ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

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132話

「……ん、ぷ、はぁっ……! 良い酒だなおい! いや悪いな、いきなりやって来たってのに酒まで貰ってよ」

 

「貰ったというよりも勝手に飲んだが正解だからな。たくっ、周り見てみろよ……お前がいきなりスカアハの真似して登場するから他の奴らは警戒しっぱなしだぞ?」

 

 

 先ほどまで比較的楽しい時間が流れていたはずの忘年会も現在は物音一つ無いほど静かとなっている。

 

 その原因は俺の目の前に座っている女……影の国の女王スカアハの双子の妹ことオイフェが呼ばれてもいないのにこの場にスカアハの真似をして登場したから周り……特にドラゴン達が阿鼻叫喚という面白、うん! 結構面白い状態となったが俺としては曹操が言った"影の国に連れていく"発言がマジのマジっぽい事にかなりドン引きしている。

 

 "ノワールキマリス専用席"という看板があるこの部屋の片隅に俺は勿論、俺の膝に座りっぱなしの夜空、流石に放置できないと理解したのか平家の代わりにアザゼルが俺の隣に座る。アザゼルの表情は険しくなっており手には何かの錠剤が入っている瓶が握られている……多分だが内容次第ではまた入院するすると思うけど頑張れよ! あんまり仲良くないけど同情ぐらいはしておいてやる! そしてそれ以外の面々だが……俺達が居る場所から若干距離を取りつつ、いざとなれば即行動出来るっぽい感じになっているが……多分、一歩動いた瞬間に槍かルーンのどっちかで殺されると思うから諦めてさっきまでのように騒いでいた方が良いと思う。ぶっちゃけコイツ、スカアハには劣るが強いし。

 

 

「クハッ! 良いじゃねぇかよノワール! 久しぶりに会う奴も居たんだ?ぜ? ちょっとしたジョークって奴だ。神器(セイクリッド・ギア)ってのに封じられてから音沙汰なかったもんなぁ……おいドライグ、そんでアルビオン……テメェらの事だよ。外でドンパチするのは勝手だがお前らウェールズ出身だろうが? なんで影の国に来ねぇんだよ?」

 

 

 俺の目の前にあるソファーに座りこんだオイフェはルーンを使用して四季音姉の周りにあった酒瓶を自分の手元に出現させてラッパ飲みしつつ一誠とヴァーリへと視線を向けた。漆黒の長髪に光が宿っていない瞳というヤバイ女感が半端なく、どこからどう見てもスカアハにしか見えないオイフェだが見た目的には絶世の美女と言っても良いほどだ……中身を知らない男だったら即ナンパするだろうね! 多分死ぬけど。

 

 あとラッパ飲みしたから口元から垂れた雫が指を突っ込みたくなる谷間に落ちて普通にエロい。胸元を見せつけるようなドレスだから目のやり場に困る……わけでは無く普通に目の保養になるわ。最近はちっぱいしか見てなかったしな! 揺れないちっぱいも良いが揺れるおっぱいを見ておくのも悪くないと思う! ただ俺としては腋が見たいけども。

 

 

『ぼ、僕はドライグって名前じゃないよ! おっぱいドラゴンのド・ライーグっていう名前なんだ! えへん!』

 

『拙者の名はヒップドラゴンのア・ルビーオンと申す。デュフフ! アルビオンというカッコ良い名ではござらんぞ!』

 

 

 一誠とヴァーリから全力で子供声になっているドライグと全力でオタクの真似をしているアルビオンの声が聞こえる。えっと……悪い! どっちも威厳に満ちた声だから無理やり感が凄いし何よりも普通に面白いんですけど! そこまでして逃れたいのかよ! ゼハハハハハハハ!! 伝説の! それも二天龍なんて呼ばれているドラゴンが逃げの一手とか……! それを見た相棒とユニアも爆笑しているけど本人達はマジでやってるとかなんだよこのカオス!

