石飛将夫は、株式売買システムが弾き出した八銘柄の裏付け調査も行っていた。森岡が考案し、坂根秀樹が開発改良したソフトウェアシステムである。なかでも、本宮糸が教えてくれた近畿製薬は丹念に調べた。
教えてくれたといっても、近畿製薬は買いなのか売りなのか、つまり買い材料があるのか売り材料があるのかわからなかった。
会社四季報の業績欄によると、ここ数年減収減益が続き、今季予想も同様の見込みとあった。つまりは売り材料である。事実、株価は七年前に高値を付けた後、右肩下がりとなっていた。
石飛は丸種証券時代に親交のあった、同じ関西の中小証券会社「名越三郎(なごしさぶろう)証券」の株式部長の逸見と会った。
その名の通り、昭和初期に名を轟かせた相場師の名越三郎が創業した証券会社である。かつては、このように姓名をそのまま社名とした会社も多く散見されたが、昨今では社名変更によりめっきり少なくなった。
「お前、丸種を退職した後、音信不通だったが、今は何をやっているんだ」
逸見の顔には不審の色が張り付いていた。
石飛が逸見を呼び出した場所は、言わずと知れた幸苑である。逸見は井筒孝之とは違い、幸苑は何度も暖簾を潜った店だった。
逸見は石飛と同年代で、証券部係長の職にあったバブル時代を謳歌していた。その恩恵により、しばしば幸苑の料理に舌鼓を打つことができた。
しかし、その後の証券不況下にあって、幸苑は高嶺の花となった。その幸苑の女将が石飛を常連客、それも相当に上客のように扱っている。逸見の疑念は、当然と言えば当然であった。
「ある人物の下で働いている」
「誰だ」
「それは勘弁してくれ。話せるときが来たら話す」
わかった、と逸見はあっさり追及を断念すると、
「これ以上は訊かないが、相当の大物らしいな」
石飛の目を見て言った。幸苑の常連はその男なのだと推量したのである。
「それが……」
と言って石飛は首を捻った。
「よくわからないのだ」
「どういうことだ」
「仕事は鬼のようにできる。人脈も唖然とするほど広い。だがな、いま一つ釈然としない」
石飛の正直な気持ちだった。彼にとって、森岡洋介は浜浦での印象が強烈だった。灘屋の総領として世間から一目置かれる存在ではあったが、石飛にとっては、近所の幼馴染で、弟の死に関与していたという記憶の方が鮮明だった。
したがって、森岡の許で仕事をするようになり、彼の実力を目の当たりにしてもピンとこないのである。
「ふーん、嘘ではないようだな」
逸見は役職こそ違ったが、かつての宿敵であり戦友でもあった石飛の性格を良く知っていた。
「それで、今日は何の用だ」
逸見が本題を促した。
石飛の目に力が籠る。
「あんたにまどろっこしい駆け引きは止めよう。近畿製薬はどうだ」
「どうだ、とは」
逸見は怪訝な顔をした。
「買いか、売りか……」
「なんだと、お前は相場を張るのか……」
と言ったところで、逸見はたと気づいた。
「相場師に付いたのか」
石飛は元証券マンである。相場師の手伝いをしても不思議ではなかった。
ははは……と石飛は笑い飛ばした。
「そうじゃない。俺のボスは普通の実業家だ。だが、少々株にも興味があるらしく、儲かりそうな株を探せと命じられたのだ」
ともっともらしい嘘を吐いた。
「そういうことか……」
逸見は半信半疑だったが、
「いくらなんでも、近畿製薬に買いはない」
と断言した。
やはりな、と石飛も心の中で頷いた。森岡が考案した株式売買システムでも、売り銘柄として推奨していた。
近畿製薬のここ数年の減収減益にははっきりとした理由があった。
薬害補償である。同社が販売した薬剤により多くの被害者を生んでしまい、補償費用が営業利益を上回っているのである。しかも、その補償はまだ数年先まで続く予定であった。
「近畿製薬なんて、誰も買わないし、カラ売りも妙味はないぞ」
カラ売りとは信用売りのことである。元々の株価が安値なのだから、そこから下がっても多寡が知れているのだ。
「あんたの意見は尊重するが、もっと詳しい情報が欲しいのだがな」
「だったら、業界誌の記者を当ってみろよ」
「誰か知っているか」
「『月間現代医療』の蟹江という男なら詳しい情報を持っているかもしれん」
「紹介してくれるか」
「それは構わんが、近畿製薬はないで」
逸見は駄目を押すように言ったが、
内心では、
――こいつ、まさか買いに回るのでは?
