ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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111話

「……ここは、神器の中ってわけじゃねぇな。レイチェル、無事か?」

 

「は、はい……怪我一つ負ってはいませんわ。キマリス様……此処はいったいどこなのでしょうか?」

 

 

 全身真っ黒な女による転移術式によってどこかに飛ばされた俺達の目の前には異様な光景が広がっていた。天井や壁、家具類が黒一色で統一されており、少し離れた窓から見える空は真逆の真っ白に染まっている。それだけならまだ良いが天井からつり下がっているシャンデリアの明かりも白、床に敷いてある絨毯の模様も白とまるでモノクロの世界に迷い込んだかと錯覚しそうになる……というよりも黒と白以外の色を持つのは俺とレイチェルが着ている服ぐらいだ。周囲を見た時は一瞬、神器の中に意識を落としたのかと思ったがレイチェルが傍に居る以上、その線は無くなったが……マジで似てるな。

 

 

『――帰ってきちまったか。あぁ、クソがぁぁ!! あの若作りババア! いきなり現れて俺様達を弟子呼ばわりしやがった! 挙句の果てには()()()に飛ばしやがって! 殺してぇ! あぁ、殺してぇぞ!!!』

 

「……影の国と言いますと女王スカアハが治めるという異空間と文献や噂で聞いてはいましたが……此処がそうなのですか!?」

 

『おうよ。この俺様が生まれ、外に飛び出すまで何十何百何千何万と殺害され続けた故郷だ。宿主様、すまねぇ……まさかあのクソババアが強引な手段をとるとは思わなかったぜぇ。あれは究極の引きこもりでなぁ、外の世界に興味など抱かない奴だと思ってはいたがまさか自ら外に出て俺様達を連れ去るとは考えもしなかった』

 

「てことはあの全身真っ黒女がスカアハか……相棒、確か夜空の話ではD×D学園襲撃の際にも外に出てたらしいがまさかずっと外に居たって事か?」

 

『分からねぇがそれはねぇはずだ。あのクソババアが現世に出て戻ってこねぇなど分かればルーの野郎やダグザのジジイ、他のケルトに属する神々が放置するわけがねぇからな。なんせ此処を治めている女王が居なくなれば外で彷徨っている亡霊共が現世に出てちまうからよ。クソが……! 何考えてんだあの女は!!』

 

 

 俺の手の甲からガチギレしている相棒の声が響き渡る。何年も一緒に居るから今の相棒が心の底からキレている事は分かる……まぁ、スカアハに数えきれないぐらい殺害されたらそうなるよな。俺だって同じ目に合えば相棒のようにガチギレすると思うし。つーかあの真っ黒女がスカアハか……目に光が宿ってないとかヤンデレですか? やめてください、ヤンデレは水無瀬達だけで十分です。相棒達から頭がおかしいなどと言われている奴のヤンデレとか想像したくないんだが? もしかしてこんにちは死ねから始まって死んでずっとここに居ろとか言わないよな……いや俺が想像する以上の事があってもおかしくはないかもしれねぇ。うわぁ、帰りてぇ。

 

 不安そうなレイチェルを落ち着かせるために手を握りながら周囲を見渡す。キマリス領にある実家にも俺達が居るような部屋はあるから多分、客室かなんかだろうが俺達よりも先に巻き込まれたっぽい犬月達の姿は見えない。別の部屋か……つーか窓から外の景色が見えるけど怨霊やら亡霊やら色々居過ぎだろ。地面が見当たらないってことは此処は二階か……? あっ、違うわ。崖の上かよ……見た感じ底が見えないから落ちたら上がるの大変そうだ。でもなんで壁っぽいのが見えるんだ? まぁ、今はどうでも良いけども。というよりも亡霊の類が居ようと俺には全く問題無いが傍に居るレイチェルが体調不良になったらどうすんだよ。ただでさえ影の国に飛ばされましたって状況でもアウトなのに倒れたりでもしたらフェニックス家から責任とれとか言われかねない! だって明らかに結婚させようって動きしてるしな!

 

 

「……キマリス様」

 

「とりあえず犬月達を探すぞ。良いか、体調が悪くなったりしたらすぐに言え。心配させまいと無理して悪化でもされたらこっちが迷惑だからな……あと俺から離れるな」

 

「も、勿論ですわ……こ、このレイチェル・フェニックス、キマリス様を頼りにしていますもの!」

 

 

 こんな状況でもいつもの様にドヤ顔出来るのはある意味すげぇわ。流石お姫様ってか?