 

 

「……ドライグ!!」

 

「アルビオン……疲れているのか?」

 

 

 宿主の一誠は勿論、あのヴァーリですら困惑と言う珍しい事態になってるなおい。

 

 

「ア? テメェら何ふざけてんだ……? あーと姉さん、ドライグとアルビオンが遊んでほ――」

 

『やめろ!? いやマジでやめろよ!! それだけはダメだ!!!』

 

『オイフェ貴様ぁ!! 我らに何の恨みがあってそのような恐ろしい事を!!』

 

「テメェらがふざけてっからだろうが。まっ、テメェらの相手は後だ……悪いな。旧友ってのに会ったんで話し込んじまった。名前ぐらいは知ってるだろうが挨拶しとくぜ――オイフェだ。そこの黒蜥蜴の……あーなんだ? なんて言えばいいんだろうな……とりあえず師匠その一って事にしといてくれ」

 

『ゼハハハハハハハッ! おいおい面白い事を言うじゃねぇかよ……! 誰が師匠その一だぁ? ぶち殺すぞ!!』

 

 

 オイフェの発言に俺の頭の上に乗っている影龍人形状態の相棒がスカアハを相手にしている時と同じぐらいマジギレした……やっぱりスカアハと同じ顔だから師匠面されると嫌なんだな! 安心しろよ相棒! それは俺も嫌だから!!

 

 

「影の龍。悪いが話を進めさせてもらうぞ……俺の名も知っているだろうが一応挨拶しておこうか。アザゼルだ、テロリスト対策チーム"D×D"の総監督って立場になってる。このような場で会えて光栄だ……ケルト神話は俺達との和平に賛成なのか反対なのか未だに分からん状態だからな」

 

「そりゃそうだろ? そこのアホ共が勝手に軍門に下ったとはいえこっちの勢力を神器っつう檻の中に閉じ込めて所有物扱いしてんだから。でも安心しろよ、ダグザとダヌーの名に誓い、和平を結んでも良いって感じで落ち着いた。近々、ダグザが挨拶に行くと思うぜ」

 

「……あい分かった。こっちでもサーゼクスとミカエルに伝えておこう。でだ、本題に入ろうか……此処に現れた理由を教えてもらえると助かる。なにせこっちは新年に向けて忘年会の真っ最中でね、それが台無しにされると少しばかり困るってもんだ。友好の証に()()と聞かせてもらいたいがどうだ?」

 

「クハッ! 別に良いぜ? こっちも姉さんが迷惑かけたからな。つってもやってきた理由だがほれ、うちの弟子が語っただろ? ノワールを影の国に連れていくためだよ」

 

 

 あっ、嘘だと思いたかったがやっぱりマジだったか……! いや影の国で修行中の曹操が言ってたからマジのマジだとは思ってたけどもガチャでSSRを複数枚引き当てる程度には嘘だと思いたかったね! だって影の国に行ったらあのキチガイ中のキチガイで何言ってるか全然分からんクソババアで死ねば良いと本気で思ってるあのスカアハと会わなきゃいけなくなる……! 俺としてはスカアハよりもウアタハたんに会いたい! 会ってキマリス領を治してくれたお礼としてエッチな事をしたい。ほら……体で返すとか言うじゃん? それよそれ! だから覚妖怪でも無いのに俺の心を読んだと思われる夜空ちゃん? ちょっとその深淵の瞳を止めてもらえません? 興奮しちゃうから!

 

 

「チッ」

 

 

 あのマジな舌打ちやめてもらって良いですか? 興奮するって言ってるだろ! やっべぇ……普通にゾクゾクする! 頼む夜空! その瞳のまま全力で罵ってください! お前専用のドМになりますんで! 足舐めろと言われたら舐めますしリード付けたいなら水無瀬の部屋から首輪とリード持ってくるからさ! お願いします!!

 

 

「キモ」

 

 

 ありがとうございます!! その表情と一言だけでこれからも頑張っていけるわ!

