「容疑者は溢れる厨二心が抑えきれなかったなどと意味不明の供述をしており────」
冗談は置いときまして、今回の話ぶっちゃけルビとか文体がクドいかもです。14の頃を思い出して胸焼けするというか身悶えするというか、水銀汚染というか。
あ、別にクロスオーバーする気はないのでそこだけはご安心を。
要するに、元々の文章自体が酷いのに身の丈に合わない設定ぶっ込んだから更に酷いよってこと。
それでも構わん、っていうドの付くマゾは是非お付き合いください。
彼の話をする。
世界の均衡を保つ
沢田綱吉。
血を受け継ぐ者。点でも横でもない縦の系譜。
これは、彼の知らない
沢田綱吉が死ぬ気弾を使えない理由。
彼自身も決して知ることのない、否、思い出すことのないお伽話。
彼、沢田綱吉と言う人間に死ぬ気弾の使用が出来ない事実を詳らかに明かし、その何故を問えば彼と親しい者は何と答えるだろうか。
ある者は、至高の彼にそんな物は必要ないからだ、と尊敬の眼差しを向けるかもしれない。
ある者は、そんな事に興味ない、ただ彼と闘えればよい、と吐き捨てるかもしれない。
ある者は、彼が常に極限だからだ、と猛るかもしれない。
ある者は、自分には彼を理解出来ない、と苦笑するかもしれない。
ある者は、質問を理解せず、ただ憧れているだけかもしれない。
では、彼と似通った視座を持つ彼女は何と答えるのだろうか。彼方の未来にて出逢う白き青年は何と答えるだろうか。
真実彼ら彼女らの答えは正答であり誤答あった。
正しく彼は至高であり、無意であり、極限であり、理解が及ばず、偶像で、答えなど存在しなかった。
それでも無理に答えるならば、彼に死ぬ気弾を使用出来ない理由は多々あるが元を辿れば総て超直感に集約される。
超直感。
その事の起こり、起源は初代ボンゴレまで遡る。初代ボンゴレ・ジョットの身に起こった突然変異。
彼は、大空は、沢田綱吉はその超直感を歴代で最も強く受け継いで産まれ、その生誕の瞬間に総てを直感した。
文字通りの総て。自分が産まれてから死ぬその刻まで一秒も余すことなく総てを。
物心ついてない時期だった故に忘れているだけ、思い出せないだけ。だけどそれでも無意識に覚える既知感。既知で構成される
総てを知っている、どうすればどうなるかを知悉している。だからこその諦観、無気力、無感動。本人がどう思おうがその情動は常人程の熱量には及ばず、喜びも、悲しみも、怒りも、総ての感情がフラットに保たれる。
例え自身が死に瀕しても彼には既に判っていたことで“ああ、ついにこの刻が来たか”としか思えない。過程も結果も判りきり何の感慨も、感動も、未練も、後悔も抱かぬ人生の何と無為なことか。
そして彼は願うのだ。
あゝ、天に在します主よ、どうか俺に未知を与え給えと。
「…………、…………ただいま」
「おかえりなさい、ツナ君」
どんよりと曇った感情で、更に幾ばくかの時間をかけ、漸くと声を出して帰宅を告げる俺を見てもいつも通りに返事をするユニがどうしようもなく有り難かった。
リボーンの前では虚勢を張っていたが家に帰ると途端に気が抜けた。
「遅かったですね、寄り道でもしてたんですか?」
もう晩御飯できてますよ、とユニは朗らかに言う。
ユニとは同じ時間に下校して、そのまま帰路につくのに気が向かなかった俺はフラフラと街を歩き回った結果、リボーンにあった。正直一緒に帰ればよかったな。
「ま、ちょっとな。……ランボはどうしてる?」
「まだお昼寝してますよ。何か用でもあったんですか?」
「いや、いいんだ」
イタリアに居たことのあるランボならリボーンの事を知っているかと思ったが辞めておく。わざわざ寝ているところを起こす程の用件じゃない。
それに知る事に意味なんか無いのだから。
知ったところで勝てる訳でもないならその時間は違うことに費やした方が効果的だ。
「ふふっ、そうですか。
じゃあちょっと早いですけどご飯にしましょうか。今日はツナ君の好きな物ばっかりですよ!」
「おう、いつもサンキュな」
