緋弾のアリア~白銀と緋色~   作:ほにゃー

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6弾 一度きりのパーティー

麻薬取引の現場を抑え。0.5単位貰った翌日、コウはキンジと共に探偵科(インケスタ)女子寮前の温室に来ていた。

 

「やっほー!コーちゃーん!およっ?キー君も一緒なんだ」

 

二人を出迎えたのは理子だった。

 

「相変わらずの改造制服だな。なんだ、そのフワフワは?」

 

キンジが理子の回想制服を指差して言う。

 

「これは武偵高制服・白ロリ風アレンジだよ!キー君、いい加減ロリータの種類ぐらい覚えようよぉ」

 

「キッパリと断る。たっく、一体何着制服持ってるんだよ……」

 

「そんな事より、理子。アリアの情報を教えてくれ。ほら、報酬」

 

コウはそう言って理子に持っていた紙袋を渡す。

 

「うっっっわぁ―――――!“しろくろっ!”と“白詰草物語”と“(マイ)ゴス”だよぉー!」

 

紙袋の中身はR15指定のギャルゲーだった。

 

本来なら理子の年齢でも買えるのだが、理子はコウやアリアと同じぐらいの身長の為、店員から中学生と判断されたらしく、販売してもらえなかった。

 

そこにコウからある依頼が来た。

 

その依頼とはアリアに関する情報だった。

 

理子は探偵科(インケスタ)のAランク武偵で、趣味が覗きに盗聴、盗撮、ハッキングなど武偵向けである為、情報収集能力が並外れて得意。

 

だから、コウは理子にアリアの調査を依頼した。

 

その報酬として、コウは理子から買えなかったゲームを代わりに買って来てもらう事を頼まれた。

 

尚、コウの見た目でも買えなかったので、キンジが恥ずかしい思いをして買って来た。

 

そしてキンジは買ってきた代わりに、コウが買った情報を聞くことになり、ここにいる。

 

「あ、これとこれはいらない。理子、こういうの嫌いなの」

 

そう言って、理子はコウに“(マイ)ゴス”の続編のソフトを二つ渡す。

 

「どうしてだ?同じ作品だろ?」

 

「違う。2とか3ねんて蔑称。個々の作品に対する侮辱。嫌な呼び方」

 

「あっそ。分かったからアリアの情報をくれ」

 

「あい!」

 

コウが近くの策に座るのを見てキンジもその隣に座り、理子も座る。

 

コウと理子は足が地面に付かず、膝下がぷらぷらしている。

 

「でもさ、コーちゃんなんで理子にアリアの情報頼んだの?彼女なんだし、自分で直接聞けばいいのに」

 

「だ、誰が彼女だよ!こっちはアイツに付き纏われて迷惑してるんだよ!」

 

コウは顔を真っ赤にして言う。

 

「えー?でも二人がデキてるって噂だよ。キンジはアリアに振られて、アリアはコーちゃんと付き合ってるって。朝、二人が腕組んで寮から出て来たとか、自転車に二人乗りで登校とか、一緒にご飯食べたり、コンビニで仲良く買い物してたりとかで、アリアのファンクラブの男子が“コウ殺す!”って大騒ぎになってるもん」

 

「いいから、本題に入れ」

 

「はーい。んと………まずランクだけどコーちゃんと同じSだ。二年でSって片手で数えられるぐらいしかいないんだよ」

 

「それは僕もキンジもなんとなっく察しがついてた。他には?」

 

「理子よりちびっこなのに、徒手格闘もうまくてね、流派はボクシングから関節技まで何でもありの………えっと、バーリ、バーリ………バリツゥ……」

 

「バリツ。バーリ・トゥードだろ」

 

「そうそれ!てか、コーちゃんなんで知ってるの?」

 

「僕にも色々あるんだよ」

 

そう言ってコウはそっぽを向く。

 

「拳銃とナイフはもう天才の領域。どっちも二刀流と二丁拳銃。両利きなんだよあの子」

 

「それも知ってる。」

 

「じゃ、“二つ名”は?」

 

「“二つ名”?アイツ、“二つ名持ち(セカンドホルダー)”だったのか?」

 

双剣双銃(カドラ)のアリア」

 

武偵用語で二丁拳銃や二刀流のことをダブラと言い、英語のダブルから来てるとされてる。

 