という疑念を抱いていた。
「じゃあ、これはお礼ということで……」
と、石飛は内ポケットから封筒を取り出し、逸見の前に置いた。
「おいおい、幸苑(ここ)で馳走になっただけで十分なのに、小遣いまでくれるのか」
逸見は驚いたように言った。厚みからして五十万円と見られた。
「今後もいろいろ世話になる」
石飛は含みのある笑いをしながら言った。
「そうか、じゃあ遠慮なく」
逸見は無造作に封筒を背広の内ポケットに入れると、
「ところでお前、今はどこに住んでいるんだ」
「決まったところはない。しばらくはホテルを転々とするつもりだ」
石飛将夫が仲間に加わることになったとき、森岡は此度の仕手戦の中心に据えようと考え、当分の間はウイニットに入れずに、住居も定めないことにした。仕手は影を踏ませないことが鉄則だからである。
それから一時間後、二人は幸苑を出た。
石飛は逸見をロンドにも誘い、二時間ほどで切り上げた。
タクシーを用意すると言った石飛に、まだ電車がある、と遠慮した逸見だが、実は彼にはある思惑があった。
「また会おう」
と言った石飛に、
「おう」
と方手を挙げ、背を向けて歩き出した逸見は、やがて踵を返し、石飛の後を着けた。
――奴の背後には誰がいるのだ。
逸見は石飛のスポンサーを割り出し、事の次第によっては顧客に情報を与える目算と、自らも提灯を点ける腹積もりがあったのである。
その逸見の後をロンドから出て来た男が着けていた。
石飛は何食わぬ顔で大阪梅田のパリンストンホテルに入って行った。
―しめた!
と、逸見は心の中で両手を叩いた。パリストンホテルの支配人とは昵懇の中だったのである。逸見は支配人を呼び出し、石飛がセミスイートルームを三ヶ月間押さえていること、また一ヶ月毎の精算とし、二百万円の保証金を入れていることも聞き出した。
ホテル側が宿泊客の個人情報の秘密保持を厳守しなくてはならないのは当然である。だが二人は、逸見がバブル時代にこのホテルを良く利用したのを機会に、ときどき有力な情報を流し、儲けの中から幾許かのキャッシュバックを受ける関係にあった。
逸見は石飛を訪ねて来る人物の特定を支配人に依頼し、帰宅の途に着いた。むろん彼は、過度な期待を寄せていたわけではない。訪問客がフロントを通さずに、直接部屋に出向けばどうにもならないし、それが普通だからである。
ところが、翌日の夕方だった。支配人からの連絡を受けた逸見は、石飛将夫を訪ねた人物の名を聞いて驚愕した。
支配人から告げられた名は「峰松重一」だったのである。
当初逸見は、その名を聞いてもピンとこなかった。暴力団が株式や商品相場に手を出していることは知っている。目的はマネーロンダリングである。不正な手段で得た収益を相場を通すことによって、真っ当な金に再生させる資金洗浄だ。
しかし、神栄会は武闘派組織だったので、そのような経済活動はして来なかった。故に、逸見の脳裡に名が浮かばなかったのだった。
――神栄会が資金洗浄として株式相場に手を出すのか? その先兵役を石飛が任された……。
逸見は思わず身震いした。神栄会の寺島会長は、神王組本家の若頭であり、七代目の最有力候補である。峰松重一はその神栄会の若頭である。株式相場など下の者に任せ、いちいち口出しすることはないはずである。それが、自ら石飛の許に足を運んだのだ。容易ならざる仕掛けを施すに違いない。
逸見は、石飛の相場に提灯を点けようと算段していたが、とんでもないことだった。もし、神栄会に気づかれたら――気づかれない自信はあるが――どのような災難が降り掛かるとも知れない。
