ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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106話

「まさか二天龍の共演をこの目で見る事が出来るとは……幸運とはこのような事を言うのでしょうね」

 

 

 俺の目の前には両手を広げ歓喜に震えた表情の男がいる。悪魔の羽に赤いドラゴンの翼、片腕は人間の腕だがもう片方はドラゴンの腕という異質な姿をしている……今日まで色んな相手と戦ったりしてたから分かるが強い。グレイフィアさんと同じ「ルキフグス」の悪魔でドライグの肉体の一部、さらにさらに次元の狭間に捨ててきた前の肉体からドライグの魂のデータ……? か何かを混ぜ合わせた存在らしいけど何が何だかさっぱり分かんねぇ! 話の内容から目の前に居る奴はドライグの力……つまり倍加と譲渡を使えるって考えた方が良いんだよな? まさか同じ力を持つ相手と戦う事になるとは思わなかったぜ!

 

 隣にはヴァーリが居るけど雰囲気からかなり怒っているみたいだ。それはドライグもアルビオンも同じみたいでなんと言うか……ロキとの戦いとはまた違った一体感ってのがあるな。正直俺も……話の内容とか色々わけわかんない所もあるけど一発ぶん殴りたい気分だぜ! だって俺の心のどっかで奴を許すなって思ってるからな……これがドラゴンとして当然の感情なのか分かんないけど俺はそれに従うつもりだ!

 

 

「すっげぇ余裕そうだな……ヴァーリ、さっきも言ったけど力を貸してくれ!」

 

「そのつもりだ。フッ、しかし俺と兵藤一誠を目の前にしてその態度とはな。リリスから生まれ、ドライグの力を宿した存在と言えどもお前のそれは偽物だ。仮初めの力で俺達に勝てると思っているのか?」

 

「さぁ、どうでしょうか。偽物が本物に叶わない道理は無いという言葉が人間界にはあるのでしょう? ならば戦ってみなければ分からないのは当然の事……それにこちらは現赤龍帝に劣っているとは思ってはいませんよ」

 

 

 不敵に笑うユーグリットが俺達に向かって手を伸ばすと濃厚な魔力が放出された。それを目にした俺とヴァーリは即座に戦闘態勢に入り二手に分かれる。上空を自由に移動しながら回避するヴァーリに対して俺は真っすぐ進んでは直角に曲がるのを繰り返して回避する……こればっかりはヴァーリとか黒井とか片霧さんとかが羨ましいぜ!

 

 

『相棒! すまんが俺は奴を生かしておくわけにはいかなくなった……いつも通り全力で行くぞ!』

 

「分かってる! 俺だって今日までキツイ修行をしてきたんだ! それを見せてやる!!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!』

 

 

 自分の力を連続で倍加させてユーグリットに向かってドラゴンショットを放つ。自慢じゃないが体を新調してから魔力が上がってるし特訓のお陰で新調前に比べて威力を上がってる! まぁ、黒井やヴァーリみたいに他の事は出来ないんだけどな……!

 

 

「現赤龍帝が得意とする攻撃ですか。ふむ」

 

 

 何かを考える様子を見せながらユーグリットはドラゴンの腕で俺が放ったドラゴンショットを――引き裂いた。嘘だろ……! 傷一つ付いてないどころか地上が軽く抉れたぞ!?

 

 

「弱いですね。もしや手加減をしてくれたのでしょうか? それならば遠慮はいりません。私を殺すつもりで来てください――と、現白龍皇の攻撃は受けるわけにはいきませんね。リゼヴィム様から反射の情報を聞いていますので」

 

「そうか。だが何時まで躱していられるかな?」

 

 

 北欧の魔法と悪魔本来の魔力を器用に放ちながらヴァーリはユーグリットへと接近していく。ヴァーリが持つ白龍皇の光翼の禁手が変異した姿、白龍皇の反射鎧はアルビオンが生前保有していた「反射」の力を宿している。本来だったらその名の通り何でもかんでも反射する事が出来るみたいだけど今は両手の籠手部分に触れないと発動できないみたいだ……俺からすればおっかないことには変わらないけどな! だって下手にヴァーリに攻撃しようものなら威力そのまま跳ね返ってくるとか怖すぎだろ!? ここ最近は黒井と模擬戦……遠くから観戦した事はあるけどあれって模擬戦って言って良いんだよな……? 黒井の切り札の漆黒の鎧とヴァーリの極覇龍が衝突してるけど殺し合いじゃなくて模擬戦をしてるんだよな!? ちゃんと加減して……ないよなぁ。だって黒井とヴァーリだし。俺だって何もしていないわけじゃないけど初代のじいさんから教わってる事って地味と言うかなんというか……基礎的な事だから強くなってるのかどうかいまいち実感しにくい。

