ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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本当はノワール視点で書きたかったがどう頑張っても夜空と平家の二人しか話さない上、イチャイチャしまくって話が進まなかったので一誠視点です。



131話

 それはチームD×Dメンバーによる忘年会が開始してから三十分ほど経過した時に起こった。

 

 あと数時間で新年突入する今日……俺達グレモリー眷属や黒井達キマリス眷属、匙達シトリー眷属等々かなり豪華な面々が俺の家に集まり今までお疲れさまでした! 来年も頑張ろう!! という気持ちを込めて開かれたこの集まり……俺としても今年は波乱に満ちたものだったと思う。レイナーレ……俺の初恋で初の彼女となった人に殺されたと思えば隣に座っているリアスの眷属となり、俺に宿った神器が神滅具と呼ばれる凄い物で色んな戦いを経ていつの間にか赤龍帝とかおっぱいドラゴンとか乳龍帝とか呼ばれる事になったり……思い返してみても波瀾万丈とも言っても良い出来事ばっかりしか起きてない気がする。

 

 だからこそこのチームD×Dメンバーによる忘年会で今までの疲れとか冥界で起きている出来事とか……とりあえず色々な事を一旦忘れて楽しもうと俺は思っていたんだが……なんだかんだ色々あり過ぎて忘れていた事が一つだけあったのを今この時に思い出した。俺達も所属しているチームD×Dには世界レベルでヤバい奴が所属している事をな……!

 

 

「……あのさ、食いづらいんだけど?」

 

「……」

 

「聞いてんの?」

 

「――あっ、悪い。お前の髪の臭い嗅ぐのに全神経使ってた。いったいどうしたよ?」

 

「いやどうしたよじゃなくてさ。そんな風に頭固定されると食いづらいんだけど?」

 

「嫌か? 嫌なら……まぁ、やめるが。ガチ泣きするけど」

 

「……別に嫌じゃねぇけど。そんなにこの夜空ちゃんの臭いかぎてぇの?」

 

「少なくともこの場の出てくる料理以上に嗅ぎたい。というかこれだけで一週間ぐらい何も食わなくても持つ」

 

「……ふーん。なら、良いけど」

 

 

 この部屋の片隅にある"ノワール・キマリス専用席"と書かれた看板が置いてある場所で若干……いや見続けていたら確実に胸やけと砂糖が吐ける気がする光景が俺、いや俺達の視界に映っている。

 

 忘年会だというのにラーメン、炒飯、オムライス、ケーキ、大量のお菓子にジュース等々がこれでもかとテーブルに置かれている。普通だったら一種類食べればもう腹いっぱいになるであろう量を食べているのはあの人……光龍妃と呼ばれている片霧さんだ。一目見ただけであっ、幸せそうだという表情の黒井の膝の上に座りラーメンを食べてはお菓子を食べ、ジュースを飲んで炒飯と体型に絶対に入りきらないであろう量を食べ続けている。俺はまぁ……ヴァーリと一緒に店に行った時に見たから凄いな程度だったが――リアス達は違うらしい。

 

 というよりもあれはイチャイチャと言うものではないだろうか? 犬月から……お童貞をお卒業されたらしいとは聞いてたけども! クリスマスから今日までたった数日程度で二人!! しかもそのお相手が幻のお姫様と呼ばれている平家さんとか羨ましいんだよぉ!! 俺だって……俺だってぇなぁっ!! お童貞お卒業したい……!!

