コウの言葉に全員が騒めく。
「いや、いくらなんでも………」
「一年の男子って50人位いなかったか……」
「Aランクも何人かいたぞ……」
「Sランクと言えども、全員相手は………」
一年の男子たちはいくらSランク相手だからと言って、一年の男子全員で一斉に掛かるのはと、躊躇っていた。
「安心しろよ。たかが一年程度集まった所で、俺に手傷負わせることは出来ねぇよ」
その言葉に、一年男子たちはいくらなんでも自分たちの事を舐めすぎてると思い、騒ぎ出す。
「いい加減にしろよ、先輩よぉ!」
「Sランクであの“
「上等だ!アンタをフルボッコにしてやんよ!」
「よぉし!全員死ぬまでやり合え!」
あの後、コウの殺気に気付いた
蘭豹曰く、「Aランク取ったからって調子に乗ってる一年もおるし、丁度ええから
そして、蘭豹は嬉々としながら、愛銃のM500を発砲し、開戦の合図をする。
その合図と共に、一年男子は殺気を出しまくり、銃を全員が抜く。
「囲め、囲め!囲んで一斉射撃だ!」
先程の男子は一年男子のリーダー格だったらいく全員に命令をする。
そして、コウを取り囲み、銃を構える。
「………はぁ」
その光景にコウは溜息を吐く。
「よし!今だ!撃て!」
そして、一年達は一斉に発砲する。
コウの居た場所に一斉に銃弾が当たる。
だが、そこにコウはいなかった。
「なっ!?アイツ………一体何処に!?」
リーダー各男子が騒いで辺りを見渡すが、コウの姿処か、誰一人立っている者はいなかった。
「…………はっ?」
そして、気付いた。
自分以外、闘技場内に立っている者がいないことに。
他の男子たちは全員が地面に倒れ、気絶している者もいれば動けない者もいた。
「理解出来たか?これがお前らとSランク武偵の差だ」
リーダー男子が振り向くとそこにコウはいた。
両手にナイフを持ち、目は相手を斬り殺さんと言わんばかりの眼差しを向けていた。
「俺の足の速さには誰も追付けない。お前、今の俺の動き見えたか?」
ゆっくり近づくコウにリーダー男子は恐怖し、震える。
「お前ら程度にやられる程Sランクは甘くない。だからこそ、Sランクの名は重いんだ」
そして、コウが踏み込んだ瞬間、コウはリーダー男子の背後に立ち、首にナイフの峰を押し付けていた。
「Sランクの名を軽々しく口にしたこと後悔して死ね」
リーダー男子はその言葉で失神し、そのまま地面に倒れた。
「基礎からやり直しな。テメェはそれからだ」
ナイフをホルスターに仕舞い、コウは闘技場から出る。
時間的にちょうどいいぐらいだったので、コウはそのまま
「コウ、帰るのか?」
「キンジか。そっちはもういいのか?」
「ああ。銃の訓練ぐらいはしたかったんだが、アイツらの相手してたら時間がなくなっちまったんだよ」
「流石は
「嬉しくも無い。それに、どちらかと言えば、主席候補はお前だろ」
「Sランクで“
「そうだったな。そうだ、理子の奴からこの間の時計壊したお詫びってことで、ゲーセンのコイン引換券貰ったんだが、お前も来るか?」
「ゲーセンか。いいよ。偶には」
キンジとそんな会話をし、コウはキンジと共にゲーセンに向かう。
すると門の所で、アリアが立っていた。
「アンタたちって人気者なのね。ちょっとビックリしたわ」
「あんな奴等に好かれたくない」
「僕のは人気とは違う。ああして、僕の事をからかってるけど、全員、何処か僕から一歩引いた位置にいる」
「それはなんとなく分かる。実力差が誰も合わせられないからでしょ。でも、あたしよりはマシでしょ。あたしなんか、誰一人近寄ってこないし。まぁ、あたしは“アリア”だからいいんだけど」
普段と違うイントネーションで自分の名前を読んだことにキンジが首を傾げる。
