緋弾のアリア~白銀と緋色~   作:ほにゃー

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7弾 明日無き学科

強襲科(アサルト)  通称:明日無き学科

 

武偵とって死とは常に隣り合わせの存在。

 

その中でも、強襲科(アサルト)は死に最も近い学科と言える。

 

強襲科(アサルト)の卒業時生存率は97.1%。

 

つまり100人中3人弱は、生きてこの学科を卒業することが出来ない。

 

任務中もしくは訓練中に死亡しているからだ。

 

キンジは一年の二学期にある出来事をきっかけに強襲科(アサルト)を止め、一年の三学期から探偵科(インケスタ)に転科したので、約四ヶ月ぶりの帰還だ。

 

そして、コウも三学期からイギリスの方に長期任務で出張しており、更に帰って来てから一度も強襲科(アサルト)に出向いてないので、コウも四ヵ月ぶりだ。

 

「はぁ~………まさかまたここに戻って来るなんてな………」

 

「覚悟を決めなよ、キンジ。一回だけ解決すれば前の日常に戻れるんだから」

 

「………そうだな」

 

発砲や剣戟の音が響く専用施設の扉を開け、二人は中に入る。

 

二人が中に入ると、それまで騒がしく戦闘訓練をしていた者たちは次々にその手を止める。

 

「……キンジだ」

 

「……本当だ」

 

「コウもいるぞ……」

 

「帰ってきてたのか………」

 

一瞬の静寂、そして―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーう、キンジ!お前は絶対帰ってくると信じてたぞ!さぁ、ここで1秒でも早く死んでくれ!」

 

「まだ死んでなかったのか。お前こそ、俺よりもコンマ1秒でも早く死ね」

 

「キンジー!やっと死にに帰って来てくれたか!武偵はお前みたいな間抜けから死んでくからな!」

 

「なら、なんでお前は生きてんだよ」

 

郷に入り手は郷に従え。

 

強襲科(アサルト)では、互いに死ね死ね言うのが挨拶なのだ。

 

キンジの帰還に全員が喜んで死ね死ね言う。

 

そして、コウはと言うと………

 

「コウ、帰って来たか!てっきりイギリスでくたばったと思ったぞ!」

 

「誰がくたばるかよ。テメーこそ、俺がいない間にくたばってると思ったぜ」

 

「大丈夫だったか?相手を殺してないよな?」

 

「僕より犯罪者の心配か?」

 

キンジ同様、他の生徒に絡まれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コウとキンジが強襲科(アサルト)棟に来る少し前、二階のトレーニングルームに二人の女生徒が居た。

 

一人は間宮あかり、アリアの戦妹(アミカ)で、Eランク武偵。

 

もう一人はあかりの友達のBランク武偵の火野ライカ。

 

「志乃、行っちゃったな」

 

「うん、そうだね……戦姉妹試験勝負(アミカチャンスマッチ)の形式にも色々あるんだね」

 

「恐山で山籠もりさせるなんてヘンな戦姉(アミカ)だぜ」

 

ライカはトレーニングを終え、床に寝転ぶ。

 

「まあ志乃がいない間、あかりはアタシが独占出来るけどな……ウヘヘヘェー」

 

そう言うと、ライカは指で写真を撮るように構え、あかりを見上げる

 

「うわー、白木綿(しろコットン)。ガキっぽ」

 

「ッ!?」

 

あかりは自分のスカートの中を覗かれていると知ると、慌ててスカートを抑える

 

「パンツと言うよりぱんちゅだぜ」

 

「こらー!」

 

「ぱんちゅ~~丸見え~~」

 

「バカライカ!ローアングラー!金払え!」

 

トレーニングルームで追い掛けっこを始めていると、不意に他の生徒たちが騒ぎ出す。

 

「おい聞いたか?キンジが強襲科(アサルト)に帰って来るって!」

 

「マジかよ!キンジって遠山キンジだよな?」

 

強襲科(アサルト)の首席候補って言われてたキンジが!」

 

その言葉にライカは急に止まり、あかりはライカにぶつかる。

 

「遠山キンジ………あの人が帰って来るのか………」

 

「キンジ?誰それ?」

 

キンジの名前を知らないあかりは首を傾げる。

 

「あかりは知らなくても仕方ねぇよ。あかりがインターンで入って来た頃には、探偵科(ンケスタ)に転科しちまったし。去年は強襲科(アサルト)でSランク武偵だった。入試で教官を倒したらしい、伝説の男だよ」

 

