気づくと狭いボロアパートの中にいた。というか子供の頃の俺の部屋である。今は日向一族の屋敷で家族と共に暮らしているからこのアパートからは出て行ったはずであるのだが、何故か生活感が漂っている。ぶっちゃけ子供の頃使用していた時と家具の配置やいつも買い込んでいるカップラーメンなどの非常食の置き場が全く同じでなのである。
そこでふと窓の外を見る。
「どういうことだってばよ…。」
視界に入ってきたのは四人の顔が彫られいる火影岩である。そう四人の顔しか無いのだ。本当はそこに自分を含めた七人の顔が無ければならないのである。
『ナルト。ワシが分かるか?』
九喇嘛から声がかかる。そこでナルトは少し安心する。
「ああ。分かるってばよ。ところで何が起こっているか分かるか?」
『いや。分からんな。ワシとお前が揃って幻術にかけられるわけが無いしかといって術を使われた気配すらなかった。』
「そうか。」
ナルトも同意見である。ナルトは七代目火影として自分に幻術をかけられるものはライバルであるサスケであっても難しいと自負している。しかもナルトは実質九喇嘛とのツーマンセルであるため幻術にかかっても九喇嘛がチャクラをナルトに流すことで解くことが出来るのである。しかし一つだけ可能性のある別天神<コトアマツカミ>という瞳術があるのだがこの術にはうちはシスイの瞳がいるがこれは大四次忍界大戦のとき失われているため除外する。この事からまず幻術は候補から外れる。では他の術を掛けられたかと言われれば首を傾げざるをえない。術を発動する前や当たる直前なら気づかない何て事が有るかもしれないが術が自分に当たっているのにそれに気がつかない何てことはまずありえないのである。つまり原因は不明である。
「なあ九喇嘛?」
『何だ?』
「俺たちって過去に戻っちまったのか?」
そう部屋の中にある鏡を覗き込みながら尋ねる。そこには少年時代の自分がうつっていた。
『その可能性が一番高いだろう。確かめてみな?』
「そうだな。」
そう言いつつ仙人モードを発動させる。九喇嘛モードでも感知は出来るのだが今この里にはナルトに対する悪意が多過ぎるのであまり役に立たない可能性があるため使用しない。
「おっ、懐かしいな。これは火影のじいちゃんか?」
懐かしいチャクラを感じてそちらを向くと火影邸がある。他の者とは違いチャクラの流れがとても滑らかである。さすが三代目火影であるチャクラコントロールは超一流だ。
三代目の他にも小さいながらも同期達や他の忍びのチャクラを感じ自分は過去に戻ったのだと確信した。
そこでふとカレンダーを見るそこには今後の日程が書かれていた。
(過去の俺ってばやるじゃん。)
と、今の自分達が過去のどの時点に戻っているのか確認する事が出来るため。過去の自分を褒め讃えた。
カレンダーには明日第七班で演習と書かれており、集合場所と時間が書いてあった。
(ってことは明日あの鈴取りをやるのか。)
そこでふとこれからどうするべきか自分の身の振り方を考える。
(過去を無闇に変えると未来が変わってしまう可能性がある。しかし俺がここにいる時点で過去は変わってしまうだろう。つまり未来が一緒になるとは断定出来ないからこの世界は俺のいた世界によく似た平行世界であると考えるべきだろう。結論、俺がいる時点で未来は変わるから俺が好きに動こうが動かまいが多少の差はあれどもんだい無い。)
などと長ったらしく述べているがつまりは言い訳である。過去、自分が守りたくても守れなかったものが今の自分ならば守る事が出来る。なのに歴史が変わるからとそれをしないと言うのは火影になっても多少我儘だったナルトには俄然無理な話である。
このことを九喇嘛に告げると別にいいのではと帰ってきた。九喇嘛もこの世界が平行世界であると考えているみたいで未来が必ず同じになることは無いと俺と同じ意見となった。しかし力をひけらかすのではなく、ある程度自重はしろということなのでそれには同意した。
翌日、俺は朝食をガッツリ食べて演習場に向かっている。なんか朝食は抜いてこいと言われた記憶はあるが忍びは裏の裏を読むものである。じゃあ食べるしか無いだろうと。もう過去と違う動きをしているのである。昨日の時点で体が若返っている以外に変化はあまり無く強いて言えば筋力が落ちているのみである。つまり忍術はもんだい無く使うことができた。
演習場に着くとサスケとサクラちゃんが先に来ていた。
「遅いわよ、ナルト。」
「チッ、ウスラトンカチが。」
サクラちゃんは普通であるがお前は何なの?サスケェ。こいつイタチのことといい繊細なくせに捻くれてやがる。まぁ、子供の言うことなのでスルーして挨拶する。
「おはようってばよ。サスケ、サクラちゃん。」
すると二人は訝しむように俺を見てくる。えっ?俺が普通に返すのそんなにおかしいの?すると九喇嘛から答えが返ってくる。
『この頃のお前はなにかとサスケの小僧に突っかかっていたからな。それが無くて驚いているんだろう。』
なるほど…
子供の頃を想いながら心の中で呟く。
しかし子供の頃の演技なんてまるで黒歴史を人に見せているようなものなので断じてしないと誓った。
やはりというかカカシ先生は集合時間には来ずに大幅に遅れてきた。
(こんなのが将来火影になるんだよな〜。世も末だってばよ。)
と失礼な事を考えながら演習の内容を聞く。内容は過去とは変わらず二つの鈴を三人で先生から取る。取れなかった一人はアカデミーに逆戻りというものである。
カカシ先生はタイマーをセットし丸太の上に置く。
「俺から鈴を取れなかったやつは昼飯抜きだからな〜。後、俺を殺す気でこいよ?じゃないと絶対取れないから。」
と言いながらタイマーをスタートさせ
「では始める。散っ!」
演習が始まった。