中庭に現れた銀のヴェールから四体の化け物が現れる。化け物を前にしながら長政からミラーモンスターであることを教えられた。
「真琴は少し離れていて。ここはオレが食い止めるから」
「長政ひとりで四体も相手にできるのか?」
今までの真琴はたった一体の化け物が相手でも苦戦してきた。もちろんその時の真琴と今の長政を比べることはできないだろう。それでもと問いかけたのだが、長政は返事をしない。
ならば沈黙を返事と認識して真琴は手元のカードに目を落とした。その中の一枚だけを残してあとのカードはカードデッキにしまう。
そして残したカードを手元のカードホルダーに入れた。すぐにカードホルダーが「ファイナルベント」と機械音を発する。
「今の俺は仲間を放置してまでひとり助かろうと思わない」
昔の自分なら仲間なんて言葉を口にしなかっただろう。そう思いながら言い放った真琴は化け物に向かって走り出す。
だがその背後に巨大なコウモリが急接近したためとっさに避けようとした。しかし化け物の動きは速く真琴の背中を強襲する……かと思われた。
「真琴! それに飛び乗って!」
背後から長政の声が飛ぶ。飛び乗れと言うのは、自分の横を抜けて前を飛ぶ巨大なコウモリのことか。
言われるまま飛び上がった真琴は難無くコウモリの背に飛び乗った。
するとコウモリは形を変えてバイクになったあげく乗っていた真琴を包み込んだ。
外が見えない状態のまま疾走するバイクのそばで爆発が起きる。しかし音は小さく爆風もコウモリに包まれた真琴には届かなかった。
おそらくこのバイクが何らかの方法で化け間のを倒したのだろう。そう思っても、真琴はこのバイクを止める手段がわからなかった。
走り続けたバイクはやがて止まり真琴を包んでいた部分も消える。周囲が見えるようになった真琴の前に広がったのは最初に降り立ったあの戦場だった。
バイクから降りるとバイクは再びコウモリの姿に戻り空へ飛び上がる。だが空中で一回転するとすぐに真琴の背中に降りてきた。
黒に近い濃紺のコウモリは真琴の背中でマントに変形して落ち着く。襲ってくることのない化け物は珍しいと思っているとバイクに乗った長政がやってきた。
長政がバイクから降り立つと、それは赤い鱗の龍に変形して空に飛び上がる。
「それも召喚獣というやつか」
「うん」
流れる風にマントが音をたてる。それだけでここがミラーワールドではないことがわかった。もちろん離れた場所では爆音が響き今も土煙をあげている。
しかもそこは先程より戦いが激化しているように見えた。なぜなら見える範囲だけでも化け物の数が増えているのだ。