ハイスクールD×D~地双龍と混血悪魔~   作:木の人

138 / 140
134話

「はぁ……はぁ……! ほんっ、とにぃ! すばしっこいですわねぇぇっ!!」

 

 

 疲労困憊と言っても良い状態のレイチェルは足腰に力を入れて地面を駆ける。

 

 レイチェルが無事に俺の"女王(クィーン)"として転生した翌日、水無瀬、四季音姉妹を除いた俺達キマリス眷属はいつもの場所こと地双龍の遊び場へと足を運んでいた。本日は駒王学園三学期初日ではあるが特に面白い事も無く……いや無くは無かったが精々次の生徒会長は誰だ的な奴だから俺としては面白い事なんて無かった判定になる。まぁ、橘からグレモリー眷属のデュランダルが次の生徒会長に立候補したと聞いた時は少し驚いたが同じクラスのシトリー眷属の一人が生徒会長に立候補したっぽいのですぐに興味が無くなったのは言うまでもない。周りでは名前殆ど覚えてないけどその二人による頂上決戦が行われる事に興奮気味だが……どう考えてもさ! シトリー眷属の勝利で終わると思うんですけど! 普通に考えて生徒会経験者と途中編入者のどちらに投票するかなんて分りきってるし。

 

 そんなわけで特に楽しい事も無く時間は進んで今現在、他の部活動や同好会は今後の活動内容の確認をするべく会議をしているようだがなんちゃって同好会に所属している俺達には関係無いので……その時間を有効に使うべくこうして地双龍の遊び場に集まっているわけだ。本来ならばクリスマスに行われた俺と夜空のガチバトル、通称双龍決戦の影響で此処に近づいただけで常人なら発狂する瘴気やら魔に属する者なら即死する浄化の気やらが蔓延していたがその辺りはウアタハたんが何とかしてくれたらしい。流石ウアタハたん! このお礼は何時か身体で返すからな!

 

 

「ほらほらお姫様。どうしたの? 全然当たって無いけど……当てる気無いの?」

 

 

 ひょいひょいと軽やかな動きでレイチェルの攻撃を躱しているのは平家だ。手には新しい得物である覚刀「ベガルタ」が握られており、カウンターとばかりに腕やら首やらおっぱいやらを切り落としていく。見た目はアニメや漫画でよくある黒刀で元が魔剣っぽい感じだったせいかグラムには劣るがそれでも異常とも言える切れ味を持っている……冬休み中に影の国で修行した時にウアタハたんやオイフェに聞いてみた所、材料として相棒の鱗が使われているらしい。そのせいか刃こぼれしても勝手に直るし強度は勿論凄いと言うね!

 

 その事を聞かされた相棒は怒る――事は無くむしろウアタハたんならいつでもどこでもいくらでも使っても良いと満面の笑みで言い放った。流石だぜ相棒……! カッコいいぜ!

 

 

「それっ! は! いつもと戦いっ! かた……がぁっ!!」

 

「だから何? はい首貰うよ。ねぇお姫様、女王の駒の特性は分かってるよね? 戦車(ルーク)僧侶(ビショップ)騎士(ナイト)の特性全てだよ? 私や花恋達とは違ってお姫様のは扱いが難しい事で有名でこのままグレモリーの女王みたいに魔力一点特化で他はクソ雑魚になると困るわけ」

 

「わか、ってぇ! ますわぁっ!!」

 

「分かって無いよ。いくらお姫様が生粋のウィザードタイプで"僧侶"の特性を重点的に伸ばすのが正解かもしれないけど――そんなもので光龍妃は許すと思う?」

 

「――っ!」

 

「ノワールの"女王"はそんな甘い考えでなって良い物じゃないよ? 今のままじゃ光龍妃がマジギレして殺しに行くと思うけど……死にたいんなら手を抜いてあげる。どうする?」

 

「そん、なのぉ! 決まっていますわぁッ!! 私は……キマリス様の女王に! なったのです! そう、簡単にあきらめたりはしませんわ!! さ、さぁ……! 続けますわよ!!」

 

「りょーかい」

 

 

