青春も、萌えもんも摩訶不思議すぎて訳が分からない 作:黒虱十航
今、俺は、背中に重みを感じながら走っている。俺の背中で気絶している子の昔いた群れのリーダーとの対戦でこのこは無茶苦茶頑張った。勿論気絶で寸止めになるのも知っている。だがそれと同時にいくら防衛本能が働こうとどうにもならないことがあるのも知っている。それは俺の経験則であり社会の常識。どっちにしろ、今生死をさまよっているはずだ。同然だろ?いくら医療を施しても赤子に向かってロケットランチャーが打たれてヒットしたら生存確率は無茶苦茶低い。それと同じだ。やばいものは、やばい。実際、こうやって走ってしっかりと心臓の音が聞こえるレベルに近づいているのに心臓の音がしない。まあ、気絶がそういうものなのかもしれないけど気絶について詳しいのなんて医者と暗殺者ぐらいじゃない?それにしても、案外近いもんだな。後ちょっとでたどり着く。だがそのちょっとがきつい。そもそも人、もしくは萌えもん一人、もしくは一体をおんぶして走ってるだけでも普通に辛いに決まっているのだ。脚ももつれてくるし何より疲れている。とはいえ、流石に村が見えてきた。というか見えたの次元じゃなくて普通にたどり着いた。
「ふぅふぅふぅ・・・・。ああ、急がないと・・・・・」
脚を引きずりながらさっさと村に入って行く。すると村人が俺のことをじろじろと見てきている。それも無理ないだろう。何ていったって着ている服はぼろぼろでしかもあの群れに出会うよりも前に何度かこけていた為擦り傷もかなりある。更に背中に萌えもんらしき少女を背負っている。どう見たっておかしい奴にしか見えないだろう。そう思うだろ?実際そうだったからな。だが、この世には優しい人も居るんだぜ。な・ん・と、俺の姿をみるなりすぐに家の窓を全部閉じたんだ。哀れみの目さえ当ててこずにな。どうだ?優しいだろ。言ってたむなしくなりました。
「ちょ、ちょっといいですk・・ああ・・。」
どこか病院的なものは無いかと思い、その辺の村人に道を聞いてみたのだが全然反応する様子も無くすぐに家に戻っていった。まるで小学校に入った不審者みたいな気分である。緊急事態発生、といわんばかりに鐘を鳴らしてくる。ちょ、ちょっとマジで?それは流石にやばくない?この世界に来ていきなりお縄なんてごめんだよ。
「あなた・・・・背中の萌えもんといいその格好といい怪しすぎます。少しきてもらえますか。というか、来なさい。誘拐犯。大人しくその子を離して投降しなければ力尽くで」
「分かった分かった。素直に捕まるから。ほれ、この子。大丈夫だと思うけど結構傷ついてるからどっか病院に連れて行ってやれ。っていうか・・・誘拐犯?おいおい俺はやってな・」
「犯人は皆、そういうものだ。早く投降しろ」
大人しく背中の子を渡すまではよかったのだが誘拐犯だとか言われた時点で気付くべきだった。ああ、俺、遂にご厄介になってしまうのかぁ。別にいいよ。百歩譲って許してあげるよ。たださ、異世界でやっと人に会えたなぁとか感動してたら話しかけてくれる人がいて更に感動っ。とりあえず事情が聞きたいから一時的に捕まって話をするとかそのレベルかと思ってたら誘拐犯ってレッテル貼られちゃってるし。しかも俺、数人の警察官らしき人に強制送還されちゃってるし。ちょ、ちょっともう一回おさらいしよう。俺はこの子をぼろぼろになって助けようとしてるわけだし悪い事はしてないよね?まあ、見た目から痛い目でみられるのは止むを得ないと思ってたんだけど何で捕まってるわけでしょうか・・・。
「痛い痛い・・分かりました。いいですよ。もういい、めんどくさい」
「とっとと歩けっ!誘拐犯め。萌えもん誘拐だなんて全く何を考えてるんだか」
これは・・明らかにレッテル張られてますな。まあ、もうしょうがないわ。いい。もういいよ。刑務所ってご飯食べれるんでしょ?まずいかもしれないけど我慢するから。養ってもらってるのも同然だし異世界に来てもとりあえず死ななきゃ俺がここに来てる意味あるわけだし。神が失踪してるからここにいる必要があるわけだし。
と、言うことで牢獄に容赦なく叩き込まれました。そしていかつい警察さんらしき方々が数人牢獄の目の前に立って事情聴取をはじめていました。というかこれ、警察?
「さあ、事情聴取だ。嘘ついたらその瞬間に叩きのめすぞ。というかお前の足についてる足枷は俺らがスイッチを押せばお前に電流を流すようになっている。嘘ついたらからくり博士の作ったからくり足枷の餌食ってことやな」
明らかに拷問だった。ちょっとぉこれ、マジであっちの方々なんじゃないですかねぇ?ほんとに警察?何かの組織の方々じゃございませんか?という意味もこめて腐ったオーラを出すといきなり電流を流された。
「犯罪者は犯罪者らしく大人しく聞かれたことだけに答えろや。ほら、まず始めの質問、何でこんなことをしやがった?さぁ、吐きやがれ。十秒以内に話し始められなきゃ電流だ」
「いや、何での前にそもそも俺が何の罪でつかまってるんだよ」
「罪の意識も無いのか」
俺が必至で反論するとそう、言いながらまた電流を流してきた。マジで、これホントに酷い。ヒドスなゲスめ。さっさとくたばれ・・とはいえこれ以上無駄なことをしてもなぁ。いや、だが嘘をついてもなぁ。ホントのことを言い続けるか?だが、よく考えてみろ。俺がもし誘拐犯だと思ったせいで村人が俺を怖がったのならば誘拐犯をかなり恐れているということになる。ならば俺がその汚名を背負って牢獄にいたほうが村人の生活が落ち着くんじゃないだろうか。ずっとただ飯が食えるしな。食事に困らず死なないならば俺的にはウィンな状況。そしてあの萌えもんも病院に行けたからあちらとしてもウィンだろう。それにリーダーとも和解できただろうしな。村人にもウィン、これはもうウィンウィンな関係としかいえない。
「さっさと答えろや。何で誘拐なんかしたんだ?萌えもんと契約したければ野生にいる萌えもんと契約を結ぶ、常識だろうが。人の萌えもんを盗んでおいて罪の意識すらないなんてな。」
「ああ、いや、すま・・すみませんでした。罪の重さに呆然としてしまいました。つい出来心で取り返しのつかないことをしてしまったと後悔しております。申し訳ございません」
俺の謝罪シリーズのなかから適当に選んだパターンを組み合わせて謝罪。急に素直になった俺をみて驚いていたがすぐに次の質問に移る。
「よし、今のお前には選択肢が2つある。1つが終身刑、もう1つが即処刑。警察としてはそれでもいいが被害者の方々がそれで満足するか・・。満足しない場合お前には様々な苦しみを得た後で死んでもらう」
おいおい・・死ぬのかよ・・まじで?ホントに泣きそうなんだけど。
「ま、いっか。はい、そうですね。被害者の方々のご意向に沿っていただけますか。異議はございません」
「おう、そうか。それならいい。また後で来るからな。それまではずっと弱電流を受け続けていろ」
そういわれると弱めの電流が体に回ってきた。これ、続くとマジで意識が飛ぶかもしれないな。ほんとにきついってこれ。ああ、やばい・・・死ぬぅぅぅ。異世界に来てすぐ死ぬとか嫌だな。