球磨川に転生したけど生きていくのが辛い。   作:ふじがみ!

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転生早々胃が痛みます。

 その日は小学校の始業式。

 白に青い線が入った特徴的な制服に身を包み家族とともに歩いていく幼児たち。春休みの間離れ離れになっていた友達を思い胸を躍らせていた。

 しかし、そんな彼ら彼女らの中には異質な存在が紛れ込んでいた。

 小学生のうちの三人は明らかに小学生だとは思えない雰囲気を見にまとっていた。

 彼らはまるで子供の体に大人の精神を無理やり入れたような、そんな異様な雰囲気を放つ。

 

 友達と仲よさそうにし、笑顔を見せながらも、時折小学生とは思えない表情をするもの。

 

 自信とも高慢とも言える瞳で、周りを見下すもの。

 

 そしてもう一人は……

 

 パッとしない平凡な顔でへらへらと笑いながら、体育館へ向かっていった。

 

 

 ***

 

 

 僕は教室の後ろの席から、この教室を見渡していた。

 壇上ではまだ若い先生が今後の日程を話している。

 やっと再開できる小学校生活に胸を躍らせているのか、キラキラとした瞳で先生の話を聞く小学生たち。そんな中で、よく話を聞いていない人物が二人。

 かくいう僕も、たいして話を聞いてはいないんだけど……。

 

 僕を含めて共通していることは、根拠はないが転生者であること。あんな雰囲気は小学生では出せない。

 数年前、僕は一柱の神によって第二の生を受けた。

 気まぐれでアニメの転生させて楽しむらしい。本当に傍迷惑な話だ。

 僕はくじによって『めだかボックス』の球磨川禊の能力、『大嘘憑き(オールフィクション)』と『却本作り(ブックメーカー)』を押し付けられた。その際、僕の精神が過負荷よりにならないようにもしてもらった。

 

『まったく』『有無を言わせず転生させるだなんて』『ひどい神もいたもんだ』

 

 確かに精神は過負荷(マイナス)にはっていはないが、へらへらとした表情と括弧つけた言葉はそうにはいかなかった。神曰く『精神は弄っていない』とのこと。

 おかげで同い年には無条件に嫌われるわ気持ち悪るがられるわ本当に大変だった。過負荷(マイナス)補正が鬱陶しくて何度自殺しようとしたことか。今の僕を表す言葉は不完全な負完全というのが一番似合っていると思う。

 

『まいっか!』『僕は過去を振り返らない男だからね』『神に呪詛でも吐きながらジャンプでも読むことにするぜ』

 

 ……言葉が勝手に変換されるのも、カバンの中に入れた覚えのないジャンプが入っているのにももう慣れた。

 ああ、今日も胃が痛い。主に自分のせいで。

 

 

 ***

 

 

 始業式翌日。担任の授業をすべて聞き流しながら、普通のサイズの螺子を手のひらでぐるぐると回す。

 だって授業全部わかるんだもん。小学生程度の問題だし。

 頬杖をつき、螺子で遊びながらこの世界のことを考える。

 神曰く、この世界はリリカルなのはという世界らしい。有名なので名前だけは聞いたことはあるが、あまりアニメの知識がない僕ははっきり言って中身(ストーリー)を知らない。

 

『やっぱり』『題名的に女の子が魔法をバカスカ打ったりするのかな?』『だとしたら変身シーンで裸になるのは』『もはや定番だよね!』『見に行こっかなぁ』

 

 黙れ僕の口。いや、ほんと黙って下さいお願いします。小声だったから大丈夫だったけど隣の子に聞かれたら白目ものだからね。

 

 ……話変えよう。まずは、原作に関わるかだ。

 正直「否」と言いたいが、過負荷(マイナス)が巻き込まれないはずがない。きちんと対策を立てておくべきだろう。

 

 原作に関わると仮定するならば、いろいろと問題がある。

 小学生にしても貧弱なこの体。たぶん、大嘘憑きらへんが関係している。

 めだかボックスのキャラクター、球磨川禊の過負荷である大嘘憑き。

 それは「現実(すべて)虚構(なかったこと)にする」なんていうとんでもスキルだが、それを扱う球磨川は、比例するかのように恐ろしく弱かった。

 そして僕も、能力に体が引っ張られているのかとんでも無く弱い。

 それに神には能力しかもらっていないのに、本人にものすごく似ているのだ。球磨川禊などという名前までも一致している。

 だから、一番問題なのはこの体である。だけど球磨川自身、「どれだけ頑張っても報われない」って言っていたから、おそらく鍛えても無駄だろう。

 

 すると、おのずと鍛えるべきものが浮かんでくる。

 それは、自分の能力。過負荷は自分の弱さを武器にする。幸いにも自分の過負荷は最低なものだ。

 それをもっと最低に、最弱にすればなんとか生きていけるかもしれない。

 

 はぁ……転生早々前途多難だなぁ。

 

 キリキリと痛む脇腹を抑えながら、意識を教卓に立っている先生に向けた。

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