「い……一年でSランク!?」

 

「……プロ武偵に勝てる中坊なんてバケモノだろ」

 

キンジが一年でSランク、しかも入試で教官を倒したってことにあかりは震える。

 

「おい!キンジだけじゃないぞ!コウの奴も帰って来るってよ!」

 

「コウ!?コウって、あの鏑木紅か!?」

 

「ああ!間違いねぇ!」

 

「か、鏑木紅まで帰ってくるのかよ…………」

 

「鏑木紅?誰それ?」

 

コウの名前も知らないあかりはまた首を傾げる。

 

だが、今回は違った。

 

あかりの言葉にライカはこけそうになった。

 

「あのな~………遠山キンジの事は知らなくても、鏑木紅の事を知らないのは問題だぞ!」

 

「そ、そんなになの?」

 

「当たり前だ!あの人は、遠山先輩と同じSランク武偵で、そんでもって“二つ名持ち(セカンドホルダー)”だぞ!」

 

「“二つ名持ち(セカンドホルダー)”!?」

 

あかりは驚いた。

 

それだけ、まだ武偵高生で“二つ名持ち(セカンドホルダー)”であることは凄い事なのだ。

 

「“迅雷”って二つ名だけど、二つ名より、通り名の方が有名だ」

 

「通り名?」

 

「“白銀(しろがね)の閃光”。どんな事件も、とてつもないスピードで解決することから、付けられた名だ。犯罪者の間じゃ、銀髪の武偵を見かけたら、諦めるか死ぬしかないって言われてる。最強にして最速の武偵。一年の三学期からこの間まで、イギリスの方に長期任務で出張してたんだけど、噂だとイギリスのとある巨大麻薬組織を一人で壊滅させたらしい」

 

「そ、そんなに凄い人が………」

 

「二人ともあったこと無いけど、顔は知ってる…………あれだよ」

 

そう言ってあかりとライカはトレーニングルームを出て、二階から一階を見下ろす。

 

そして、ライカが指さした先には、強襲科(アサルト)の生徒にもみくちゃにされてるキンジとコウがいた。

 

「あれが遠山先輩で、銀髪の小さい方が鏑木先輩だよ」

 

「な、なんかイメージと違う………それに、鏑木先輩……背が小さい………」

 

「それ鏑木先輩には禁句だぜ。昔、一度見たけど、背の事を弄った生徒が半殺しにあってたから」

 

そのことに、あかりは思わず共感した。

 

背が小さいことを弄られるのは背が低い者にとってはこの上ない侮辱だからだ。

 

同じ背が小さいあかりだからこそ、共感できたのだ。

 

そう思った直後、一人の生徒が急に声を上げた。

 

「はぁ?そんな奴が最強最速の武偵かよ?」

 

制服を着崩し、髪を金髪に染めた男がコウを見てそう言う。

 

コウをもみくちゃにしていた生徒たちは動きを止め、その生徒を見る。

 

その男は一年の強襲科(アサルト)の生徒で、Aランクの武偵。

 

一年でAランクと言うだけでも凄いため、その男子は調子に乗っており、一年の中でリーダーを気取ってる奴だ。

 

「おい、お前一年だな。別にお前が俺の事をどう思おうが勝手だが、口の聞き方には気を付けろ」

 

コウは全員を押し退け、男子の前に立つ。

 

「うるせぇんだよ!“二つ名持ち(セカンドホルダー)”だが知らねぇけどよ、チビのクセに調子に乗るんじゃねぇぞ!」

 

ソイツの言葉に、その場にいた全員がゲッ!?っとした顔になる。

 

「ば、バカ!お前、いますぐ謝れ!」

 

「早く謝らないと大変なことになるぞ!」

 

慌てて他の一年が、叫ぶが、男はハッ!っと言って笑う。

 

「なんで俺が謝らなきゃいけないんだよ?そもそも、こんなチビでSランクになれるんだから、Sランクって案外チョロインだな。これなら俺もすぐにSランクになれそうだ」

 

へらへらと笑いながら言う、ソイツにコウはゆっくりと近づく。

 

「おい、一年。俺にはどうしても我慢できないことが三つある」

 

「あ?」

 

「一つは人の話を聞かない奴、二つ目は俺を身長ネタで弄る奴………そして――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Sランクの名を軽々しく口にする奴だ」

 

コウの殺気が込められた言葉に、その場にいた全員が恐怖した。

 

「丁度いい、一年の男子共、全員俺に掛かってこい。全員まとめて相手してやる」

 

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