ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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114話

「ふむ、見逃されたとはいえクロウ相手に全員生き残ったか。まずまずと言っておくべきかそれともクロウに深手を負わせれなかった事に情けないと言っておくべきか悩むな」

 

 

 場所は変わってスカアハが住む影の城。クロウと殺し合う前にチョロインことグラムで破壊したはずなんだが再生でもしたかのように元通りになっていて唖然としたのは言うまでもない。まぁ、そんな事はどうでも良いとして俺と四季音姉以外が魂が抜けかけているというよりもこのまま死ぬと言われたら納得しか出来ない状態で地面に横になっているのを玉座に座りながら眺めながら先ほどのセリフを言っているスカアハをぶっ殺したい。これは相棒やユニアが嫌う理由も理解できるわ……最強の邪龍、天龍や双龍を超えていると名高いクロウと殺し合ってどうにか生き残った俺達によくやったとか面白かったぞの感想無しで先ほどのセリフだぜ? 体さえ動けば今すぐ殺しに行ってる所だ……!

 

 もっともよくやったとか言われてもなにも嬉しくはねぇけどな。実際問題、このスカアハの言う通りクロウとの殺し合いは俺達キマリス眷属の敗北だからな……マジで悔しい。死ぬほど悔しい! でも得られることが多かったのも事実だ……俺はまだ弱い。クロウ程度を倒せないほど弱い。ゼハハハハハハ! 助かったぜクロウ! 俺はまだまだ強くなれそうだ! 今よりももっと強くならなきゃ夜空を手に入れられないからな!

 

 

「弟子よ。確かにお前は歴代影龍王とやらの中では頂点に立つほどの存在だろう。今までにそこの馬鹿弟子を宿していた男や女どもはお前が居る領域まで達していなかったからな。(わたし)自身もお前とクロウの殺し合いは中々に面白かったが最後の最後で体力切れとは情けないぞ。ブリューナクの奴が宿っている小娘と一緒に居た時は体力切れなど無かったであろう? もしや腋を舐めておらんかったからか……ふむ、先に褒美ぐらいはやっても良かったか。そうすればもっと楽しめたかもしれんな」

 

『ふざけんじゃねぇ!! 誰が若作りクソババアの腋なんざ舐める――』

 

 

 スカアハの言葉に相棒が反論すると真上から弾幕ゲーも真っ青な量の光弾が降ってきた。おいおい勘弁してくれねぇか……! 今マジで疲れてるってのに殺すんじゃねぇよ!! はいはい再生再生っと。

 

 

「騒ぐな、弟子と話しているのだから割り込むでないわ馬鹿者が。お前はウアタハのような女の見た目をした男が好みだろうがそこの弟子は腋が好きなのだろう? ならばこの至高にして頂点とも言うべき妾の腋を舐めたならばさらなる領域に至れるのは言うまでも無かろうが」

 

「自分で至高にして頂点とか言いやがったよこの女」

 

『いつもの事だから流せばいいんだよ。生まれながらにして女王だったこの女は自分が世界の中心であり自分の言葉は世界の答えだと本気で思い込んでやがるからな。だから自分の見た目は世界一だとマジで思い込んでるってわけよ……俺様としてはウアタハの方が良い女、いや良い男の娘だがな!』

 

「……そういえばスルーしてたんだが男? なんかの文献で呼んだがウアタハって娘じゃなかったか?」

 

 

 ルーンや相棒絡みで色々と調べていた時に何回か名前が出てきたけど全て()と書かれてたはずだがまさかまさかの男でしたとか世界中の学者やら何やらがビックリするぞ?

 

 

『おうよ! 今のバロールも最高に良い男の娘だがウアタハも同じぐらいマジで良い男の娘だぜぇ! なんせこの俺様が生まれて初めて抱いたお相手だからなぁ! ゼハハハハハハハハハハ! 後で宿主様にも教えてやるよ! この俺様とウアタハの甘くてエロスな一夜ってのをな! ついでに一発襲っちまえ! きっと俺様と同じ感想を言うはずだぜぇ! おいクソババア!! ウタアハはどこに居やがる? 折角帰ってきたんだから顔と全裸ぐらいは見てぇんだよ!』

 

「あ奴か? 貴様が帰ってくると言ったら部屋に引き籠ったぞ。武術や魔術を教え込み、オイフェにも劣らぬ実力があるというのにこの様とは情けないの一言につきる。男同士でまぐわったとしても妾の子ならば堂々とすれば良いものを……会いたければ勝手に会うが良いさ。それとだな、師匠である妾をクソババアと呼ぶなと何度も言っておるだろう」

 

 

 この流れは何回目だよ……テメェも息をするように俺を殺害しないで貰えませんかねぇ? もしかして地味に年とか気にしてるのか? あと相棒! 俺はまだ夜空とエッチしてない童貞なんで初体験が男の娘とかちょっと難易度高いから童貞卒業してからでも良いか? いややめておこう。なんか背後辺りからヤンデレ達の視線が怖いしな!

