緋弾のアリア~白銀と緋色~   作:ほにゃー

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9弾 戦姉妹

あの後、喧嘩が一段落した後、キンジは探偵科(インケスタ)の男子寮に帰り、コウとアリアも寮へと帰った。

 

二人とも、強襲科(アサルト)なので必然と寮への方向は同じである。

 

その帰り道の間、コウとアリアは互いを罵り合い、口喧嘩をしていた。

 

「じゃ、あたしこっちだから。じゃあね、マイクロ武偵」

 

「ああ、またな。ミクロ武偵」

 

互いに笑顔で中指を立て合い、別れる。

 

強襲科(アサルト)所属の武偵高生にとって死ね死ね言うのはもはや挨拶である。

 

そこに中指を立てる行為を加えると非常に仲が良いとされている。

 

もっともそれは、一部の武偵高生の間で流れてる噂のため、二人は知らなかった。

 

「………まだ付いて来てる」

 

コウはスマホを操作し、画面を見るフリをしながら、後ろを見る。

 

(短めのツインテールに、東京武偵校(うち)の女子制服……動きからして強襲科(アサルト)だな。でも、ランクは対して高くない。Eランク、良くてDランクか。顔は見たことないから一年か。銃もスカートの裾から見えてる。あの形状はUZI、そして持ち運べるサイズとあの体格からしてマイクロUZIってところか)

 

一流の武偵は一枚の写真からその人物の特徴を読み取ることができる。

 

また相手が犯罪者ならどんな技を使い、どんな武器を使うかも読み取れる。

 

コウは後ろ向きで、しかも、スマホの画面に映っただけの姿でそれを瞬時に見抜いた。

 

(上勝ち狙いか?いや、一年男子を全員返り討ちにした今、狙ってくるとは思えない。なら、別の目的か?……………一応問い質すか)

 

コウはそのまま寮から離れ、徐々に人気の無いところに移動する。

 

もちろん、尾行してる女子もそれに続く。

 

そして------------

 

「ここなら誰も来ないぞ。姿を見せたらどうだ、一年?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鏑木先輩、凄かったなぁ………」

 

あかりはそんなことを呟きながら体育館を後にしていた。

 

Sランクとは言え、Aランクも何人かいる一年の男子全員を一瞬で倒し、最後の一人を言葉と威圧のみで気絶させたコウの戦いは凄いとしか言いようがなかった。

 

「私も、あんな風になれるかな………」

 

あかりには夢がある。

 

それは戦姉(アミカ)であるアリアのパートナーになり、一緒に武偵として活動することである。

 

でも、自分のランクはEランク。

 

武偵としては底辺であることは自覚していた。

 

だが、それでもアリアは自分を評価し、戦妹(アミカ)にしてくれた。

 

それでいくらか自分に自信がついていた。

 

そんな時だった。

 

Sランクの実力を目の当たりにしたのは。

 

そして、気づいていしまった。

 

自分はまだアリアの実力の一部分しか知らないということに。

 

本当に、自分はアリアみたいになれるのか………

 

「ううん!きっと大丈夫!いつか私だって!」

 

嫌な想像を吹き飛ばし、あかりは拳を握り締める。

 

その時だった。

 

アリアが校門の近くで立っていた。

 

あかりはアリアに声をかけようとしたその時だった。

 

ちょうど、そこにコウとキンジの二人が現れた。

 

あかりは思わず身を隠した。

 

そして、アリアが二人と親し気に歩いているのを目撃してしまった。

 

だが、すぐにSランク武偵のコウと、元強襲科(アサルト)主席候補で元Sランクのキンジならアリアと知り合いでもおかしくないと判断する。

 

しかし、二人といるアリアは何処か楽しげな雰囲気があり、徐々にあかりは疑念を募らせた。

 

そして、三人を尾行することを決めた。

 

ゲーセンのいくまでの間、アリアとコウは口喧嘩をしながら競争をし、ゲーセンにつくと喧嘩しながらもクレーンゲームで遊んでいた。

 

(な、なんなのあの二人………)

 

仲が良いのか悪いのか。

 

あかりにはそれがよく分からなかった。

 

気が付けばアリアのことより、コウのことが気になってコウのことを付けていた。

 

だが、尾行の仕方が下手過ぎて完全に気づかれていた。

 

そして、自分が人気の無いところに誘導されていることに気づいていなかった。

 

「ここなら誰も来ないぞ。姿を見せたらどうだ、一年?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここなら誰も来ないぞ。姿を見せたらどうだ、一年?」

 

コウが呼びかけると、あかりは大人しく姿を現した。

 

「一応東京武偵校(うち)の生徒の顔は全部把握してるつもりだけど、流石に一年の顔まではまだ知らないからな。名前、聞かせてもらえるか?」

 

「……間宮……あかりです」

 

「間宮あかり……そっか……」

 

コウはそう呟いて、頭をかく。

 

「で、学校から俺をずっと付けてたのはなんでだ?」

 

「……気づいてたんですか?」

 

「はっきり言うが、お前、尾行下手くそだぞ。あれじゃあ、探偵科(インケスタ)のEランクにだって分かるぞ」

 

まさか自分の尾行がバレていたとは思っていなかったあかりは、内心ショックを受けていた。

 

「で、俺を付けてた理由は?まさかと思うが、上勝ち狙いか?」

 

「ち、違います!私は……」

 

中々話を切り出そうとしないあかりに、コウは若干イラつき始める。

 

「言わないなら俺はもう行くぞ。こっちも暇じゃないんだよ」

 

そう言って立ち去ろうとする。

 

それを見て、あかりはようやく決心し、理由を話した。

 

