20話
「――温泉さいっこぉ」
夏の暑さが出始める時期の深夜、俺は自宅の地下に作られた温泉に入っていた。先ほどまで恒例となった夜空との殺し合いをしてきたせいで切り傷やら打撲やらが痛むがそれでも温泉というシチュエーションだからか痛みが安らいでいく感じがする。マジで温泉最高、俺達キマリス眷属全員が一緒に入ってもまだ余裕があるほどの広さ、サウナ付き、そして足伸ばせる風呂。ホント最高! 温泉って良いよな! 流石にこの時間に一人で入るのはあれだから犬月も誘ってみたけどもう風呂に入ったんでパスと言われてしまい一人寂しく湯船に浸かることになった……あんまりしたくは無いが平家か四季音あたりでも誘えばよかったか? 橘や水無瀬は色々とアウトだがあいつらの裸なら事故は起こらねぇし。
『ゼハハハハハ。温泉、温泉入りてぇなぁ……身体さえあれば俺様も酒や女で楽しめるってのによぉ』
「ドラゴンの癖に温泉入るのかよ?」
『ドラゴンと言えども生き物、この世界に生きる生命の一部だ。それに俺様は擬人化できるんだぜぇ? 龍としての姿と人としての姿になれるのだ! 人の姿にならねぇと他種族との繁殖が難しいからよぉ……ユニアの奴も気に入った
「……あん? まさか夜空の中にいるドラゴンってメス?」
『おうよ。経験人数四ケタのビッチドラゴンだぜぇ』
確かに声質的には女っぽいなとは思ってたがメスのドラゴンだったのかよ……確かドラゴンの中でもメスって希少なんじゃなかったっけ? いやそれよりも四ケタって事は千人以上とは子作りしてるってことだよな……それでも子供出来ねぇってドラゴンの遺伝子凄くねぇか。
『ドラゴンってのは子を宿し難いのさ。なんせ力の塊だ、弱者の子種程度で孕んでいては世も末だろう? ドラゴン自体が長寿な生き物、長い年月を共に生きれない種族とは絶対に結ばれんだろう。ユニアもそれが分かっているからこそビッチになったってわけよ』
「へぇ。そう言えば相棒は昔から一緒だったんだろ? ヤッたの?」
『んなわけねぇだろう。ユニアを抱くぐらいならば別のメス、いやオスでも抱いた方がマシよぉ。見た目が女の男の娘だったらなお良いなぁ!』
「そりゃまた業が深い。そう言えば三大勢力のトップ勢がこの町で会談をするみたいだがどうなると思う?」
コカビエルが引き起こした事件が発端となり一度、トップにいる方々がそれぞれの勢力の今後を話し合うとしてこの町に集まるという事を魔王様直々の書面にて知らされた。天界側からは天使長ミカエル、堕天使側からは総督のアザゼルと白龍皇ヴァーリ、悪魔側からはサーゼクス様とセラフォルー様、影龍王の俺と赤龍帝の兵藤一誠、その他両眷属全員だ。グレモリー先輩はこの土地を治める悪魔であり当事者の一人だから事件の全容を説明しなければならないらしいから頑張ってほしい。もっとも俺達キマリス眷属も当事者だから無関係じゃないけどな。
二天龍の兵藤一誠とヴァーリ、地双龍の俺と夜空もこの会談に出席しなければならないらしい。俺はコカビエルをぶっ殺した主犯、赤龍帝も先輩の眷属だから参加するのは当然なんだけどヴァーリと夜空の二人も参加とか大丈夫か? 最悪の場合、会談場所が吹き飛ぶと思うんだけど?