 

 

「……ねぇ、イッセー?」

 

「り、リアス……? どうしたんだ……?」

 

「あの場所だけ……そう、あの場所だけね? 仕切りとかで見えないようにできないかしら……?」

 

 

 俺の隣に座りジュースを飲んでいたリアスだがある一部分を見続けているリアスの目が若干……いや今まで見た事も無いレベルで何かを言いたそうにしている。それは俺だけでは無く黒歌と並んで座っている小猫ちゃんに少し離れた場所にロスヴァイセさん、そんな表情になるのはかなり珍しいアーシア等々……言ってしまえばグレモリー眷属女性陣の殆どが黒井と片霧さん、あと必然的に平家さんの三人を見続けている。

 

 恐る恐るリアスの目を見てみるが……なんとなく言いたい事は分かったような気がする。リアスは勿論、アーシアや小猫ちゃんだって女の子だ……! 甘い物はいっぱい食べたいし美味しい物だって好きなだけ食べたいだろう。でも出来ない……女の子であるからこそそれだけだ出来ない! だって食べ過ぎたら体重という女の子の敵が牙を剥くんだから!!

 

 

「……甘い物、いっぱい……たべ、たい……!」

 

「あれだけ食べて……体重とか……変化、しないの……?」

 

「体重が増えないの……羨ましいです……!」

 

 

 小猫ちゃん、イリナ、アーシアの順で各々が思った事を口にした。それもこれも黒井と片霧さんの会話のせいだ! あの会話さえ無ければ……! 無ければ……まだ幸せだったに違いない!!

 

 

『つーかお前、相変わらず食うな? 此処に来る前も菓子類食ってなかったか?』

 

『はぁ? まだお腹に入るんだから食うに決まってんじゃん! それに忘れたぁ? この超絶美少女の夜空ちゃんはどんだけ食っても太んねぇんだぜ?』

 

『知ってる。なんでか知らないがお前太らないよな……? とりあえず全世界の女子に謝った方が良いぞ』

 

『知らねぇし。太る方が悪い』

 

 

 言わせて欲しい。お、お前ら……!! 声には出せないけどそこのイチャついてるバカップル!! この場にどれだけの女の子がいると思ってるんだ!? 男子なんて数える程度しかいないってのにこの場に居る全ての女の子を敵に回す発言を良く出来るな!? いや確かに全世界の魔法使い虐殺とか言う頭おかしいレベルを通り越している事件の犯人だけどさ! ちょっとは周りの空気を考えてくれないか頼むから!!

 

 とか思ってると黒井に寄りかかっている平家さんが無理と言いたそうな表情で首を振った。あっ……そう言えば心の声とか、聞こえるんでしたっけ……? す、すいません!

 

 

「……水無瀬先生。あの、あの……!」

 

「分かりますよロスヴァイセ先生……! あれは理不尽です……! 理不尽の塊なんです!! 分かりますか!? 私達が毎日体重と戦い! 日頃のご褒美にデザートを食べているというのに彼女は……彼女は! あれだけ食べても太らないんですよっ!! 何でですか……! 理不尽です! ノワール君は完全に彼女しか見てないですしぃ!! もうヤケです!飲みましょう! 今日はとことん飲みましょう!」

 

「えぇ! 飲みましょう水無瀬先生!! 辛い事など全部吐き出しちゃいましょう!!」

 

 

 どうやら成人組……ロスヴァイセさんと大天使水無せんせーの二人はヤケ酒をするようだ。というか水無瀬先生……さっきまで料理し続けたのによく元気ですね? まさか毎日あんな感じだったのか……?

 

 

「……いえ、大丈夫よリアス。えぇ大丈夫なのよ……! だって私はリアス・グレモリー……目の前にある料理を食べても体重変化は無いわ。無いのよ……昨日だっていっぱい動いたんだから事実上カロリーオフよ。オフと言ったらオフなの……!」

 

「リアスお姉さま……! 食べましょう!」

 

「アーシア……えぇ! そうね!」

 

「わ、私だって日頃から運動してるし! あと天使だもん! ふ、太らないもん!! だ、ダーリンもそう思うでしょ!?」

 

 

 イリナが泣きそうな表情で俺に聞いてきた。それと同時にリアスとアーシアの視線も俺へと向けられるがその瞳は太らないと言ってほしいという思いが込められている……気がする。や、ヤバイ!? ここで変な事を言ったら精神的に死ぬかもしれない……! ここは匙や犬月に助けを求めるべきだ!

