もし沢田綱吉が不良だったなら。   作:青クマ

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ランキングの日間(加点・透明)に乗ってたので記念投稿。

サブタイなんですけど言うほど原作をもじってませんでしたね。



極限にご機嫌なボクサー

 今日は月曜日。足を滑らせて川で溺れてた緑中の変な女をユニに助けさせられてから学校に向かう。お陰で服はべたべただ。

 教室に入れば真っ先に獄ちゃんが挨拶に来る。

 

「おはようございます、十代目!それとユニさんもおはようございます!」

 

「おー、おはよ」

 

 普段ならこれで終わるが今日は違った。

 

「……あー、ツナ。おはようなのな」

 

 若干気まずそうに声をかけて来たのは山本である。夜の並中グラウンドであって以来今日が初めての会話だ。

 

「テメェ、沢田さんに何の用だ!」

 

 獄ちゃんが山本に食ってかかる。狂犬みたいな男である。

 

「別にいいよ、獄ちゃん。……で、何の用だ」

 

「その……この前はありがとな!あの日グラウンドでぐっすり寝てから野球の調子も戻ってきたんだよ」

 

「え、撃たれてお礼言うとかマジなんなの、……マゾヒスト?」

 

 え、頭撃ったら逝かれちゃったとか?

 

「ち、ちげぇって!」

 

「でもパンイチだったし。露出の気もあるとしか……。わりぃ、もう少し距離おこーぜ」

 

「アレは絶対ツナが悪いと思うのな……。じゃなくて!そんな訳だからツナに困った事があったら言ってくれよな」

 

「ふぅん、……お前、野球は命と同じくらい大事とか言ってたよな。つまり俺は命の恩人って訳だ。この貸しは高くつくぜ?」

 

「おう!」

 

 よし、二人目の守護者ゲット。ランボはじきに自分から頼みに来ると十年後ランボが言っていたので実質的には三人目。もう既に半分が集まった。我ながら恐ろしい求心力だ。あと二人程はアテがあるし足りない一人も超直感を使えばどうとでもなるだろう。

 

 授業の殆どを寝て過ごし放課後になった。まぁ寝る度にユニに起こされていたが。

 

「あ、あのっ、沢田君」

 

 帰りの支度を整えていたら笹川妹に声をかけられた。全くもって今日はよく話しかけられる日だ。

 

「……ああ?」

 

「ひっ、そ、そのお兄ちゃんがボクシング部の部室に来て欲しいって……。さ、さようならっ!」

 

 そう言って笹川妹は逃げるように去っていった。それにしてもホント幸先いいな。気乗りはしないが近いうちにボクシング部には行くつもりだったので手間が省けた。

 

「って訳で獄ちゃん、ボク部行くぞ。新しい守護者集めだ」

 

「了解です。ですがボクシング部にそんな強いのがいるんですか?」

 

「んー、それなりだな。悪くはない……っと着いたか」

 

 ボクシング部の扉を開ければ濃密な汗の匂いが漂ってきた。だからここ好きじゃないんだよなぁ。

 

「むっ、沢田か。極限に待ってたぞ!」

 

「いよぉ、了平先輩。俺を呼んだらしいじゃねーか」

 

「うむ、極限にスパーリングをするためだ。今度こそ俺が勝つ!」

 

 毎度ながら極限極限うるせぇな。

 

「……はぁ、仕方ねぇな。俺が勝ったらいつも通り飯奢れよ……って言いたいところだが」

 

「ん?今回は違うのか?」

 

「おうよ。今回俺が勝ったら舎弟になれ」

 

 了平以外のボクシング部員がどよめく。俺は今まで舎弟集めはしてこなかったから当然と言えば当然かもしれない。

 

「極限に構わんぞ」

 

「お兄ちゃん、舎弟なんてダメだよ!?」

 

 よく見れば笹川妹もいた。ったくこんな汗臭い所に女連れてきてんじゃねーよ。

 

「ええい、キョーコ!これは男と男の勝負なのだ。それに俺が極限に勝つから問題ない!」

 

「ははっ、だってよ。んじゃリングに上がれや」

 

「十代目、頑張ってください!」

 

 

 獄ちゃんの応援には答えず俺もリングに上がる。了平との賭けボクシングは勝率八割で俺が勝ち越しているが、これは守護者を賭けた試合だ。万が一の事を考えると油断はできない。

 

「むっ、来ないのか?」

 

「はっ、俺がどうせ勝つから先手を譲ってやってんだよ。ばーか」

 

 もちろん嘘だ。試合中に相手を煽ることはあっても舐めプはしない。いつも最善手で戦ってきた。

 超直感を研ぎ澄ませた。了平の初手は顔面ストレートからのラッシュだと直感する。ならば俺の狙いはカウンター。

 こういう戦いに於いて最も見る場所はパンチを繰り出す手ではなく、予備動作を行う足だ。

 

「なっ、バカとは何だ、バカとは!」

 

 了平の重心が移動する。

 

「……だがそういう事ならこちらから行かせて貰うぞ」

 

 --左足が動いた!