逸見は、触らぬ神に祟り無し、と退散を決め込んだ。
これは森岡の用心であった。逸見に相談を持ち掛ければ、良からぬ思惑が頭を擡げると推察し、胡麻の蝿を追い払ったのである。
ロンドを出た逸見の後を伊能剛史の部下に着けさせ、パリストンホテルの支配人となにやら密談したとの報告を受け、わざわざフロントに在室を確認した上で、石飛の部屋を訪ねるよう峰松に願ったのである。彼は、大阪では顔を知られている。フロントマンは大物極道の来訪を支配人に報告していたのだった。
パリストンホテルの一階の喫茶室で、石飛は蟹江という記者と会っていた。蟹江は医療業界誌を発刊している出版会社の記者である。
お互い自己紹介をした後、石飛が本題に入った。
「近畿製薬ですが、何か変わったことはありませんか」
「名越の逸見さんからも伺っていますが、特に何もありません。相変わらず薬害補償で苦しんでいます」
「そうですか……」
石飛は抑揚のない声で言った。
「近畿製薬を手掛けるそうですが、まさか買いじゃないでしょうね」
その声には嘲笑の色が滲んでいた。
石飛は全く意に介することなく、
「まだ近畿製薬に決めたわけではありません。他にも数銘柄候補に挙がっています」
と言った後、顔を突き出し、小声になった。
「ちょっと、やばい筋の金なんで、失敗は許されないんです。ですから、一つ一つ慎重にその業界の情報に明るい人から裏を取っているんです」
「やばい筋とはこれ、ですか」
蟹江は指先で頬をなぞった。
石飛は、そうだとも違うとも答えなかった。
その代わり、
「情報料として十分なお礼はしますから、妙な気を起こさないで下さい」
と恫喝するような目で言った。
「も、もちろんです。そもそも、うちのような安月給では株なんて手が出ませんよ」
「では、引き続き近畿製薬の内部事情を探ってもらえませんか」
「はあ……」
蟹江は気の無い返事をした。近畿製薬には何もない、と思っているからだ。
「これは情報料です」
石飛は封筒を差し出した。封筒は思ったより厚みがあった。なるほど、良い小遣い稼ぎにはなるようだ、と蟹江は内心でほくそ笑んだ。
「ついでで結構ですので、他の製薬会社の情報もお願いします」
石飛は近畿製薬に拘っているのではない、と煙に巻くことを忘れなかった。
一週間後、蟹江からある人物と会って欲しいとの連絡があった。
石飛将夫からその旨の報告を受けた森岡は、面会場所を帝都ホテル大阪のスイートルームにするよう指示した。話しの成り行きによっては、自らが交渉に乗り出すつもりだったのである。
蟹江が伴った人物は、猪俣という近畿製薬の経理課に勤める男だった。石飛から受け取った封筒には五十万円が入っていた。蟹江にしてみれば、そのままそっくり自分のものにしても良かったが、この金を有効に使い、さらに石飛から金を引き出した方が得策だと考え直した。
そこで、目を付けた猪俣に二十万円を渡して話を引き出したのである。
猪俣は三十五歳。短髪で身形も整い、眼鏡を掛けているせいか外見は真面目を絵に描いたように見える。気後れしているのか、視線が彷徨っていた。
「石飛さん、彼がちょっと気になることがあるそうです」
蟹江が背を押すように言った。
「確たる証拠というようなものはありませんが、社内がピリピリとしているのです」
「ピリピリ? 言い難いですが、倒産の危機ということですか」
石飛は遠慮がちに訊いた。
「いえ、ちょっと違う感じです」
と言った猪俣が苦笑いをした。
「ご存知のように、うちはいつ何時会社更生法を申請してもおかしくない状況ではあります。ですが、社長が個人資産を注入しておりますので、もうしばらくはもつと思います」