 

 

「おいおい、なに二人だけの世界に入ってんだ? 私の話聞いてたのかよ?」

 

「あっ、悪いオイフェ。夜空とイチャついてて全然聞いてなかったわ……あーとバロールを影の国に連れていくんだっけか? 別に良いと思うぜ! 何だったら修行の一環としてウアタハたんと並べてマイクロビキニ着せるっていうのも手だと思う! 金払うから写真撮影頼む!」

 

「残念ながら私にお得意の話題逸らしは効かねぇぜ。もっともバロールに関しちゃ姉さんが連れて来いって言ってた以上、ダルマにしてでも連れてくけどよ」

 

《――おい、今なんて言った?》

 

 

 ドスが聞いた声を出したのはハーフ吸血鬼君……では無くバロールだ。離れた場所でこっちの様子を窺ってたようだが影の国に連れて良く発言を聞いては流石に黙っていられなかったんだろう……男の娘特有の可愛らしいお顔がなんという事でしょう! かなり引きつった表情となっております! 安心しろよバロール! 俺は助けないから! むしろ生贄として一緒に行く事を望んでるから!

 

 

《何故……僕が影の国に行かなきゃいけない?》

 

「それを私に聞く気かよバロール? テメェだって分かってんだろ……今のお前、生前の力を殆ど使えてねぇだろ。ノワールの視界を通してこっちでも見てたがルーマニアでルシファーの息子を殺せねぇとか弱すぎる。生前のテメェなら見ただけで殺せただろうが?」

 

《生憎だが今の僕は「魔」の部分しか存在しない。神性があったならばあの男は勿論、そこに居るノワール・キマリスを殺す事は出来るのは事実だが今は神器の力に頼らなければ戦えない状態さ。弱くなったと言えば確かにそうなんだろうな》

 

「言い訳は結構。姉さんが呆れてたぜ? あんな雑魚に傷一つ付けられない挙句、邪龍共に惚れた女を弄ばれてなお特に何もせずに生きてる始末……あぁ、勿論ノワールにも負けてマイクロビキニ着せられたのも知ってるぜ。どんな気分だったよ? 殺したい相手にすらボロ負けして性欲の捌け口にされるってのは生前じゃ味わえなかったろ……是非とも教えて欲しいね()()()

 

《――殺すぞ》

 

 

 オイフェの煽りにキレたのかバロールは全身を黒……いや闇で包み込み獣のような姿へと変化し始める。ちなみにバロールとは影の国から戻ってきた直後に殺し合いました! 勿論履修は煽られた仕返しとして! いや確かに強かったのは事実であの闇はかなり厄介だったが……自分から身体をデカくしてくれたから相棒が持つ能力を使用しやすかった。特に「苦痛」が刺さりまくった! あの時だけはこの能力がエグイと思った事は無いね……まぁ、影龍王の手袋自体を停止させられて能力が使えなくなった瞬間もあったからもし成長したならば勝敗は分からないと思う。でも勝つけど! 夜空以外に負けるわけにはいかないしな。

 

 殺気全開のバロールビーストモードに対しオイフェは余裕そうに酒瓶をラッパ飲みしている……がその視線は殺意に満ちている。互いの殺気により周りは動こうとしても動けず、あまりの事態に動揺しているが俺としてはオイフェの爺さん発言がちょっとだけ気になる……だって殺し合いしたいなら勝手にしろって感じだし。

 

 

「相棒? オイフェが言った爺さんってどういう意味だ?」

 

『簡単だぜ宿主様。バロールはルーの祖父でな! そんでオイフェはセタンタのガキ……コンラを産んでるから身内とも言える関係ってわけよぉ! ゼハハハハハハハ! これに関しちゃユニアも似たようなもんだがな!』

 

『……えぇ。私はルーが持つ槍より生まれた存在ですしバロールを祖父と言っても良いかもしれません。あまり認めたくは無いですけどね』

 

「ふーん。なんか複雑そーじゃん。でもユニアってばあんまり昔の事は言わねぇから聞けて良かったかも。てかなんであれにマイクロビキニ着せたし?」

 