 

 

「にしし、流石はこの世界を治めている女王だね。やる事が豪快だ! それとノワール? 聞くまでも無いけど生きてるよね?」

 

「当たり前だろうが……いくら体力の殆どが残ってなくても夜空とエッチするまで死ねねぇから意地でも再生してるっての。てか犬月達がマジで死にかけてるってのにお前は余裕そうだな?」

 

「これでも酒呑童子、しかも次期頭領だよ? 両腕が折れているけど動けないほどじゃないさ。でもイバラはちょっと辛そうだね……無理もないけどさ」

 

「まぁな。なんだかんだでクロウ・クルワッハという今までで最強の相手と殺し合ったんだ。体力の殆どを使い切ったり現在進行形で死にかけてたりしてもおかしくはねぇよ。つーかお前ら死んでねぇよな? 点呼とるぞ点呼! はい俺は生きてまーす! ほれ、さっさと声出しやがれ。死ぬなー生きろー」

 

 

 天使すら堕天する美声で死ぬ一歩手前、いや秒読みすらあり得る犬月達に呼び掛けると声は小さいが返答があったので生きているっぽい。先ほどのクロウとの殺し合いのせいで犬月は全身血まみれな上、両腕両足が折れているし平家も片腕が折れているに加えて全身から血を流している。四季音妹も両腕が折れているし全身から血を流してはいるが犬月と平家よりはマシらしく四季音姉の呼びかけに普通に応じている……流石鬼だね! 水無瀬、橘、レイチェルの三人は出血はしているがどこも折れてはいない……ただし体力と魔力、霊力といったものを全て使い果たしたのか現在進行形で死にかけている。

 

 グラム? あぁ、なんか知らないが邪龍であるクロウと正面から全力で殺し合えたのが嬉しかったのか最後の最後でイッ、ガクガクビクビクなあれになったらしく剣の状態のまま動く気配が無い。所謂賢者タイムって奴だから放置しておこう。どうせ無事だろきっと。

 

 

「ふむ、お前たち全員死んではいないようだな。クロウに見逃されたのだから当然と言えば当然だな。だがあまりにも無様だぞ? まだ本格的な修行すら始まっていないというのにその様ではこの先やっていけるか不安が出る。さてさてどうするべきか、妾としてはそこの弟子が手に入れば問題無いわけだからオイフェにでも投げるか。あ奴の方もそろそろ終わっておるだろうし……うむ、そうしよう」

 

「……今、すっげぇ、気に、なるワードいわな、かったっすか……?」

 

「マジだよ。うん、否定してほしいかもしれないけど、マジだよ。そしてマジでノワールを欲しがってるよこの女……マジで死ねば良いのに」

 

「おい平家、お前さっきからマジしか言ってないが本当に大丈夫か?」

 

「マジしか言えないぐらい疲れた……死ぬ、これ以上は普通に死ねる……でもノワールの子種飲めば回復できる。勿論飲むのは下の方希望」

 

「あっ、問題ねぇな」

 

 

 下ネタが言えるって事は普通に大丈夫だから放置しておくとして……本格的な修行云々よりもまず気になったのが俺が欲しいとかなんでだ? スカアハとは会うのは初めてで好感度上げすらしてなかった気がするんですが!! そもそも俺は夜空が大好きなんでお断りですけどね!

 

 まぁ、とりあえずこのままだと犬月達が本当に死ぬので回復させないとな……頼みの綱の水無瀬も疲れ切ってて禁手はおろか全員を治療する余裕も無い。と言う事は必然的に目の前に居るスカアハに頼むしかないわけだが……仕方ねぇか。

 

 

「なぁ、スカアハ」

 

「何だ弟子よ?」

 

「俺は兎も角として他の奴らが死にかけてるから治療頼めないか? 相棒は嫌がるだろうが背に腹は代えられねぇ……とりあえず話ぐらいはするからマジで頼むわ」

 

「ふむ。よかろう、弟子の頼みに応えるのも師匠の務め、先の戦いの褒美代わりに特別にやってやろう。なにせ他でもない弟子の頼みだからな。オイフェ、聞こえているか?」

 

 

 スカアハの言葉に反応するように背後に魔法陣が描かれて一人の美女が現れた。漆黒の長髪に光が宿っていない瞳、玉座に座っているスカアハと同じ容姿をもった女だ……違いと言えば軽鎧を身に纏っているぐらいだから服装をチェンジしたら見分けがつかないだろうな。コイツがオイフェか……恐らくだが双子の妹とはいえ性格は似たようなものなんだろうね! だってこれ(スカアハ)の妹だぜ? 同じ様に話が通じないと言われても納得する自信あるし!