カドラは四つ(カトロ)から来ており、四つの武器を使うと言う意味の二つ名とされる。

 

双剣双銃(カドラ)か………それなら、コウも双剣双銃(カドラ)だよな」

 

キンジはコウの方を見て言う。

 

「確かに、ナイフの二刀流で、銃も二丁拳銃だけど、僕は銃よりナイフでの近接メインだから双剣双銃(カドラ)とは違うよ。それに、俺には“迅雷”の二つ名があるだろ。………二つ名が付くってことは、実績もそれなりなんだよな。その辺はどうなんだ?」

 

「そこはスゴイ情報があるよ。今は休職してるみたいだけど、14歳の頃からロンドン武偵局で武偵としてヨーロッパ各地で活動しててね、その間、一度も犯罪者を逃したことないんだって」

 

「逃がしたことが………ない?」

 

キンジがその言葉に反応する。

 

「狙った相手は全員捕まえてるんだよ。99回連続、それも一度の強襲で」

 

犯罪者の逮捕などの仕事が武偵に回ってくる時は、たいてい警察の手に負えない相手が押し付けられる。

 

武偵はしつこく何度もその犯人を追って、やっと逮捕するのが普通なのだが、アリアは一発逮捕している。

 

コウ自身、何度か一発で犯人を逮捕したことはあるが、99回連続一発逮捕はしたことが無い。

 

「ふーん……どうやらアリアは飛んだ化けモノみたいだね」

 

((それをお前(コーちゃん)が言ますか?))

 

キンジと理子は同じことを思い、心の中で呟く。

 

「じゃ、体質とかは?」

 

「うーんとね、お父さんがイギリス人のハーフで、お母さんが日本人だよ」

 

「てことは、クォーターか」

 

「そう。で、イギリスの方の家がミドルネームの“H”家なんだよね。すっごく高名な一族で、おばあちゃんはDame(デイム)の称号を持ってるんだって」

 

Dame(デイム)って、イギリス王家が授与する称号じゃないか!ってことは、アイツ貴族かよ!」

 

「そうだよ、リアル貴族。でも、アリアは“H”家の人達とはうまくいってないらしいんだよね。だから、家の名前を言いたがらないんだよ。理子は知っちゃってるけどー」

 

「その“H”家ってのは?」

 

「理子は親の七光りとか大ッキライなんだよ。知りたかったら、イギリスのサイトでもググればアタリぐらいつくんじゃない?」

 

「話すのと聞くのは兎も角、読むのは苦手なんだけど………」

 

「がんばれやー!」

 

理子はコウの背中を叩こうと、腕を上げる。

 

コウは叩かれる前に避け、柵を降りる。

 

そして、手元が狂った理子は、誤ってキンジの手首を叩き、キンジの腕時計を地面に叩き落とす。

 

キンジが拾い上げて見ると、バンドの部分が壊れていた。

 

「ご、こめぇーん!」

 

「別に安物だしいいよ。台場で1080円で買った奴だ」

 

「だめ!依頼人(クライアント)の持ち物壊したなんて、理子の信頼に関わっちゃうから!」

 

依頼人(クライアント)は俺じゃないぞ」

 

そう言うキンジの手から壊れた時計を引っ手繰り、理子は胸元に入れる。

 

その光景にキンジは目を逸らす。

 

「で、コーちゃん、他に聞きたいことある?」

 

「いや、もういい」

 

コウはそう言って、キンジを連れて温室を後にする。

 

「あ、キンジ。今日、キンジの部屋に泊めて」

 

「は?別にいいが……なんでだ?」

 

「部屋に戻るとアリアがいるんだよ。戻りたくない」

 

「ああ、そういうことか。別にいいぞ」

 

キンジからの許可をもらい、コウはキンジの部屋へと向かう。

 

「お帰り」

 

そして、キンジの部屋のリビングのソファーでアリアが寛いでいるのを見た。

 

「ど………どうしてここにいる……?」

 

コウは口元を引き攣らせながら聞く。

 

「アンタが今日、部屋に帰ってこないでキンジの部屋に行くから待ち伏せしてたのよ」

 

「どうしてわかったんだよ?」

 

「勘よ」

 

その言葉にコウは呆れながらソファーに座る。

 