 

 レイチェルの度胸的な何かを目にしたからか地味に落ち着いた俺は部屋の扉を開けてすぐに外へ出ずに様子を窺う。この部屋同様に明かりは白くそれほど明るくないからか薄暗いという印象がある。長い廊下が続いており別の部屋に入るための扉がいくつか見えるが物音はしていないから誰かが居るわけでもなさそうだ……いやそれよりも分かっていたがマジで白と黒しかないなおい……この部屋に飾ってる絵画とか白黒だしちょっと離れた所に置かれている花も白黒。今は良いがこれが続くとなると流石に目が痛くなりそうだ。

 

 

「……見た感じ、俺の実家みたいな城――」

 

 

 部屋から出て一歩、たった一歩だけ歩いた瞬間、真下から槍のような鋭い何かが複数生えてきて俺の腹や腕、足を貫いた。目の前で殺人事件的な何かが起きたからか駆け寄るためにレイチェルは俺と同じように部屋の外に出ようとしたので腹から血を流しながらその場に居ろと命令する。クッソ……! 罠ぐらいはあるだろうなとは思ってたが初っ端からとはやってくれるじゃねぇか! いきなりの事で影人形を生み出す時間すらなかったぞ!? 部屋の中から凄く心配そうに見つめてくるレイチェルだが安心してくれ! 夜空との殺し合いで上半身が吹き飛んだり寧音や芹との殺し合いで骨という骨が粉々に砕かれたりしている俺からすれば()()()腹や腕を貫かれた程度だ! あまりにも優し過ぎて逆に涙が出てくるね! だがもし先に部屋を出たのがレイチェルだったら……柄じゃないが俺は自分が許せなかったかもしれねぇけどな。

 

 だって女の腹にこんなのが突き刺さる光景を目の当たりにするとかちょっと……ねぇ。一応、護るとか声高々に言ってるんだしさ! 俺がこんな目に合うのは良いのかって平家辺りから言われそうだが俺は良いんだよ、慣れてるし。

 

 

「キマリス様!?」

 

「気にすんな、たかが……腹を貫かれた程度だ。この程度で取り乱してたら俺の契約者は務まらねぇぞ」

 

 

 影人形を生成して床から生えた槍もどきをへし折ってそのまま腹から引き抜く。出血を止めていた栓とも言える槍もどきを引き抜いた事で貫通した穴からドボドボと赤い血が流れ始めたがいつもの光景なので取り乱すことなく「再生」を発動して傷を塞ぐ。前までだったら鎧を纏わなかったら使えなかったが今ではごらんのとおり! 鎧を纏わなくても相棒の力である「再生」能力を使えるようになった! いやマジでよかったわ! うん、これも夜空の腋を舐めたおかげか? もしそうなら夜空の腋を崇めるしかねぇな!

 

 

『わりぃ、言い忘れてたがこの城内をうろつくなら覚悟しといた方が良いぜぇ? 至る所にさっきみてぇな罠が仕込まれてるからな!』

 

「……絶対わざとだろ」

 

『ゼハハハハハハハ! 当然よぉ! 俺様の宿主様ならこの程度の罠ぐらいで死にはしねぇだろ? 俺様、空気が読める邪龍として非常に定評があるからな!』

 

「俺だったから良いがレイチェルが引っかかったらどうすんだよ……ちなみに一度発動したものは二度と起動しないという素敵仕様――じゃないようだな」

 

 

 同じ場所に立ち止まっていると再び槍もどきが生えてきて串刺し状態になる。デスヨネ! はいはい再生再生っと。

 

 ちなみにだが鎧を纏っていない状態でも再生能力を使えるようになったのに加えてなんと……なんと! 服まで再生するようになりました! これで鎧の下は全裸という状況にならずに済んで俺様、凄く感謝ものです! いや別にレイチェルが俺の全裸見たいって言うなら喜んで見せますけどね! まぁ、既に風呂とかで見られてるんだがな。

 

 

『さらに忘れてたぜ! 五秒以内には再起動するから気を付けろよな!』

 

「言うの遅いっての……俺だけならまだ良いがレイチェルが居るから軽く準備しないとダメだな。幸い、部屋の中は安全っぽいのが地味に助かる」

 

『え?』

 

「は?」

 

 

 おい相棒! なんだそのテメェはいったい何を言ってんだって感じの声色は!? まさか部屋の中も危険ですとか言うんじゃ――あぁ、うん。危険ですね! はい!