 

 

「お呼びでしょうか、お姉様」

 

 

 ――嘘だろおい。

 

 

「呼んだぞ。こやつの連れを風呂にでも放り込んでおけ。妾は弟子と話をするので忙しいからな」

 

「えぇ、分かりました。貴方は……なるほど、貴方がクロムを宿しているお方でしたか。お初にお目にかかります。お姉様の妹でありこの影の国の戦士、オイフェと申します。以後お見知りおきを……おや? どうかしましたか?」

 

「いやこれ(スカアハ)の妹だから性格最低なんだろうなと思ってたから困惑してるだけだ。何故か知らないがこれ(スカアハ)の弟子になってるノワール・キマリスだ。悪いが犬月達を頼む」

 

「畏まりました。ご安心ください、この城の湯につかれば瞬く間に回復いたします。弟子になった方々も大層喜ばれていたほどのものですからお姉様とのお話が終わってからでもよろしいので貴方もどうぞ。勿論、道中の仕掛けは解除しておきます」

 

「マジか。おいおい相棒……どういうことだよ? 話通じるぜ? 本当にこれ(スカアハ)の妹か?」

 

 

 目に光が宿っていないとはいえ至って普通に話が出来ている事に地味に感動した俺は相棒に話しかける。だっていきなり現れて弟子認定した挙句、クロウと殺し合えとか至高にして頂点の体とかいう女の妹とかどう考えてもキチガイ以外の何物でもないだろ!? なんと言うか話が通じるって素晴らしいね! 俺も周りに比べて比較的常識人寄りだからキチガイの相手とか困るんだよね!

 

 なんだろうか……背後の覚妖怪からノワールが常識人だったら世界が滅んでるよとか言われそうな視線を感じるぞ。おいおい平家ちゃん……どこからどう見ても常識人だろうが! お前らヤンデレ属性に囲まれても怖がるどころか逃げる事すらしてないんだぜ? キチガイってのは玉座に座ってる女の事を言うんだからさっさと治療されて来い。

 

 

『……いい加減猫被るのもやめろや。テメェのその態度を見てると心底ムカつくからな』

 

「相棒?」

 

「――チッ、空気読めやクソ蜥蜴。テメェは空気が読める事に定評があるんじゃなかったかぁ?」

 

 

 なんかいきなり豹変した件について。

 

 

『ゼハハハハハハ!それとこれとは話が違うのよ!宿主様……残念だがこの影の国でお淑やか属性を持つのはウアタハ以外はいねぇ!このオイフェはこの影の国でスカアハに匹敵するほどの戦士で当然だが屈強な男共を従えてた事もある。先の態度は男を油断させるためなのさ!男ってのはお淑やかに弱いからなぁ、それで隙を見せたら最後ってわけよ!』

 

「……まじか、まじか」

 

『マジもマジだぜ。そもそもだな――この影の国でお淑やかな女なんざ存在しねぇんだよ!!甘い幻想を持つならウアタハだけにしろ!!アイツだけはマジで見た目と中身が一致してやがるからな!!宿主様よぉ……此処で過ごしてた()の苦労も分かるだろ?』

 

 

 分かり過ぎて泣きたくなったぜ相棒! この場所で過ごしていた相棒の言葉は説得力があり過ぎてどうしたらいいか分かんねぇぞマジで……! マジかぁ、マジかぁ……! さっきの態度が演技とか女って怖い! 相棒が男の娘に走るのもなんとなくだが分かる気がするね!

