青春も、萌えもんも摩訶不思議すぎて訳が分からない 作:黒虱十航
草のベッドに運んでからこの子を眠らせ、一応罠を周囲360度に仕掛けてから俺も眠ることにした。
それにしてもこの辺は空気が澄んでいて心地よい。確かに暑い部分はあるが夜間は涼しい風も吹いている。
正直言ってものすごくありがたい。本来ならば色々検証したいところだったがちょっと疲れたし今までの
行動である程度つかめていたからとりあえず、明日歩きながらでもこの世界について聞けばいいだろう。
まあ、そういうわけでおやすみなさい。
翌日、俺が目を覚ましても尚隣には眠っている子がいた。時間的にはまだ、浅いんだろうな。でも、色々と
眠れなかった。いくつか理由はあるんだが簡単に言えばワクワクしている。何だ、こう初めてゲームをやった時に
読めない漢字を少しずつ紐解いていって読めるようにして少しずつ進めていくあの感覚。あれと同じ感覚。
俺もあれのせいでゲームにのめりこんだ。といっても俺の体ではないんだけどなそれ。まあ置いておこう。
とにかく、そういうワクワクどきどきした感情が俺を胸いっぱいにしてきた。まあ、実際ここまで獣っ子的な
生き物を見たのが初めてだしそれと共存して戦わせて、何ていう更にゲーム要素の強い世界、マジ感動だ。
ちょっと感無量なレベル。ああ、マジ感動する。まあ、俺的にはどうやって萌えもんと契約するんだって所から
分かってないから困ってるんだけどな。最低、何とかなるんじゃないか?とりあえず生きていればいいことある。
この世界の神様、大概適当のくせに失踪までしやがってそのくせしてこんな面白い世界まで造るとか誰得過ぎる。
まあ、別にいいんだけど。それよりもとにかく村に行くことが先決。何か話によると村長は若い村の者を
旅に送り出す義務があるとか行ってたし俺も送り出してくれるんだろう。それに付随して俺に萌えもんくれたら
尚うれしい部分である。それは、忘れよう。とにかく脱出。まあ、まだ明るいんだけど。体の違和感を
とるためにも一旦伸びをしてから色々と体操をする。体操というか簡単に体の部分を伸ばしたりするってだけの
ことだがいい感じに体も馴染んでくる。とはいえそれだけじゃ馴染みきってはいないようで近くにあった木に
回し蹴りをしたり上ってみたりして前、戦っていた時と同じように動く。流石に前のようには動かないがかなり
体が馴染んできた。ただそのせいでかなりうるさくしてしまったのか草のベッドで眠っていたその子は目を
覚ましてしまった。何か申し訳ない気持ちになりながらもその子の元に駆け寄ることにした。謝りはしない。
「お、起きたか。どうだ?もし今すぐいけるようだったら向かいたいんだけど、もしまだ体が駄目なら少し
待っても全然問題ないからな。」
謝る代わりに相手の調子を伺う。これぞぼっち流コミュ術。え?それって駄目じゃない?まあぼっちとコミュ障は
別だからな。ぼっちは面倒だからコミュニケーションとらないだけだし。マジで嘘じゃないよ。話す人は居るよ。
「あ、すみません、お、お待たせしてしまいましたか?はい、大丈夫だと思います。体の疲れは一気に取れたので
心配ありません。昨日は寝てしまいすみませんでした。こ、ここまで運んでくださったんですか?」
その子は申し訳なさそうに言ってくる。まあ、確かに俺も寝てしまって運ばれたらそう反応するけどさ。
その前に女の子なんだから責めて来るのが普通なんじゃねえの?それとも男の娘?まあ、言われなくていいけど。
ただ、ちっとばかり釈然としないだけの話だからな。それよりも俺と特にこの子。ぬれたまま寝たせいで
風邪ひくじゃん。俺は辛うじて動いてたから乾き始めてるけどこの子、毛皮とはいえ無茶苦茶ぬれてるし
パーカーのような毛皮だから毛皮じゃなくて脱ぎ着出来るのかもしれないけどこのままだと風邪ひくと思う。
「えーっとだな・・・。そのままだと風邪ひくだろ?それ脱げねえの?脱げるんだったら適当にその辺の葉っぱで
服作れるから作るけどまあ簡易的なものだからなそのままでいいならそのままでも良いし」
「あ、この服ですか?一応脱げますけど大丈夫ですよ。この服とかは、その萌えもんに当てはめられた服なんで
脱いでしまうと戦えなくなってしまいます・・なんで大丈夫です」
よく分からないが要するに脱ぐと大変なことになるから余計なお世話、ってことでいいんだな。じゃあそういう
ことで進むことにするか?別に無理強いする必要性はないしな。前みたいな戦う機会があるかもしれない。
「じゃ、行くか。えっとどっち方向だっけ?」
「こっちです」
と、言うわけで俺はその子に従って村のほうに進むことにした。とはいえ、である。どれぐらいの距離が
あるんだろうか。森ということもあって歩きにくく何だか不穏な空気がする。それでも歩き続けるがやはり
長い。疲れ切ってしまったでござる。ござる?キャラ崩壊したところで伸びをして気を取り返して進む。
そんなやり取りを続けて30分。そこそこ早く歩いているとはいえ森なので障害物もあり歩きにくくそのせいで
中々進めていない。勿論スタート地点の草のベッドがあったところがまだ見える、という風なことじゃないのだが
それでも長い。長すぎる。長すぎて嫌になるまでありえる。まあ、俺の根気のよさからしてそんなこと無いはず。
「ふぅ・・・疲れた。ちょっと休まないか?案内してくれてるところ悪いんだけどマジで疲れた。朝から
はしゃぎすぎたせいでな。森を歩きなれてないってのもあるけど。」
「はぁはぁはぁ。きゅ、休憩ですか?構いませんけどちょっと疲れましたね。」
ちょっとどころかこの子、無茶苦茶疲れているように見えるんですが、というツッコミは、しないほうがいい。
まあ、この子、ものすごく純粋だから弄りたくなる気持ちも分かるけどやめろぉぉ自分っっっ。っく・・・我が
右手が疼くぅぅぅ・・・。まあ、そんなことはおいておこう。弄るのはやめないと案内してくれなくなるかも
知れない。多分、この子はそんなことしないだろうけど。まあ、やめておいて、と。
「はぁはぁ。疲れたなぁ。この森ってどれぐらいで抜けられるんだ?あとどれぐらいで村に着く?」
「ふぅ、えっとですね普通に歩けば2時間ぐらいなんですけどその途中で萌えもんたちが住んでいる部分があって
かなりの数で群れを成しているのでちょっと遠回りしていきます。3時間ぐらい掛かりますかね・・それで」
ほぅ、なるほど。萌えもんの群れが固まってるわけか。となると確かに遠回りしたほうがいいな。でも、遠い。
圧倒的に遠いなぁ。3時間なんて、俺歩いたことねぇぞ。3時間ぐらい戦ったことはあったかな?昔の話だ。
「んじゃ、そうするか。群れにぶち当たって面倒ごとに巻き込まれるのは厄介だしな。いやぁ、それにしても
村かぁ。何となく面倒臭い気はするけど一応、話さなきゃだもんな。よし、行くか」
俺は決意してから立ち上がり出発を宣言する。この子も疲れが取れたらしく立ち上がり歩き出した。
ただ、俺は長年の戦闘勘(=学校生活で得た観察スキル)によって気付いていた。空気が少し揺れている。これは
おそらく何匹もの生き物が動く空気。それを感じながら俺はこの子についていった。