近畿製薬は巨額の薬害補償を負っており、経営状況は芳しくなかった。銀行の支援も通常融資ではなく、社長の個人資産を担保にしたものに切り替わっていた。
「そう言えば、私が取材した折も、何か神経質でした。いま思えば、業績悪化の苛立ちとは違う感じがします」
蟹江も同調した。
「起死回生の何かがある、ということですか」
と、石飛は水を向けた。
近畿製薬は、現社長の実父が創業した会社であり、会社の存続に思い入れがあるのは理解できた。味一番の福地と同様、現社長の個人資産は数百億に上ると見られたが、それでも資産の全てを擲つのはよほどのことである。
「そこまではわかりませんが……」
そう前置きした猪俣は、
「これだけ業績が悪いのに、研究費だけは維持しています」
と、ここ数年の決算状況を説明した。
話を聞き終えた石飛は、思い詰めた顔つきで、
「どうです。お二人も私たちの仲間に入りませんか」
と訊いた。
「ええー」
蟹江は戸惑いの声を発した。猪俣は訳のわからない面である。
「仲間って、あの筋でしょう」
蟹江は怯えた顔で訊いた。過日、石飛から危ない筋と聞いた蟹江は、逸見から神栄会との関係を聞き出していたのである。
ああ、それは……と石飛が頬を緩めた。
「ここだけの話ですが、余計な動きを封じるため、名越の逸見さんには騙されてもらいました。私のボスは全くの堅気ですよ」
「そうなのですか」
蟹江は安堵したように言った。
「ただし、ボスが神栄会若頭の峰松さんを顎で使えるのは事実です。ですから、一旦仲間になったら、裏切りは許されませんよ」
と恫喝した。
これは石飛のはったりである。森岡が峰松を顎で使うことなどできはしない。
「……」
蟹江はいったいどういう人物なのだろうと想像した。
「逆に、忠誠を尽くせばその恩恵は計り知れないものがあります。今度のことでも、良い情報であれば、数百万単位の礼金が懐に入りますよ。いや、千万単位かな」
「千万単位……」
二人とも口が半開きになった。
「どうです。仲間に入る気があるのでしたら、引き合わせますが」
石飛は決断を迫るように言った。
「いやあ、その……」
猪俣はとんだ話の成り行きに困惑した顔つきになった。
「心配ないですよ。近畿製薬を乗っ取ろうなどとは思っていません。むしろ、材料があるなら支援しようという話です。ただ、その前に少し儲けさせて貰いますがね」
「会うだけでも良いですか」
蟹江が遠慮がちに訊いた。
「もちろんです。会って納得がいかなかったら断っても結構ですよ。ただし、今回のことは秘密に願いますが」
と念を押すように言った。
「それは承知しています」
蟹江が畏怖するように言い、猪俣も肯いた。
では、と言って石飛が腰を上げた。
「ここにいらっしゃるのですか」
蟹江が驚いた顔で訊いた。
「隣の部屋にいらしゃいます」
そう言い残して、石飛は席を離れ、やがて森岡が姿を現した。蒲生亮太と足立統万、そして宗光賢一郎が一緒である。
蟹江と猪俣は、森岡の姿に目を見張った。あまりに若いのである。何者であろうと、想像していたのは老壮年だった。
「初めまして、森岡洋介と申します」
森岡は丁重な挨拶をした。
二人は狼狽したように立ち上がって挨拶を返した。
「森岡洋介さんって、もしやウイニットの」
蟹江が訊いた。
「そうです。さすがに記者さんですね」
業界は違えど、記者であれば情報を持っているのだと森岡は思った。
「違います」
蟹江は顔の前で手を振った。
「新地です。北新地で噂を耳にしました」
「ああ、なるほど……」