 

 

「たくっ、そこの蜥蜴がバラさなかったらもうちょっと楽しめたんだがな。悪いな、こっちが素なんだよ。別にさっきまでの態度も嫌じゃないんだが男共を相手にするならこっちの方が楽でさ、気が付いたらこうなったってわけだ。幻想抱いてたんなら悪かったな」

 

「……いや、うん。よく考えたら今までも周りがヤンデレだらけという状況だしこれ(スカアハ)に比べたらまだ話が通じるから問題ねぇわ。とりあえず犬月達を頼む」

 

「へぇ、引かねぇってのは珍しいもんだ。分かった、姉さんの頼みだし断る事はねぇから安心しろ。んじゃ姉さん、ノワール。こいつら連れていくが長く話し込むなよ? 飯作ってるんだからな」

 

 

 それを言い残して床に倒れている犬月達をルーン魔術か何かで浮かしてこの場から離れていく。四季音姉は動けるから普通に歩いてだが……荷物みたいに運ばれていく光景は中々シュールだな。まぁ、それは置いておいて性格がいきなり変わった事には驚いたが話した感じはまだ通じるのは助かるね! スカアハの妹だから頭おかしいんだろうなと思ってたがそんな事は無くて俺様、凄く助かりました! 相棒曰くこの城には温泉がありその湯に特別な術式やらなにやらを施しているから大怪我だろうとなんだろうと癒されるらしい……なんでも弟子だったセタンタという奴が温泉ぐらいゆっくり浸かりたいと言ったら色々と曲解して回復の温泉へと早変わりしたそうだ。マジで思考回路どうなってんだよ……!

 

 まぁ、そのお陰で犬月達が回復できるんだし文句は無いが……もしかしてメンドクサイだけで中身は結構チョロイ?

 

 

「クハッ、オイフェの悪癖すら気にせんとはな。いや、そう言えばお前はどのような女であれ気にはしないのだったか? 馬鹿弟子が傍に居てよくもまぁそのように育ったものだ」

 

『なんせ俺様を理解してくれた男だからなぁ! んで? いい加減、腹を割って話そうやスカアハ……何故俺達をこの影の国に呼んだ? テメェは宿主様とは初対面だろうが?』

 

「会うのは初めてだが存在は前々から知ってはいたぞ。同族に襲われ弟子の母が死にかけた事もブリューナクを宿した女と出会った事もその女に惚れて強くなろうとしていた事もな。なんだ? 何故と聞きたそうな顔だな? 確かに妾はこの影の国からは出られん。外に出たならばルーやダグザが五月蠅いからな。しかしちょうど良く外に出ていった奴が居るだろう? それを通して見ていただけの事だ」

 

『……そういう事かよ。俺様を目の代わりにして見てたってわけか! 勝手に覗き見るとか趣味が悪いんだよクソババア!! 引きこもりな上にストーカー気質とくればセタンタが逃げたのも頷けるぜ!』

 

「逃げたのではないぞ馬鹿弟子よ。貴様も知っておるだろうが? ケルトの男は武を競い、強くあろうとする。名のある勇士と競う事を捨てこの場所に留まるなどあ奴は考えていなかっただけの事だ。しかし貴様を通して外を見てはいたが退屈だったぞ……誰かを護りたいなどという考えで勝てたはずの存在にそのような玩具に封じられたのはまだ良い。それは貴様が決めた事で妾は関係無いからな。だが貴様を宿した男共だ、なんだあの体たらくは? 貴様の言葉一つで堕ちるなど弱すぎる」

 

 

 どこからともなく酒らしきものを取り出しグラスに注いで飲みながらスカアハは話し続ける。えーとつまりあれか? 相棒が見ていた光景はスカアハも見ていたと言う事になるんだよな……え? ちょっと待て! と言う事は俺のオナニーしているところも見られてたってわけか!? 待て待て待て! 確かに平家は俺のオナニーを読心で聞きながら自分もオナニーしてたけどさ! 他にも見られてたとかちょっと恥ずかしいんですけどぉ!! やだーノワール君のノワール君って小さいとか思われてたらどうしよう……オナニーでお世話になってるランキング上位の平家は何も言わなかったがまさか小さくて絶句してたとか? うわー死にたくなるわーマジで引きこもりたくなるわー!

 

 

『……宿主様、俺様が言うのもなんだが心配するところがそこか?』

 

「おう。ぶっちゃけ平家が傍に居る時点で常時見られているようなものだしな。今さら何されようがどうでも良いし」

 

