オラリオのスタンド使い   作:猫見あずさ

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前回、投稿日を間違えて1日早いまま投稿してしまいました。
(気づいたのが4日の夜勤中で、修正できませんでした)
3日おきの投稿で慣れていた方がいらっしゃいましたら、謝罪させていただきます。
すみませんでした。
今日も含めて書き溜め分がある内(年内?)は3日おきに投稿を続けたいと思っています。


牛追い祭り

マオたち【ロキ・ファミリア】遠征組は5日かけて18階層まで戻って来ていた。

 

あと半日とかからず地上へ戻ることができるのだが、安全策を取り1泊する。翌日、2つの班に分けて地上を目指す。

 

2つに分ける理由は単に道が狭ため、全員で行動すると他のパーティーに迷惑がかかるだけでなく、自身たちも行動しにくいからだ。

 

そして下層や深層と違い、中層以上ならば第一級冒険者でなくとも遠征に参加している第三級以上の冒険者たちにとって危険は少ない。【経験値(エクセリア)】を稼ぐ意味でも第一級冒険者は最前線に立たない。

 

マオたちの仕事の大半は18階層到達と共に終了していた。

 

今、先行している班を率いるはリヴェリアだ。それを補佐というのか、血の気の多い第一級冒険者のアイズ、ティオナ、ベートがついており、ティオネ、マオ、ガレスらはフィン率いる後発班にいる。

 

武器を溶かされてしまったティオナたちだが、フィンとティオナはマオの不壊属性(デュランダル)のスピアとハルバートを、ティオネはマオの赤と青の双剣を腰につけている。マオの一人武器庫状態かつ留守番が幸いし、カーゴに入っていた予備武器よりも高性能な武器をフィンたちは手にすることができていた。

 

そのマオはというと、「ティオナがもう1人いるみたい」とティオネに言われるほど元気一杯に遠征で疲労が蓄積している皆を励ましては先行班の出発を見送っていた――右目を金色に輝かせて。

 

今、出発するアイズの左肩には10(セルチ)ほどの大きさの透明な人魚が乗っていた。マオが伝達手段の1つとして《人魚之首飾(アクアネックレス)》を発動させている。Lv.1から使ってきた能力だけにその成長は著しく、射程距離はおそらく直線距離で1(キルロ)ほどある。

 

声こそ出せないが、マオの操作で文字を書く事も可能な上に変形もできるため、簡単な合図の約束事さえアイズと決めておけば、マオ側からの情報もアイズたちに伝えることができる。アイズたちの情報はマオが《人魚之首飾(アクアネックレス)》から直接入手するため、合図は不要だ。

 

 

「ラウル、ここからの指揮はお前が取ってみろ」

 

「はっ、はいっす!」

 

リヴェリアの命令をラウルが緊張の面持ちで答える。

 

「ラウルがんばれー! 下手なことするとマオちゃんからフィンにすぐ伝わるよー」

 

「下手打っても中層(ここ)じゃあ大したことなんねーよ!」

 

ティオナが脅しとも取れる激励をし、ベートが慰めにも似た言葉を連ねる。ベートの優しさを久々に感じ、ラウルは密かに感動する。リヴェリアの叱咤やティオナの無邪気な励ましも嫌いではない。むしろ異性、それもロキの御眼鏡(おめがね)(かな)った女性たちである。嬉しくないわけがない。

 

それでも、同性に認められるというのもそれに勝るとも劣らない感動がある。ラウルにとって、今のベートの言葉は胸に響く言葉であった。(いや)(うえ)にも気合が入った。

 

「ウヴォォォォォゥ!」

 

丁度そんなラウルたちの耳にモンスターの咆哮が入ってくる。その鳴き声はどんどん近づいて来るだけなく、数を増していく。武器を手に臨戦体勢で待ち構えた先行班の前には牛頭人身のモンスター、ミノタウロスが視界一杯に集まっていた。

 

「ちょっ! ちょっと数が多くないっすか?」

 

「ねぇ、リヴェリア。 この数だったら私たちも手伝ってもいいよね?」

 

「あぁ、そうだな。 だが、あくまでも目的は皆の【経験値(エクセリア)】だからな。 やりすぎるなよ」

 

「わかってるって! さぁて、下ではちょっと消化不良なんだよねー」

 

「俺にもやらせろよ」

 

肩をグルグルと回すティオナ。指をパキポキと鳴らすベート。無言で鞘から剣を抜き取るアイズ。それぞれが戦意を露にする。

 

「間引いてやっからしっかりついて来いよ!!」

 

「あ! ベートずるい! 私も行くー!!」

 