「男の娘がマイクロビキニ着たらエロイだろ? あと煽られた仕返しと世話になってる相棒に恩返し的な感じだな」

 

『大変素晴らしいものだったぜ!』

 

 

 負けて悔しがっている金髪男の娘のマイクロビキニ写真は相棒は勿論、俺としても大変お世話になるであろう一品でした。でも何故だろう……周りからの視線が痛い気がする。特に俺の眷属達から瘴気的な何かが出てる気がするけど気のせいってことにしようか! あと夜空ちゃん……? ノワール君のノワール君を潰そうとするのはやめてくれません? せめてやるならお前男になってからにしろ! 全力で女の子になるから!

 

 そんな事を思ったら夜空からキモいと言われたけど……この一言だけでご飯三杯行ける気がする!

 

 

「……あまり、私の、か、可愛い眷属達を……侮辱しないで貰えな、いかしら……?」

 

 

 バロールの前に立ったグレモリー先輩が震えながらだがオイフェに対して文句を言った。やべぇ……先輩カッコ良い気がする! 前までの先輩だったら何も言えなかったと思うが……なるほど、なんだかんだで成長しているってわけか。

 

 

「クハッ! 悪い悪い! 反応が面白くてついな。だがバロール……これはアンタの血筋を引くセタンタの嫁だった女からの忠告だが今のままじゃその()が持たなくなるぜ? お前とその器、両方鍛えねぇと――死ぬぜ?」

 

 

 先ほどまでとは打って変わり、真面目な表情となったオイフェにバロールはビーストモードを解いた。多分、今の言葉は俺達も当てはまるかもしれない……なんせ「俺」がひ弱だったらいくら相棒の力と言っても使いこなせず殺されるのは当然。そしてバロールからすれば自分では無くハーフ吸血鬼君の体を借りて戦うんだから「バロール」側の力を強めても肉体側である「ハーフ吸血鬼君」が耐えられなかったら意味が無い……たくっ、そう言うところはマジでスカアハそっくりだなおい。

 

 バロールもそれが分かっているからか無言を貫いた。正直、俺や夜空、一誠にヴァーリのように相棒が神器に封印されている神器というわけでは無いっぽいしな……一番近い言葉を言うならば二重人格か? それも他の魂が別の体に入り込んでる系の奴。てかそもそもハーフ吸血鬼君の戦闘スタイルって俺達とレーティングゲームもどきした時は神器による時止め、今はバロール頼りだから猶更鍛えないとダメだろう……そう考えるとグレモリー先輩、よくコイツを眷属に出来たな?

 

 

「畜生、話題逸らしは効かねぇとか言っておいて普通に逸れちまったじゃねぇか。そんじゃま、本題に入るか……ノワールを影の国に連れていく理由だが姉さんが原因な」

 

 

 やっちまったと言いたそうな表情のオイフェは瓶一本飲み干したのか今度は水無瀬達がヤケ酒してたテーブルに置いてあった缶ビールを手元に出現させて飲み始める。お前……この空気で話進めるのかよ? 流石スカアハの双子の妹!

 

 

「姉さん……影の国の女王スカアハか。俺としては非常に疑問なんだがな、何故スカアハともあろう者がキマリスに執着する? 三大勢力が他勢力に和平を持ちかけたのは今年の話でそれ以前は接点すら無かっただろう?」

 

「それなんだがな……影の国という領域を治める女王って立場のせいで外の世界を知る機会はかなり少ない。それこそ私やウアタハが適度に外の情報をルー辺りに聞きに行く程度には縁が無いんだよ……もっとも姉さんは外の事なんざあまり興味を示さなかったがちょうど良くそこの黒蜥蜴が影の国を飛び出してな、ソイツの視界を暇潰し程度に共有し始めたのが始まりって感じか?」

 

()としては今すぐ視界共有を止めろと言いてぇがな』

 

