青春も、萌えもんも摩訶不思議すぎて訳が分からない 作:黒虱十航
それから、数時間が経った。やっと完全に思考が戻ってきた。これで考え始められる。やばいな。ついつい普段の思考とは完全に一致しなくなってしまう。あせるとこうなるのはどうにかしないと今後、困るのは俺自身である。それらのことから考えて、俺が何をしたのか思い出そうではないか。えーっと捕まってそれでなんか自暴自棄になって俺が犯人だと認めよう、的なことになってたっけ。もう、そこから俺じゃないよな。俺なら絶対に人の罪を被ったりとかしないし。常識的判断ぐらいは出来るつもり。
「何とか脱出できないかねぇ・・」
檻に寄りかかった。完全に記憶だけ残って思考がぶっ飛んでいた為まずい展開に持ち込んでしまったという自覚さえあるレベルでやばい。これが自覚が無くて「俺、意識が無い時に何をしたんだぁ?」的な中2センスあふれる台詞を言えるのだが今回はそうも行かない。残念だ。というか、よく考えて欲しい。そもそも俺は何で捕まった?それは、誘拐犯に間違われたからだよな。だったら萌えもんが証言をすれば・・・いや、あの少女と同じくトラウマで記憶を改ざんしてるとか言われかねない。それを考えるともしも意識が戻っていても証言者にはなりえない。だが今のところそこにしか突破口がない。ならば、取れる方法はひとつだけ。その『トラウマのせいで記憶が変えられてしまってる~~」説をぶっ壊せばいい。ちょっとキモい。しっかし、この世界には本当に裁判とか弁護士とかないのかね。こんだけギリギリの尋問してて弁護士が許してくれるとでも思ってるの?俺がやってやるぜ。何か聞いたことあるぞ。自分の裁判を自分で弁護した人。まあ、うろ覚えだし最近はそういうニュースと無縁だったから確かじゃないけど。気になる人は、ググッて欲しい、詳しくはWEBで。おい、この世界の通信端末くれよ。
「ちょいちょい、そこの監視さん。俺には弁明の機会は無いのかね?」
「ありません。明日の午前1時、あなたはどんな罰を受けるのか報告されます。水責め、火責め、電流攻めの3段回を受けた後で右手、右足、左手、左足の順にもぎ取られます。」
おいおい、マジかよ。檻の外にいた監視員さんは、俺に教えてくれたがそれ、酷くありません?何で冤罪でそこまでやられなきゃならんの?誘拐犯の汚名を背負って生きて行ってもいいよ。それぐらいは何とかなるけどさ。流石に水、火、電気責めの後に四肢を剝ぐとか残酷すぎる。泣いていい?
「何を驚いた顔をしている。これでも被害者の娘さんがお前を庇うから簡単になったんだぞ。本来は耳や鼻、目といった部分を剥ぎ取ってから」
「でも死ぬんだろ?っていうか庇ってるんだったらせめて殺さないだろ。お前ら狂ってる。そりゃ誘拐は大罪かもしれないけどそれでもこれはやりすぎだろ。そもそも被害者の子供や萌えもんの声は全部恐怖の一言で済ませておいてよく誘拐がだめだとか言えるよな。そんだけ人の話し聞いてやんないのは誘拐よりはしたでも罪だろ。罪。誘拐で死ぬならそっちだってその前の3重責めがなくとも死刑だろ。ホント、この町の奴らって自分達が冤罪を仕立てたと思いたくないから事実を言ってるやつらの声をもみ消してるだけなんじゃないの?」
いっその事、と思い挑発してみるが更に強い電流を流された。だがな。既に人口的な電流など体が適応してるっつぅの。やばい、俺超人過ぎる。
「罪人に口無し。事実、お前は萌えもんがいる場所を特定しただ」
「そうそこ。そこがおかしいんだよな。なあ、誘拐されたのっていつの話だ?」
「・・・記憶すらなくして狂ったか?1ヶ月前だ」