 

 視線をそっと……そっと匙に向けると俺と同じようにシトリー眷属女性陣に問い詰められていた。ダメだ、役に立たない……! ならば犬月はと視線を向けると由良とベンニーアに介護らしき事をされていた。あれはダメだ……! しばらく生き返りそうにない! というか由良は分かるけどベンニーアもとは珍しい気がする。いやキマリスやシトリーと合同で特訓してる時はいつも一緒だからそのお礼かなんかか? 犬月……今だけは美少女に介護されておけ! きっと幸せになれるからな!!

 

 

「イッセー!」

 

「イッセーさん!」

 

「ダーリン!!」

 

 

 畜生! これは逃げる事が出来ない……! し、仕方がない!! 男の見せどころと言う事で頑張るぜ!

 

 

「え、えーと……いや、お、俺の目から見ても三人とも太ってはいないから大丈夫だ! 逆にいっぱい食べておっぱいを大きくしてくれ!!」

 

 

 我ながら完璧すぎる回答だと思う。褒めてくれ皆! 俺は……やったんだ!

 

 

『なおその場凌ぎの回答だよ』

 

 

 なんか変な事を書いているプラカードを持っている平家さんとか見えない! 俺の目には何も映っていない!! いやそもそもそれどこから持ってきたんだ!?

 

 

『影の国から持ってきた』

 

 

 ドライグもアルビオンもヴリトラもヤバイというその場所からなんでそれ持ってきたのか非常に気になるんだが!? というよりも何故有った!?

 

 

「んあ? お前何してんだ?」

 

「赤龍帝がプチ修羅場ってたから暇潰しに遊んでる」

 

「修羅場……? どうせ夜空の太らない発言でこのまま食べて良いのか的な事を思ってるだけだろ?」

 

「大正解」

 

「別に気にする必要ねぇだろ……どうせ夜空とは違って胸に栄養行くん――」

 

 

 いきなり黒井の頭部に雷の槍っぽいのが突き刺さった件について。黒井……! お前って奴は頭がおかしいと思ってたけど本当に頭おかしい奴だったんだな! 普通は絶対に言わないぞそんな事!? 滅茶苦茶殺気出してるじゃねぇか! あと……一応俺の家だから流血沙汰――あぁ、再生したから問題無いっぽいな。うん。やっぱりあの再生能力おかしい……どれだけ頑張っても一瞬で元通りになるし見た感じライザー以上の再生能力だろうから勝ち筋が一切見えない! レーティングゲームで戦った場合はマジでルール次第になると思うんだけどさ! 本当にどうやって倒せばいいんだよ! 味方な場合は本気で頼もしいけどさ!!

 

 あとちょっと真面目な話になるが俺はドライグが持つ力を完全には把握していない。いやちゃんと神器の中に潜って色々と模索しているし今の龍神ボディに切り替わる前に手に入れた白龍皇の力だって何とか使いこなそうと頑張ってる……と思う。でもどれだけやっても今以上の力を手に入れられる気がしない……ドライグが言うには何かきっかけがあれば発現しそうな気がするとは言ってるけどそのきっかけ自体が全く思い浮かばない!

 

 

「……」

 

 

 真面目に考えていると何故か周りが静かになった……多分、殺気の流血沙汰を見てドン引きしているんだろう。やっぱり皆思うよな!? 絶対に思うよな!!

 

 

「相変わらず影龍王と光龍妃は仲が良いな」

 

「どうやらようやく恋人同士になったようだ。それよりもヴァーリ、相変わらず反応するところがズレているぞ?」

 

「ハハッ! そういうお前は少し人間味が増えたようだな。影の国で何を経験した? アルビオンが関わるなと言っている以上、俺としては残念だが関わる事が出来ないんだよ。だからいい機会だ、色々と話しを聞かせてもらおうか?」

 

「……ヴァーリ。その選択は正解だ……関わるな、死ぬぞ。心がな!」

 

「ほう」

 

 

 いや訂正する……ヴァーリと曹操だけは俺達とは違う反応だった! いやそれよりも曹操!! お前……なんで此処に居るんだ!? 影の国代表とか言って食べ物とか持ってきてくれたけど一応指名手配されてるんだぞ! ま、まぁ……アザゼル先生が何かしない限りは放っておけと言ってたからそうするけどさ!