 平家の煽りに対してレイチェルは額から流れる汗を拭い、続けるように言い放つ。それを聞いた平家はちょっとだけ笑みを浮かべ……ては無いがきっと及第点程度には感じ取ったんだろう。

 

 なんで平家とレイチェルが地双龍の遊び場で殺し合っているのかと言うとレイチェルと女王の駒の相性確認をするためだ。戦車、僧侶、騎士の特性全てを宿す事になる"女王"は何かに特化していない分、扱いが非常に難しいとされている。だからこそリゼちゃん絡みでの殺し合いが始まる前にレイチェルが得意とする特性と苦手としている特性を把握しようと言う今回の試みは……見ての通り、成功と言っても良いと思う。

 

 最初はシトリー領に入院していた犬月が復帰後の準備運動としてレイチェルと殺し合ったがスピードで翻弄する犬月に対してレイチェルはお得意のフェニックスの炎ぶっぱで応戦した……が広範囲に展開された炎なんざ知った事じゃねぇとばかりに犬月が接近してきた際には回避できずに一撃を食らう事になった。それを見た平家が犬月を休ませるという建前で変わり――今に至る。

 

 

「……いきなり引きこもりが変われって言った時は何事かと思ったけど、案外マジで相手してるんすね」

 

 

 ドラゴンの鱗すら切り裂くとされるフェニックスの炎、しかもレイチェルの場合は女王の駒による強化がされている炎を受けたにも拘らず、犬月は大火傷する事も無く俺の隣に座りながら水を飲んでいる。

 

 

「まぁな。普段はアレだが俺達の中で一番自分の役目を気にしている女だぞ? 俺としても姫島先輩のように防御面クソ雑魚にはなって欲しくないから平家の言ってる事には同意だ。確認作業に入る前からレイチェルと相性が良いのは"僧侶"の特性だってのは分かってたが……それだけしか伸ばさないってのはなぁ。正直、雑魚のままだと平家が言った通り、夜空がブチギレる」

 

「……あー、姐さんなら普通に殺しますね。はい。いやそんな事はって思うよりも前に絶対しそうって思えるのはおかしいけども……王様?」

 

「なんだ?」

 

「いや、今更なんですけど……本当に姫様って王様の女王になったんすね」

 

「え……今更?」

 

「いやいや!? だって俺! 今日の朝まで入院してたんすよ!? 早く治さないといけないと頑張って退院してきたと思ったら姫様が女王になったとか聞いてビックリですよ! そもそもよく姐さんが許しましたね!?」

 

「まー知らない奴よりはって感じだけどな。てかお前……もう大丈夫なのか?」

 

「へへっ! なんかメル友になってる医者から『キミぃ……なんか治癒力上がってない?』って言われるぐらいの回復力を手に入れたんで問題無しっす! 普通にさっきの姫様の炎によるダメージもほら?」

 

 

 そう言って犬月は二の腕を俺に見せてたので視線をそちらへと向けると……先ほどの炎によるダメージと言うか火傷が少しずつ回復し続けていた。相棒が持つ『再生』のように一瞬では元通りにはならないが普通の混血悪魔としては異常だと思う、これはあれか……? 普段から死ぬ一歩手前辺りまでボロボロになり続けたせいで肉体が変化した可能性あるぞ? こう……なんだ、何時も死にかけてるから早く治さないとって感じで細胞的なものが頑張ってる気がする! 多分だがコイツ……このままだと早死にするかもしれない。

 

 まぁ、今後も止める気は無いけども。ぶっちゃけ犬月も覚悟の上だろうしな。

 

 

「問題無いなら別に良いが……とりあえず犬月。倒れるなら俺が居ない時で頼むわ」

 

「あっ、倒れる前提なんすね」

 

「え? 倒れないの?」

 

「倒れますけど。普通に倒れますけど! いや王様……? 世間一般的に、常識的に、普通に考えて毎日自分の目の前で修羅場が発生した上、巻き込まれたら胃に穴が開くと思いません?」

 

「そこは頑張るとかさ! 何とかしろ!」

 

「理不尽すぎません!?」

 

 

 いやだってそれしか言えないし。俺的には修羅場が起きようと殺傷事件が起きようと甘んじて受け止めるつもりだからどうでも良いと言えばどうでも良い。ぶっちゃけ夜空が俺の家に住み始めたから修羅場に関しては毎日どころか毎分毎秒単位で起きるから頑張れ犬月! 倒れるのは良いが俺が居ない時でマジで頼むな!