森岡は、またあの馬鹿騒ぎの一件なのか、と苦笑した。
「失礼ですが、森岡さんが石飛さんのボスなのですか」
「ボスというのは如何なものでしょうか。同志、仲間といった方が適切でしょうね」
森岡が言うと、
「家族のようなものです」
と、足立が言い添えた。
「それより、石飛から聞きましたが、社内が変わった様子だとか」
「はい」
猪俣が肯いた。
「新薬の開発というのではないですか」
森岡は端的に訊いた。製薬会社の新薬開発を巡る思惑で、仕手筋が暗躍するのは日常茶飯事である。近畿製薬もこれまでに何度が仕手筋に狙われたことがあった。
「新薬については、十年来研究していますが、このところの社内には異様な緊張感が感じられるのです」
「ちょっとしたら、目途が付いたのかもしれませんね」
森岡は、本宮糸にあったき神様のお告げはそういうことなのだろう、と思いながら言った。
むろん、新薬開発に成功したからといって、すぐに販売できるわけではない。臨床試験などの過程を経ることになるので、業績が好転するのはまだ先のことだが、株式相場は利益の先取りをする。俗に言う「噂で買って、事実で売る」である。
「それで、私たちは何をしたら良いのですか」
蟹江が訊いた。
「近畿製薬及びその周辺を取材して、新薬開発目途の真偽とその内容を調べて下さい。ただし、あくまでも正当な取材をして下さい」.
続いて森岡は猪俣に視線を移した。
「猪俣さんは、勝手に耳に入る噂や肌で感じる雰囲気に気を配るだけで結構です」
「たった、それだけですか」
猪俣は拍子抜けしたように言った。
「猪俣さんは社員ですからね、インサイダーに引っ掛かる可能性がありますから、目立つような行動は控えた方が無難です」
森岡が自重を促したが、猪俣は高額の報酬が頭にちらついたのか、殊の外やる気を見せた。
「研究員の中に、大学の後輩がいますので、それとなく訊いてみましょうか」
「あまり、しつこくしない方が良いでしょう。それより、もし出来たならの話ですが、社長の資金繰りの状況がわかれば有り難いのですが」
「私では、ちょっと……」
一転、猪俣は難色を示した。彼は経理課の一職員でしかない。資金繰りという重大な職務とは無縁の存在なのである。
「調べて頂きたいといっても、具体的にどうこうしろというのではないのです。課内の雰囲気、部課長の顔色などから、切迫性があるのか、それともまだ余裕があるのかそれだけで結構です」
森岡は柔和な表情で言った。
「そういうことであれば、この場でお話しできます」
「ほう」
森岡が身を乗り出した。
「飲み会などで、課長は先行きの愚痴を零しています」
「資金繰りに苦労しているということですね」
「社長の個人資産も、そろそろ底を付きそうだということです」
「主要取引銀行はどこでしたかね」
むろん、森岡は調べを付けている。
「東京菱芝銀行です」
「そうですか」
森岡は、初めて知ったような顔をしながら、心の中で、
――いざというときは瀬尾会長に頼むか……。
と金融界の大物の名を思い浮かべていた。
「賢一郎、あれを」
と森岡が命じる。
賢一郎はカバンの中から封筒を二つ取り出して森岡に渡した。厚みから察するに百万円だと思われた。
「これは、今日のお礼です」
と蟹江と猪俣の前に置いた。
「いえ、今回は何もしていません」
と、恐縮した蟹江が差し戻すと、猪俣も同じようにした。
「であれば、前渡しだと思って下さい。ただし、もう一度念を押しますが、無理をせず慎重に行動して下さい」
森岡がもう押し戻すと、二人は綻んだ顔を隠そうともせずに受け取った。