ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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何故か本編よりも先に書きあがってしまった番外編です。
時系列的には本編開始前、ノワール・キマリス君12~13歳ぐらいの出来事。


影龍王の番外編4
とある昔の影龍王


「ではでは~これより第一回! 沙良様のダイエット大作戦会議の開始でっす☆」

 

 

 思わず揉みたくなるほどのお胸を強調し、ババーンという効果音が響き渡りそうなほどテンションがクソ高いミア……いや蛇女が俺の目の前に居る。沙良様ダイエット大作戦と大きく書かれたホワイトボードをどこからともなく持ってきてる上、これまたどこから手に入れたか分からないが人間界にある学校での体操服――即ちブルマ姿を晒しているが俺からすれば実年齢考えろとかおい無理すんなと言いたくなる。

 

 

「おい蛇女、お前年考えろ」

 

「ノワール様☆ 殺しますよ☆」

 

 

 言いたくなると言うか思わず言ってしまった俺は悪くない。だからそんなクソ弱い殺気を向けてくるんじゃねぇよ……事実だろうが。

 

 

「もう、ダメよノワール。女の子は何時でも可愛い服を着たいものなの。もし夜空ちゃんがお洒落してノワールに会いに来てもそんな事を言っちゃだめよ?」

 

 

 今回の超重要人物っぽい立ち位置に居る我がお母様がなんか言ってるが……女の子? 実年齢百超えてるコイツが女の子扱いで問題無いのかかなり疑問なんでけど?

 

 

「アホか……そこの蛇女と夜空を対等に扱うわけないだろ? それはもうその辺の貴族どころか神様以上に褒め称えるに決まってんだろうが」

 

「ヘタレのノワール様がそんなこと言えるわけないでっす☆」

 

「ハッ! 男は何時だってレベルアップ的なことするもんだぜ? 平家のお陰で女性慣れした今の俺ならば問題ねぇんだよ」

 

「クソ童貞乙でっす☆ いつも通り何も言えないにお酒賭けときますね☆」

 

「その痛すぎて逆に引く格好をどうにかしねぇと彼氏無しの年増蛇から卒業できないぜ?」

 

 

 互いに満面の笑みで殺気をぶつけあっていると母さんの隣に座っている我が父親がそこまでと言って会話を一刀両断する。ちっ……運が良かったな彼氏無しの蛇女! 今日の俺はちょっと優しい気がするから命だけは取らないでおいてやる。ただし後で人間界から取り寄せたマイクロビキニを着てもらうけどな! サイズ辺りは平家に任せておけばいいだろ。アイツ覚妖怪だし。

 

 とまぁ、コントのような何かを終えて改めて状況確認をしてみる。まずホワイトボードに書かれた沙良様ダイエット大作戦なる文字から予想すると……我がマイマザーが太ったんでダイエットしたいと言う事なんだろう。チラリと実年齢より若く見えるとメイド達から評判の母親を見てみるがそこまで劇的に太ったという感じはしない。むしろもっと食った方が良いんじゃないかと思わなくもない……まぁ、世の中にはどれだけ食おうと身長体重が一切変化しない奴もいるから俺の考えなんざ当てにならんが。

 

 そもそもあの規格外……マジで何で太らないのか凄く謎なんだが? 誰かあの謎を解明してくれ。

 

 

「はいはいわかりましたよーだ。んで? そのダイエット大作戦ってなんだよ? 母さん、太ったのか?」

 

「そうなのよぉ~ほらこの前ね、体重計に乗ってみたら……もう嫌になるぐらい増えてたの! それでミアに相談したらダイエットしましょうって事になったのよ」

 

「ちなみに何キロ?」

 

「ノワール、メッよ! 女の子に体重を聞くのは絶対にダメなんだからね」

 

「いやそこ重要だろ? ちなみに俺の予想は一キロぐらいと見てるがどうよ?」

 

 

 俺の言葉を聞くと我がお母様はぷいっと首ごと視線を逸らした。マジか……当たりかよ。というかミアと他メイド勢からもなんで分かった的な視線が凄い件について。すまん、俺も適当に言ったら当たっただけだから気にしないで欲しい。

 

 あとさ――

 

 

「――誤差じゃねぇか」

 

 

 心の中で思ってた言葉をつい言ってしまったがなんか知らないけど女性陣から殺意がこもった視線が飛んできた。あれ……? 一応この場に集まっているメイド達に聞くけどさ、俺ってこの場では親父達の次くらいに偉い立場だと思うんですがそんな態度で良いの? もしこれが他の家だったら即解雇だぜ? まぁ、この程度なら全然怖くないから良いけどよ。あと言ったからには開き直るけど一キロとか誤差じゃねぇの? ぶっちゃけ十キロとかだったらダイエットしようとか思うだろうが此処で食ってる飯で一キロならまだ軽くね? だって毎日カロリー高めな奴っぽいし。

 

 

「ノワール」

 

「あ、はい」

 

「ちょっとこっちに来なさい」

 

 

 これは逆らったらダメな奴と判断して素直に母さんの隣へと向かうと――両頬を引っ張られた。それはもう遠慮なく! そして全力で! 地味に痛いですお母様!