 

 だって初代のじいさんが言うには総合的なバランスならヴァーリが一番、技術や防御力なら黒井が一番、攻撃力方面なら片霧さんが一番、そして俺はと言うと……その時のテンションによって追い越したりするが基本はビリらしいからな。言い返せないくらい妥当だよなとは自分でも思うがやっぱり悔しいものは悔しい!

 

 

『相棒! 気を抜くな!』

 

「っ、悪いドライグ!」

 

 

 そうだった、今は戦闘中……気を抜けば前みたいに死んじまう! 二度目の蘇生なんて絶対に無いからちゃんと集中しないとな!

 

 ヴァーリの速度に反応しながらユーグリットは俺達二人に攻撃をしてくる。ただ普通に魔力を放っているだけだがその威力は異常だ……躱してものが地上に当たった時の威力は下手をすると真紅の鎧状態で放つクリムゾンブラスター並みかそれ以上かもしれない。マジかよ……! 見た感じただ軽く放っただけだぞ!?

 

 

「……なるほど。ドライグの倍加の力で強化しているわけか」

 

「正解です。何しろこちらの体には赤き龍の帝王と称されたドライグの肉体の一部、そしてその力を宿しているのですから当然でしょう。もっとも()は倍加の力しか使えませんけどね」

 

 

 私はってことは譲渡の力を使えるお前もいるってことだよな……ちょっと何言ってるか分かんなくなってきたぞ! えーともしかしてこのユーグリットって奴は何人もいるのか?

 

 

『だろうな。ヤツは悪魔の母たるリリスから生まれたと言っていたからな、俺達と戦っている個体以外も存在するだろう……俺からすればふざけるなの一言だがな!』

 

『同感だ。我が友を侮辱することは許さん! ヴァーリ、ヤツの肉片一つ残さず消し去ろうか!』

 

「分かっているさアルビオン。兵藤一誠、すまないが加減無しでヤツを倒すとしよう。なに、ロキと戦った時のようにキミらしく戦えば良いさ。キミの場合は下手に考えるよりもその場の勢いで動いた方が実力が出せるはずだからな」

 

「……俺らしくか。ならいつも通りにやるだけだ! 俺はお前と違って天才じゃなくて馬鹿だからな! 正面からぶっ倒す!」

 

「それで良い」

 

 

 なんか認められてる気がして恥ずかしくなってくるな……でもいつも通りに戦うだけだ! 確かに俺は黒井やヴァーリ、片霧さん、犬月達と比べると実戦経験は殆ど無いし相手を殺す覚悟も無いけどさ……逃げたくはない! だから俺らしく戦う!

 

 ユーグリットが放ってくる攻撃を躱しながら次の手を考える。速度特化の龍星の騎士(ウェルシュ・ソニックブースト・ナイト)になれば直線だけならユーグリットを超えるだろう……でもヴァーリの速度に反応している相手に直線のみ速くなっても対応される。下手をするとカウンターで大ダメージを喰らう恐れもあるな……かといって砲撃特化の龍牙の僧侶(ウェルシュ・ブラスター・ビショップ)でドラゴンブラスターを撃ってもさっきみたいに簡単に防がれる! だからと言って龍剛の戦車(ウェルシュ・ドラゴニック・ルーク)は論外だ……動きが遅すぎて当たる前に反撃を喰らう! 畜生……トリアイナだとユーグリット相手には殆ど打つ手がない!

 

 

「正面からですか。ふむっ、面白いですね。速度特化の騎士か砲撃特化の僧侶、もしくは打撃特化の戦車でしょうか? それとも真紅の鎧になるのでしょうか? どれでも構いませんよ。兵藤一誠、貴方が何で来ようと受けて立ちましょう」

 

 

 余裕そうに言ってるがその内の三つは使用不可だっての! いくらヴァーリが味方だとしても足手まといにはなりたくないしな! となると……手は一つか!