「確かオペラの“独唱曲”って言う、一人で歌うパートのことをアリアって言うんだっけか?」
「へー、良く知ってるわね。その通りよ。あたしはずっと一人ぼっち。何処の武偵高でもそう。ロンドンでも、ローマでもそうだった」
「へー……で、ここで俺とコウを奴隷にして“トリオ”にでもなるつもりか?」
アリアの方を見ずに、キンジがそう言うと、アリアはクスクスと笑った。
見ると、コウもクックックッと、笑っていた
「あんたも面白いこと言えるんじゃない」
「面白くないだろ」
「面白いわよ」
「同じく。中々に良いセンスだと思うよ」
「お前らのツボが分からん」
「やっぱりキンジ、
「そんなこと……ない」
キンジはまるで本当の事を言われてるかのような気分になり、足を僅かに速める。
「それより、アリア。僕はキンジとゲーセンに寄って帰るからお前は一人で帰れ。てか、パーティー組んでやるから俺の部屋から出ていけ」
「バス停まで一緒ですよーだ」
あっかんべーをして、アリアは笑う。
相変わらずの憎まれ口だが、コウが自分とパーティーを組み、キンジが
「ねぇ、ゲーセンって何?」
「ゲームセンターの略だよ。知らないのか?」
「帰国子女なんだからしょうがないじゃない。………あたしも付いてく。今日は特別に一緒に遊んであげるわ。ご褒美よ」
「はぁっ?ご褒美だ?罰ゲームの間違いだろ。そんなのごめんだね」
コウはそう言って、キンジの前に出て足を速める。
すると、アリアもそれに合わせて足を速めてコウの隣に並ぶ。
そして、コウが更に足を速める。
それにつられてアリアも足を速める。
「付いてくんな!」
「やだ!」
「お前のツラなんか拝みたくねぇんだよ!」
「あたしもアンタのバカ面なんか見たくない!」
「じゃあ、付いてくんな!」
「絶対やだ!」
結局二人はキンジを放置し、真横に並びながら走ってゲーセンに向かった。
結局、ゲーセンまでコウとアリアは競争をし、結果は引き分けだった。
その後を遅れてキンジが到着する。
「はぁ……はぁ……ん?何コレ?」
アリアは膝に手を着きながら聞いて来る。
「ん?……ああ、それか。それはUFOキャッチャーだ」
「UFOキャッチャー?子供っぽい名前ね。ま、どうせアンタが行くような店のゲームなんて、下らないに決まってるけど」
アリアは馬鹿にするような表情で、ガラスケースの中を覗き込む。
中にはライオンの様なヒョウの様な動物のぬいぐるみがはいっている。
すると、アリアは突如ガラスケースにへばりついた。
「おい、どうしたんだよ?」
「…………」
「なぁ、おいってば」
「………………」
「そのぬいぐるみがどうかしたのか?」
「……………かわいー………」
そのセリフにコウはずっこけそうになった。
アリアらしくないセリフに驚いたからだ。
口を逆三角形にして、涎を垂らしてる姿は誰が見ても、“
「欲しいならやってみればいいだろ」
「やり方わかんない………」
「難しくなんかねぇよ。小学生にだって出来るし」
「すぐにできる?」
「なら、教えてやろうか」
アリアは首を勢いよく縦に振る。
コウは百円を入れて、アームを操作するボタンの説明だけをした。
説明を受けたアリアは、財布を取り出し、百円を入れて、ボタンを押す。
だが、狙いが悪くぬいぐるみは前足をちょっと上に上げただけだった。
「い、今のは練習だから!」
「はいはい」
二度目の挑戦。
またしてもアームはぬいぐるみのしっぽを引っ掛けるだけで、取ることはできなかった。
「ちなみに五百円入れると六回できるぞ」
「うるさい!次こそ、取れる!」
そして、三度目も失敗。
アリアはムキになり、次から次へと百円玉を入れまくり、百円が無くなると、千円札を両替しては、ゲームの繰り返しを続けていた。
