風が走った先へ目を向けようとした真琴は頭上に響く咆哮に驚いた。見上げた先には赤い鱗の龍のようなものがいる。
それに目を奪われていると地上で複数の爆発が起きて真琴の身体を爆風が襲った。しかしそばにいた仮面ライダーが守ってくれたため転倒を防ぐことはできた。
「化け物を倒したのか?」
「そうだな。龍騎が倒したヨ」
「龍騎? それも仮面ライダーなのか? 幸村はいつから仮面ライダーなんだ?」
「真琴が怪我した後。けどあいつらはずっと前から戦ってたらしいな」
だから戦い慣れてるのだと言いながら幸村はチューリップハットを指し示す。つられて目を向けた先でチューリップハットの男は真琴たちに背を向けていた。
「おかしいと思っていたが、おまえが最初のライダーだったのか!」
男が怒声を向けた相手は赤を基調とした仮面ライダーだった。長身のライダーの背後には今も爆発の名残として砂煙が流れていた。
仮面ライダーはベルト部分のカードデッキからカードを取り出すと手元のホルダーに入れる。するとホルダーが「ファイナルベント」と機械音を発した。同時に頭上を漂う龍が咆哮をあげる。
「おのれディケイド!」
仮面ライダーが構える前に男は憎々しげな言葉を残して銀のヴェールの中に飛び込む。しかし真琴は、化け物ではなく人間に技を向けようとした仮面ライダーに驚いていた。
「あの男は化け物じゃないだろ」
「鳴滝は化け物の親分らしいヨ。だから人間に変身できるんだってサ」
愕然とつぶやいた真琴を抱き締めたまま幸村が教えてくれる。だが真琴は自分の知らない情報を持つ幸村にも素直に驚かされる。
「どうして知ってるんだ?」
「明紫波が言ってたヨ」
「俺は聞いてない。だいたいなんで光秀はそこまでいろいろ知ってるんだ」
「そこまでは知らねぇヨ。おれも外科部長だからってはぐらかされたからナ」
ウゼェよなとつぶやいた幸村はそこでやっと真琴を抱き締めることをやめた。腕を開くようにして真琴を解放すると近付く仮面ライダーに顔を向ける。
「真琴は無事だったんだから、あんま殺気立つなヨ」
接近するとさらにその仮面ライダーの背の高さを認識させられる。真琴からすれば幸村も背が高いと思えるが、その仮面ライダーはさらに長身だった。
「誰なのか知らないけど、助けてくれたんだよな。ありがとう。あと幸村も」
ふたりとも仮面ライダーに変身しているため顔を見ることはできない。それでもと礼を向ければ長身の仮面ライダーは小さくうなずいた。
「……真琴が無事で良かった」
その慎ましげなつぶやきを聞いた真琴は一瞬でその正体を理解する。