 

 

『あぁ、真「女王」となろうか相棒! ヤツを相手にするならばトリアイナよりもそちらの方が良いだろう』

 

「だよな……おれもそれしかないと思ってたぜ! やろうぜドライグ! お前の偽物をこの手でぶん殴るためにな!」

 

『応!』

 

 

 覚悟を決めた俺は自分の体の中にある駒のシステムを変えるために呪文を唱える。それを見たヴァーリは俺から意識を逸らすためかユーグリット相手に接近戦をしかけ始める……助かるぜ! 本当に頼りになるライバルだよお前は!

 

 

「――我、目覚めるは」

 

 

 前までだったら歴代の先輩方の声が聞こえたが今はそれが無い。サマエルの毒から俺を護るために先輩方はその身を犠牲にして俺を救ってくれた……だけど神器の中には居なくても俺の中に、俺の魂には先輩方はいる! こんな弱い俺だけど一緒に戦ってくれ!

 

 

「――王の真理を天に掲げし赤龍帝なり」

 

 

 俺が纏う鎧が「赤」から「紅」に変化していく。俺は確かにヴァーリや黒井、片霧さん達に比べると弱いかもしれない。でもだからって逃げるわけにはいかない! だって俺は優しい赤龍帝に……そしてハーレム王になるんだからな!!

 

 

「――無限の希望と不滅の夢を抱いて王道を往く」

 

 

 地上では邪龍に変化した魔法使い達を相手にリアス達や犬月達が戦っている。やっぱり黒井の近くに居るからか遠慮が無いというか……手慣れているというか感想に困るな! でもこんな時は凄く頼りになる!

 

 

「――我、紅き龍の帝王と成りて」

 

 

 さぁ、行こうぜドライグ!! 一緒にアイツをぶん殴ろうぜ!!

 

 

「――汝を真紅に光り輝く天道へ導こう!!!」

 

《Cardinal Crimson Full Drive!!!!》

 

 

 ヴァーリのお陰で無事に真「女王」形態、真紅の赫龍帝になる事が出来たぜ! さてと助けてもらったんだから今度は俺が頑張らないとな!

 

 俺の鎧が変化した事にユーグリットは興味深そうな表情をしながら軽く拍手をしてきた。くっそ、ヴァーリと戦ってるくせに余裕そうだなおい……!

 

 

「それが真紅の鎧ですか……なるほど、現赤龍帝の主の髪色と同じとは運命を感じますね。さぁ、どこからでもかかってきてください!」

 

「だったら遠慮なくいかせてもらうぜ!!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!』

 

 

 背中から生えている翼からキャノンを展開して魔力を込める。挑発に乗って接近したら返り討ちなんてこともあり得るからな! だから一発デカいのぶっ放して体勢を崩す!

 

 周囲に響き渡るほど俺の鎧から音声が鳴り響き、俺の力が高まっていく。地上には撃てないが空中、しかも今のユーグリットが居る方角なら別だ……遠慮無しで撃ってもリアス達には当たらないから思いっきり行くぜ! 高めた力をキャノンに込めてユーグリットを狙う……俺の力が一気に高まったからか距離を取ろうとしたがヴァーリがそれを止めるように魔力や魔法で攻撃している。ヴァーリ……当たったらゴメンな!

 

 

「クリムゾンブラスタアアァァァァァァツ!!!!」

 

 

 背中の翼から展開したキャノンから真紅の砲撃がユーグリットへと放たれる。流石と言うべきかヴァーリはクリムゾンブラスターを放つ瞬間に離脱している……なんであのタイミングで動けるのか分からないがこれでヴァーリには当たらない!

 

 

「……これは」

 

 

 ユーグリットは龍の腕に力を込めて真横に振るって――俺が放ったクリムゾンブラスターを引き裂いた。と言っても二発同時にじゃなくて片方だけだ……それだけでもスゲェよ。まぁ、でも一発でも残ればこっちのものだ!

