ曰くマフィア界でも有数の技術力を保持しているファミリーだ。

 

「へぇ……!じゃあランボは十年バズーカとかも見たことあるの?」

 

「ランボさんそれ持ってるから映画のお礼に特別に見せてあげるもんね」

 

 ランボはもさもさとアフロに手を突っ込み明らかにアフロに収まらないサイズのバズーカを出して見せた。

 見た目は普通のバズーカと変わらず訝しげな目で見ているとランボは銃口を自分の頭に当て引き金を紐で引く。

 

 激しい爆発がドォン!と起こりモクモクとした煙が晴れるとランボの居た場所には長身の片目を閉じたイケメンがいた。

 

「やれやれ、どうやら十年前に呼ばれちまったみてーだな」

 

「お前、ホントにランボか?随分とイケメンだな」

 

「お久しぶりです、若き日の十代目。昔のオレが世話になってます。……ところで、ユニ姐さんはどちらに?」

 

「買い物。つか十年後だと姐さんとか呼ばれてんのな」

 

 少し意外と思う反面何故か予想通りでもあった。

 

「えぇ、それはもう。姐さんの立ち位置を考えれば。何たって姐さんは……いえ、無粋な話は止めておきましょうか。思えば姐さんにも随分と世話になった」

 

 目を細めながら懐かしむ十年後ランボの姿は現在のランボからは想像出来ないほど様になっていた。

 

「ま、無理には聞かねぇよ。ちなみに十年後の俺はどうしてるんだ?」

 

「はは、マフィアで最も強くて恐ろしい男だって言われてますよ。僭越ながら守護者をやらせて頂いてるオレから見ても最強のボスですね」

 

「はっ、お前、俺の守護者やってんのかよ。今のランボ見てると想像出来ねーけどな」

 

「時系列から考えればじきにオレの方から頼みに行く筈ですよ。若かったオレはお恥ずかしいことに素直に言えませんでしたがね」

 

「せいぜい楽しみにしとくよ。……そろそろ五分か、じゃーな」

 

「ええ、それでは失礼します」

 

 ボフンと間抜けな音と白煙をあげながら十年後ランボは今のランボと入れ替わった。

 

「十年後でブドウのあめ玉沢山貰ってきたもんね!」

 

 十年後から帰還したランボは手にいっぱいの飴の袋を抱えて喜んでいた。

 

「おい、ランボ」

 

「およ、何かランボさんに用だもんね?」

 

「ボヴィーノのボスにランボはボンゴレファミリー十代目の沢田綱吉が預かるって手紙を書いとけ」

 

 ガキは嫌いだが使える男なら嫌いじゃない。十年後のランボは今の俺では到底太刀打ち出来そうにない実力を持っていた。なら今のうちから側に置いておくのもいいだろう。

 

「でもランボさん字、書けないもんね」

 

「……はぁ、そこらも教えてやるよ。そろそろユニが帰ってくるからそれまでにア行だけでも覚えろ」

 

「えー、ランボさん面倒臭いからやりたくないもんねー」

 

「ばっか、格好良いマフィアは字も書けるのが嗜みなんだよ」

 

「……!天才で格好良いマフィアのランボさんには余裕だもんね!」

 

 さすが五歳児チョロい。まぁ話してる限りは会話もスムーズに行えるし地頭は良いのだろう。

 ランボに字を教えているとユニが買い物から帰ってきた。

 

「ただいま戻りました」

 

「おかえり。それとランボの事だけど暫くうちで預かる事にしたから」

 

「はい、わかりました!守護者にするんですね!」

 

 ユニは超直感も持っていない筈なのに当たり前のように見透かされた。

 何故考えてる事がわかるのか聞いたらきっと愛情とか言われるんだろう。俺は誰かを愛した事は一度もないが誰かを愛せば他人の心が読めるようになるのだろうか。

 今回ばかりは超直感も何も教えてくれなかった。

 

 

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