「クハッ! 流石は妾が見込んだ弟子だ! この妾の誘いを断り続けていただけの事はある! 始めは驚いたぞ? お前が死を迎えた時にこのスカアハが直々に影の国へ誘おうとしてすれば断られたのだからな。それも一度では無く二度、三度、数えきれない数をだ。そのような事があったからこそ毎日が楽しくて仕方が無かった! 次も断るのだろうか、それとも誘われてくるだろうかと何度も思った! 馬鹿弟子が宿っている以上、お前はこのスカアハの弟子だ。日夜鍛錬を積み成長していく弟子を見て嬉しく思わないわけが無かろうが? その褒美として書物を送ったりもしたがちゃんと使用していたのもポイントが高い。うむうむ、ここまで鍛えたいと思ったのはセタンタとコンラだけだからな、誇っても良いぞ。弟子よ、貴様は過去の奴らでは至れなかった領域まで成長はしたがそこが限界ではあるまい? 人間と言うものはルシファーの小僧とリリスの小娘によって手が加えられておるせいか成長幅は妾達以上だからな。その点に関してはよくぞやったと褒めておくべきか? いやあ奴の狙いは別だったからそれはやめておいた方が良いか。しかしこうしてこの場に呼んでは見たもののブリューナクが宿っている娘も連れてくるべきだったな……お前を長く見続けていたから妾でも分かるがお前達は片方が強くなればもう片方も連鎖的に強くなる。どちらかが弱いまま過ごすなど無いと言うのは面白い! それ故に妾自らが誘いに行ったが逃亡したのは未だに許せんな。ブリューナクめ、誰が自己中心的な醜い老婆だ。一時期鍛えてやった恩を忘れていると見える……うむ、師匠として認識を正してやらぬとダメか。いやすまない話が逸れたが許せ。弟子よ、先の戦いを見て貴様はまだまだ成長限界に達しておらん。必要な経験があまりにも多すぎるがそれさえ経験すればセタンタやコンラとはいかぬがそれに近い領域まで成長できるだろう。クハッ、久しぶりに高ぶってきたな! 近年はまともな弟子すら居なかったから――」

 

 

 ヤバイ、ヤバイヤバイヤバイ! 話しが止まらねぇし自分の世界に入っているしなんか気になるワード言ってるしもうどうして良いか分かんねぇんだが! これあれだ! オタク特有の好きな話題になったら早口になっちゃうパターン! 俺も平家相手に腋関連で何回かなったことあるから良く分かる! ヤバいどうしよう……なんか目の前に居るキチガイが修行を乗り越えた褒美として「(わたし)を抱かせる」とか何とか言ってるんだが? いやいや無理無理。だって俺って女神級に可愛くて最高に素敵な夜空ちゃんを抱いてないもん! クリスマスが近いってのにまだ童貞なのは泣きたくなるが初めての相手が目の前に居るキチガイとかちょっとシャレになってないんで無理です。お断りします! 仮に襲われそうになったら仕方ねぇ……平家で捨ててでも抵抗してやらぁ!

 

 だって四季音姉が初めての相手だと自分が初めての相手って事で面倒な事になるだろうし水無瀬と橘はドヤ顔はしないだろうが今以上にヤンデレレベルが上がるだろう。レイチェルに関しては抱いた瞬間に即結婚という名の墓場に一直線だから論外。マジでまともなのが四季音妹とグラムしか居ないとか俺の眷属はどうなってんだよ……! まぁ、そんなわけで色々と精神的に死ぬかもしれない状況になるだろうから平家一択しかないわけだ! うん! なんかそれはそれで面倒な事になりかねない気がしないわけでも無いが夜空ちゃん! 俺の童貞が欲しかったら今すぐ助けに来て下さい!

 

 

「……相棒、辛かったんだな」

 

『分かってくれるか、宿主様よぉ』

 

「おう。後でウアタハって奴に会おうか……」

 

『是非そうしてくれ』

 

 

 なんだろうな、相棒との絆がまた一つ深まった気がする。

 

 そんな事を思っていると背後から尋常ではないほど巨大かつ濃い雷光がスカアハに向かって行った。もっともそれは片手で弾かれたけど……この雷光を使える人物は一人しか居ませんよねぇ!

 

 

「――私の(もの)を勝手に連れ去るとかふざけんじゃねぇよ」

 

 

 通常の鎧を纏い、ガチギレしている夜空を見た俺は……悪役に攫われたヒロインの気持ちが良く分かる気がした。ヤバイ素敵! カッコいい! キャー夜空ちゃーん! 抱いてくれー!!




Q:影の龍クロムが男の娘好きになった理由
A:ウアタハが男の娘だったから。

この作品内での影の国お住まいの方で常識人最上位はウアタハ、時点でオイフェ、絶対に超えられない壁でスカアハとなっております。
娘なのに男の娘? 沖田総司がなんか鵺になってるし神滅具が悪魔に転生とかなってるし大丈夫でしょうきっと。

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