 

 逸れたクリムゾンブラスターに意識を向けて一気に曲げる。初代との修行の合間に魔力、正確に言えばドラゴンショットとかドラゴンブラスターとかを自在に曲げれるように訓練してたからたとえ外れても相手に当てられるんだよ! その分かなり難しいから動けないけどな……! 才能がないってのはつらいけどその辺りは気合と根性だ! 悪いがその辺りはヴァーリ達には負ける気は無いぜ!! なんせ俺はリアスの兵士だからな!

 

 

「なに……!」

 

 

 逸れたはずの砲撃が自分に向かってきたことに驚いたのか先ほどのように龍の腕で引き裂くことはしないで目の前に障壁を張って防ぎ始める。へへっ……弱いって言っても俺だって頑張ってるんだ! 余裕そうにするのもこの辺りで止めといたらどうだ!

 

 

「流石だ兵藤一誠。さて、隙を見せたな!」

 

 

 俺が放ったクリムゾンブラスターを防いでいるユーグリットを見たヴァーリが先ほどまでよりも速く動いて接近して胴体に拳を叩き込んだ。よし! ヴァーリの白龍皇の光翼は触れた相手の力を半分にする! これでユーグリットの力が一気に無くなる!

 

 

「お前がドライグの力をどこまで使えるか試してやろう」

 

『DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide!!!!!!』

 

「くっ……白龍皇の半減ですか! ですがこちらにはドライグが持つ倍加がある!」

 

「紛い物如きがアルビオンの力に追いつけるわけがないだろう? それにだ――兵藤一誠から視線を逸らすべきでは無いぞ」

 

「――はっ!?」

 

「ユーグリットォォォッ!!!」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』

 

 

 背中から魔力を放出してユーグリットへ接近しながら一気に倍加! 何をするかなんて決まってるだろ……お前は言ったよな! 悪魔でありドラゴンであるって! だったら龍殺しは弱点だよな!!!

 

 

「ドライグゥ!! アスカロンに力の譲渡!!」

 

『Transfer!!!!』

 

 

 アスカロンが宿る拳でユーグリットの顔面をぶん殴る。高めた力を一気にアスカロンに譲渡したからドラゴンの力を宿す身にはかなり効くはずだ……なんせ最強の龍殺しってのを知ってるからな! それがどれだけ辛いかは俺が一番知ってる! でもまだまだ終わらねぇ!! 折角の学校を滅茶苦茶にしやがった分が残ってるからな!! 半分以上と言うか大部分は黒井だけどこの際だからお前に全部ぶつけるぜ!!

 

 両腕でユーグリットの肩を掴んで再び倍加する。俺がやれることは殴る事と砲撃を撃つこと……そしてもう一つは火を吐くことだ!! タンニーンのおっさん仕込みの火の息を喰らえ!

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』

 

「また、倍加……!」

 

「龍王仕込みだから結構熱いぜ!」

 

『Transfer!!』

 

「させません! この程度――ぐぁ、ち、力が……!!」

 

「俺を忘れてもらっては困るな」

 

『DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide!!!!!!』

 

「ヴぁー、リ、ルシファァァァァァッ!!!」

 

 

 力が一気に半減されたことで初めて怒りの表情を浮かべるユーグリットに火の息を浴びせる。全身に燃え広がる炎にユーグリットは叫びだすが攻めるのを止めはしない……籠手からアスカロンの刃を出して龍の腕へと変化している方をぶった切る。これで攻撃も防御も弱体化したはずだ……後はこのまま一気にってところで腹に蹴りを喰らってユーグリットの肩から手を放してしまい、距離を取られてしまう。いや、気にするのは後だ……今は片腕を落とせただけラッキーと思おう!

 

 

「これが……二天龍ですか。競い合ってた存在同士が手を取り合うとこれほど厄介だとは……ですがまだ終わりではありません! 私は新ルキフグス! ここで逃げ出すような存在では無いのですから!!」

 

「そうか、ならば消えるが良い。兵藤一誠、俺は極覇龍を使う気は無いがあれを消し炭に出来るほどの攻撃が無いのであれば考えるがどうだい?」

 

「……へへっ、俺を誰だと思ってんだよ! 攻撃力なら片霧さんだって追い越す時があるんだぜ! あるに決まってるさ!! ドライグ!!」

 

『良いだろう。見せてやろうではないか相棒!! アルビオン……すまないが手を貸してくれないか?』

 

『勿論だとも。お前の苦しみは私の苦しみ、お前の敵は私の敵なのだからな! ヴァーリ!』

 

「了解した。ではそろそろ終わりとしようか!」

 

 

 本当に頼りになるライバルだよ! さてと……今から撃つのはとっておきのとっておき! ドライグとアルビオンが和解した事が切っ掛けで使えるようになった一撃だ。勿論、簡単には使えないし準備段階で俺は動けなくなる……だけどその分、威力だけならクリムゾンブラスターを遥かに超すぜ!