 

 視線の先には武装した亡霊っぽい何かが俺達を見つめている。なんか地面から生えてくるように現れたんだけど何あれ? 部屋の外から出れば串刺し、引きこもっていても亡霊に襲われるとかどうやって此処に住んでんだよ? 凄く退屈しなさそうで羨ましい……わけがねぇわ。これが平家辺りだったら引きこもれない部屋なんて存在して良いはずがないとか言ってマジギレしてるぞ。

 

 

「……一応聞くけどあれも罠か?」

 

『そうだぜ! 爆睡中に襲われても対処できるようにとスカアハが設置したものだな! ゼハハハハハハ! 部屋の中なら安全だと安心しきった弟子共が寝てる間にこいつらに殺されてよぉ! あのクソババアが呆れてたのを思い出したぜ! 懐かしいなぁ、帰ってきちまったなぁ。おいおい宿主様、まさかとは思うがこの場所に安全地帯みてぇなものがあると思ってたか?』

 

「まぁな」

 

『ゼハハハハハハハハ! あのクソババアが住む城、いやこの影の国にんなもんあるわけねぇだろうが!』

 

 

 納得しか出来ない言葉をありがとう!

 

 とりあえず襲ってきた亡霊共を霊操で支配して消滅させる。こういう時だけキマリスに生まれて良かったと思えるな……亡霊というか「霊」の類なら無双できるし。

 

 

「よし対処完了っと。いやマジでどうする……廊下に出れば串刺し、黙ってても亡霊に襲われる。いやさっきの奴らなら俺が居れば対処できるから問題無いが流石に何度もやられるとウザい。相棒、此処って壊せるか?」

 

『無理だな。俺様がまだ此処に居た頃の話だがこんのクソババア! ウゼェ! 死にやがれと城の中で大暴れしたが壊れもしなかったからよぉ。もっともその当時は影を生み出す力と不死身が取り柄のドラゴンだったから今だったら可能かもしれねぇけどな!』

 

「お、おう。ちなみに燃やすことは?」

 

『過去に俺様がやったが即効で消えたぜ。ついでに言うと窓の外だが見て分かる通り崖だ。落ちたら最後、這い上がってくるのは至難の業ってやつよ! 宿主様達は空を飛べるから幾分楽といえば楽だが罠が仕掛けられててなぁ~弾幕ゲー並みの攻撃が襲ってくるから要注意だぜ!』

 

「……いっその事、崖の下に落とすか」

 

『ゼハハハハハハハハ! わりぃ、宿主様。それも過去に俺様がやったがこの城自体が浮くから意味ねぇぜ!』

 

「マジかよ」

 

「いえ……そもそも試しすぎですわ」

 

 

 レイチェルが呆れ顔で呟いたが俺もそう思う。恐らくだが俺が思いつくものは全て相棒は試しているだろう……という事は対処の方法が無いってことになる。まじでぇ……あーめんどくせぇ。てか思ったんだが俺達を連れ去った本人はどこに居るんだよ? まさか私は此処だから会いに来いって奴なら平家以上のかまってちゃんだぞ! そう考えるとノワール君依存率ナンバーワンなアイツってまだ性格良かったんだな。今初めて知った衝撃の事実……か? とりあえず帰ったらモフっておこう。

 

 

『宿主様が考えた通りだぜ。あのクソバアアは宿主様が自分の前までやってこれるかどうか試してるのさ! 途中で死ねば呆れるし五体満足でやってくれば嬉々として今以上に辛い修行を行うだろう! あの女にとってこれぐらいは出来て当然、出来なければ死ねだからな! もっともケルトに属する奴らにとっちゃ常識なんだがよぉ!」

 

「……なぁ、それって普段俺達がやってる事とあんまり変わらない気がするんだが?」

 

「それはキマリス様だけですわ……」

 

 

 マジで?