余りにも最適な対応に、ユニは俺に何かあったのを判っているんだろうか、と勘繰ってしまう。いや本当に判っているんだろう、判ってしまうんだろう。
晩御飯を食べ終える頃には失った余裕も流石に取り戻した。
いつもと変わらない態度でランボの相手も出来たし、ランボを寝かしつけた後、ユニに風呂を勧められた時には、“一緒に入るか?” なんて冗談を飛ばし、顔色を紅潮させて気を失ったユニの介護だってしてのけた。
「ユニ」
「…………何でしょうか、沢田さん」
「そう膨れんなって、俺が悪かったから」
「だってだってツナ君がぁ……もうっ」
痛い痛い。
ポカポカ殴ってくんなよ、肩にしてくれ肩に。
「ははは。────六道骸って知ってるか?」
「それは…………。いくらツナ君でもそれは教えてあげられません」
とりあえず知ってはいると。
後は詳しい情報。ユニから反応を見て直感するか、何とか聴きだすか。前者も後者も恐らくは可能だ。
「骸がこの街に来てるって知ってもか?」
選んだのは後者。気持ちの問題だけで結果は変わらないけど、結果が変わらないからこそ気持ちを優先した。
ユニにだけは絶対に隠し事はしない。これは普段のお礼、こんなんじゃあ足りないけど俺に示せる精一杯の誠意。
「ううぅっ、…………はぁ。まあ、こうなる予感はしてましたけどね。私もあんまり詳しくはないので少しだけですよ」
目を伏せて悲しそうに呻くユニはポツポツと語りはじめる。
凡そはリボーンから聞いた話と変わらないが有益な情報も聴けた。
六道骸。
とあるマフィアの実験体だった彼は、手下二人とそのマフィアに反逆。以来マフィアを潰して回るようになる。しかし五年前、遂に捕まりマフィアの刑務所に収監されていたところを脱獄、並盛へ辿り着く。
容姿は非常に整っており、赤と青のオッドアイを持つ。
戦闘方法は幻術と三叉槍を主に使用。
「────と、まあこんな所ですかね」
そう締めくくりユニは渇いた喉を潤すためにお茶を飲んだ。
「やっぱり戦いに行くんですか?」
「まぁな、それに俺が行かなくても向こうから来るし」
「で、でも……。ツナ君が行かなくても……、その……ええとぉ」
「リボーンの事だろ」
「…………はい、ごめんなさい」
気にするな、とは言わなかった。俺がそう思ってるのはユニも知ってるだろうし、ユニは言っても気にするだろうと俺も知っているから。
「やっぱリボーンの事も知ってたか」
「はい、リボーンおじ様が日本に来る事は事前に知らされてました。……その用件もです」
「リボーンには俺が頼んだんだ。骸は俺が殺るから待ってくれってな」
「何でですか。危険です、危ないです、デンジャラスです、守護者の方々の時とはワケが違います」
「何でって言われたら、必要だから。としか言えないな。俺には骸と戦う必要がある」
リボーンと同じステージに上がりたい。対等に戦えるようになって俺の道から除外する。その為に骸と戦う必要があるんだ。
綺麗な正座をして俯くユニをそっと抱きしめた。
あんなに大きく見えるのにこんなに小さいユニを。極力優しく、できる限り柔らかに、それでも確かに。少し力を込めれば折れてしまいそうで、この腕を離せば消えてしまいそうで。
「うぅ、いつ行くんですか」
「明日すぐにでも」
「怪我しちゃダメですよ」
「かすり傷一つ負わないに決まってるだろ」
「…………約束してください」
「ああ、約束するとも」
そっと抱きしめ返された。
互いに抱き合い元々無い距離が更に縮まる。少しでも相手に触れていたいと、まるで一つに合わさってしまいたいと。
ユニの頭に顔を
「もうツナ君のする事に口を挟みません。だからちゃんと帰ってきてくださいね。そしたらご褒美、あげますから」
俺はマフィアの端くれだし何より男だ。
言われて止まるような性分じゃあない。それをユニも理解してくれてるんだろう。だからせめてちゃんと帰って来てねと言う。
ユニからは受け取ってばかりだ。
やっと恩を返せばまた倍になってやってくる。男として情けない、人間として問題がある。こんな有様ではユニに口を開く資格なんてないだろう。
だから、だから抱きしめる腕の力を、ほんの少しだけ強くする事で返事をした。