 

 

「女の子の体重で誤差なんて無いの! この口ね! そんな悪い事を言うのは!」

 

「わかっはからひゃめろ。はぁいさーしぇん」

 

「沙良様☆ もっと強めでも問題無いでっす☆ むしろゴーでっす☆」

 

「やれやれ……少しは乙女心と言うものを理解した方が良いと思うがね。あと志月、キミはもう少し女性に慣れたまえ」

 

「……雄介、それは……難しい」

 

 

 俺が両頬を引っ張られているにも拘らず父さんの騎士と僧侶が呆れた顔をしながら談笑している。俺って一応キマリス家次期当主的な立場なんだが助けるとかしないの? あ、しないっぽいな。

 

 この裏切り者めとでも心の中で言っとくぜ。

 

 

「……え、えっと話を戻そうかな? 沙良ちゃんがダイエットする事には反対はしないよ。むしろ協力出来る事なら何でもするつもりだ!」

 

「ネギ君……素敵!」

 

「沙良ちゃん……!」

 

 

 目の前で超ド級年の差カップルが熱い抱擁……というかくそムカつくほどイチャついているので即座に距離を取る。だって近くに居たら口の中が甘くなりそうだし。

 

 そんなこんなで親父達の見たくもないイチャつきを無視しながら第一回母さんダイエット作戦が開始されることになった。ダイエットと言っても我がお母様はどこかのクソ雑魚クソ甘クソ真面目では無いけどクソ雑魚なお坊ちゃまのせいで片足が動かしにくくなってるのでやれることは限られる。そんな中で我がお母様が選んだのは――歩くことだった。

 

 普通に考えて馬鹿だ。杖での生活だってのに歩いてダイエットすると言ったんだからな……当の本人はリハビリにもなるしダイエットにもなるから一石二鳥よ! みたいなことを言ってたがマジで大馬鹿である。えぇはい……絶句ですね。大馬鹿な親父ですらえ、あの……大丈夫? みたいなことを言ったぐらいだし。

 

 

『ゼハハハハハハハ! ダイエットするから歩くとは宿主様のお母様は面白れぇ! うーん! 俺様的にもポイントは高いぜぇ!』

 

「いや単に馬鹿なだけだろ?」

 

『分かってねぇなぁ宿主様! 努力する女ってのはそれだけ良い女なんだぜ? 一歩進むことが難しくとも、辛いと分かっていても実行するあの行動力! 流石はお母様! ゼハハハハハハハハ! これは全力で見守らねぇとなぁ!』

 

「……まぁ、昔みたいなことにはならねぇと思うけどな。歩くのだって領内、近くにミアがいるし四季音と平家にも見張らせてる……あと俺だってあの時と違うからさ」

 

『そうだなぁ! 禁手に至って約一、二年ぐらいか? あの地獄でもねぇが辛い日々を乗り越えた宿主様ならその辺に居る雑魚共なんざ瞬殺よぉ!』

 

 

 木に寄りかかりながらあの日の事を思い出す。俺が「俺」として生まれ変わった日、現実を知った日、誰も信じられなくなった日、そして……アイツと出会ったあの日。キマリス家の奴らによって殺されそうな所をアイツ――片霧夜空に助けられた。勝てるかどうかも分からなかった奴らを瞬殺して俺達の前に現れた時は思わず女神かと思ったのは内緒だ……平家には普通にバレてるけども。

 

 ――これが私のライバルなん? 弱すぎ。

 

 この言葉は今も俺の心に突き刺さっている。当然と言えば当然だ……神器すら無いただの人間である母さんに護られて、そして死なせるところだったんだから。でもそのお陰で今の俺がある……禁手に至るのがちょっと長すぎた気がするがその件に関してはまだ全力を出し切れてないとかそんな感じで思っておこう。うんそうしよう!