 

 そんな事を話していると平家とレイチェルの殺し合いが一旦終わったらしい。ベガルタを振り回していた平家は特に疲れた様子も無く得物を見て若干だがうっとり気味だ……言葉を言わなくても分かる。あれはベガルタの切れ味と使い心地に満足してる顔だ。いやこっち見て頷くな分かってるから!

 

 対するレイチェルはと言うと疲労困憊で地面に倒れ込んでいる。動く事すら……いや指一本も動かす気力が無いためか平家が呆れた顔はしていないけどレイチェルの足を持ってズズズとこっちまで引きずってきた。途中何度か覚妖怪覚えてろ的なセリフが聞こえたけど俺は聞こえなかった事にする……いやまさかフェニックスの双子姫とも呼ばれた美少女がそんなそんな……殺すだの覚えてろだの言うわけ無いし! そんな事を言う奴は夜空ぐらいだ。俺としては何時でもウェルカムだけどね!

 

 

「ノワール、疲れたから水が欲しい。口移し希望なう」

 

「ん? 別に良いぞ」

 

 

 後ろにあるクーラーボックスから水が入ったペットボトルを取り出して蓋を開ける。そのまま口に水を含んだ後、平家の顔をグィっと引き寄せて口を塞ぐ。そのまま口移しで水を飲ませ、ついでに若干だが舌も絡めること数秒……なんという事でしょう。背後から殺気が飛んできました。

 

 

「――悪魔、さん?」

 

 

 平家と口移し……というよりも普通にキスしていたのを止めて振り返るとグラムと訓練していたであろう橘様が引きつった笑みで俺達を見ていた。なんかこう、ギギギって感じの効果音が流れそうな感じの表情で例えるなら浮気現場を見た新婚妻みたいな感じだ。ぶっちゃけ普通に怖い。なんか怖い。足元に居る狐がこの節操無しがと言いたそうな目をしてる気がする……いや橘様。そんな浮気現場見たような顔をしないでください! こんなのまだ序の口です! 口移しで水が飲みたいとか平家的に言えばまだセーフだからね!

 

 なお犬月はいつの間にか段ボールの中に引きこもってた。コイツ……逃げやがった!

 

 

「なにを、しているんですか……?」

 

「口移しで水飲ませてたが? どうしたんだよ橘様! あっ、もしかして水飲みたいのか?」

 

「あっ、はい! 飲みたいです! その……ちょっと疲れちゃいまして今ですね、両手が動かせないんですけど……悪魔さん、お願いしても良いですか?」

 

「了解。さぁ志保、口を開けてね」

 

「え、ちょ!? ちが! わた――」

 

 

 くっそ可愛いと思ったのも束の間、平家が水が入ったペットボトルを橘の口に突っ込み始めた。ご丁寧に逃げられないように頭を掴みながら水を流し込んでるが……まぁ、良いか。仲が良い証拠と言う事にしておこう。ただ一つ言わせてもらうと百合百合な感じを期待してるから次やる時は頼むぜ!

 

 そんな事を思いつつ残った水を飲んでいるとグラムが近づいてきた。見た感じ、疲れている様子はないから橘とは軽く流す程度で戦ってたっぽいな。

 

 

『ワガ王よ! 次ハ我ラのばンであろウ!』

 

「んぁ? なんでそうな――いや待てよ……あーそうだな。やっぱり(キング)である以上、眷属のレイチェルのために俺も頑張らないとダメだよな! よしグラム! いつも通り剣になれ!」

 

『良かロう! ぜン力で振ルウがイい!』

 

 

 まるで玩具を与えられた子供のような笑みを浮かべたグラムはそのまま剣へと変化する。いやね! ちょっとだけ思ったんだが……最近、グラム握って影龍破ぶっぱしてないなと。クリスマスは勿論、冬休み中は影の国にグラムなんて連れてきてないから当然ぶっ放してないわけで……この辺で一発、コイツの欲求満たすついでにレイチェルを鍛えるとしよう! うーん、これは眷属思いの良い王と呼ばれるに違いない!