「諦めろ。お前も姉さんのお気に入りの一つだ、逃げられねぇよ。ソレが神器ってのに封じられた後も宿主の視界を共有してたぜ? 弱すぎるって飽きれてたが一応はお気に入りの関係者だから死んだ後の魂は影の国へ姉さん直々に回収してたら――ある奴が拒否った上、生き返ってな! クハッ! いきなりあの姉さんが笑い出すから何事かって思ったぜ? そいつがノワール……お前だよ」

 

「……なるほど。歴代影龍王達の死後、影の国へと誘っていたら今代の影龍王のキマリスが死んでは蘇りを繰り返した結果、スカアハが興味を示したって事か……お前さん、厄介な女に好かれるな?」

 

「厄介な女判定に夜空が入ってるかどうかでお前の生死が決まるけど? どこからどう見ても厄介どころか全世界が見習うべき素敵な美少女だろうが! 見ろよこの可愛らしさ! 抱き枕に最適なこの身体! ネコっぽい性質のこの性格!! 可愛い……滅茶苦茶可愛いんですけど! しかもこの子……俺の彼女なんです!」

 

 

 なんか夜空の可愛さを力説したら呆れられたんですけど? なんでですかねぇ……? 納得しろよ殺すぞマジで。

 

 

「あー分かった分かった。いちゃつくなら家でしろ家で……にしてもキマリスは一度影の国へと連れて行ってるだろう? 今回連れていく理由は?」

 

「数日前にノワールとそこのちんま――っとあっぶねぇなおい。いきなり雷光飛ばすなっての……」

 

 

 恐らく"ちんまい"と言おうとしたんだろうが言い切る前に夜空が殺気と共に雷光を放つ……がオイフェは避ける事も無く手の甲で弾いた。いや……まぁ、夜空ちゃんが放つ雷光って防御やら耐性やら全部貫通と言うか破壊するから防御しても意味無いけどさ! 手の甲で弾くとかお前スカアハかよ? いや双子の妹だったわ。なお弾かれた雷光により部屋の一部がヤバい事になったが別に良いか、俺の家じゃないし。

 

 雷光を弾いた事により皮膚が焼けたにも拘らず、何事も無いかのようにルーンにて治療し始めるオイフェに周りは唖然としている。いや訂正する……ヴァーリとサイラオーグだけは滅茶苦茶目を輝かせてる! なんか手合わせしたい的な感じになってるなあれ!

 

 

「話を戻すがそこの二人が殺し合っただろ? それを現地観戦するんだって珍しく駄々をこねてな……影の国から出ようとするのを止めたは良いがこっちの話ガン無視でまた出ようとするし、もうこれはノワールを影の国に連れてきた方が早いと思ったんで殺し合いが終わったら連れて来るって言ったんだよ。だから来てくれないと困るわけだ……よしノワール! 影の国行くぞ! 姉さんが待ってるからな!」

 

「嫌です」

 

「安心しろって。学校ってのが始まる数時間前には帰してやるから」

 

「嫌です」

 

「ウアタハにエロイ事をして良いからよ」

 

「行きます!」

 

あ゛?

 

 

 すいません……目の前から今まで聞いた事のない声が聞こえたんですけど? その発生源は勿論! 俺の膝の上に座っている夜空ちゃんです! もはや恒例となった首絞めから始まりあとちょっと顔を動かせばキス出来るほど顔を近づけてきました! 目に光無いけど。あと無表情だけど。もしかしてなんだがこれは嫉妬と言うものでは無いだろうか……? いや嫉妬ですねこれ! 自分の彼氏が男の娘に取られると知って嫉妬しましたね夜空ちゃん! いやーモテる男はつらいネ!

 

 でもすいません。うちの眷属達からどす黒い瘴気出てるんですけどあれ何とかしてくれません? 天界勢力の方々! 出番ですよ!