「どいてろ、見てらんねぇ」
アリアが三千円ほど使った所で、コウはアリアをどかし、百円を入れる。
「ただアームを動かせばいいってもんじゃねぇんだよ。こういったゲームは大抵アームの力が弱いんだ。だから、取りやすい位置を見極めて、外れない位置にアームの先を引っ掛ける」
アリアに教えながら、コウはアームを操作して、ぬいぐるみを捕まえる。
すると、見事ぬいぐるみはアームに引っ掛かり、釣り上げる。
しかも、ぬいぐるみのしっぽに、下のぬいぐるみのダグが引っ掛かって二匹釣り上げていた。
「つ、釣れてる!」
アリアが声を上げる。
コウもまさか、一発で釣れるとは思っておらず、しかも、二匹も釣れるとは思ってなかったので驚いた。
「コウ!放したりしたらタダじゃおかないわよ!」
「ここまできたら僕にはどうすることもできないって!」
二人が固唾を飲んで見守る中、アームが動き、ぬいぐるみを穴に落す。
その時、穴の入り口付近で体を半分ほど出していたぬいぐるみに引っ掛かり、ぬいぐるみは合計で三匹釣れた。
「やった!」
「おっしゃ!」
三匹の同時ゲッドにコウとアリアは喜び、そして、無意識に笑顔でハイタッチをした。
「「あ」」
目と目が見開き合う。
そして、慌てて互いにそっぽを向く。
「ま、まぁコウにしては上出来ね!」
取り出し口からぬいぐるみを三匹取り出しながら、アリアは言う。
見ると、タグにレオポンと書かれていた。
「かぁーわぁーいぃー!」
アリアは三匹が破裂しそうなぐらいを思いっきり抱きしめる。
そんな珍妙な生物の何が良いんだがっと言いたげな目をしながら、コウはアリアを見つめる。
(アリアの奴………あんな表情も出来るんだな。てか、あっちの方がアリアの本当の姿なのかもな)
そう思いながら、コウはあることを思った。
(………本当はお前の方が自分に嘘ついてんじゃねぇのかよ…………)
「コウ!」
「ん?」
そんなことを考えていると、行き成りアリアに声を掛けられ前を向く。
「はい!一匹上げる!アンタの手柄だしね!」
ツリ目気味の目をにっこりと細めるアリアに、コウは思わず赤くなる。
「(くっそ………本当にコイツ、見た目だけは可愛いな……)お、おう」
レオポンを受け取り、コウはそれが携帯ストラップだと気付く。
「キンジ!アンタにも上げるわ!仲間外れは可哀想だしね」
「そうかい、ありがとよ」
キンジはコインでコインを落として遊ぶゲームをやりながら受け取る。
それを見ながら、コウは自分のスマホのケースを外し、それを付けようとする。
それを見たアリアも自分の携帯を取り出して、レオポンを付けようとする。
そして、キンジもゲームを終えて、レオポンを携帯に付けようとする。
紐が中途半端に太く、中々穴に通らず、三人は苦戦する。
「先に付けた方が勝ちよ、コウ、キンジ」
苦戦していると、アリアがそんなこと言い出す。
「なんだそりゃ、ガキかお前」
「やったわ、入りそう」
「こっちも入るぞ。お前には負けねぇ」
「私だってアンタには負けない」
互いに口喧嘩をしながらストラップを入れようとするコウとアリア。
そして、最初にストラップを付けれたのは―――――
「あ、入った」
キンジだった。
「な!?」「に!?」
キンジに先を越され、さらにムキになる二人。
そんな二人を見ながら、キンジは缶コーヒーを飲む。
そして………
「「入った!」」
二人ほぼ同時にストラップを付けれた。
「僕の方が一秒早かった」
「私の方がコンマ一秒早かった」
「じゃあ、コンマ0.1秒」
「0.01秒」
「0.001秒!」
「0.0001秒!」
「どっちでもいいだろ…………」