『どうなるのかねぇ。今まで多くの争いが起きたが三大勢力のトップ共が一カ所に集まる事は起こらなかった。面白い事になりそうだぜぇ』
「だろうな……一応夜空には伝えたが暇だったら行くぅ~とか言いやがって今の所参加する気配ゼロ、あいつらしいといえばらしいんだが来なくて何か言われるのもなぁ……まっ、その前に平家をどうするかが問題なんだけども」
『覚妖怪故に他者の心を盗み見みちまうもんなぁ。魔王共に聞くかは知らんが会談場所にでも居ようものなら悪意やら何やらを感じ取ってぶっ倒れるぜぇ?』
「でも書面には眷属全員で来るようにって書いてたんだよな……俺の心だけに集中させておくか。周りが信じるかどうかは知らんけど」
『文句を言われたら殺せばよかろう。ユニアと俺様が手を組めば殺せねぇ奴らなんぞおらんわ!』
「それやったら大罪人になるんだけど……いや、そもそも俺と夜空が一緒に戦って勝てるかどうかも怪しいぞ。魔王と天使長、総督は別格だからな。とりあえず平家の事はその時になるまでに考えておくか」
覚妖怪故に他者の心を読み取ってしまい各勢力のトップ勢が考えていることが筒抜けになってしまう恐れがある……まぁ、魔王様や天使長、総督レベルの奴らに効くかは分からないが平家が覚妖怪だと知っている魔王様が参加を許している時点で何かしらの対策を取っているという事だろう。
そんな事を考えながら温泉でのんびりと過ごした後は脱衣所に設置されている牛乳とコーヒー牛乳が入れられている冷蔵庫から適当に一本取り出してリビングに戻る。四季音はいつも通りソファーに座りながら酒を飲み、水無瀬と橘がテーブルで何かをやっているのが見える……本とかが並んでるから勉強か? 真面目だねぇ。
「うぃ? のわ~るぅおふろはいってたのぉ~? ひとことぉいえよぉ~みせいちょうろりぃぼっでぃをみせてあげたのにさぁ。ひっく」
「リラックスしてぇのに酒の匂いなんて出されたら吐いてそれどころじゃなくなるんだよ。テメェは黙って酒でも飲んでろ」
「ひっどぉいなぁ~いいもんねぇっだ、おっさけおさけぇがわたしのこいびっとぉ」
「酒と結婚するならちゃんと役所に書類書いて出せよ。んでそっちはなにしてんだ?」
「志保ちゃんに悪魔業界の事を教えていたんですよ。眷属悪魔になりたてですしその辺りはきちんと教えておかないとダメですから」
「悪魔さんの僧侶としてちゃんとお役に立てるように頑張りたいので水無瀬先生に教えてもらっていたんです。良ければ悪魔さんも一緒にお勉強、あの、教えてもらえませんか……?」
上目遣いで頼んでくるとかマジ反則。いやぁ! やっぱ我が眷属の癒し枠は最高だね!
しかし悪魔業界の事って言われても橘は元退魔の家系、親父さん達も既に別の職に就いているとはいえその辺りは知ってそうなものだけどなぁ。二人の傍に座って話を聞いてみると僧侶としての役割から転生悪魔としての常識、契約取りの種類から中級悪魔や上級悪魔に昇格するまでの流れ等幅広い事を知りたいらしい。それを聞かされた俺は……泣いた、心の中で泣いた。マジで良い子だなぁ! 引きこもりや酒飲みなんて眷属になってからもそんな勉強なんてしてないっていうかそもそも中級や上級に上がる気あるのかとこっちから聞きたくなるというのにこの子って……! 俺をどこまで癒してくれれば気が済むんだ畜生! アイドルって魔性属性でも持ってんのか! 可愛い!