 

 

「あのさ、この夜空ちゃんが居るってのに男に走るって何考えてんの? ふざけんなよマジで。死ね。テメェが誰の(もの)かその口で言ってみ?」

 

「そんなのお前に決まってんだろ? それにな夜空ちゃん! ウアタハたんは男では無く男の娘だぜ! つまり実質女の子! セーフ! セーフだから!! 男ってのは男の娘に興味持つ生き物なんだよ夜空ちゃん! 見ろよ相棒の表情を!! 幸せそうだろ? 今まで苦労を掛けてる相棒の為にも……そして今後の俺のオカズの為にも! ウアタハたんにはエロイ事をしなければならないんだ! 分かってくれません?」

 

「――」

 

「……夜空。分かってくれたか!!」

 

「黒井……多分だけどさ、あの……片霧さん、全然理解してないと思うし許す気ないと思うんだが……?」

 

「むしろお前……それ見て良く分かってくれたと思えたな? そういう所だけは尊敬するぞ本当に」

 

 

 おいおい一誠に元士郎……分かって無いな! 見ろよこの可愛い顔! 現在進行形で無表情でまるで深淵を見ているような瞳……これは嫉妬し過ぎてもうすぐお前を殺すと言ってるお顔ですね間違いない! 相棒、分かってもらえなかったぜ……!

 

 

『宿主様。俺様だけは分かってるぜ』

 

 

 流石だぜ相棒! これからもよろしくな!!

 

 そんなわけで嫉妬に狂った夜空ちゃんにその場で数回殺されたけど愛情表現として受け取っておくとして……そろそろ話を戻すか。

 

 

「悪いなオイフェ。ちょっとイチャついてた」

 

「ほんっとにお前ら、仲良いよなぁ。一応姉さん絡みってのは本当だが私としても連れて行くのには賛成なんだぜ? お前――これからどうするつもりだ?」

 

「……は?」

 

「お前はその女を手に入れる為だけに強さを求めていた。そしてこの前の殺し合いでそれを叶えた……そこまでは良いさ。強さを求めた先に得られる結果ってのは当然だからな。問題はその後だよノワール。お前……これからどうする気だ? 欲しいと思い続けた女を手に入れた後は堕落するだけか? 次は何を目標に生きる気だよ?」

 

 

 なるほど……オイフェの表情から推測するとソレを確認するためだけにやって来たって感じか。確かに俺は夜空のためだけ考えて続けていた……強くなろうと決めたあの日からずっと、ずっとだ。たとえ周りから何を言われようとただひたすら夜空の事を思い続けた末にようやく……ようやく思いが伝わった。確かにオイフェやスカアハからすれば目標を叶えた以上、この後は何もせずに堕落していくかもしれないと思われてもおかしくねぇな――もっともそんな事にはならないが。

 

 手元に未使用の女王の駒を取り出す。夜空を女王にする……そんな願いはあの時、あの瞬間で崩れ落ちたが俺自身は覚悟していた事だ。規格外な成長をし続ける夜空をこの程度の物で転生できるわけがないし改めて考えてみれば仮に転生出来たとしても夜空の成長に駒側が付いてこれず何らかの不具合を出していたと思う。俺の我儘で夜空が苦しむなら転生できなかった方がまだマシだ……それに、こんな物が無くてもノワール・キマリスの真の女王は夜空だから。

 

 まぁ、これから"女王"の座に就くであろう人物には悪いけどな。

 

 

「何を目標……にか。確かに夜空と決着をつける前は好き勝手に生きて、好き勝手に夜空と殺し合って、好き勝手に死んでいく事を信条にして徹頭徹尾、夜空の事しか考えて無かったよ! ゼハハハハハハハッ! 数日前に夜空と決着を付けたのは事実だ! 勝敗なんざ全く記憶に無いけどな。オイフェ? この俺が夜空と恋人同士になったのと同時にそのまま堕落するとでも思ったのかよ? 答えはノーだ! 確かに俺の夢は叶った……女王にするって夢はあえなく散ったけど! 滅茶苦茶悔しかった半面、それで良かったと思えたよ! なんせ夜空の願いは"人間として生きたい"だからな! だからこそこのまま堕落するわけにはいかねぇんだ!」

 

「クハッ! だったら聞かせてもらおうか? お前は何のために強くなるんだ?」

 