 

 

『それよりもどうしたんだよ宿主様! やけに慎重じゃねぇか? いつもだったら罠があろうがとりあえず進んでみるかと言うだろうによぉ?』

 

「俺だけだったらな。だが傍にレイチェルが居るからよっしゃ突き進むか! とかは出来ねぇっての。いくらフェニックスの再生能力があったとしても目の前で知り合いが串刺しやらなにやらって感じになるのはなぁ……赤の他人だったら迷わず相棒が言った通りにしたけどさ」

 

「キマリス様……それならば問題ありませんわ! このレイチェル・フェニックス、キマリス様と契約した時からその手の類は覚悟していておりましたもの! それにフェニックスの再生能力を甘く見てもらっては困りますわ――お兄様のような豆腐メンタルとは違いますの! キマリス様や早織さん達と暮らして精神力だけならばフェニックス家の中でも一番だと自負しております!」

 

「さらっとライザーが貶されたような気がするんだが?」

 

「事実ですもの」

 

 

 おいライザー、お前自分の妹に豆腐メンタルとか言われてるけど大丈夫か? いやどうでも良いけど。

 

 

「――そっか。なら悪いが付き合ってもらうぞ。なに心配するな……怪我一つ負わせねぇよ」

 

 

 俺の言葉にレイチェルは頷いた。さてと……まずはあの真っ黒女に会いに行くとすっかねぇ! 犬月達の安否も気になると言えば気になるが仮にも俺の眷属だ、たかが拉致られた程度で黙ってるような連中じゃねぇしな。本当なら王権限で近くに呼べればいいんだがどうもその手の対策がされてるやがるのが地味にめんどくせぇ……まっ、アイツらなら俺が動いていればその内やってくるだろ。

 

 そんなわけで即座に鎧を纏い、レイチェルをお姫様抱っこする。顔を赤くしているお姫様が地味に可愛い! さてさて……覚悟は良いなスカアハ? 言っておくが俺を此処に呼んだことを後悔させてやるから覚悟しておけ!

 

 

「ゼハハハハハハハハハ! 行くぜ相棒! レイチェル!」

 

「はい!」

 

『おうよぉ! あのクソババアに俺様達の恐ろしさを見せつけてやろうぜ! さぁ、大暴れの時間だぁぁ!!!!』

 

『ShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShadeShade!!!!』

 

 

 全身から影を生み出して部屋中を覆い、廊下へを走らせる。俺が生み出した影に反応したのか槍もどきが床やら天井やらから生えてきたが知った事か……! レイチェルが覚悟を決めたんなら俺は俺らしくやるだけだからな!

 

 

「一歩でも外に出れば串刺しだ? 知った事かそんなもの! ゼハハハハハハハハハハ! 相棒! 罠があったらどうすんだっけ?」

 

『決まってんだろ――気にせず突き進めだ!!』

 

「おう! さらに言うと罠があろうが無かろうが手当たり次第にぶっ壊すのが俺達だ!!」

 

 

 影からいつもの様に影人形を生成して影やら床やら手当たり次第にラッシュタイムを放つ。勿論「捕食」の力を発動するのも忘れない! スカアハが暴れ回る相棒対策として強固にしたのかどうかは知らないがムカつくから破壊させてもらうぜ……確かに此処に拉致られた時は手も足も出なかったが甘く見過ぎだぜ? 勝手に連れてこられて自分の元までやってこいとか上から目線過ぎてすっごくムカつくからな! 何があろうと徹底的に破壊させてもらうから覚悟しとけ!!

 

 怒りを力へを変えるようにラッシュタイムを放つ影人形を使役しながら廊下を歩く。一歩進むごとに罠が起動するが出ると分かっているならば影人形で対処できるのでさっきまでのように串刺しとかにはならない。つーかマジで硬いな……ラードゥンの障壁並みだぞ? まっ、それでも壊すのが俺達だけどな!

 

 通り過ぎる部屋から出てくる亡霊共を支配してそれを媒体に影龍人形を生み出す。分かってるさ相棒……お前も破壊したいんだよな? だったら思いっきりやってくれ!!

 

 

『ゼハハハハハハハハッ! 流石は俺様の宿主様だ! よく分かってんじゃねぇの! 昔は無理だったかもしれねぇ……だがな! あの神に封印されて宿主様と出会った俺ならば不可能な事なんざあるわけがねぇんだよ!!』

 

 

 俺達が歩く廊下の広さでは収まりつかないほど巨大な影龍人形に意識を移した相棒は高笑いしながら壁や天井を押すような動作をし始める。なんと言うか窮屈そうだな……大丈夫か?