 

 

「良いか……影の国には基本頭のネジが狂っている奴しかいない! ウアタハ殿だけは別だ! 彼女……いや彼だけは話しを聞いてくれるし何なら同情してくれる本当に優しい人が居るがそれ以外の二人はキチガイなんだよ!! 特訓も出来て当たり前! 出来なければ死ねが共通認識!! お前に分かるか……! 寝ていても反応出来なければ悪霊達に殺され! 寝起きだというのに影の国内を全力疾走させられ少しでもペースが落ちれば体重が倍になる術式発動! しかもそれでペースが落ちるとさらに体重が倍になり続ける悪循環!! 生きたまま獣に内臓を喰われるなどまだまだ軽い……! 一番頭おかしかったと思ったのは『お前は右で槍を持つことが多いから左を鍛えよう』と俺の右腕切り落として左腕だけで影の国サバイバルだ!! 分かるかヴァーリ……今日が終わり影の国に帰ったら、また地獄なんだ……!」

 

 

 俺の目には信じられない光景が映し出されている。あの曹操が……英雄派を率いて俺達と対峙していたあの曹操が震えながら愚痴を零すように語っている。影の国で修行していたとか言ってたからちょっと気になってたのは事実で悪魔特融の耳の良さをフルに使って話しを聞いてたが……ヤバイ。影の国ってヤバい場所じゃないか! これはドライグ達も口を揃えてヤバいと言うわ!?

 

 隣に座っているリアスとかもえぇ……? って感じの表情になってるし! 曹操……お前、お前! 良く生きてたな!! サバイバルした事がある俺ですら片腕切り落としたりはしなかったぞ!?

 

 

『曹操……あの女に目を付けられた事が全ての原因だ。諦めろ』

 

「白い龍アルビオンか……ははっ、諦めるか。英雄派の残党達と共に拉致され、強制的に弟子にされ……俺以外が殺された今となっては諦める事など出来るはずがない! ちっぽけな人間だからね……託された思いと言うものには弱いんだよ。弱音を吐いた手前、信じられないとは思うが俺は必ずスカアハを倒す。聖槍が無い身ではあるがあの地獄を共に生き抜いた愛槍――ゲイボルグと共にこれからも強くなるさ」

 

「ゲイボルグ……ケルト神話に登場する槍か。ハハッ! 面白いな! どうだ? 今のお前がどれだけ戦えるか試すと言うのはどうだ?」

 

「別に構わない。聖槍を持たずとも異形に喰らい付ける所を見せるとしよう! 白い龍、俺から一つキミに……いやこれはこの場に居るドラゴン達に言いたい事がある」

 

『ほう』

 

 

 あの曹操がこの場に居るドラゴン……つまりドライグやアルビオン、ヴリトラ、八岐大蛇などに言いたい事ってなんだ……? まさか黒井みたいに全員で殺し合おうとか言わないよな?

 

 

「――影龍王が見ている景色はスカアハも見ているんだ」

 

『ヴァーリ! そのラーメンを食い切る前にこの場から逃げるぞ!! 全速力でだ!!』

 

『相棒! 何をしている今すぐこの場から逃げるぞ!! 安心しろ隠れ家なら大量にある!! ひとまずは其処で数百年程度過ごすぞ!!』

 

『我が分身よ! 今すぐこの場から離れるのだ!! そして二度と奴らの前には姿を現すな!!』

 

