蓋然的衒学辞書にチェックメイト   作:と十十

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竿竹で星を打つ

竿竹で星を打つ

 

 流星爆弾が地球に落ちてくるようになって、もうずいぶんと長い。

 政府の連中は威勢はいいが、何も対策もとれてないのが実態なのは言わずもがな。

 まあそれでも声を出せるうちはまだマシってことだろう。

 国が国でなくなるなるなんて、あっというまなんだからさ。ほんと。

 実際もうかなりの数の中小国はその煽りをくらって国名が変わってるし、大国と言われてたとろはソレ目当てに飽きもせずに人間同士で殺しあってるぐらいだ。

 それがどういうことかというと。要するに世界にはまだ上司がいて部下がいるってことだ。

 つまり、命令は上から下にへと流れ。

 上司から部下にへと。

 止めてこいと。

 星を……。

「そんな無茶な!」

「無茶でもやるんだ。これは命令だ人類の存亡がかかっている、期待している」

「でも、どうやって!?」

「それをやるのが君の仕事だ」

 そう言ってお偉いさんは、よく響く靴音を鳴らしながら去った。

 ああ、どうしてこうなってしまったんだ……。

 

 今から5年前、人類は突如現れたイーア惑星連合を名乗る謎の宇宙艦隊から降伏勧告を受けた。

 ようやく宇宙にヨチヨチ歩きをしだした人類にとっては、心理的にも物理的にも大きな衝撃を受けることになったのだ。

 イーア惑星連合の時間で7842グリン、おおよそ一年の猶予が与えられたが、もちろん各国がそんなわずかな時間で意見をまとめることも、答えを出すこともできるはずもなく。

 なしくずしに、人類史上初となる宇宙世界戦争が始まったのだ。

 そして回りまわって、そのツケの全てが今何故かこんなところにやってきたのだから、嘆かずにはいられない。

「ああ困った、どうしたもんか、白旗でも上げようかなー」

「おや主任、悩み事ですか?」

「おおリッカー君じゃないか! いやねえ、生きるべきか死ぬべきかそれが問題なんだよ」

「それじゃあゲームしません? メイド・イン・宇宙人製の」

「君ね、人類の存亡がかかってるときにそん……なんだって!?」

 曰く、人類にはみだし者や落伍者が居るように、宇宙人にもそんな外れた連中がそれなりに居るらしい。

 そんな連中は、目の下にいる人類が気になってしょうがないらしく非公式に各国や企業とコンタクを取ったりしているそうだ。

 そして今彼らの中でもっともブームになっているものが、そう。

「はい、"ポン"のコピー品"ドン"ですね」

 なぜか、2Dレトロゲームなのであった。

 

――

 

 本来はもっと長ったらしい総称があるのだが、ここは便宜上通称のイーア星人と呼ぶことにする、そのイーア星人にとって三次元軸にあるものを抽象化して、二次元に起きなおすという概念が希薄だそうで。

 絵やアニメ、設計図に地図にいたるまでが物珍ものに見えたらしい、特にハミダシ者の連中にとって2Dのゲームは非常に斬新で新しいものとして、またたくまに広がり受け入れられたのだ。

 その中でも元祖テレビゲームと言われる PONG は、ひときわ人気がある。

 卓球ゲームを模した1対1のゲームはシンプルながらも奥が深く、まことしやかにイーア宇宙艦隊内で大会が開かれるほどであった。

 さて、そうなると本家本元の人類に挑戦してみたくなるといもので。

 イーア星人は、あれこれと手をまわし秘密裏にとある壮大な計画を一部の人類に打ち明けた。

「そして、これがイーア星人の技術提供により完成した反重力盤です!」

「なにこのでっかいモノリスは」

 それは視界に収まりきらないほどの巨大な壁であった。

 しかしこれほどまでに巨大な代物だというのに、それを支える柱は一本も存在せず、鈍い音をたてながら空へと浮かんでいた。

「主任、これが対流星爆弾反射攻撃装置となります」

「え、俺きいてない」

「主任にはこれを操縦してもらいます」

「え、なにそれ怖い」

 こうして人類の存亡とプライドをかけた戦いが一人の男にたくされた。

 ルールは、簡単で一度でも地球上に落下直撃されれば人類側の敗北、イーア惑星連合の統治下入る。

 イーア惑星連合は、操縦する旗艦が流星を受けもらした場合負けとなり地球を同盟星として迎えるということになった。

 いったいどうい措置と会議でそうなったのかは定かではないが、一説には宇宙開発でのソ連とアメリカのような「俺の所のほうが凄いんだもんね」精神が働いたと言われている。

 会戦時は、イーア惑星連合の時間で427ノル、グリニッジ標準時で翌日の12時にて流星爆弾が月の軌道から投下されることになり、それまでに主任と呼ばれた男にわずかな休暇が与えられた。

「なんで俺なの……」

「主任が時々やっていた、ポンの対戦相手の方々が全員イーア星人なんです」

「コンピュータじゃなかったのか」

「向こうでは、ポン・マスターとして崇められてますよ主任。おかげでずいぶんと時間稼ぎができました」

 いったいいつからこの計画を秘密裏に進めていたのかは、わからないが。今までただの部下だと思っていた女性が、これほどまでに怖いと感じたのは初めてだったと、彼は後に語った。

 そうして当日――……。

 

――

 

「えー本日はお日柄もよく、第8回流星爆弾反射式の開会式を始めたいと思います、えーまず、イーア惑星連盟・ポン愛好家協会から祝電が入っておりますので、読まさせてもらいます……えーこのたびは――」

 イーア惑星連盟との戦いは続いてる。

 そう、月から地球へと流星を反射させる年一回のイベントとして。

 イーア惑星連盟友好条約の締結日として。

 

 今なお、イーア星人と主任の激しい戦いが繰り広げられているのだった。

 

「ところで主任、いま向こうでスペースインベーダーが流行ってるらしいですよ?」

「……」

 

 

------

 

・竿竹で星を打つ

 できるはずのないことをしようとする愚かさのたとえで、なかなか思うところに届かないもどかしさのたとえ。「竿で星打つ」「竿の先で星を打つ」ともいう。

 

 出典 : ことわざ辞典




 竿竹どこいった。
 全体的に中途半端でよくわからない落ちになってしまった。
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