 

「極限ッ!」

 

 予想通りのストレート。了平の拳が俺の顔面を捉えようとするが上半身のみをを僅かに後ろに反らし避けた。

 了平が出したストレートを戻している間に俺は一歩、もう一歩と踏み込みほぼ密着状態からのアッパー。

 

「……ちっ」

 

 思わず舌打ちが漏れた。了平はスウェーバックで俺のアッパーを避けたのだ。それでも避けきれず軽くは入ったが致命打にはならない。

 当たり前の事だが前回の試合より強い。事前に下剤でも盛っておくべきだったかと後悔する。

 ルールを守ったお上品な喧嘩は俺に向いていないのはわかっていた。だが相手の土俵でも勝てないようじゃあボスとしてやっていけないだろう。了平を守護者にした後も、更に強い奴が残っているのだ。

 

 ともあれ状況は振り出しに戻り再び睨み合う。

 次の了平の行動はインファイト。インファイトの対処は苦手なので今度はこっちから攻める事にする。

 

 一歩で間合いを詰め顔面にジャブ、と見せかけてフェイントだ。顔をガードするために了平の腕が浮きボディーが僅かだが空いた。

 その隙を逃さず腰を大きく使いストレートォ!

 

「……ぐっ!」

 

「さすが十代目!」

 

 了平が痛みに呻いた。獄ちゃんの歓声が上がる。

 そのままラッシュで畳み掛けた。顎を中心に狙いガードの場所が変わればその隙に重いのを入れる。超直感も併用し、確実に入るものだけをしっかり叩き込んだ。

 俺もパンチの隙を突かれていくつか貰ったが了平のダメージと比べれば問題ない。

 了平がたたらを踏みそこで先ほどは決まらなかったアッパーを入れた。

 

「うぐっ……!」

 

 了平が倒れ試合終了のゴングが鳴った。

 

「……っふぅ」

 

「おっしゃぁ!おめでとうございます十代目!」

 

「おう、応援ありがとな」

 

 獄ちゃんから渡されたタオルで汗を拭う。

 やっぱキツいわ、ボクシング。ルール無用の喧嘩と違って精神的な疲労が半端ない。

 

「じゃ、俺が勝ったから了平、今日から舎弟な」

 

 守護者集めもランボを含めたらあとは二人。集め終わったらどうなるかは知らん。ドラゴンでも出てきて願いを叶えてくれるのかしらね。

 

「うむ、極限に承ったぞ。にしても何で今更舎弟を集め始めたのだ?」

 

 よろよろと立ち上がった了平に問われる。

 結構しっかり顎を決めたのに平然と立ち上がれる所を見ると流石ボクシング部と賞賛したくなった。

 

「ここでは言えねぇけど必要になったんだよ。……次は風紀委員会にも行くつもりだ」

 

 周りで話を聞いていたボクシング部員が並中二強の全面戦争だと騒ぎ出す。

 

「風紀委員っていうと雲雀とも戦いに行くのか?あいつは極限に強いぞ」

 

「まぁな、恭弥には俺も勝てるかわかんねぇ」

 

「十代目、その風紀委員会ってのはそんなにヤバいんですか?」

 

 転校生なため一人、風紀委員会を知らない獄ちゃんが口を挟んできた。

 

「風紀委員会っつか委員長の雲雀恭弥がな。あいつは俺でも五分だ」

 

「なっ!?そんなに……!」

 

 実際、誇張も謙遜も無しに五分だ。

 小学生の時から喧嘩する仲だが、勝ち越せた時期は一度もない。負け越した時期もないけどもね。

 

「そんな心配すんな。まともに戦るつもりはさらさらねーし」

 

「すいません!自分が十代目を心配なんて恐れ多い事を!」

 

 相変わらずの信望っぷりに苦笑する。

 

「でも獄ちゃんにも手伝って貰うからダイナマイト沢山用意しとけよな。あと煙草も」

 

 前に吸わせて貰ったけどイタリア産のは美味かった。イタリア産じゃなくても普通に高いヤツだったし。

 それにしてもうーむ。群れるのが嫌いな恭弥だが群れなければ確実には勝てないときた。どうしたもんかね、割と詰んでる気がしなくもない。

 

「はいっ!お役に立てるように精一杯頑張らせていただきます!」

 

 まだ見ぬ敵を想定して燃えている。そのうちシャドーとか始めそうだ。

 

「ん、じゃあ帰ろうぜ」

 

 とりあえずは保留にする。どうせ今日は戦わんから恭弥攻略も今日じゃなくていつか考えればいいじゃんね。

 

 獄ちゃんと道中にあったハンバーガーを買い食いしながら帰る。

 それと痣つけて帰った俺を見てランボは泣いたし、ユニには死ぬほど怒られた。

 

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