台風が過ぎ去り空はすっかり晴れ渡っている。
そんなある日、中庭で小児科の患者を集めてバザーのようなことをしていた。
参加費は一回百円で男の子は今流行りのメダルゲームを手に入れることができる。
女の子にも流行りのアイドルカードゲームが用意されている。
ただ平等にするため、釣りの原理を使いメダルやカードの入った袋を釣る形のゲームとしていた。
そんな釣り場の見張りをしていた慶次はふとため息を吐き出す。
昨日なぜか負傷した真琴は今も動ける状態にない。
そのせいで信長の雰囲気は最悪で、朝から秀吉と何やら口論をしていた。
けれど慶次は話にもついていけず、真琴の見舞いも光秀から辞めておくよう言われている。
そのため自分だけがはぶけられているような気がしてならなかった。
街や医大に現れる化け物とそれを倒すヒーローにも自分は関与できない。
それはとても寂しく、悔しいことだ。
「慶次兄ちゃん!これ違うゲームのメダルが混ざってるぞ!」
不意に子供から指摘されて慶次はメダルを受けとる。
緋色や金色、緑のメダルは何枚もあるがそこにレベルを記した数字はない。
そして別の女の子が錆びて古くなったベルトを取り出す。
「これじゃない? 鳥とか書いてあるから……ここにはめるのかな?」
女の子はメダルをベルトにはめようとするが錆びていて入りそうもなかった。
慶次は錆びたベルトを手にすると立ち上がりゴミ箱を探す。
「危ないなぁ……こんな錆びたやつ」
役に立たない外れのメダルとともに慶次はごみ捨て場へ向かった。
だが不意に背後から轟音が響き、駐車場に止まっていたタクシーが爆発した。
「またかよ……っ!」
変身できない職員は患者たちの避難誘導をしなければならない。
慶次も悔しさを抱きながら避難誘導をしていく。
その中に車椅子の女の子を見つけて目を向けた。
慶次はごみ捨て場へ向かおうとした足を勢いよく変える。
「君あぶない!早く逃げて!!!」
機嫌の悪い信長も秀吉もバザーには来てくれなかった。だからここには誰もいない。
少女も化け物に気付いて悲鳴をあげながら逃げようとした。しかし慌てていたせいで車椅子が転倒してしまい逃げることができない。
「あぶない!」
「……変身!」
慶次の絶叫とありえない落ち着いた声が重なる。
濃紺の装備をまとった戦士は迷うことなく化け物に突っ込んでいた。
少女をかばうべく化け物を突き飛ばして距離を取ろうとする。
しかし彼は、慶次の記憶が確かなら絶対安静の身の上だったはずだ。
「真琴ー!!!」
力になれない悔しさが、助けられない無力感が慶次の目に涙を溢れさせる。
しかしそのまま立ち尽くしているわけにはいかなかった。
丸腰でもなんでも、真琴を助けてやらなきゃならない!
「真琴!いま俺が……!」
助けるからという言葉は手元を包む強い光に阻まれた。手にしているのは錆びたベルトでゴミとして捨てようとしたものだ。
しかし今はそれが強い光に包まれながら慶次の腰にまわされる。
逆の手に握られていたメダルがベルトに三個収まる。
タカトンボバッタ!タトバ!
慶次の身体は周囲を回る巨大なメダルに包まれたままその身を知らない装甲に包まれていた。
しかし自分が変身したんだと認識したとたん、慶次は拳を固めて化け物に向かっていく。