 

 

「何をしようとしているか分かりませんがそう簡単に――っ、これは……!!」

 

「言ったはずだぞ? そろそろ終わりにするとな!」

 

『Half Dimension!!!』

 

 

 ヴァーリが空間を歪めてユーグリットを拘束する。よし! あれならしばらくは動けないはずだ……この間に準備させてもらうぜ! 心の中でヴァーリに感謝しながら俺は地上へと降りて一気に力を高める。

 

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!』

 

 

 全身から大音量で鳴り響く音声によって俺の力が極限まで高められる。その力を解き放つために鎧の胸部と腹部が変形していき、一つの砲台が現れるがそれだけでは終わらず背中の翼に格納しているキャノンを展開してユーグリットへと向ける。さらに全身の鎧が龍剛の戦車状態のように分厚くなって肩、腰、翼から魔力放出口が出現する。俺の鎧が変化していく中で極限まで高まった力が三つの砲身に集まっていくとまるで共鳴するように空間が軽く歪み始める……さぁ、準備完了だ! 覚悟しやがれ!!

 

 

『相棒! 遠慮はいらん! 全力で放て!!』

 

「応!! 行くぜ!!! トリニティ……クリムゾンブラスタアアァァァァァァァッ!!!!!!!!」

 

『Trinity Crimson Blaster!!!!』

 

 

 俺の叫びと共に、三つの砲身から真紅の砲撃が放たれる。ドライグとアルビオンが和解した事で現れた三つ目の砲身と元から有った二つの砲身から放たれるクリムゾンブラスターは極限までに高められた力を圧縮しているため威力は格段に……いや異常なほどに上がってる。勿論、三つ同時に放つから足場がちゃんとしてない所じゃないと撃てないし何より放った際の余波が凄いから周りに人がいると確実に巻き込んじまう……でも空中なら誰も居ないから遠慮無しで撃てる!

 

 

「――これが、死ですか」

 

 

 ユーグリットは俺の攻撃を防ぐ気すら無かったのか真紅の砲撃の中に取り込まれるように消えていった……なんと言うか最後は潔かったな? いや! 今は勝てたことを喜ぶべきだな! くっ、やっぱり体が痛いな……三つ同時に撃った衝撃が凄すぎるぞ!!

 

 

「……死んだか」

 

『そのようだ。しかし良かったのかヴァーリ? 先ほどまで怒りを抱いていただろう?』

 

「なに、ドライグの力を持つ存在は兵藤一誠の手で倒すべきだと判断しただけさ。俺の手で葬るべきだったのであれば謝ろう」

 

『構わんさ。リゼヴィムの事だ、別個体を複数用意していてもおかしくは無い。再度であった時に我らの手で葬れば良いだけの事……だがヴァーリ、その顔はどこか物足りないと言いたそうだぞ?』

 

「そうかもな」

 

 

 いやいや……あれで物足りないとか頭大丈夫かよ? 俺としては二度と戦いたくないってのにさ!

 

 

『残念だがそれは出来そうにないかもな。なに、相棒なら俺の力を使う紛い物などには負けんさ』

 

「ですよね……でも、そうだな! 負けたくないもんな!」

 

 

 これからもっと強くなって皆を護れる赤龍帝になる! そしてハーレム王にもなる! でもまずは――疲れたからリアスのおっぱいの中で眠りたいぜ!!




「トリニティ・クリムゾンブラスター」
ロンギヌス・スマッシャーを放つ砲身と背中の翼に格納されている砲身の三つ同時に放たれる砲撃。
イメージはガンダム00、セラヴィーガンダムのクアッドキャノン。

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