ベートが駆けだすと、ティオナもそれに続き、アイズもそれに倣う。やれやれと額に手を当て頭を振るリヴェリアがいたが、3人の動きの早さにみな気を取られていた。

 

 

 

 

後続班のマオが先行班の動きをつぶさに伝える。

 

「先行班がミノタウロスの集団と遭遇。アイズさんたちも殲滅に参加するみたいですね」

 

「アイズたちもってことは数が多いのかい?」

 

「えぇ、ざっと50は居るんじゃないですかね」

 

マオは《人魚之首飾(アクアネックレス)》の視覚から得た情報をフィンたちに伝える。

 

「ま、アイツらがいれば問題はなかろう」

 

「中層ですから、アイズさんたちでなくても後れを取ることもないでしょうね……って、えっ!?」

 

「ん? マオ、何が起こったんだい?」

 

口をパクパクと上手く言葉が出せないマオをじっと待つフィンとガレス。ゆっくりとマオが首を2人に向ける。その顔色は若干青ざめている。

 

「逃げた。 ミノタウロスが……半分くらい逃げちゃった」

 

「なんじゃと!?」

 

「……それは不味いね。 マオ、アキ、それとショーンの3人はすぐにリヴェリアと合流するよう走ってくれ。 あとの指示はリヴェリアから受けて欲しい」

 

「はい!」と返事するや3人は先行班に合流すべく走る。その間もマオは2人にリヴェリアが直ぐに先行班員にミノタウロスを追うよう指示を出していることを伝える。

 

マオがLv.6なのに対して2人はLv.4。その【ステイタス】の差は大きく、マオが2人を引き離し始め、慌ててスピードを落すと、2人は構わず行けとマオを押し出す。マオは【ロキ・ファミリア】4人目のLv.6、と実力だけなら上から数えたほうが早い。しかし、年齢は一番下なため素直に指示を受ける。

 

「お先に!!」

 

「……これでも……全力……疾走なのに……なぁ……」

 

「威厳を……見せる……には……強く……なるしか……ない……ね!」

 

先ほどよりも速度を増して、あっという間に見えなくなるマオ。その後ろを必死に追いかけた2人だったが、実力差を見せつけられるだけの結果になってしまった。

 

ターン、ターンと跳ねるように駆けるマオは直ぐにリヴェリアと合流を果たす。

 

「リヴェリアさん! 私も追っかける?」

 

「マオか、頼む!!」

 

リヴェリアは後方から来たマオを認めるや否やすぐさま追うように指示を出すと、マオはそのまま脇を駆け抜けて行く。マオが目指すのは12階層の入り口。それより上は上層と呼ばれ、下級冒険者しかいないような階層だ。さすがにそこまで上がってくるミノタウロスは居ないだろう。しかし、マオは知っている。5階層で()()()が襲われるということを。

 

なにより、マオはまだ《人魚之首飾(アクアネックレス)》を解除していない。アイズの肩にしがみつくので精一杯な状況ではあるが、その視覚からアイズたちが何階層に居るのかはわかる。今、12階層へ上がる。マオはまだ14階層だ。このままではギリギリ間に合うかどうか。

 

「あー、もうっ! 面倒臭い!!」

 

各階層で大声で団員たちを確かめつつ先を急ぐ。この確認作業がじわりじわりと差を開ける。マオは《挑発》のスキルのせいで襲い来るモンスターたちを槍を一閃させては灰に還して行く。その様をたまたま見かけた冒険者たちには閃光の如く映っていた。

 

――キィン!

 

「……何、今の?」

 

「ちっこい子がものすごい速さで駆け抜けたと思ったら、モンスターがみんな灰になっていた」

 

「……訳がわからねーと思うが、俺は今ものすごく恐ろしいものの片鱗を見た」

 

「さっきのミノタウロスといい……あれ【ロキ・ファミリア】だよな? 【剣姫】も【狂狼(ヴァナルガンド)】も駆け抜けてたし……あれ? じゃあ今のって【水鈴嫁(アプサラス)】じゃないのか?」

 

「やっぱりLv.6なんだな。 あんなにちっこいのに……」

 

呆然と冒険者が見送る中、マオは目立っていることをお構いなしにどんどん階層を駆け上がって行く。

 




ややこしいかも知れませんが、マオのメイン武器は白銀の槍です。

サブに腰背部に赤と青の双剣というのが普段のスタイルであり、今回はそこに分解して携行できる不壊属性のハルバートとスピアの2本を持っていたという訳です。
ですので、武器を貸し与えていますが、マオの手から白銀の槍は無くなっていません。
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