俺の問いにあきれ果てながら答えてくる。なるほどなぁ。謎はすべて解けてはありませんが頑張る。
「そもそもさ。何で1ヶ月前からさらわれてたのに明らかに怪しい森を捜してなかったんだよ。しかも俺が言ったらすぐに動いたし何か制限があったわけじゃなかった。それに捜したらすぐ見つかったわけだ。なら俺が捕まる前に捜しとけばいたんじゃないの?それに誘拐犯が1ヶ月何の要求もせずにおちおちこの町にしかも傷ついた関係のない萌えもんを連れて村に戻ってくると思うか?明らかに不審、すぐに捕まるようなぼろぼろの格好で」
「・・・ぐ・・」
俺の言葉がさぞ的をいていたのか監視官は、言葉をつまらせる。そして何か思いついたように息を吸い電話をし始めて10秒ほどで電話から出る。
「お前に話がある人がいる。この村の警察のトップだ。失礼の無いように」
「え?????おう・・・」
よく分からんが牢屋から出され足枷よ手錠を引っ張られて目隠しをさせられて歩かされた。ああ、道とか覚えられると厄介だってことか。なるほど納得。それよりも。
「おい、ここは・・・・」
「言葉を慎みたまえ。愚か者。ボス。連れてまいりました」
監視員は、一言そういうと立ち去って言った。謎だ。謎が謎を呼ぶスパイラル。マジで何なのこれ?目隠し取られた瞬間良青年が目の前にいるしもしかしてこの人がボス?
「待っていたよ。君は今、自分が冤罪をかけられた。そう感じているんだね」
「・・・おう」
急に話しかけてきてびっくりしたが声も特別いかつい様子も無い。そのまえのやつらとは大違いだ。男は俺に電気を流してきて暴言はいてきたし女は、必ずと言っていいほど罵倒してきた。因みにMじゃないからご褒美でもないのでそこは注意して欲しい。勘違い駄目絶対。
「言っておこう。犯罪者が何を言ってもほんとに冤罪だとしてもこの町のルールでは怪しきは、罰する。しかし、君を慕うものは多くてな。しかも慕ってはいけないような輩ばかりが慕っている。被害者家族の娘、そしてそれによって心を入れ替えたその親。君が連れてきたピカチュウ、警察の中でも3割が慕っている。特に君を尋問した警察の中でリーダー格の警察官。彼は、君がとても苦しそうにしていたと話して心配していた。そして何より、君は犯人でないことを僕は知っている。今回誘拐したのは極悪組織ロケット団。カントー地方で活発に動いていたからやがて来るとは思っていたがホントにシンカントーにも来るとは思っていなかった。だがね、君が犯人じゃないと認めると今までの私のやり方を覆すことになるしロケット団が誘拐したと知らされれば不安が蔓延する。だから出来れば君には背負ってもらいたい」
「そんな、そんなんで出来る平和なんて一時的な虚飾でしかない。違うのか?」
俺は、こいつの言葉の一つ一つが俺に似ていて恐ろしく感じていた。
「その通りだ。僕もそう思う。僕、霧隠濾鬼の意見はこうだ。だから君にはいい契約の話がある。君は、あの君が助けた萌えもんとともに旅に出ろ。この世界に来たの最近なんだろ?僕もここの送られて力が無くてね。それで君と協力したい。どう?この世界の霧隠濾鬼こと濾鬼は、君の味方だ。もし君が旅に出てこの世界にいる目的のひとつ、より素晴らしい萌えもん使いを目指すのならば親友であり旧友として応援する。だからロケット団とやらの殲滅の協力をたのみたい。」
「なんだ、濾鬼、てめえか。・・まあいい。味方が大いに越したことは無いからな。乗ってやろう。その代わりもうこれ以上なんか悪事企むなよ?」
そういって元親友にして元最強の敵、トラウマの根源である濾鬼はこの日俺のこの世界ではじめての味方になった。