 

 久しぶりに握られたせいかグラムから吐き気どころか視界が真っ赤に染まり体中から出血が始まるほどの呪いが放出されているが影の国で何十何百何千何万と殺された俺にとっては滅茶苦茶軽すぎるので気にしない。正直、生きた虫を体に埋め込まれたり毒虫と一緒にシェイクされた時の方がまだ気持ち悪かったしな。

 

 

「……き、キマリス様……? な、何故、グラムを握っているのですか……?」

 

「お前を鍛えるついでに影龍破をぶっ放しとこうとな。最近撃ってなかったしね! よしレイチェル、休憩は終わりだから続きやるぞ? あーちなみに担当は見て分かる通り、俺な!」

 

「――」

 

 

 俺の言葉にレイチェルは絶望を通り越したなにかな表情になった。ヤバイ……凄く興奮する!

 

 

「……姫様。強く生きるっすよ」

 

「グラムの攻撃程度で死ぬならノワールの女王は無理だよ。ん? 志保どうしたの? 二本目希望なんてこの欲張りさんめ」

 

「もが!? が、ぁ、ぱぁっ……! さ、さお、りさ! ちょっ! ちがっ!?」

 

 

 よし! 百合百合っぽいナニカな光景が見れたから元気百倍で影龍破ぶっ放すとしよう!

 

 

「ちなみにレイチェル。この適性検査もどきなんだが……準備運動で犬月達、初級で平家って感じだから! 最終的には禁手化した俺と夜空の二人を相手に数分耐えきれたらまぁ……終わりではないが一旦終了と言う事でよろしく頼む。なーに、俺の女王ならこの程度は耐えきってくれよ?」

 

 

 というわけで絶望しているレイチェルを連れてスタート地点へと向かうも開始早々、レイチェルが全力で逃げようとしたので即座に影龍破ぶっぱで地面へと落とす。フェニックス故に死ぬ事も無く再生し始めたのを確認した俺はそのまま二発目の影龍破をぶっぱなす。そこからは簡単に言うと作業ゲーのような光景だったと思う……だって一に影龍破、二に影龍破、三と四と五も影龍破、六と七と八と九と十も影龍破とグラムが満足するまで連続でレイチェル目掛けてぶっ放し続ける。

 

 勿論、レイチェルもただ殺され続けたわけじゃない……女王の駒で強化されたフェニックスの炎を飛ばして応戦しようとしたが俺に言わせれば威力不足、影龍破を押し返すほどでは無かったのでそのまま呪いの渦に飲み込まれる事になった。まぁ、若干だが拮抗出来た時点で十分強いとは思うが俺の"女王"ならせめて冥界最強とか言われてる年増女王を瞬殺してもらわないと困る。だって夜空だったら年増女王どころか魔王すら殺せるだろうし。

 

 

「――なるほどね。あのれいれいがヤケ食いする理由も分かるよ」

 

 

 そんなわけで楽しい楽しい殺し合いもどきも終わって時刻は深夜、俺は四季音姉と一緒に鬼の里までやってきていた。理由としては新年になったのに一度も挨拶に来ていないのを思い出したからだ……そのために四季音姉に寧音の都合を聞いてくるように頼んだんだし。いやまぁ……今日空いてるから来て良いぞと言われるとは思わなかったが。

 

 寧音を待っている間に晩飯時に起きた出来事について聞いてきた四季音姉にキマリス眷属女王適性検査の内容を伝えると呆れた表情になった。此処に来る前に水無瀬が作った晩飯を食べてきたんだがあまりのストレス……かどうか分からないがあのレイチェルが体重も気にせずにヤケ食いし始めたのを見た時はやべぇ、壊れたと思ったのは内緒だ。まぁ、夜空の「焼き鳥、テメェ食い過ぎ」の一言で即終わったけども。

 

 

「ノワール。いくら必要と言ってもいきなりはやり過ぎじゃないかい? れいれいを鍛えるなら順序良くいかないとストレスで倒れる事になるよ」

 

「あの程度で倒れるなら夜空が殺すと思うけどな」

 

「にしし、否定はしないよ」

 

 

 隣に座っている四季音姉は先ほどまで呆れた表情から一転して笑みを浮かべ始めた。その手には酒瓶が握られていてラッパ飲みという女を捨てていると言っても良い飲み方をしている……見た目ロリの癖に実年齢は俺よりも年上なんだぜ? 妖怪とか悪魔って年齢詐欺多すぎないか?