『しほりんは良い子だなぁ。俺様、肉体さえあれば押し倒したくなっちゃうぜ』
「え、えっと……ありがとうございます? あれ違います?」
「とりあえず相棒の言う事は放って置け。さっきから温泉入りてぇだの酒飲みてぇだの女抱いて孕ませてぇだの五月蠅いんだよ」
『俺様、これほど聖書の神をぶっ殺してぇと思た事はねぇんだぜ? 歴代影龍王は全て人間、宿主様のように悪魔となった奴なんて存在しねぇんだからな。温泉に良い女に退屈しない日常と最高だってぇのに俺様は神器の中……身体が欲しいなぁ』
「クロムもいずれ封印が解けますよ。その時に思いっきり温泉を楽しめばいいじゃないですか……その、じょ、女性を抱くとかはダメですけど……ノワール君もダメですからね! ちゃんと同意の上でしないと怒られますから!」
「――『好きにしてください。初めてですけど楽しませるぐらいは出来ます』と言ってた水無瀬からそんな事を言われるとはなぁ」
「……え?」
「あーあーあ!!! し、志保ちゃんは気にしたらダメです! さぁお勉強の続きです! はいやりますよ!」
「え? ヤる?」
「そっちじゃありません!!」
昔、俺に対して言ったセリフを暴露されたせいで水無瀬はかなり取り乱しているようだ。橘も驚きのあまり少し困惑してるようだけど……大丈夫だ、これが日常だと思い込むから。
そんな事を思いながら真面目に橘の勉強を手伝う事にした。だって癒し枠だし、良い子だし! 教えてください悪魔さんとかアイドルボイスで言われたら手伝っちゃうでしょう男的に。と言っても大半が水無瀬が教えていたから俺は横から補足もどきをしてただけだが……俺いる意味ある? 橘的に勉強を教えるのは今までも何回かしてたけど水無瀬が居るし必要は……ありますか、いやぁ! やっぱりアイドルって良いね! にしても橘が契約の種類が気になるとは思わなかった。色々な事情から平家と同じでPCを使っての契約だけど橘的にはちゃんと会って話を聞きたいとか思ってんのかねぇ? 根は真面目だし有りそうなんだがアイドル橘志保が真夜中に一般人のお宅に訪問してこんにちは悪魔ですハートマークとかしたらアウトだろ。エロ系の内容だったらそれ専用の悪魔がいるとはいえ相手が暴走する可能性もなくはない。だって俺が契約主だったら普通に変なお願いするしな!! でも顔が見られなければいいんだから着ぐるみか何か着せれば良いのか?いや声でバレるか。
「結局、王様のお母さんは来なかったっすね」
時間は進んで翌朝、特にこれと言った出来事もなく迎えてしまった授業参観当日の朝、家を出て駒王学園に向かっている途中で犬月が思い出したように呟いた。まぁ、思いたくはなるか……なんせ今日は授業参観だというのに母さんが家にやってこなかったんだし。あんの天然……マジで何する気だ? サプライズで学校で初対面とかしようとしてるんじゃねぇだろうな?
「来ないなら来ないでありがてぇんだよ。あの天然で外見詐欺が何かしでかす事はねぇんだし」
「外見詐欺……ですか?」
「お義母さんは見た目若いの。だから外見詐欺」
「そうなんですか? でも、悪魔とかじゃないんですよ、ね?」
「当たり前だ。そうじゃなかったら俺は混血悪魔じゃなくて純血悪魔になるぞ? いやそれよりもなんで人間界に来るんだよ……昔の事忘れてんじゃねぇだろうな?」
母さんと俺が人間界に遊びに来た際にキマリス家の奴らから襲われたってのにあの天然は懲りずにまた来るのかよ……流石に今回は
「多分忘れてないと思う。でもお義母さんだし仕方ないと思う」
いつものように自転車の荷台に座っている平家がいい加減諦めなよと言う視線と共に言ってきた。うん知ってる。母さんだしもう諦めようかと思ってる。
何が何だか分からない顔をしている可愛い橘にはあとで説明をするとして――何あれ? 駒王学園の入り口、そこで絶対にいないであろう人物が立ってるんだけど。ついでに言ってしまえば先輩と赤龍帝含めた眷属全員も向かい合うように立っているんですが何をしているんですかねぇ?
「――やぁ、影龍王。キミとも会えるとは思わなかった」
俺がやってきたのが見えたのか話しかけてくる銀髪のイケメン――ヴァーリがやや嬉しそうな笑みを浮かべながら視線を向けてきた。先輩方も俺の方を見てくるけど……なんでこんな時に来るんだっていう視線の数々はなんなんですか? 殺されたいの?