『げぇ、あの女が見てんのかよ。キィッヒヒヒッ!! 面白れぇ! 久しぶりに顔でも見に行くか肉体様――と言いてぇが流石にこれは逃げ一択だな。あの女に捕まったら肉体様がマジで死ぬしなぁ』

 

『アーシアたん。俺様、いったん家に帰る。怖くなったらおパンツください。頑張って助けに来るよ』

 

 

 周りが驚くよりも先にこの場に居るドラゴン達が一斉に逃げの姿勢に入った。この中で爆笑していたのは黒井と黒井に宿っている神滅具に封じられているドラゴンだけでそれはもうざまぁ! と言いたそうな表情だ。アイツ……! 自分が関係無いからって爆笑し過ぎだろ!?

 

 

「……影龍王。清々しい顔で笑っている所を大変済まないがキミにも言う事があるんだ」

 

「ゼハハハハハハハ! 何だよ曹操ちゃん! いや待って。何そのマジな顔……あのさ、まさかとは思うけどまた影の国来いとかそんな事は言わねぇよな?」

 

「……すまない」

 

「あっ、これはガチな奴か。マジかよあの女……! 普通に考えて頭おかしいだろ……普通に行きたくないんだけど。いや無理だわ、うん。まぁ、でも仮にだぞ? 仮に行くとしても道連れは連れていくぞマジで。とりあえず一誠と元士郎とヴァーリは確定として……あとバロールも連れていくか。よしこのメンツだったらあのクソ師匠も俺から標的逸らすだろう! 我ながら天才じゃね? よっしゃ褒めてくれても良いぞ!」

 

「「ちょっとまてぇぇ!!!」」

 

 

 流石に今の発言は見逃せないのでドヤ顔している黒井にツッコミを入れる。流石匙! 俺と同じタイミングとは心が通じ合ってるな! もはやお前とは親友と言っても良い感じだから当然と言えば当然なんだが……問題は黒井だ。なんか俺達の言葉に疑問を持ってるような表情だけど俺達からするとヤバい奴が居る場所になんで俺達を連れていこうとするのか理解できないからな!?

 

 そんなわけで俺と匙は仲良く肩を組んで黒井が居る場所へと向かう。何故肩を組んでいるかというと片霧さんが怖いからだ……問答無用であの雷の槍が飛んできそうだしな!!

 

 

「おい黒井!? お前……お前さぁ! いや分かるよ! ヴリトラがここまで拒否反応示してる場所に行きたくないのは凄く分かるけどさ!! 俺達生贄にする気か!?」

 

「そうだぜ! お前って影の国経験者だろ!? だったらまだ良いじゃねぇか!! ドライグがヤバいと言ってる場所になんか行きたくねぇって!!」

 

「はぁ? お前らな……この全世界が見習うほどお優しい俺がチャンスを与えてやってるのにその言い方はどうよ?」

 

「悪い。お前の事は全世界が見習うどころか全世界が頭おかしいと思ってるぜ?」

 

「あとチャンスって何のチャンスだよ……?」

 

「そんなの童貞喪失のチャンスに決まってんだろ言わせんな恥ずかしい」

 

 

 オッケーオッケー! ちょっと目の前のイケメンぶん殴って良いか? コイツ、お童貞をお卒業されて経験者になったから調子乗ってる! なんでコイツ、自分が良い事言ったかのような表情になってんの? すっげぇ意味分からないんだが!!

 

 

「ノワール。童貞共が怒ってるよ」

 

「いや意味分かんねぇ。あのな一誠、そして元士郎……ぶっちゃけ俺と相棒から見てもスカアハって女はガチでヤバイけど見た目……見た目だけは美人だぞ? 性格とか色々無視すれば童貞卒業相手としては最高だと思うんだよ! 俺は嫌だけど。ぶっちゃけアイツとエッチするぐらいなら平家孕ませた方がまだマシと思えるレベルでマジで嫌だから生贄……生贄になってくれません?」

 

「言い直せ! せめて言い直せよお前!!」

 

