青春も、萌えもんも摩訶不思議すぎて訳が分からない   作:黒虱十航

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辿世8

休憩、といってもその集団がどこかに行くまで休むのは難しく、口で行くなとか言うのは気がひける。それを

考えてしまうとどうしても休憩時間に予防線を張ることしか出来ない。まあ、それでもないよりかはマシである。

「えーっと・・・そろそろ行きましょうか?」

「え?ああ、もう行くか?・・・・・・ああ、そうだなぁ、そうするか?ああ、それでもいいぞ。よし、じゃあ、

ラストスパート頑張るか・・・。・・大丈夫大丈夫。超、絶好調だ。出発。」

時間切れだ。もう流石に先延ばしには出来ない。後は、村人の集団である事を願うだけである。それを祈りながらテクテクと歩き出す。とはいっても全く策を考えていないのでもしもこれが危険を本当に察知できているのだとすればかなりまずいと思う。俺的にも分かる。ホントにやばいんじゃないの?

「どうなさったんですか?顔色が悪いですけど・・・もし調子が悪いなら今日はこの辺で野宿して明日、村に向かいますか?あ、でも野宿したほうが体調が崩れるかもしれませんし・・・」

そのこは、真剣に俺を心配してくれていた。ただ、俺もこの子もかなり消耗しきっている。俺の視力ならもう、分かる距離に集団が見えるようになっていたのだ。やばい。そう、脳内で警報が鳴らされる。ただ、もうここから逃げることはできない。回避不可。確実にロックオンされてしまっている。少しずつ距離がつめられてやがて、このこも気付くような距離に来るだろう。やばいぞ。ホントにやばい。姿が、見えにくく煙が出てしまっている。まるでこちらを確実に殺しに来ているようだ。それが何か目を凝らしてみるがやはり見えない。足取りが重くなる。それでも頑張って進むとやがて隣にいたこの子も気付いたのか急に立ち止まる。

「大丈夫か?何か青ざめてるぞ?震えてるしどうする?多分あいつら狙ってきてる」

「問題ないです・・けど、もし狙ってきてるなら、戦いますか?」

そのこは俺に決断をゆだねた。勿論、走り抜けることも出来る。可能性は低いだろう。だがな、こっちは2人。何とか分かれればどっちか片方は逃げ切れる。この子を囮にだってできる。しかし、そうじゃない。自分の危険は自分でどうにかしないといけない。それがぼっちであり俺なのだ。ルールだ。

「ああ、戦う。色々策は考える。ただな、煙のせいで完全に不利だ。気をつけないといけない。やばくなったらすぐ言ってくれよ。一度逃げて態勢を整える」

「は、はい。お気になさらずに。頑張らせていただきます」

俺の言葉に反応してからその子は静かに深呼吸をする。あちらの姿が完全に見えた。それは、俺の隣のその子に酷く似ている萌えもんばかりだった。おそらく同種族なのだろうが相手は黄色、この子は白だった。ぴりぴりと電気をまとっている。おそらくそのせいで物が燃えて煙がたっているのだろう。相手もこちらを睨んできている。群れの中でも一際大きく、目立っていて姿の違う萌えもんがこちらを睨んで仁王立ちをしている。本気だ。確実に全力で、というわけではないが手を抜くわけでもないだろう。何よりこいつは強い。

「おう、何だ?人間と契約したのか。よくもまあ、お前みたいな奴が契約してもらえたもんだなぁ。そこの人間、そいつは弱いぞぉ。それに他のやつとは違うしな。そんな奴契約せずにもっと良い萌えもんと契約したほうがお前の為だぞ。」

威圧的な態度をとっているその萌えもんはどうやら俺の隣のこの子の知り合いのようだ。他のやつよりも強い電気を放っていて他の萌えもんも何の心配も無くこちらをみている。

「知り合いか?」

「はい・・・昔、私がいた群れのリーダーです」

俺が訪ねるとその子は小声で答えた。震えている。これは恐怖だ。俺も知っている。孤独なんかよりも恐ろしい。自分に自信を持つことが出来ないのだ。それは死ぬことよりも恐ろしく死なないことよりも辛い。そして何よりそれは自分でどうにかしがたい。他人によってどうにかできることも無く、完全に底なし沼にはまっている。

「さて、どうする?わっちとしては、わっちの群れから外界に出るのはありがたいんだがね。でもそんなに弱い奴を連れてかれて評判が下がるのも嫌なんだよ。だからここを通したくない」

群れのリーダーたるその萌えもんは、自身の要求を言った。あれ?何で俺がこの子と契約する前提で話が進んでるの?別にいいんだけどさ、俺、旅出るかどうかすら怪しいんだぞ。急すぎない?

「リーダー、別にこの人は私と契約しようと思ってるわけじゃなくてただ、私が村まで案内してるだけで・・」

「それでもおそらく村まで帰ればその後一緒に行くことになるだろうね。わっちが見てきた中じゃそうだった。遭難しかけた人間を助けた萌えもんはその人間と契約するのが定石だ」

おそらくこのリーダーとか言う萌えもんは、かなり長いこと生きているのだろう。そして色々な萌えもんを見て来ている。だからその言葉には説得力があるはずだ。俺もなるほどと納得してしまいそうだ。だが、もしそうだとしてそれでも俺はこいつにいらっとしている。だから、思考を早め、策を弄する。

「じゃあ、分かった。勝負しようぜ。お前に勝てればこいつも認められるんだろ?取引だ。俺が勝ったらこいつを連れて行くしもう一つ、今後お前が萌えもんの動きを過度に制限しないことを誓う。その代わりお前が勝ったら俺はお前の言うことを三つ必ず聞いてかなえてやろう。やるか?」

「ほぅ・・・人間にしては面白い。ここまで腐った目とオーラで挑戦してきた人間なんて初めてだ。いいだろう。その提案に乗ってやる。だが、おそらくわっちには、勝てないぞ。絶対に」

よほどの自信があるのか俺の提案を容易く受け入れてリーダーの萌えもんは、数歩後ろに下がるように群れの連中に指示して軽く準備をしている。俺の隣の子といえば不安そうな表情は変わらずにぶるぶると震えている。何?そんなに俺って信用無いの?と、不安になりそうだったが相手の堂々とした態度をみて俺も震えそうだったのでそれについては”後”で聞くことにしよう。後でだぞ。聞かないわけじゃない。

「よし、じゃあ、10カウントしたら始めってことでいいか?」

「それで構わないぞ」

俺の提案に答えたリーダー萌えもんを確認して俺はカウントを始める。流石にここまででズルはしない。カウントを早くしたり遅くしたりとか馬鹿みたいな事は流石に、ねぇ?

「10,9,8,7,6,5,4,3,2,1、スタート」

側近らしき相手の群れの萌えもんがカウントをしてスタートの合図が下される。

「とりあえず逃げろ。逃げて逃げて逃げ続けろ」

「は、はぃっ」

俺はまず回避命令をする。相手の様子をみたい。どこからそんな自信が出てくるのか。すばしっこいその子がリーダーを囲むように走るが何ら動じる様子は無い。ここまで来るのに戦闘は2回、計3体しか倒していないのだが、俺の戦闘勘自体はしっかりと存在しているので経験の点では言い訳に出来ない。

 

 

そして、決闘が始まったのだ。

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