「そんなの決まってるさ――夜空を楽しませる。今までも、そしてこれからもそれは変わらねぇよ! 夜空が退屈しないように! 夜空が笑って死ねるように突き進むだけだ! だから俺達の楽しみを邪魔する奴は殺す。神であろうと魔王であろうと関係無い! ゼハハハハハハハッ! 勿論、スカアハであろうとな!」

 

「……クハッ! だろうと思ったぜ! ホントお前っていう男は分かりやすい! それじゃあどうする? 影の国には来ないのか?」

 

「――いや、行くさ。正直、あの時は亜種禁手変化に全力投球してたせいで相棒の肉体をじっくり見れてないからな。それに漆黒の鎧もまだ完成してない……相棒の力があの程度で終わって良いはずがない! さっきのバロールと同じさオイフェ! 相棒の力を完全に引き出せてない以上、俺が強くならないとダメなんだよ! だからスカアハの思惑に乗ってやるよ……ただしまた片腕引き千切るかもしれねぇけどな」

 

「別に良いさ。むしろ姉さんを楽しませてやってくれ……お前はどうする?」

 

「ノワールが行くなら行くに決まってんじゃん。いい加減、あの女にノワールは私の(もの)だって分からせねぇとだし……そう言えばユニアの肉体ってどこにあんの? 私も見たいんだけど?」

 

 

 そう言えば前に影の国に行った時は相棒の肉体しかいてない気がする……影の国内のどこかにあるのか?

 

 

「あぁ、それか。ルーの奴が回収してるから見たいんなら伝えとくぜ」

 

『……一応、礼だけは言っておきますよ』

 

「それはルーの奴に言ってくれ。でだ……バロール、どうする?」

 

 

 バロールは静かにグレモリー先輩の前に立った。その表情はこっちからじゃ分からないがグレモリー先輩が何かを覚悟した感じになっているから答えは多分、俺と同じなんだろう。

 

 

「……行くのね」

 

《――はい。少なくとも今以上に強くならないとヴァレリーを守れないしね。必ず、帰ってきます》

 

「……分かったわ。本当なら私も一緒に行きたいけれどお兄様が何をするか分からないし、自分の事は自分で何とかしてみせる。でもね……ちゃんと帰ってきて頂戴。貴方も私の可愛い眷属なんだから」

 

《……はい》

 

「ギャスパー……あの! 俺も行っても良いですか!」

 

『相棒!?』

 

「ドライグ……嫌かもしれないけど俺だって強くなりたい! それに後輩が体を張ってるのに俺が安全な場所に居るってのはなんか……な! あと俺はリアス・グレモリーの最強の兵士になるって決めてるから! 今以上に強くなってみせるさ!」

 

「イッセー……もうっ、絶対言うとは思っていたけれどまさか本当に言うなんてね。貴方も必ず帰ってきて頂戴。約束よ?」

 

「はい!」

 

 

 なるほど……一誠もなんだかんだで考えてるんだな。安心してくださいグレモリー先輩! 一誠を死なせるなんて真似はしませんから! だって何かあった時用の生贄ですし! それにウアタハたんが居るからとりあえず死ぬ事は無いと思いますよ? ただ死ぬ一歩手前までは行くとは思いますが。

 

 

「兵藤一誠が行くならば俺も行こうか。生前の影の龍と陽光の龍の肉体が見られる上、影の国を訪れる事が出来るならば参加するしかないだろう」

 

 

 あっ、ヴァーリに関してはどうでも良いわ。イケメンだし。とりあえず生贄がさらに増えたぜ!!

 

 

「挙手制と言うならば俺とレグルスも頼みたい! 恥ずかしい話だが俺だけの理というものを掴む切っ掛けが欲しい! オイフェ殿……突然の頼みだがどうか、お願いしたい!!」

 

 

 まさかのサイラオーグ参戦かよ……いや当然と言えば当然か? まぁ、とりあえず生贄がいっぱい増えて俺としては非常に満足です! 仮にスカアハが迫ってきたら一誠かヴァーリかバロールかサイラオーグ辺りを放り込んでおこう! いくら俺でもスカアハとエッチは無理です! ウアタハたんならいつでもウェルカムだがな!