「お前がヤバいと思える相手とかマジでヤバいに決まってるだろ!? あと目の前にいらっしゃるお方が怖いんですけど何とかしてくださいお願いします!!」

 

 

 平家さんを孕ませる発言で激怒したのか無表情で黒井を見続けている片霧さんが怖い。本当に怖い。確かに俺もリアスや朱乃さん達が喧嘩している所を何度も見てきたけどそれを上回る恐怖が目の前に居る……俺ってさ、なんだかんだで黒井の事は頭おかしいと本気で思ってるのは確かだ。けど修羅場的な感じをスルー出来るその性格は凄いと思ってる……だからお願いしますから何とかしてくれ!

 

 隣にいる匙を見ると――滅茶苦茶足が震えていた。だよなと俺も自分の足を見るとガチで震えてたのは言うまでもない。

 

 

「――ほら見ろ! 俺の可愛い夜空ちゃんもお前ら生贄になれって言ってる!」

 

 

 いや言ってない。絶対に言ってない。

 

 

「ノワール」

 

「なんだ?」

 

「あのさ――お前一回死んだ方が良いぞ」

 

「仮に一回死んでもお前孕ませるためにその倍は生き返るが良いか? つーか何だよ夜空……嫉妬? 嫉妬なの? そこは私を孕ませるとか言ってほしかったのか夜空ちゃん!! 安心しろよ……俺の身も心も魂も全部お前の物だぜ!!」

 

「ウゼェ」

 

 

 目の前で再び黒井が殺害されたけどさ……やっぱり頭おかしいなって思う。少なくとも俺にはあの返しは無理だ……いや普通に無理だって!

 

 

「――はい再生再生っと。相変わらず容赦ねぇなおい……いやそこが可愛いけども。ますます好きになったわ! んでスカアハの生贄問題だが……良いや、最悪バロールぶん投げておけば良いだろ。同じケルトだし」

 

「お前……うちのギャー助を一体何だと思ってんだよ?」

 

「分からせたいメスガキ」

 

「アイツ男だけどぉ!?」

 

 

 見た目は兎も角、性別的には男なんだが黒井的には何も問題無いらしい……ギャスパー、いや多分あの感じはバロールだな! なんか離れた場所で絶対殺すという表情をしているけど絶対に気づいているよな……黒井の頭の上に乗ってる黒いミニドラゴンが挑発してるし。

 

 主に黒井と曹操のせいでこの場の空気がカオスになってきた時、突然床に魔法陣が展開される。黒粒子を巻き散らしながら転移してきた人物を見た瞬間――

 

 

「――クハッ! 我が弟子ともあろう者が何を遠慮している。そう照れずとも師匠であるこの(わたし)が思う存分、鍛えてやろうではないか! しかしなんだなんだ? 此処には面白い者達が居るな! これは久しぶりに腕が鳴ると言うもの! 期待しても良いぞ我が弟子達よ」

 

 

『『『ギャアアアアアッ!?!?』』』

 

 

 黒いドレスを着た凄まじい美女を見た瞬間、ドライグとアルビオンとヴリトラが発狂し視界の端で曹操がジュースを噴出し、寿司ばっかり食ってた八岐大蛇は即座に八重垣さんの体の中に引っ込むなど各々が今までに見た事が無い反応をしている……ドライグがこの反応と言う事はこの人が、スカアハ!?

 

 

「……オイフェ、お前何しに来たんだ?」

 

「――んだよ、バラすなよなぁ! てか、良く分かったな?」

 

 

 え? スカアハじゃないの!?

 

 とりあえず俺が思う事は一つ……この忘年会、荒れるぞ!




17巻~18巻でユーグリットやリゼヴィムなどと戦わなかった影響により原作よりも一誠の戦闘能力が下がっております。
白龍皇の力が昇華されてませんしドライグの力も完全開放には至っておりません。
それもこれも全部影龍王とか言う奴が暴れ回ったせいです。

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