「そりゃ、此処の学生だしな。お前こそ此処で何してんだよ?」
「俺のライバル、兵藤一誠の顔を見に来ただけさ。影龍王、先日のコカビエルの一件は助かったよ。アザゼルも面倒な裁き等をしなくて済んだと喜んでいた」
「怒りもしないって事はコカビエルの奴、思いっきり邪魔者扱いされてたんだな。別に殺せたから殺しただけだし礼を言われるほどじゃねえさ。お前にも殺すからねハートマークで言ってた事だしよ」
「そうだったな。光龍妃と共に見ていたが流石にコカビエルごときに苦戦はしていなかったようで何よりだよ。もう一度キミと戦いたいところだがアザゼルから会談が終わるまでは戦闘を控える様に言われていてね……光龍妃とも戦えないとなると退屈で仕方がない」
「流石戦闘狂。あぁ、会談だけど夜空の奴は来るかどうかは分からんぞ。一応この前殺し合った時に伝えといたが暇だったら行くだとさ」
「なるほど、了解した。アザゼルにも伝えておこう」
「是非そうしてくれ。んでさぁ、こうしてグレモリー眷属に囲まれてるんだし少しは焦った様子ぐらいはしてくれない?
「ふむ……残念だが無理だな。コカビエルはおろかケルベロス程度にも圧勝できない彼女達に恐れを抱く事なんて出来そうにない」
「あぁ~うん、それは俺も嘘だろ弱すぎんだろとか思ったけどほ、ほら! この人って一応魔王の妹さんだから次からは振りだけで良いからしといてくれ」
「俺がそのような事をすると思うかい?」
「いんや全然。むしろ恐れを抱いたのを見たらマジかよとドン引きする」
何やら後ろから文句の声が聞こえてきてる気がするけど無視だ無視。だって事実だろ? 赤龍帝から力を譲渡されて初めて圧勝とか弱すぎて何も言えないんだよね。まぁ、魔王の妹とか二つ名で呼ばれて調子に乗り上級悪魔にありがちな生まれ持った才能に過信して特訓とかしてないだろうから当たり前なんだろうけども。でもせめてサイラオーグ・バアル並みの強さを手に入れてほしいよね……なんで俺はこんな雑魚に下手にならないといけないんだって偶に思っちゃうからさ。
目の前のヴァーリの視線が俺の後ろ、橘に向けられた。そう言えば橘の神器が気になるとか言ってたな……今日は居るし紹介だけさせておくか。先輩が邪魔だけど仕方がない。
「なんだ? 橘のファンにでもなったか?」
「いや、彼女が持つ神器の方に興味があってね。紹介してくれると助かるんだが?」
「別にいいぞ。橘、
「は、はい!」
カバンの中から飛び出したオコジョは橘の肩に乗る。神器の殆どは俺や赤龍帝のように望んだら出現するタイプだし体の部位そのものが神器と言う常時発動型や生き物の姿を模した独立具現型なんてモノはかなり珍しいだろう。
「なるほど……昔を思い出すな。ありがとう、俺に宣言した通り彼女を眷属に加えたというわけか」
「まぁな。流石に堕天使の総督に目を付けられて横取りとかされたくねぇし。というよりそろそろ帰れ、遅刻しちまう」
「あぁ、すまない。なら今日はこの辺りで失礼するとしよう――リアス・グレモリー、赤龍帝は貴重な存在で俺のライバルだ。キミも強くならなければ眷属である兵藤一誠に追い抜かれ恥を晒すことになるぞ。もっとも俺に殺されてしまえば意味は無くないけどね」
「……えぇ。ご忠告ありがとう白龍皇さん、でもイッセーは殺させないわ! 貴方がイッセーを殺そうとするなら私の命に代えてでも貴方を倒すわ!」
「出来たら、の話だが楽しみにしておこう」
それを言い残してヴァーリはこの場からいなくなった。さて俺達も教室に行かねぇとマジで遅刻する……一応先輩に挨拶だけしてから同じようにこの場から離れる。その途中で犬月から「ボロクソ言ってましたけど良いんすか?」と聞いてきたが問題ないだろ? だって事実だし。
平家と別れて俺達三人は自分の教室に入る。匙君やら名前も知らないクラスメートが橘に挨拶してくるけどこれはもう見慣れた光景だ。平家からは今の所女子から嫌われているような感じはしないと聞いているけど女って陰気で裏で何するか分かんねぇ生き物だし油断はできない。もし俺の癒し枠を泣かせようものならとりあえず殺す事は確定、これは犬月も同意しているし手伝ってくれるらしい。流石俺の兵士だと褒めてやろう。
「――あの、黒井っち? なんかものすっごい熱い視線で見つめているお方がいらっしゃいますけど?」
「知らない知らない気のせい気のせいマジで気のせい俺は何も見ていない俺は何も感じていない」
授業が始まるまであと五分ほど猶予があるが俺はそれどころではない。背後から感じる熱い、別な意味で熱すぎる視線を如何にかして消し去りたい。犬月……話しかけるな! 今の俺は無我の境地とかなんかその辺りのものになるために忙しいんだ!