キンジは台所に向かい、水を飲み、アリアは髪を弄って枝毛の処理をして、身嗜みを整えていた。

 

「流石は貴族様だな。身嗜み一つにも気を許さないんだな」

 

「……へー。あたしのこと調べたんだ」

 

コウの嫌みに対し、アリアは嬉しそうに言う。

 

「武偵にとって情報は命綱だからな」

 

「それで?他に何か分かったことはあるの?」

 

「今は休職中だが、ロンドン武偵局の武偵で、14歳の時から活動している。そんでもって、イギリスの貴族。ランクはSで、武器はガバメントの二丁拳銃と、小太刀の二刀流。二つ名は二丁拳銃と二刀流なことから“双剣双銃(カドラ)”と呼ばれていて、今まで犯罪者を一人も逃したことは無い。こんな所だ」

 

コウは先程理子から聞いた情報をすらすらと言う。

 

「確かにその通りね。でも、この間、一人……いえ、二人逃したわ。生まれて初めてよ」

 

「へー。お前が取り逃がすなんて、よっぽど凄い犯罪者なんだな」

 

「アンタとキンジよ」

 

「は!?」

 

「ぶっ!?」

 

アリアの言葉に、コウは声を上げ、キンジは水を吹く。

 

「お、俺とコウは犯罪者じゃないぞ!」

 

「アンタ、あたしに強猥したじゃない!コウは不敬罪よ!」

 

「はぁ?!チビって言った位で不敬罪かよ!」

 

「ともかく!キンジはあたしから逃げ出すことが出来た!コウは、あたしと互角で渡り合いう事が出来る!アンタたちなら、もしくはアンタたちのどっちかならあたしの奴隷に出来るかもしれないの!だから、あたしとパーティー組みなさい!キンジは強襲科(アサルト)に戻りなさい!」

 

「あ、あの時は偶然逃げられただけだ。俺はただのEランクの武偵だよ!」

 

「うそ!アンタの入学試験の成績、Sランクだった!」

 

そのことを持ち出され、キンジは悔しそうにする。

 

「とにかく!今は無理だ!」

 

「今は?ってことは、条件があるのね!教えなさい!」

 

その言葉に、キンジは思わず顔を赤くする。

 

キンジをヒステリアモードにするには、キンジを性的に興奮させる必要がある。

 

アリアはそのことを知らないために、そう軽々しく言った。

 

「教えなさい!奴隷に上げる賄い代わりに、手伝って上げるから!教えて……教えなさいよ、キンジ………!」

 

その瞬間、キンジは無意識のうちに、アリアを突き飛ばそうとした。

 

これ以上、アリアに迫られれば、ヒステリアモードになってしまいそうだから。

 

そして、同時に、忌々しいあの記憶が蘇りそうだったから…………

 

だが、キンジの手はアリアを突き飛ばすことは無かった。

 

キンジの手をコウが止めていた。

 

「キンジ……落ち着け……大丈夫だから……」

 

「コウ………ああ、すまない………」

 

キンジは落ち着きを取り戻し、ゆっくり手を戻す。

 

「………アリア、一回だけだ」

 

「え?」

 

「一回だけ、お前とパーティー組んでやる。そんで、最初に起きた事件を一つだけ、お前と一緒に解決する。それと、キンジ」

 

コウはキンジの方を見て、言う。

 

「キンジも一度だけ強襲科(アサルト)に戻って」

 

「なっ!?どうしてだよ!大体、俺があそこに戻りたくないのはコウも知ってるだろ!」

 

「知ってるよ。だから、転科じゃなくて自由履修で強襲科(アサルト)の授業を取るんだ。そして、キンジも、僕と一緒にアリアと一回だけパーティーを組んで、最初の事件を一件だけ解決する。それでどうだ?」

 

キンジとアリアの二人に尋ねる様に言う。

 

二人は何かを考える様にした後、頷く。

 

「いいわ。あたしには時間が無いし、その一件でアンタたちの実力、見極めることにする」

 

「俺もいいぞ。一件だけ解決してやる。どんな小さい事件でも一件だぞ」

 

「ええ。どんな大きい事件でも一件よ」

 

「分かった」

 

「手抜きなんかしたら、風穴開けるわよ」

 

「ああ、約束する。全力でやってやる」

 

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