 

 

『――ア・ルビーオンくん! 僕達、ずっと友達だよ!』

 

『デュフフフ! ド・ライーグ氏! 拙者達はずっ友ですぞ!』

 

 

 二天龍が壊れたような気がするが気にしない事にしよう。

 

 

「……はぁ。また胃が痛くなる事をしやがって。いや確かにこれからの事に備えて鍛えるならば打って付けだとは思うが……サーゼクス達になんて説明すりゃいいんだ。まぁ、良い。若いってのは素晴らしいって事にしておくとしてだ、キマリス? お前さん、その女王の駒をどうする気だ? まさか未使用のままなんて言わんだろう?」

 

「んぁ? まぁ、最有力候補の夜空が無理だったしな。とりあえずもう一人当てがあるし、仮に断られたらそのまま夜空の結婚指輪にでも加工するさ」

 

 

 なんか後ろからその話詳しくって感じの圧が飛んできたけど今はスルーしておこう。いやね、なんかこう……タイミングがさ! 一応ね! うん! だから影の国から戻ってくるまで我慢しててくださいお願いします!

 

 それからはと言うと最後の宴だ的な感じで橘が生ライブしたり俺と夜空でデュエットしたりアザゼルやら水無瀬やら四季音姉やらがヤケ酒してたりなんだりと色々楽しんだ後はオイフェと共に影の国へと直行した。まさかまた来ることになるとは思わなかったが……まぁ、夜空と一緒なら何があろうと問題無いけどもね!

 

 こうして俺達は駒王学園三学期が始まるまで影の国で死すら生温い修行をすることになった。俺と夜空はスカアハとの殺し合い、一誠とヴァーリは何故かやって来たクロウとの殺し合い、バロールはウアタハたんと一緒に修行でサイラオーグに関してはオイフェが担当という感じだった……曹操? アイツはケルトの神々となんかバトルしてたぜ? いつも通りだってさ!

 

 ただ……うん。やっぱり夜空と一緒ならどんな場所でも楽しめるもんだな。




・「バロール」
ケルト神話に登場する魔神。
ギャスパー・ウラディとはAIBO! もう一人の僕! な状態。
この作品に置いて「ギャスパー」よりも「バロール」として出る事が多い。
変異の駒により僧侶の駒1個で転生しているが明らかに釣り合っていない疑惑有。
恐らく成長したならば神器無効化持ちのリゼヴィムですら瞬殺出来る可能性がある人物。
スカアハが迫ってきた時用の生贄その1。

・「二天龍」
かわいそうなドラゴン達。
CVはマダオ(銀魂)、ルシフェル(エルシャダイ)
お互いにずっと友達宣言した。

・「兵藤一誠」
ギャスパーが命を懸けるなら自分もと影の国へ向かう事を決めた漢。
ヤバイとは聞いていたが思った以上にヤバイところで泣きそうになった上、修行内容がクロウ・クルワッハとかいう邪龍との殺し合いだったので普通に泣いた。
おっぱいが恋しくなり近くに来ていた悪霊達におっぱいの素晴らしさを説いて仲間にするというトンデモ事件を引き起こしたとか。
スカアハが迫ってきた時用の生贄その2。

・「ヴァーリ・ルシファー」
影の国での修行を楽しんでいる戦闘狂。
スカアハが迫ってきた時用の生贄その3。

・「サイラオーグ・バアル」
覇獣を強化するべく自ら影の国へと向かう事を決めた漢。
世界は広いと修行を楽しんでいる強者。
スカアハが迫ってきた時用の生贄その4。

・「犬月瞬」
家の中がヤバくなったので近い内に倒れる。




此処まで書いて思った……番外編にしておけばよかったと!
恐らく……恐らく次回は19巻の内容に入るかもしれません!

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