「だってズルイです!あたしは戦ってようやくお近づきになれたのに、アリア先輩が自分から追っかけるなんて!どういう関係なんですか!」

 

あかりの口から出た言葉に、コウはぽかんとした。

 

そして、ため息を吐いた。

 

「またアイツかよ。関係も何も、訳合って一時的にパーティー組んでやってんだよ」

 

「い、一時的に?」

 

「そうだよ。これで満足か?分かったらもう俺を尾行するなよ。たっく、こっちはただでさえアリアに付き纏われて困ってるってのに。いい迷惑だよ」

 

コウが何気なく言ったその一言。

 

それがあかりの琴線に触れた。

 

あかりは、アリアを尊敬してる。

 

いや、尊敬を通り越して心酔とも言えるレベルで憧れている。

 

だがらこそ、今の言葉を聞いた瞬間、コウに対して怒りが沸いた。

 

アリアに付き纏われて困ってる。

 

挙句、それがいい迷惑。

 

自分が尊敬してやまないアリアをそう言う扱いをするコウが許せなかった。

 

「………〝迅雷”とか〝白銀(しろがね)の閃光”とか呼ばれてどれだけ凄いか知りませんけど………………貴方なんかよりアリア先輩の方がずっと凄いんですから!」

 

思わず、そう口走ってしまった。

 

そして、言ってから気づいた。

 

自分がとんでもないことを言ってしまったと。

 

東京武偵校に限らず、武偵校は上下関係がかなり厳しい。

 

少しでも上級生に舐めた態度を取れば、どうなるかは目に見えてる。

 

「……………お前」

 

コウが口を開く。

 

あかりは思わず身構えた。

 

CQCを食らわせられるか、銃弾が飛んでくるか。

 

はたまた別の何かか………

 

とにあかくあかりは身構えた。

 

だが、いつまでたっても何も起きず、恐る恐る目を開ける。

 

すると、そこには口を手で押さえてるコウがいた。

 

「鏑木……先輩?」

 

「クッ……ハハ…………アーアハハハハハハハハハハ!」

 

なんとコウは急に笑い出した。

 

「いや、悪い!一年の、それもEランクに正面から、こんなに真っすぐ本音をぶつけられたのは初めてでよ!お前、結構面白いな!それに、中々に戦姉(あね)想いだ!気に入ったよ」

 

「は、はぁ~………あれ?私、アリア先輩の戦妹(アミカ)って言いましたっけ?それにランクも……」

 

「ああ。顔は知らなかったけど、お前の名前は知ってたんだよ」

 

「え?」

 

「葛城蒼。知ってるだろ?お前と同じクラスで、同じ強襲科(アサルト)の」

 

「は、はい。友達、ですけど」

 

「蒼は俺の戦弟(アミコ)なんだ。で、聞いてたんよ。お前のこと。その時、ランクを知った。で、この前、蒼からアリアについて聞いた時、お前がアリアの戦妹(アミカ)って知った」

 

理由を説明すると、あかりは納得した表情になる。

 

「で、さっきの話だけど、俺とアリア、実際に戦ったことはないが、恐らく、戦ったらあっちが勝つと思うぞ」

 

「え!?」

 

あかりはまだ驚いた。

 

何故なら、コウが自らアリアに負けると言ったからだ。

 

「仮にも同じSランクだから、技量の差はそんなに無い。でも、アリアは14歳の頃からイギリスで武偵として活動してる。つまり技量は同じでも実戦経験の差でアリアに軍配が上がるんだよ。でも、勝負は時の運もある。絶対にアリアが勝つって断言はできない」

 

「…………………」

 

「ん?なんだよ?」

 

ぼーっとしてるあかりに、コウが声を掛ける。

 

「いや、その、アリア先輩のこと、ちゃんと評価してるなって思って」

 

「まぁ、アイツに迷惑を掛けられてはいるが、武偵としてアイツは優秀なのは分かる。ムカつく奴でも認めるとこは、認めんだよ、俺は」

 

そう言ってコウは早口にそう言い、そっぽを向く。

 

(あ、この仕草……似てる、アリア先輩と)

 

あかりはふとそう思った。

 

アリアは素直になれない一面がある。

 

それは戦妹(アミカ)であるあかりは知っていた。

 

素直になれない時や照れ隠しするとき、アリアは顔を赤くし、そっぽを向いて、早口になる癖がある。

 

よく見ると、コウも耳が赤かった。

 

(なんとなくだけど、アリア先輩と、鏑木先輩が喧嘩してる理由がわかった気がする)

 

そう、つまりは似た者同士だからだ。

 

それを理解するとあかりは思わず笑っていた。

 

「な、何笑ってんだよ?」

 

「あ、すみません!あの、鏑木先輩。さっきは失礼なこと言って本当にすみませんでした」

 

あかりは先ほどの無礼をしっかりと詫びる。

 

「別にいいよ。怒ってねぇし。それとコウでいいぞ。鏑木は呼びにくいだろうしな」

 

「はい、コウ先輩。あ、私のこともあかりでいいですよ」

 

「そうか。じゃあ、あかり。改めてよろしくな」

 

「はい!」

 

こうしてコウとあかりは知り合った。

 

尚、このことを知ったアリアは

 

「ふ~ん、アンタ。あたしのこと認めてるんだぁ。へ~」

 

「おいおい、勘違いするなよ。俺が認めてるのはお前の武偵としての実力であってお前そのものじゃねぇからな」

 

「あら、奇遇じゃない。あたしもアンタ武偵としての力は認めても、アンタそのももは認める気ないから」

 

「「………………………」」

 

「「上等だ(よ)!!」」

 

といった具合に、変わらず喧嘩になっていた。

 

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