 

 

「まっ、慢心しないようには頑張るさ。ところで――そこに居て楽しいか?」

 

 

 視線を斜め上に向けると先ほどまで居なかった人物が座っていた。ノースリーブにミニスカと誘ってるんじゃないかと思われても仕方がない恰好の女――片霧夜空。俺の命の恩人にして惚れた相手だ。

 

 

「別に。暇だったから来ただけ。つーかあれ何してんの?」

 

「ダイエット」

 

「足悪いんじゃなかったん?」

 

「どこかの雑魚お坊ちゃまのせいで杖生活してるぐらいには悪いぞ」

 

「馬鹿じゃん」

 

「馬鹿だよ」

 

 

 コイツ……夜空とこうして話すようになったのは俺の並々ならぬ努力の成果だ。特訓しても禁手にも至れない日々を送っていたある日、何の気まぐれか話しかけてきたんだが滅茶苦茶ビビったのは言うまでもない。だっていきなり現れて死んだような眼をしながら俺を見てきたんだぜ? 俺としては会うにもまずは禁手い至ってからだと思ってたから余計にビビった。

 

 話の内容? ハハ……緊張しまくりで会話という会話が出来ませんでしたが何か? 仕方ねぇだろ! 女の子と話をする機会なんざ無かったんだよ!

 

 今のやり取りだって心臓破れんじゃねぇかってぐらい緊張してるんだからな! 話をしようとしたらいつの間にか消えてて独り言話してた状況は軽くトラウマってるし! もっとも今は何となく気配ぐらいは分かるようになったから成長してるってことにしよう! 流石俺!

 

 

「……まっ、飯食わせてくれた礼に仙術で治してやるって言っても断るんだから馬鹿だとは思ったけどさ。ふーんダイエットねぇ~楽しいん?」

 

「知らん。少なくとも俺はしたことが無いしな」

 

「なんで?」

 

「食っては死にかけてるのを繰り返してるから体重増えねぇ」

 

「雑魚だもんなお前」

 

「……こ、これでも強くなってるんだぜ? お、おお、お前を護れるぐ、ぐらいにはな!」

 

「あっそ」

 

 

 俺知ってる。これってスルーされてるわけじゃない。マジで興味無いから無関心なだけだ。マジかぁ……結構頑張ったんだけどなぁ! やはりもう少し女の子に慣れるべきか……? 最近ようやく平家の裸に触れても問題無いレベルまで成長したんだがまだまだと言う事か!

 

 チラリと夜空の姿を見る。俺の視界を覆いつくす太腿は思わず手を伸ばしたくなる……が! 俺としては腋も良いと思うわけですよ! 特に腋から腰にかけてのラインっていうの? 腕を上げて腋を見せつけてくるあのポーズとか良いと思う! ぶっちゃけ平家が見せつけてきた時はエロと言ったぐらいだし。

 

 でも女の子は男の視線に敏感だと平家が言ってたから見過ぎるとあれか……よし視線を逸らそう。というかこれってチャンスだよな? 前みたいに飯を誘うぐらいは良いだろきっと! ダイエット大作戦なるものが進行中だがそれはそれ、これはこれって事で!

 

 

「あーえっと……なんだ……きょ、今日さ! 良かったら前みたいに飯でも食ってかないか? 母さんだって喜ぶだろうし……お、俺だって嬉しいし!」

 

 

 反応を確かめるべく視線を向けるとそこには誰も居なかった。恐らく俺が視線を逸らしたタイミングでいつもの様にどこかへ行ったんだろう……マジか……マジかぁ……!

 

 

『ゼハハハハハハハハハッ! フラれちまったなぁ宿主様! やっぱ経験が足りてねぇ! 女を誘うんならもっと堂々とするべきだぜ!』

 

「……それが出来れば苦労はしねぇって」

 

『できなきゃ一生誘う事なんざ不可能ってわけよ。俺様としてもユニアが相手ってのは非常に! 非常に不愉快だが宿主様の恋愛だからなぁ! 我慢してやってるんだから絶対に手に入れろよ? 何だったらあの覚妖怪辺りで練習しとけばいいさ』

 

「練習した結果、合体してましたじゃ意味無いんだが?」

 

『それはそれで良いだろうに。あれは宿主様の命令なら何でもするぜぇ? 犬になれと言えばなるし誰かに抱かれろと言えば抱かれるだろうさ。まっ! 宿主様はお優しいからそんな事はしねぇだろうがよぉ!』

 

「……まぁ、うん。はぁ……とりあえずもっと言いたいこと言えるレベルまで練習すっか」

 

『それが良い。頑張れよ宿主様』

 

「おう」

 

 

 結局その日は夜空と再開する事も無く一日が終わった。

 

 そしてダイエット大作戦なるものだが歩くことが結構辛いのと晩飯が腹いっぱい食えなくなると言う事で平家が人間界から取り寄せた運動できるゲームに切り替えた事でどうにか体重を減らせたようだ。

 

 最初からそれにすればよかったとは俺の言葉である。




ノワールと夜空は本編開始時で既に相思相愛ですけどもこんな時期があったんです。
余談ですが四季音花恋と平家早織はほぼ同時期で眷属入りです。

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