 

 

『宿主様!!』

 

「おう!」

 

 

『ObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtainObtain!!!!!』

 

 

 生み出した影、ラッシュタイムを放つ無数の影人形、そして窮屈な状況から逃れようと暴れている影龍人形という多くの「影」に触れている存在の力を一気に奪い取る。轟音が鳴り響き、地響きすら起こり始め普通の建物ならとっくの昔に崩壊している状況だが未だに健在とは恐れ入るよ――もっともそれも終わりだがな。

 

 ピキッとどこかに亀裂が入る音がした。それを聞いた俺と相棒はニヤリと笑い、ゼハハハハハと高笑いしながらさらに影を生み出し力を奪う。たとえ影の国だろうが関係ない! 好き勝手に生きて好き勝手に殺し合って好き勝手に死んでいくのが俺達だ! それを邪魔するって言うなら神だろうが魔王だろうが世界だろうがぶっ殺す!!

 

 

「『ゼハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!!!』」

 

 

 影龍人形の頭部が天井を貫き、影人形のラッシュによって壁が破壊される。よし! 破壊できると分かればこっちのもんだ! 手当たり次第に壊し続けるだけだからな!! ちなみにお姫様抱っこ状態のレイチェルだがあまりの光景に絶句しているらしい。大丈夫大丈夫! これぐらいならいつもの事だから早く慣れた方が良いぜ!

 

 

『よっしゃぁっ! ほれ宿主様、頭に乗ってみろよ! 自慢じゃねぇが景色だけは良いからよぉ!』

 

 

 まるで子供のようにはしゃいでいる相棒の言う通りにレイチェルを抱えたまま影龍人形の頭部へと昇る。空は真っ白で建物の色は黒、遠く離れた森とかも黒……マジでモノクロの世界だな。白と黒しか存在していないという異様な光景だが相棒の言う通り景色だけは良いのは本当だ。というよりも気のせいか……かなり離れた森で誰かが暴れているんだが? つーかあれ四季音姉妹じゃね? だって一直線に地面抉るような破壊力を持つ奴なんてあいつ等ぐらいだし。マジかぁ……外に居たのかよ! 通りで建物内で暴れててもやってこないわけだ!

 

 

「き、キマリス様! あちらで何やら戦ってるような光景が見えますわ!」

 

「だな。あの威力からして四季音姉妹だな。どっちが居るかは分からんがとりあえず無事っぽい……とりあえず会いに行くか。相棒、頼むわ」

 

『任せとけ! 今の俺様は機嫌が良いからな! 紳士的に運んでやるぜ!!』

 

 

 逞しいと思える翼を広げて空を飛び、戦闘が行われているらしい場所へと飛ぶ。足元には影龍を模した人形、そして手元にはお姫様……どこかの映画かと言われたら納得しそうになるシチュエーションだな! 囚われのお姫様を救出した王子様とかなんかそんな感じの奴! なんだろう……平家辺りからどちらかというと誘拐した魔王だと言われた気がする。き、気のせいだな!

 

 空を飛びながら周囲を見渡すが何とも異様な光景だった……先ほどまで俺達が居たらしい建物は崖の上に建てられておりそれを囲うように七つの城壁が城から離れた場所に並んでいる。俺達が居た城に辿り着くには侵入者を突破させないためかデカいドラゴンや獣が門番らしき奴らを倒して唯一繋がる一本道を進む以外は無いみたいだな……いや空を飛べる奴ならどこからでも可能か。というよりもこれが影の国か……見た感じ、此処で暮らしている奴は居ないっぽいな。まぁ、亡霊共が彷徨ってる時点で居ないだろうとは思ってたけどよ。

 

 

「よぉ、無事か……おい、なんで居るんだよ?」

 

 

 戦闘が行われていた場所へ降り立つ俺の視線にこの場に居ないだろう人物が映っている。俺の予想通り四季音姉妹は楽しそうに怪物達と戦っており化け犬モードになった犬月が背に水無瀬と橘を乗せて駆け回り、平家とグラムが涼しい顔をして怪物達の首を落としている。大怪我らしいものは負ってないみたいで安心したが……マジで何で居るんですかねぇ? お前、俺の眷属だったっけ?

 

 俺の疑問に答えるように男は得物である何かの骨で出来た槍を回しながら振り返る。どこかの学生服の上からボロボロのローブを羽織った男……その名は――

 

 

「なんでと言われると説明には時間がかかるんだがな。しかしまさか影龍王までもが此処に来ていたとは驚いたよ。積もる話は敵を排除してからにしないか?」

 

 

 禍の団、英雄派のトップこと曹操だ。




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