 

 そんな大事でもない事を思っているとエロイ着物風の恰好をした寧音がやってきた。何度も思う事だがどうして目の前に居るエロイ人妻からこんな少女趣味満載の娘が生まれるんだ? 非常に謎だな。どれぐらい謎かと言うと不幸体質の癖に台所では一切不幸が発生しない水無瀬並みに謎だ。まぁ、それはそれとして此処って鬼の里だよな? なんで八坂とぬらりひょんが居るんだ? いやぬらりひょんはどうでも良いとして八坂さん、相変わらずエロい格好ですね!

 

 

「かっかっか! 待たせたね影龍の。うちのバカ娘の旦那になるってのに新年の挨拶がちょっと遅いんじゃないかい?」

 

「悪いな。クリスマスから昨日まで忙しかったんだよ……だからこうして都合が良い日に挨拶に来たんだろうが? あと、なんで八坂とぬらりひょんが居るんだよ?」

 

「そりゃ寧音から連絡が来やがったからよ。お前に伝えたい事があったからここまで来たってわけだ」

 

「ほっほっほ! こちらも同じやわ~寧音から連絡が来てなぁ、丁度暇やったから遊びに来たんやわぁ。お久しぶりや影龍王はん。何時頃京都へ遊びに来てくれはるん? 京都妖怪一同は勿論、九重も待っとるで?」

 

「あー……とりあえず時間が空いたらって感じか。だって基本的に俺って夜空中心の生き方だしな。とりあえずだ……寧音、八坂、ぬらりひょん。新年の挨拶が遅れた事、すまなかった。今年もキマリス領民共々よろしく頼む」

 

 

 その場に座りながら寧音達に頭を下げる。なんだかんだと言って挨拶が遅れた事はこっちが原因だからな……まぁ、相手はまったく気にしてはいないようだけども。

 

 

「こっちもよろしく頼むよ影龍の。しっかし……この前の一戦から今日までかなり経験を積んだようだねぇ! 見ただけで身体が疼いちまうよ! かっかっか! 後はバカ娘さえ抱いてくれりゃあ文句無しって奴さ」

 

「あっ、俺としては抱くつもりなんでそれは叶うと思うぞ。何時になるか分からんが」

 

「ノワール!?」

 

「だったらこの後すぐってのはどうだい影龍の。今ならなんと私も付いてくるよ? 旦那を無くしてから今日まで男に抱かれてないからねぇ……男ってのは母娘同時ってのが大好物なんだろう? かっかっか! 望むなら芹も混ぜても良いよ?」

 

「大好物ですが何か? あとマジで? 俺としては凄くお願いしますなんだが……それをするとお宅の娘さんが大暴れしそうなんで機会があればって事にしてください」

 

 

 なんせ隣から滅茶苦茶怖い殺気が飛んできてるしな! とりあえず伊吹ちゃん! 近い内に抱きに行くから年上らしくエロイ下着を着て待ってろよ!

 

 

「相変わらず女にモテるねぇ。でだ……俺らがやってきた理由ってのは外でもねぇ――坊主、お前に名乗って欲しい名があるんだよ」

 

 

 ぬらりひょんが酒を片手にそんな事を言い出した。妖怪達が名乗って欲しいってかなりヤバそうな奴じゃね? そう言えばクリスマスで夜空とガチバトルする前だったか影の国に行く前だったかで生き残ったら名乗って欲しい名がある的な事を言ってたっけ? うわぁ、帰りてぇ。

 

 

「……どうせお前らの事だから断っても広めるんだろ?」

 

