急患として運び込まれた真琴はそのままCTにかけられ検査される。
その上で右脇腹の裂傷と診断されて政宗と信長の手で処置される。幸いなことに内臓への損傷はない。
その後病室へ移された真琴が目を覚ましたのは翌日の夕方になってからのことだった。
薄暗い病室で目を覚ました真琴はそばに光秀がいたことに気づく。
「無理すんなって言わなかったか?」
「……あの場には俺しかいなかった」
「伊達川が、おまえは武器も使わず突っ込んだって言ってたぞ。おまえ武器の使い方も知らないだろ 」
「知らない……かもしれない。でも変身すると戦えるようになってるんだ」
真琴の言い分に光秀は少し呆れたような顔を見せた。
「それがライダーシステムってやつなんだわ。けど今のおまえは武器がない。カードホルダーの中も空っぽだろ? 実質おまえは必殺技がない状態なんだよ」
光秀は珍しく真剣な顔で話してくれる。そのため真琴はなんの反論もできなかった。
ただそもそも真琴はカードホルダーを拾った身の上なのだ。信長のように変身アイテムに選ばれたわけではない。
そしてだからなのか真琴がなれるのは2号ライダーというものだった。
その時点で光秀たちにとっては戦力外扱いとなっているのだろう。
そこまで考えた真琴は沈んだ気持ちのまま顔に布団をかけた。そうして顔を隠すと光秀はため息を吐きながら立ち上がる。
「……おまえが怪我したって聞いて、俺が平気でいられると思うなよ……」
つぶやくような言葉を残した光秀は静かに病室を後にする。
病室を出た光秀はそばに控える信長に横目を向けた。
「自分しかいなかったから飛び出したんだとさ」
「まったく真琴らしい勇敢さだね」
光秀の言葉を聞いた信長は金色の瞳を殺意に見開かせている。
「僕の真琴を傷付けた報いは必ず受けさせるよ。相手が誰であろうと許されないからね」
「そうだな。けどおまえら三人じゃ戦力として今一つだ。それに……伊達川は戦うには優しすぎるだろ」
「街で謎の正義の味方をすることしかできないからね。だがあの戦力は使える。それに政宗も真琴のためだと言えば戦うよ」
優しすぎる伊達川政宗は自分が仮面ライダーであることを隠したがっている。
だからこそ顔馴染みのいる医大では絶対に戦おうとしなかったのだ。
しかしもうそんなことは許されないと、信長は殺意の瞳とともに言い放っていた。
そんな信長に光秀は腕を組み嘆息を漏らす。
「緋田は手だてがあるのか?」
「銀のヴェールの向こう側へ行けば良いだけだよ。君の力でね」
そう言い放った信長を光秀は驚きの目で見つめる。
「知ってんのか……俺が」
「僕に隠し事ができるとでも?」
信長は挑発めいた表情で光秀に顔を近づける。だが鋭い眼光で見つめていたのは一瞬の事だった。
すぐに光秀から離れるとそのまま顔を背ける。
「今は真琴の怪我を診ることが最優先だ。敵が現れたなら無駄にうるさいアレに任せるとするよ」
「そうだな。真琴の容態より大事なもんなんてねぇわ」
「守ってあげられなかったのは、僕たちの責任だからね」
意見の総意にたどり着いたふたりはやがて別々の方向へと歩き出した。