隣の席の橘は大丈夫ですかと心配してくれるがごめん! 今はそれどころじゃないんだ! マジで話しかけないで!!
「うわっ、すっげぇ美人……誰の親だ?」
「隣に居る紫の髪の子なんて俺達と同じぐらいじゃないか? あと、俺の気のせいかもしれんが黒井を見てないか?」
「二人ともなんだろうか、こう、早く気づいてと言いたそうな視線で見ている気がする――また黒井か!」
「あの、犬月さん……あく、レイ君の様子が変なんですけど……?」
「多分後ろのお二方のせいじゃねぇかな? あの人達が来てから黒井っちがこうなったんだし」
大正解。お前らが言ってる美人やら紫髪の女やらは俺の知り合いと言うか身内というか……うん、片方は俺の母親でもう片方はメイドなんだ。そっと、そっと気づかれない様に背後を見ると他の方々とは比べ物にならないほどの美女と美少女が並んでいた。実の母親を美女とか表現したくないがこの際どうでも良い。
清楚な服装に身を包んだ黒髪ロング、片手には足が悪いのか杖を握っている女こそ俺の母親で隣に居るふんわりとした紫髪で巨乳の俺と同じか一つ上に見える奴がミア、通称蛇女。マジで帰ってくださいお願いします……そんな熱い視線を向けないでくださいお願いします。いやその前にマジで蛇女、お前だけは帰れよ! お前のさっさと気付けやごらぁな視線はいらねぇんだよ!
「はい。それじゃあ授業を開始します。今日は授業参観だから保護者の方や下級生の子達が来られているが緊張せずやっていこう」
運命の授業が開始された。この時間は数学、特に面白くも無ければ楽しくもないものだが早く終わってほしいと心から思ったのは初めてだ。まぁ、担当教師自体の教え方は面白いから保護者勢とかには受けは良いだろう。だけど帰りたい。背後から頑張ってみたいな熱い視線を感じます。やめてください死んでしまいます。
「うん、じゃあこの問題を――黒井に解いてもらおうか」
殺すぞこの野郎! なんでこのタイミングで俺に当てるんだよ!! 普段なら断る所だが今日は公開授業と言う名の授業参観、隣に居る我が癒し枠のお声もあってやるしかねぇ! 帰りたい、マジで帰りたい。
「――で合ってます?」
「大正解だ。流石のお前も緊張か? 大丈夫だ、それはみんな同じだ」
「あ、はい、そっすか……」
「ミア! ノワールがちゃんと答えたわよ! 見た? 見た? 緊張してるなんて可愛いぃ! あっ、ビデオに撮らなくちゃ!」
「ちゃんと見てましたから落ち着いてください。あとこっちでは零樹でっすよ」
「あら? そうだったかしら?」
後ろがうるせぇ!? てかなにさらっと人の本名言ってんだよあの母親は!? 此処に通う時に名前変えたからなと何度も言ったのに忘れてやがる!? はぁ……帰りてぇ。
結局この後も背後から感じる熱い視線とざまぁみたいな視線を浴びながら授業を受ける羽目になった。母さんはともかく……蛇女、テメェ後で覚えてろよ!
今回から「影龍王と三大勢力」編が開始します。
感想ありがとうございました!