「当然だろうが。この名は坊主、お前が一番ふさわしいんだからよ。これに関しては寧音に八坂も同意見って奴だ、俺らの配下の奴らからも反論は出てねぇぜ」

 

「そりゃトップが決めた事には反対しないだろ……で? その名ってのは?」

 

「――空亡(そらなき)

 

 

 ぬらりひょんがその名を言った瞬間、四季音姉が反応した。

 

 

「一つ良いかい……それは人工的に作られた妖怪の名だったはずだよ? あと確か……何年も前に倒されたと聞いたけどね。あと母様、私には知らされてないんだけど……何か言うとこはあるかい?」

 

「サプライズって奴さね。それぐらいは大目にみなバカ娘。元はと言えばお前が影龍のを誘惑しないからだろうに……はぁ、その年で未だに処女なんて泣けてくるね。いい加減さっさと抱かれな。むしろ抱きに行け」

 

「母様!!」

 

「寧音。親子の語らいはわりぃが後にしてくれや。今は……俺達としては失ったその名を坊主に名乗ってもらいてぇってわけよ。なんせお前は俺達妖怪と鬼が従っても良いと本気で思った男だ。むしろその名を名乗ってもらわねぇと困るって話だ」

 

「……伊吹、説明頼む。妖怪方面はあんまり知らないんだよ」

 

「だろうね。空亡ってのはさっき言った通り、人工的に作られた奴の名前でね。昔、ちょっと暴れた事があって今は死んでるんだが……人間界じゃ百鬼夜行の終わりを司る大妖怪って事で広まってるはずだよ。にしし! 良かったじゃないかノワール、私達からすればこれはかなり名誉なことなんだよ? 言うなれば"空亡の影龍王"ってところかい?」

 

 

 百鬼夜行の最後を司る大妖怪ねぇ……あのすいません。俺、一応悪魔と人間の混血なんですよ! 妖怪の血すら入って無いんですが良いのか……? いや良いんだったら良いけども。てかその話を聞いて思い出した事がある……なんか昔、夜空が外で面白い事起きてるとか言ってた気がするんだよ! もしかしてそれか? でもたしかあの時ってさ、強くなる事に必死で他の事なんて全く気にしてる余裕なかったんだよね! あと俺も夜空以外全く興味無かったからその場では詳しくは聞かなかったけど……こうなるんだったら死ぬ前の姿だけでも見とけば良かったぜ。

 

 

「なんだい影龍の? 不服かい?」

 

「いや……至って普通の混血悪魔の俺には勿体ないと思っただけだ。断っても意味無さそうだから仕方ねぇ、名乗ってやるよ。ただ――後悔するなよ? なんせ夜空の事しか頭にない上、俺の敵になるようだったらお前ら全員殺害対象に入るからな」

 

 

 その言葉に対し寧音、八坂、ぬらりひょんの三人はニヤリと笑って返してきた。

 

 なんだかんだで俺と話す機会が多いからその辺りは分かった上でのことだろう……しっかし空亡の影龍王か。大層な異名だが名乗る以上は今まで以上に負けは許されないな。もっとも夜空以外に負けるつもりは一切無いけどね。




・「空亡」
時系列的には番外編「とある昔の影龍王」辺りに発生した【堕天の狗神SLASHDØG】に
登場した人工妖怪。
本編では既に倒されている。
なおノワール&夜空はは堕天の狗神編では互いにイチャイチャしようと頑張ってた時期なので殆ど出番無し。

・キマリス眷属"女王"適性検査
別名レイチェル・フェニックス改造計画。
準備運動で犬月、橘、水無瀬の誰かとの戦い。
初級で平家早織との殺し合い。
中級で四季音祈里との殺し合い。
上級で四季音花恋との殺し合い。
最上級でノワール(鎧無し+グラム装備)との殺し合い。
理不尽級で鎧状態のノワール&夜空との殺し合い。

扱いにくいとされている女王の駒を完全に扱うべく今後もレイチェルは発狂しながら殺し合いをしていく事になる……王の補佐? 平家が居ますので問題ありません。
まずは実力を高める事からスタートです。
当面の目標としてはグレイフィア・ルキフグスを瞬殺できるレベルまで成長させる事らしい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。